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2004年12月20日
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カテゴリ: 小説
 月明かりが冴え冴えと輝いていた。
 明は凛太郎の腰を抱きしめた。
 そして、凛太郎のズボンのチャックをおろした。
「あ、明、何を……」
 ズボンから自分自身を引き出されながら、凛太郎は狼狽して尋ねた。
「訊かなくても分かるだろ? こうするんだよ」
 明は凛太郎の核心をやわらかく握った。そしてゆっくりとそれに口づける。
「やだっ、汚いよ。お風呂にも入ってないのに……」
「そんなのかまわねェよ。俺にとって、お前の体に汚い部分なんかないんだからさ。それより、俺にお前の気をたっぷり吸わせてくれよ。そのうち戦わなきゃいけないんだから」

 明がクスっと笑って、凛太郎の腰を押し戻し、よりいっそう舌の動きを早くする。
「あっ……」
 凛太郎はうめいた。出る、と思った。
 途端に、明が凛太郎から口を離した。
 光る唾液の糸を引いて、鬼の赤い唇が自分から離れていくのを凛太郎は息をはずませながら見つめた。射精感がゆっくりと引いていく。
「すごく残念、って表情してるな」
 いたずらっぽく微笑みながら、明は言った
「べ、べつにそんなこと……」
「ふうん」
 明は笑った。からかいがにじんだその笑い声に、凛太郎は唇をとがらせた。自分のことは何でもお見通しだ、という明の態度が気に入らなかった。
 凛太郎は明から離れようとした。

 今度は明は目を薄く開けていた。その流麗な切れ上がった双眸は、あだに凛太郎を見つめていた。
 この鬼は、自分が快楽におぼれていく様を逐一観察しようとしているのだ。それに気づいた凛太郎は、感じるまいと唇を噛みしめる。 だが、明の舌は容赦なく凛太郎を駆り立ててゆく。あらがい続ける凛太郎はふと、下方を見やった。
 すると凛太郎の股間に顔をうずめていた明は、唇を少し開いた。自分自身が明の舌になめまわされ、いらわれているのを凛太郎は目の当たりにした。その淫靡な光景に、凛太郎の口から思わず悲鳴がもれた。
「ああ……っ。んっ……」
 鬼は淫らなまなざしで凛太郎を犯していた。羞恥に頬を染めながら、凛太郎は目を閉じる。そうすればこの高ぶりから少しでも逃れられると考えたのだ。が、それは逆効果だった。視覚を封じたがために、触感がいっそう鋭敏になってしまった。口淫から生じる水っぽい音がよけい凛太郎を刺激した。逃れようにも、明は両手でしっかりと凛太郎を拘束している。

 吐精したくてもできないもどかしさに、凛太郎の目頭は熱くなっていた。
「なあ」
 口を離して、明がささやいた。
「どうしてほしい?」
 凛太郎を籠絡できる歓びで、そのまなざしは輝いていた。凛太郎はくやしさをにじませて言う。
「この……好き者ッ!」
「そうだよ、俺はスケベなの。なんたって、道祖神として祀られてたくらいなんだから。もしこんな俺が嫌なら、今すぐ俺に命じろよ。”明、こういうことをするのはやめてくれ”ってさ」
「……」
 凛太郎は言葉に詰まった。プライドに従えばそうしたいのはやまやまだが、躯が言うことを聞いてくれなかった。凛太郎のそこは痛いほど張りつめていた。
 それでも明の余裕たっぷりな笑いが気に食わなくて、凛太郎は深く呼吸してうずきをこらえた。
 淫靡に明は笑って、手に力を加えた。
「や、やめ……っ」
「やめていいのかよ? ほら、泣いてるぞ、お前のここ」
 明は凛太郎のしずくを舌でなめとった。 ひくっ、と凛太郎が喉を鳴らす。明はそれに誘われたように、口淫を再開した。
 ちゅっ、くちゅっ……という音が室内に響いた。
 明はもっとも感じる部分には触れずに、その周りだけを攻めていく。
「や、やだっ。も、だ……めっ」
 言葉とは裏腹に、無意識のうちに凛太郎は明の口内に腰を突き出していた。明はそれを嗤ったが、そんなことに気づく余裕は凛太郎にはもう残されていなかった。
「あ、明……」
「ん?」
 凛太郎に奉仕を続けながら、くぐもった声で明が応える。
「あっ、あの……っ」
「何だよ? はっきり言ってくれよ」
 またもや根元を圧迫しながら、明が問うた。わざとらしく眉を寄せて、困惑した表情を作っている。
「意地悪……っ!」
 凛太郎は明をなじった。愉悦と屈辱が入り交じった奇妙な快楽が自分の中に生じていることに、凛太郎は気づいていた。
「なあ、言ってくれよ。俺にイカせてくれってさ」
 微妙に手を動かしながら、少し沈んだ声で明は言った。
「いつも俺がお前を求めてばっかりじゃん。たまには、お前からも歩み寄ってほしいんだ。でないと俺、お前にちっとも好かれてないみたいで不安になるんだよ。なあ、そこんとこ分かってくれない? 凛太郎ちゃん?」
 凛太郎には明の言葉はほとんど耳に入っていなかった。音としては聞こえるが、意味を取るまでにはいたらない。凛太郎は目をきつく閉じたまま、悦楽と理性のせめぎあいに身を投じていた。
 だから、明がいつになく真摯な目で自分を見つめているのに気づかなかった。
 明は微笑しながら嘆息した。
 凛太郎のそこに深くくちづける。
「うっ……」
 凛太郎は放った。
 明の喉が卑猥に上下した。
 ベッドに座ったた姿勢のまま、明は凛太郎の体を膝の上に乗せた。汗まみれになった凛太郎の服を脱がせて、自らも裸になる。 ベッドに横たわった凛太郎は、ぼんやりと明の裸体に視線を落とした。
 鬼の巨大なものは、屹立していた。
 明は凛太郎の視線に気づいて、少し照れたように笑った。
「俺のここに来てくれよ、凛太郎」
 そう言って、明は凛太郎の体をひょい、と抱き上げた。凛太郎の膝を割って、自分の腰にまたがらせる。
「ほうら、抱っこだ」
 おどけたように明は言った。それから凛太郎の腰を押して、自分のものを突き刺していく。身が沈むたびに、凛太郎はうめいた。うめき声は徐々に深いものになっていく。明は満足気な笑みを浮かべて、凛太郎の耳たぶを甘噛みした。
 凛太郎は悲鳴をあげた。
 明は子供をあやすかのごとく、凛太郎の腰を支えて揺らした。初めての体位に、とまどった凛太郎は床に転げ落ちそうになった。
「しっかり俺につかまりな」
 明の声によこしまなものを感じながらも凛太郎は言われるとおりにした。明の首に手を回す。明とは大人と子供ほど身長差のある凛太郎は、明にすっぽりつつまれる体勢になった。
(なんだか僕、本当に明の子供みたいだ)
 明を受け入れながら、凛太郎は胸の内でごちた。
「凛太郎ちゃん、かわいいでちゅねえ」
 ご満悦な様子で、明は凛太郎にほおずりした。
 凛太郎はムッとして視線をそらした。カーテンが開きっぱなしの窓辺に目がいった凛太郎は、ふと気づいた。
「明、結界張ってるっ?」
「あ、忘れてた!」
 ふたたび腰を動かし始めながら、明がのんきな声をあげた。
「……って、っていうことはつまり、今までの僕たちの様子が外から丸見えに……。それに明、今、元の姿に戻ってるのを誰かに見られたんじゃ……」
「ま、かもしれねえな!」
 あっけらかんと明は言いはなって、指を鳴らした。青白い光が一瞬辺りに満ちて、結界が張られたことを証明した。
「大丈夫、大丈夫! この辺りにはほとんど家なんかないし、オヤジさんは晩酌やって熟睡してるし。誰も見てやしねえよ」
 カラカラと明は笑った。その間にもしっかり腰は律動を刻んでいる。
「そ、そんないいかげんな! 離してよ!
今夜は僕、もうそんな気分になれない!」
 わめく凛太郎の唇を、明はくちづけでふさいだ。
 凛太郎の腰を上下から、左右に揺する。
 さらに凛太郎の股間に手を伸ばして、そこに刺激をあたえた。
 明は唇を離した。
 凛太郎の口からは、抗議ではなく、あえぎ声が放たれていた。
 明は微苦笑した。
 すぐに気を取り直して、切れ上がった双眸を光らせながらささやく。
「ほら、そこ……こう動かして。もっとこすりあげて……な、いいだろ?」 
 凛太郎は明に導かれるまま、腰をうごめかした。いつしか明は自分から動くのをやめていた。凛太郎は甘くすすり泣きながら無心に明を求めていた。
「……まったく、体だけは素直なんだから、凛太郎ちゃんは。早く心の方も素直になって欲しいぜ。明くん、好き好きってさ」
 明は小さくぼやいた。
 だが、すぐに官能の波に飲み込まれて、凛太郎の躯に没頭し始めた。
 抱き合う二人には、自分たちをじっと見つめる目があることに気づいている余裕はなかった。

                   つづく


 予定変更して「神域」続き書きました。






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最終更新日  2004年12月20日 23時26分01秒
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