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2024.11.18
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​イリヤ・ポボロツキー「grace グレース」元町映画館​ ​​​​​​​​ まあ、なんといっても、
​出だしのシーンで鷲摑みでした!(笑) ​​
​ ​ ​風景 がすごいんですね(笑)。 小さな滝 というか、 湧き水の水口 若い女性 が水を飲んでいるのか、手を洗っているのか、いや、水を汲んでいたらしいのですが、 彼女 が水の入ったポリタンクを持って歩き始める、その動きに沿ってカメラが引いて行って、小さく細い水の流れが、ものすごい谷の底を流れていく川になっていって、崩れた崖の谷間の上の大きな山々、その山の麓に点在する集落が遠くにあって、 彼女 が歩いていく先には立ち木なんて一本もない、なんだか荒涼とした丘の上に 赤いキャンピングカー がとまっていました。 ​​
​​ おおー、スゴイ! ​​
​​​​​​​​ ​​​​ 見たのは イリヤ・ポボロツキー という、 ロシア 若い監督 の作品、 「グレース」 でした。​​​​
​​​​  キャンピングカー で移動して、 野外映画会 を興行している
​​ 父親と娘の旅 ​​
​  のお話のようです。
​現代ロシア版ニューシネマパラダイスやん(笑) ​​
​​​​  ​​とか、なんとか、お気楽に見ていましたが、どうも違うようです。 現代ロシア版地獄めぐり というのとはちょっとちがいますが、
​現代ロシア版辺境めぐり ​​
​  という風情の ロード・ムービー でした(笑)。​​​
​​​​​​​​​​​ 老眼のボクには、なんというか、画面のトーンが暗くて、眠くて仕方がない映像だったのですが、にもかかわらず、面白かったですね(笑)。
 まず、主役の 娘さん が、まあ、 彼女 暗いっちゃア暗いんです が、実にいいんですね。それから 少年 親父さん も、 親父さん とわけわからん関係になる、 観測所 とかで一人暮らしの おばさん 、まあ、みんなよかったですね。会話らしい会話はほとんどなくて、どの組み合わせも、たがいにずっと喧嘩しているようにしか見えない関係なのですが、 父と娘、少年と少女、旅の興行師と観測所の女 、それぞれの描き方が、絶妙なのですね。
​人間同士ってのはこういうもんでしょ。 ​​
​​​​​​​​​​  ​​​​​​​​​​​​まあ、 監督さん がそうおっしゃっている感じで、納得しちゃうんですね。
 それから、先日、 ゴンドラ という映画で気に入った、多分、 コーカサス あたりの 山岳風景 都市のアパート群 ショッピングモール
​海に行きたい ​​
​​ ​  というので、そうはいっても ロシア ですからねえ、 ​​​
​どこの海に行くんだろう? ​​
​ ​と思っていると、多分、 北極海に面した北方地域の海 ですね。で、そのあたりの 空き家ばかりのお屋敷群 、遠くに見えている 何も通らない道路 。ドキュメンタリィータッチでジーっと、だからロングショットで映し出される風景があって、その画面のどこかを走る赤いキャンピングカー、何もない山の間からフッと出て来たり、 目を凝らしていないと見えないと思っていると消えてしまったり、
​アカン、寝てまう! ​​
​​​​​​​​​​​​​ で、まあ、 ​​​とどのつまりに、 寒そうな海 にじゃぶじゃぶ入っていった がすることを見て、ようやく、
​ああ、そういうことか!​
​​​ と腑に落ちて、納得 ​​​​​​​​​​​​​​​​でした。
 いや、いや、この 監督 、この映画の 娘の描き方 もちょっとしたものですが、今後に期待しちゃいますね。 拍手! です。 この映画で、印象深いのは
​現代ロシアの社会の描き方​
​  ですね。 都市と辺境 男と女 子供と大人 、要素はたくさんあるのですが、なんだか、とても アンバランス で、そこがとても リアル なんですね。
 それから 映画のトーン ですね。画面のトーンじゃなくて、お話の筋立てですが、 暗さ としか受け取られかねない 展開 なのですが、最後にたどりついたところに 「希望」 というか、 未来への可能性 を暗示しているとボクは思いました。 拍手! です。

​​​​​​​​​​​​​監督・製作・脚本・編集 イリヤ・ポボロツキー

製作 イバン・ニチャエフ
撮影 ニコライ・ゼルドビッチ
音楽 ザーカス・テプラ
キャスト
マリア・ルキャノバ(娘)
ジェラ・チタバ(父)
エルダル・サフィカノフ(少年)
クセニヤ・クテポワ(観測所の女性)
2023年・119分・ロシア
英題「Grace」
2024・11・17・no148・元町映画館no266
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追記
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最終更新日  2024.11.22 01:45:29
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