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2004年12月30日
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カテゴリ: 小説
 瞬時にして、あの赤い壁が教室を遮断したが、小石を水面に投げたように波紋ができた。
 凛太郎を横抱きにして、そこから明は教室の中に入った。すぐに赤い壁が皮膜をふたたび作る。
「清宮くん!」
 悲鳴に近い、喜びの声が聞こえた。ほのかが、明に抱きかかえられたままの凛太郎によろよろと駆け寄ってきた。ほのかは足を引きづっていた。
「あれ? 明くんは?」
「俺かい? 俺はここだよ」
 明に答えられて、ほのかはようやく緑色の髪をした鬼の存在に気づいたようだった。「お、鬼……? い、いったい、どうして……」
 明は凛太郎を床におろして、気絶しそうになったほのかの額を、鋭い爪でちょん、とつついた。ほのかが急に冷静な表情になった。
「今は説明なんてしてる場合じゃねえ。とりあえず、俺の術にかかっといてくれ。現状に適応する精神安定剤みたいなもんにな」 こんな急場しのぎでいいのだろうか。凛太郎は首をひねってから、ほのかの足に気づいた。

 凛太郎は訊ねた。頬を涙で濡らしながら、ほのかは答えた。懸命に冷静であろうとしている口調だった。
「私は大丈夫。それより、乃梨ちゃんが……」
 ほのかの訴えに、凛太郎と明は乃梨子の姿を探した。
 変わり果てた姿で、乃梨子は里江の背後に控えていた。その後ろにはその他大勢のクラスメイトたちがいる。
 みな、一様に胸元から青い血をしたたり落としていた。彼ら、彼女らの金色に輝く瞳が、明と凛太郎に注がれる。
「……きたない」
 乃梨子がぼう、っとした口調でつぶやいた。いつもの陽気で、ボーイッシュな乃梨子のおもかげはそこにはみじんもなかった。 凛太郎の胸は痛んだ。
(僕のせいで、中山さんがこんな目に……)「お前たちは、きたない。男同士で、人間と鬼で、あんなことをするなんて……」
 凛太郎はハッと息をのんだ。
 乃梨子は昨夜、凛太郎の部屋のそばに何かの事情があっていたのだろうか。そうとしか考えられない。
 昨夜、結界を張らずにうっかり明と交わってしまったことがこんな事態を生むとは思わなかった。気まずそうなほのかのまなざしを、凛太郎は感じた。

 悪びれずに、明が言った。
 うつろな表情のまま、乃梨子は黙った。「ああ言えば、こう言う。そのたくましい性格は、鬼の本性を現しても変わらないわね。そういうところが好きだったわ。明くん。いいえ、蒼薙」
 口に手をあてて笑いながら、里江が言った。
「へえ、鈴薙のヤツ、ずいぶん昔の俺の名前まで里江ちゃんに吹き込んだんだな」
 明は腰に手を当てて苦笑した。

 不敵に笑いながら、明は答えた。その間に、明は凛太郎とほのかを自分の背中の後ろに隠した。
「下がってろ。そろそろ攻撃が来る」
 二人をかばうようにして、明はささやいた。
「そう? いい気持ちよ。だって私、もう一人じゃないんだもの。この子を通して、鈴薙さまやみんなとつながっていられるから」
 里江は大切そうに、胸元の勾玉に手を触れた。
(あれが僕の子供なのか……!)
 凛太郎は拳を握りしめた。ぬらり、となまなましく光るそれは、不気味だった。けれどどこかいとおしくもある。
(僕が早く呪をかけて、そんなことをさせないであげるからね!)
 凛太郎はそう胸に誓った。
 里江は凛太郎の強いまなざしに気づいたようだった。
「何ジロジロ見てるのよ? みんな、凛太郎を生け捕りにして! この際、明ーーーーいいえ、蒼薙も一緒にやっつけちゃってもかまわないわ」
 里江の命令に、クラスメイトたちはわらわらと凛太郎に群がってきた。
「きゃあああ!」
 ほのかが悲鳴をあげた。
「大丈夫だよ、藤崎さん」
 凛太郎に肩を抱かれて、ほのかはこの非常事態だというのに頬を染めた。
「俺の凛太郎ちゃんを、鈴薙のところになんか連れていかせるかっつうの!」
 明はそう叫んで、凛太郎に襲いかかろうとした男子生徒を投げ飛ばした。続々、里江の配下たちは襲いかかってくるが、明は苦もなく彼らを撃退していく。そのうち乃梨子がこちらに襲撃してきた。
乃梨子の動作が急にぎこちなくなった。
 乃梨子の目に、不意に正気が宿った。
「明くん、凛太郎くん、ほのか! 早く逃げて! 私はもうどうなってもいいから……」
 だが、それだけ言った途端、乃梨子は感電したかのように「絶叫した。
「きゃあああ!」
 青い血がぼとぼとと乃梨子の胸元から落ちる。
「今さら逃れようとしても、もう遅いわ!」
 乃梨子に向けて、人差し指を差し出した里江が哄笑した。
「くっそォ……」
 明は里江に飛びかかろうとした。
「明、やめろ!」
 凛太郎が叫んだ。明の動きが、ピタっと止まる。
「なんでだよ、凛太郎!」
 乃梨子に腕をかみつかれて、顔をしかめながら明が不平の声をあげた。
「だって、杉原さんや中山さんは、鈴薙に操られてるだけなんだろ? だったら、この人たちを傷つけたらいけないよ」
 明にかばわれながら、凛太郎は必死に言いつのった。
 ほのかは泣きそうになりながら、「乃梨ちゃん……」とつぶやいている。
「それもそうだけどよ……だったら、どうしろって言うんだよっ? このままじゃ俺たち、やられちまうぜ!」
 凛太郎とほのかを身を挺して守りながら明は叫んだ。
 里江が耳障りな笑い声を上げる。
(どうすればいいんだ……!)
 凛太郎は唇を噛んだ。
「明くんっ?」
 ほのかが叫んだ。明が、腕を生徒に噛みつかれたのだ。明の血を、その生徒はうまそうに舌でなめとった。
 苦痛に顔をゆがめる明に、凛太郎はなすすべもなかった。
 慣れ親しんだ学舎は、地獄の密室と化している。
 凛太郎が絶望に背筋を凍らした時だった。 一陣の風が、凛太郎の髪を揺らした。
 その風の正体は、白い一枚の札だった。 札は、風を切って里江の額にはりついた。「うぎゃあああっ!」
 感電したかのように、里江の体はぶるぶると痙攣した。
 里江の配下たちが、里江の額からその札をはずそうと一斉に駆け寄った。
 一陣の影が舞い降りて、彼らをなぎ倒した。
「巫子さま。ご無事ですか?」
 敵を倒してから、その人物は凛太郎に歩み寄った。 


                    つづく





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最終更新日  2004年12月30日 23時25分48秒
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