『福島の歴史物語」

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2017.02.26
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     お宝発見!

 ある事情により、生家を手放すことになりました。しかし「いざ出る」となると、それは大変なことでした。

 まず大まかな家財ともう使われなくなった漆器や陶器などを運び出し、残された物をひとまとめにして更に選別、空になった建物の中に、それ以外の物がないかを確認しました。ところが土蔵の梁の上に、何か黒いものを見つけたのです。ハシゴを使って登り、持ってみると、それは意外に軽い箱状の物でした。床に下ろしてみると、埃にまみれてはいましたが、丁度モーターなどのコイルのように、麻紐でグルグル巻きになっていました。揺すってみましたが、音もしません。ともかく、丁寧に解(ほど)いてみました。

 麻紐のコイルの下は、油紙で包まれていました。この油紙を取り除いてみると、また麻紐のコイルが表れたのです。またこのコイルを、丁寧に解いてみますと、また油紙に包まれていたのです。この油紙を取り除いてみると、和紙が貼られた30センチ平方の平面に1メーター20センチほどの長さの箱が出てきたのです。しかもその箱は、長い引き出しだったのです。

 引き出しの引き手を引いてみました。すると中には、やはり油紙に包まれた長い物が二つ入っていました。「一体、何が?」その思いで二つの包みを開いてみると、なんと、刀が二振り出てきたのです。引き抜いてみました。薄暗い土蔵の光の中で、それは鈍く光っていました。このように厳重に保管されていたせいか、錆一つなく輝いていたのです。

 「この刀は、何時の時代に、誰が保管したものであろうか?」
 そしてこの保管されていた状況から考えて、後の世代の誰かが開けることを予想したに違いないと思われました。それが私だったとは!

 私はおぼろげに、刀剣類の所持には許可が必要と知っていました。そこで、警察に持って行ってみました。警察では、発見に至る経緯を事細かに聞かれました。そして後日、福島県教育委員会から『銃砲刀剣類登録証』が、「もし家から持ちだす時は、必ずこの登録証を携行するように」との指示と一緒に届いたのです。

 さて刀の所有についての法的処理は済んだのですが、これの保管についてはまったくの素人でした。デパートに行って刀の保存の道具を購入して事情を話したところ、「一度研ぎ師に相談したら」と言われました。おカネがかかるなと心配はしたのですが、それでも友人のツテで研ぎ師の紹介を受け、これを持ち込みました。彼もこの刀の保存状態の良さに驚いていました。そしてこう言ったのです。

 「この際ですから、白鞘を作られたらどうですか。古い鞘に収めて置くと内部に付いている古い油で痛むことがあります。だから新しい白鞘を作られて保存されたらいいと思います。元の刀の鞘には、竹光を作っておかれたらどうかと思います」私は、その教えに従いました。

 すべての作業が終わり、刀が戻ってきた時、それを床の間に飾ってみました。「おゝ、何かすごいな!」と思いました。しかし時が経つにつれ、自分の枕元にある床の間に
人を斬る道具があるということが、どうもしっくり来なくなったのです。「この刀は、人の血を吸ったことがあったのであろうか?」。そのような思いが、そこに刀を置くことに不安を感じるようになったのです。

 やむを得ません。今は自宅の倉庫の中で、家族にも知られず、昔のように静かに眠っています。『宝の持ち腐れ』とは良く言ったものだと思っています。



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最終更新日  2017.02.26 10:27:08
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