Nonsense Story

Nonsense Story

2005.07.01
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カテゴリ: 童話もどき



 年上だからっておやつはいつも多く取るし、ミツルが違反とかしているとすぐにお姉さんぶって怒る。自分だって同じようなことをしていてもだ。それでミツルが言うことをきかないと、暴力に訴えるんだからかなわない。
 ミツルは男の子だけど、まだ小学三年生だから、五年生のお姉ちゃんの方が断然強い。体格だって前から二番目のミツルに対して、女の子とはいえ、お姉ちゃんは後ろから二番目という上背の持ち主だから、取っ組み合いの喧嘩でも全く勝ち目はないのだ。
 先週の集団下校の時だってそうだった。
 ミツルが同級生の子と喋りながら歩いていると、ちゃんと一列に並びなさいとお姉ちゃんに怒られた。
「車が来たら危ないでしょ」
 たしかにそうだ。車に轢かれたりしないように、登校班は一列で歩く決まりになっている。班長を先頭に一年生から順に並び、最後尾には副班長がついて列からはみ出る子がいないように気をつけている。
 でも。とミツルは反論した。
「でも、お姉ちゃんだって二列になってるじゃないか。副班長なのに班長と並んで歩くなんて、ぼくよりひどいや」
 列の一番後ろにいるはずのお姉ちゃんは、前からギロリとミツルを睨みつけて言った。
「私は副班長だからいいの!」
「副班長だったら後ろにいるはずじゃないの?」
 ミツルも負けじと睨み返すと、少しは効果があったのか、お姉ちゃんはミツルのいる所まで下がってきた。だけどそれは、ミツルの正論が通ったからではなかったんだ。
「あんた、弟のくせにうるさい!」
 お姉ちゃんはそう言うと、特大のゲンコツをミツルの頭に投下した。ミツルは目を白黒させながら宣言した。
「お姉ちゃんなんか絶交だ!」
「じゃあもう話しかけて来ないでよね」
 お姉ちゃんの反応は、あっさりしたものだった。


つづく







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Last updated  2005.07.02 00:52:47 コメント(8) | コメントを書く


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ふーたろー@ Re[5]:奇妙な隣人 9.5.猫 3(06/11) あやきちさんへ 返信大変遅くなって申し…
あやきち@ Re:奇妙な隣人 9.5.猫 3(06/11) お久しぶりです、お元気でしょうか? 今…
ふーたろー5932 @ ぼっつぇ流星号αさんへ お返事遅くなりまくりですみません! こ…
ぼっつぇ流星号α @ いやー 猫がいっぱいだーうれしいな。ありがとう…
ふーたろー5932 @ 喜趣庵さんへ お返事遅くなってすみません! 本当に元…

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