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春になりました。先々日は天気もいいので母を連れて砧公園に出かけました。まだ桜も開いていませんでしたが、公園の一画にあるレストランでの食事後、世田谷美術館をのぞいてみると、ちょうど川上澄生の木版画展をやっていました。そこで昔サントリーのCMに出てきた「へっぽこ先生」に久しぶりに会いました。懐かしい版画本「ゑげれすいろは人物」です。これは川上澄生の自画像で、彼は宇都宮の英語教師だったのですね。昼は学校の先生、夜は木版画作りという生活を送ってたとのこと。彼の作品に感動した棟方志功は絵画を捨て、版画の道を歩み始めたそうです。60歳を超え学校を退職した澄生は初めて版画に専念し、72歳で勲四等瑞宝章を受章しました。喜んだ澄生は授賞式の後、そのまま勲章を下げて家まで帰ったそうです。そして途中で出会ったおばあさんがその勲章を見て深々と頭を下げたと嬉しそうに語っていたとのこと。いい人柄です。私は彼の作品の文庫本しか持ってませんが、その雰囲気が各頁から滲み出てきます。例の「へっぽこ先生」のCMを見たくなったのでYOU-TUBEで探しましたが残念ながら見当たりませんでした。それにしても、サントリーのCMには実に沢山の名作がありますね。ランボー、ファーブル、ガウディ、そして子犬をはじめとするドラマ仕立てのもの、サミー・デイヴィスJr.、ロンカーター、レイ・チャールズなどのミュージシャンもの、タレントは大原麗子、野坂昭如、緒形拳など、覚えているだけでもほんとに数え切れません。制作費は莫大なものでしょうね。みんな、我々の飲み代に含まれてるんでしょうが、その価値はたっぷりあるようにも思いますね。サントリーウィスキーホワイトCM ロン・カータートリス ウイスキー 「雨と子犬」篇
2010/03/22
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先日は恐れ多くも司馬遼太郎氏にケチをつけてしまいましたが、歴史を語るのは大変難しい事のようです。先に上げたように過去の出来事を歴史家独自の視点で断定しなければならないため、様々な反論や異論が出てきます。ただ、これが一般的な歴史家の作品の場合は、ひとつの考え方として読者に比較的に冷静に浮け止められるのでいいのですが、こと司馬氏に限っては違います。それは歴史に詳しい人々だけでなく圧倒的多数の一般の読者を得たため、それらの人々が一般論として語る風潮が強く、そのことに対して識者からの非難を受けることになるのです。これは司馬さんのせいではないのですがね。また歴史研究の難しさには、大量の記録や文献や証言を集めなければならないことです。ところが苦労して集めたそれらの資料には誤解や記憶違いや嘘がまじっており、その真偽を見極めるのがまた大変です。高い知性だけでなく矛盾を嗅ぎ分ける感性も必要となります。特に文書の偽造は大昔からあり、近年になると写真までが動員されています。偽の「残虐行為写真」を作成して敵国のイメージダウンと自国の正当性を訴えることまであったようです。第一次大戦中のフランスには「合成化学写真部」という部署があり、切られた首や人体部分の模型を作り、それを合成した写真を敵国の残虐行為として世界中にばら撒いていたとのことです。もちろんこのような写真偽造行為そのものの真偽も不明で、いろいろと論議されていますが、ありえない話ではないように思います。上の写真ではスターリンに粛清されたエジョフの姿が消されています。パソコンがなかったあの頃の写真は手書きです。私の新入社員の研修のときお会いしたカタログ写真部の先輩は、いとも簡単に製品写真に写りこんだ人の指や小道具を筆で消し去ってました。人はなんでこんな嘘を堂々と行うのでしょう。おそらくは後で嘘とわかってもその時点での政局に効果あるなら何でもやっちゃえということなのかな。例の「核持込み密約文書」も同じでしょうね。やったら勝ち...?そうそう核文書といえば、後になって出てくる資料もある。第二次大戦の直前のノモンハンの戦いは満州国境での日本とロシアとの紛争でしたが、これは司馬氏や五味川純平氏によると「圧倒的に優れたロシアの大軍に対して日本は貧弱な兵器でやみくもに戦い惨敗した。」と言うものです。ところがソ連崩壊後に情報公開があり、ロシアの死傷者数は二倍であることがわかって、日本の死傷者を上回ってしまい、どちらが勝ったのかわからないことになりました。(ま、紛争ってのはそんなものですが、)このように基本となるデータが覆るのは歴史研究家泣かせですね。とにかく司馬遼太郎氏への批判はすべて、氏の作品が国民的ベストセラーになってあまりに多数の人に影響を及ぼしたために起こった不幸だといえるのではないでしょうか?
2010/03/18
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司馬遼太郎の「坂の上の雲」では乃木将軍が無能なリーダーとしてボロクソに描かれています。ちょっとかわいそうなくらいです。しかし私はこの乃木さんの融通の利かない実直さとそれに反するダメさ加減の人間性に引かれて、司馬氏の乃木論とも言える「殉死」まで読むことになりました。そこには、小心で、潔癖で、虚弱で、戦下手で、自虐的で、寝るときまで軍服で寝た無骨な人物が描かれています。そして日本の歴史小説でも空前のベストセラーともなった「坂の上の雲」によって、かっては世界の名だたる名将だった乃木希典は愚将として一般の人々にも印象付けられてしまいました。じゃ、乃木さんはほんとにドジ将軍だったのでしょうか?私としては、乃木さんという味のあるキャラクターを強調するための誇張のように思いたいのですが、司馬氏は乃木将軍と伊知地参謀の言動記録から無能と酷評しています。ところが歴史研究家によると司馬氏にはいくつかの事実の誤認があるということです。福井雄三氏著の「『坂の上の雲』に隠された歴史の真実」もそうです。福井氏は司馬さんの作家としての才能は高く評価していますが、集めた資料の不備、軍事的知識の欠陥などによりその視点は偏っており、史観としても認めがたいとしています。また小説としてまとめるための事実の簡略化や、人物の善玉と悪玉の書き分けも加わっているのでそれを歴史の事実と見誤る危険性があるというのです。旅順攻撃に対しても司馬氏の見解では、二百三高地さえ落とせばさっさと決着は付いたのに、堅固な要塞に対して無駄な突撃を延々と繰り返し、挙句の果てに6万もの死傷者を出してしまったと書いてます。その責任は全て乃木将軍と伊知地参謀の無能のせいであり、これをみごとに打開したのが児玉源太郎であったというストーリーが今の歴史フアンに広く浸透しています。しかし福井氏によると、当時の日本軍は状況に応じて様々な攻撃を仕掛けたりして非常な努力をしていたのに、海軍と陸軍の対立、参謀本部の統制ミスなどにより乃木軍は翻弄されていたようです。またこの攻撃の目的は二百三高地でなく旅順要塞そのものであり、旅順港のロシア艦隊砲撃も戦役に大きな効果をもたらしたわけでないとされています。ロシア艦隊はすでに消耗が激しく、大砲も兵士も全て陸揚げされた抜け殻だったとのこと。これはロシア軍の少将も認めています。司馬氏の言うように艦隊を破壊してさっさと引き上げることは実際には出来なかったようです。旅順要塞への攻撃も当時としてはもっとも正攻法であり、その後の欧州でも同じような要塞攻略でまったく同じ攻撃が行われています。75万人もの犠牲者を出した戦いもあり、要塞戦の中では旅順は当時の最良記録と評されています。(Wikipediaにもありました)だから砲弾や物資が不足する中、これだけ戦った乃木さんたちは決してアホ扱いされるゆわれはないと言うのです。これを読んで乃木フアンの私はほっとしました。もちろんこれらの本の真偽も私にはわかりません。ただ、戦争や様々な出来事を結果論から評価し、一方的にその責任者を断罪してしまうのにはちょっと疑問に思いますね。だいたい歴史の真実なんて誰にもわからないことです。様々な文献や見解を交えてああだこうだと推測するのが歴史フアンの醍醐味なんじゃないでしょうか。それにしても司馬遼太郎氏の作品は面白い。それは確かです。
2010/03/16
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「司馬遼太郎はとんでもないやつだ。でたらめな歴史観で世の中を惑わしておる。」と口を極めて怒っていたのは私の妻の知り合いのO教授。藍染の作務衣を着て、長い白髭をなびかせて杖をついて歩く姿は仙人そのもの。フランスの学会に行かれる時もそのスタイルのまま飛行機に乗られる。私の妻が教え子で、亡くなられるまでの数年間、一人暮らしの先生の買い物やお掃除などのお手伝いをしてました。先生が何でそんなに怒ってるのかと言うと、先生のお母さんが会津藩の家老の血筋だったということで、幼い頃から薩長への恨みを聞かされて育ったからでしょう。それに加えて、維新派を英雄視し、幕府を腰抜けとする見解が一般常識化されているのに我慢がならなかったようです。「西郷は大悪人だ」とも言ってました。その時私は、変わった見方をされる人だなあという感じを持ちましたが、最近のドラマやドキュメンタリーではそのようなことを裏付けるエピソードが描かれるようになってきて、先生の怒りがわかってきました。小説は当然として、記録文学でも書く人によって様々な解釈があります。同じデータや事象も解釈する人によってそれぞれに結論が異なり、どれが本当かわからなくなることもある。まさに芥川龍之介の「藪の中」(クロサワの「羅生門」)です。司馬遼太郎氏の数々の作品も司馬氏独自の歴史認識がベースになっておりますが、作品の品質があまりに高くベストセラーになった為に、司馬史観が世の中に広がり深く根付いてしまいました。歴史の専門家でさえ異論を出しにくい空気だとのことです。当然私も司馬氏の作品を愛読し、大きな影響を得ています。だから私が徳川幕府は滅びるべきして滅びたなどと受け売りの論を述べた時に先生が怒ったのです。本に書かれたことはあくまで作者独自の視点であり、事実には別な見方も存在するという当たり前のことを、我々は時々忘れてしまうのですね。その意味では、昨年のNHKの「篤姫」は幕府側の視点で維新が描かれていて、なかなか興味深いドラマでした。
2010/03/14
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岩崎弥太郎の話で思い出しましたが、有楽町から東京にかけての「丸の内仲通り」の先に丸の内最初のオフィスビル「三菱一号館」が再建されています。これはかなり忠実に再現されていて、屋根の上の鋳物装飾も外壁も内部も見事な出来です。設計は明治以後の日本建築界の基礎を築いたジョサイア・コンドル。岩崎弥太郎が買い占めたこの地区をロンドン並みのビジネス街にしようと建てられたのがこの一号館。当時と同じ工法で再現されていますが、これを歴史的建築と呼べるのかどうかなどと建築界では議論されていますが、いいものを体験出来るかたちで残すのはいいことだと思いますよ。今のNHKドラマでは弥太郎はボロ家で父親と喧嘩ばかりしてますが、のちに政商として公私両面で莫大な財を成します。彼の宮殿のような自宅もコンドルが設計してます。こんな弥太郎を竜馬はどんな目で見てるでしょうね。ま、100年前のお話ですけど。ところで、このあたりはとてもおしゃれになったトレンディスポットです。「丸の内仲通り」はシャンゼリゼ程だだっ広くなく、モンテ・ナポリオーネ通り程狭くない丁度良い幅の石畳の道で、両側に上品なお店が並びます。「丸の内ブリックスクエア」も昨年オープンし、とても賑わっております。初めての人は東京駅の東の「新丸の内ビル」から2丁、南に歩いたところにあります。東京で列車待ちされるときには寄ってみられたらいかがですか?
2010/03/10
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キリンのTVCMでナインティナインの岡村がうまそうに飲むのはラム酒ならぬハイボール。なんで海の男がハイボールなのかというのはおいといて、いい帆船が出てきます。年期の入った18世紀ごろのフリゲート艦かな?模型でないので見ごたえのある風格です。HPには「世界のハイボール号」とありました。調べてみたら、映画「マスター・アンド・コマンダー」で使われた船でした。これはラッセル・クロウ主演の海洋物語です。彼が乗る船の名は「サプライズ号」。撮影にはサン・ディエゴ海洋博物館の「ローズ号」を借りたとのこと。総帆いっぱいに風をはらんで波を蹴立てて進む姿がとても優雅で力強い。「パイレーツ・オブ・カリビアン」の「ブラックパール号」もよかったけどね。子供の頃から帆船が好きでした。特に16世紀のガレオン船から18世紀の英国戦列艦が好みで、絵を描いたりプラモデルを作ったりしました。海洋小説もボライソーシリーズ、ホーンブロアーシリーズに熱中し、経済学者パーキンソンの描いたボライソーの架空の伝記まで読みましたね。「ロープ」という団体が作る帆船模型の展示会も何度か楽しみました。大阪市が所有する帆船「あこがれ」は半日や泊り込みの体験セイリングが出来ます。大阪にいた頃、いつか行こうと申し込み書を持ち歩いていましたが、結局実現出来ませんでした。このCMでそんな昔の夢がよみがえってきました。
2010/03/09
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「竜馬伝」に出てる若き岩崎弥太郎役の香川照之の熱演を見ていた母が「この人は苦労してるけど、のちに正岡子規になるんやね。」とつぶやいた。私と妻は「うん」とうなづきかけて「違う違う、三菱の岩崎だよ。」と訂正。歴史に詳しかった母も近頃は物忘れが激しくなっていますが、私らでも「竜馬伝」と「坂の上の雲」とがこんがらがってる。それほどこの二つのドラマに出てる香川照之の存在感は強い。濃いキャラに加えて迫力のある演技で主役を喰ってますね。なかなかの役者です。たしかNHKの「利家とまつ」に秀吉役で出てきて、愛嬌と憎たらしさの混ざった絶妙な演技に感心したのを覚えてます。同じ大河ドラマ「太閤記」でデビューした時の緒方拳を彷彿とさせますなあ。
2010/03/08
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あまり気分いいテレビCMではありませんが、花粉症のCMで鼻に蛇口をつけた部長さんが出てきます。見るからに大げさな表現で、こんなのあるわけないと言われそうですが、私としてはこれ程ではないにしてもよく似た症状だったので、なんとなく共感してしまってます。あの頃、昼間は他の人と同じようにティッシュが手放せなかったのですが大変なのは夜。夜明けと共に鼻水が止まらなくなり洗面所に1時間、寒さに震えながら立ちっぱなしという日々が続いてました。喉や鼻は海で溺れたときのようにヒリヒリ。症状が少し収まると、30分ほどベッドで身体を暖めて出社という毎日。よく身体がもちました。この症状は3-4年続きましたがいつか終わって、今では昼間も目や鼻がムズムズするくらいで、ほとんど症状は現れなくなりました。年とったおかげですね。あの地獄のような日々とおさらば出来て本当にありがたいです。
2010/03/07
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