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「全米図書賞を受けたという全訳の仕事は翻訳・出版されていないのかな?」 と思って探していて、この本に出合いました。
By Kakinomoto Hitomaro,when Crown Prince Karu sojourned on the field of Aki で、つぎのページにこういう写真です。 ぼんやり眺めるのに最適でしょ。
On the easyern fields
I can see the flames of morning rise.
Turning around,
I see the moon sink in the west.
軽皇子の安騎の野に宿りましし時に、柿本朝臣人麿作れる歌
東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかえり見すれば月傾(かたぶ)きぬ
東方の野の果てに曙光がさしそめる。ふりかえると西の空に低く下弦の月が見える。
翻訳しても翻訳しても、驚きは消えなかった。 電車の話に戻れば、光が差してくる窓のブラインドを下ろして、スマホを覗くのに夢中になっている人たちのうつむいた姿が、ずっと並んでいるというのが日常の光景になって久しいですが、そんな中で 「万葉集」 とか英語でたどたどと読んでいるなんていうのは、世間ずれの程度が、ちょっといいと思いませんか?
そして、翻訳してみると、おそらくは多くの日本人が想像している以上に、 万葉集 は 「外」のことば にも伝わる、ということが分かった。
あをによし寧楽の京師(みやこ)は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり
という日本語が
The capital at Mara.
Beautiful in blue earth,
Flourishes now
like the luster
of the flowers in bloom
となる。花が「にほふ」。花が輝く。花には艶がある。ことばの艶、ことばのlusterが千三百年経っても消えない。
万葉の艶は、英語にも出る。英語に出たとき、万葉集は、人類の古代から受けつがれている最大の抒情詩集、というもう一つの像を結ぶ。
万葉集は新しい。
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