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2008年09月14日
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テーマ: アニメ!!(3881)
カテゴリ: アニメ
"お客さんが同時代を作品に感じてくれなければ、観てくれない”


 ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫の言葉だ。

 その点、この「コードギアス」という作品は見事に今私たちが生きている時代を
作品に取り込んでいる。

 ルルーシュとシュナイゼル、二人とも敵対しているけれど互いに理想は確固として
持っている。
 その理想自体、よく似ている。

 二人が望むものは「平和」だ。

 それなのにそれを手に入れるために、多くの犠牲者たちの血を流してしまう。



 今回、ルルーシュにいたっては味方まで殺してしまう。

 一番ハッとしたのは藤堂がルルーシュによってギアスをかけられたブリタニア軍の
兵士たちに

「哀れなものよ。ギアスなどというものに踊らされて!」

と叫びながら撃墜するシーンだった。

 藤堂は信念に生きている人だから、ギアスなどというものは卑劣そのものな
能力と唾棄しているのだろう。

 けれど藤堂の信念がギアスに比べて崇高かどうかは別の問題だ。
 実際、彼は信念のために行動していたはずなのに、日本軍、黒の騎士団、
そしてシュナイゼルのもととせわしなく立場を変えている。


一筋縄で通ると思っている人間でないことは明らかだ。

 自分でもそういう矛盾を抱えているのを自覚しているから、長く付き合っていた恋人に
(おそらく)プロポーズしたのだろう。


 藤堂の場合は愛する女性がいるからまだ救いがある。



 スザクは「俺は彼の剣になるから、君は盾になってくれ」とc.cに命じた。
 君はルルーシュの共犯者なんだろう、と。
 そこで彼女は「共犯者か……」と寂しげな微笑みを浮かべる。

 きっと彼女はもう自分がルルーシュの共犯者でたりえないことに気づいているんだろう。
 それほどまでにルルーシュは孤独な王の座についてしまった。
 C.C.も、そしてルルーシュ自身もそのことに気づいているはずだ。

 今回、おそらく二人はベッドをともにしたと私は邪推する。

 けれど、あくまでそれは愛の交歓ではなく、C.Cがルルーシュに一時の安らぎを
与えただけ。

 「コードギアス」の世界では、少年がセックスを知ることが必ずしも成熟した
大人になり、世の中を平和に渡っていけるわけではないのだ。
 これは私たちが生きる世界も同じことだ。

 愛は地球を「すべて」救うわけではない。

 恋は人を「完全に」変えられるわけではない。

 二人がベッドの上で背中合わせに座っていたのはそれを象徴していたように思える。
 いっしょにいるからといって、見ているものが同じとは限らないのだ。

 C.Cはその寂しさに耐えられなくて、ルルーシュが皇帝になってからずっと
ぬいぐるみを抱きしめているのだろう。
 彼女が「R2」になっていてから着ていた黒のドレスから、ふたたび拘束服に
着替えたのは哀しい意思表示だと思う。

「自分は世界を変えられる魔女などではなく、あくまで特殊な能力を持っているだけの
一人の女でしかない」と。


 ナナリーがスィッチを押してしまったシーンといい、どうにもやるせない回だった。

 けれどもこんな重い話を見るのがしんどい、と思う自分がいると同時に、
現代社会が抱える厄介な問題をアニメに取り入れてしまったこの作品がどう結末を
向かえるのが楽しみで仕方がない自分がいるのだった。











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最終更新日  2008年09月15日 02時23分10秒
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