I歯科医院の高楊枝通信。

I歯科医院の高楊枝通信。

2024/07/04
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カテゴリ: 外傷性咬合
40代男性、右下7、アンキローシス(骨性癒着)、吸収

前回のつづきで

https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202407030000/

次回はこの方のトラブルに関する記事を書いてみたい。と言ったのだが、考察を進めてみるとかなり説明が難しいく一回では無理ということがわかったので、数回に分けて記事をアップすることにした。

今日は右下7のトラブルが発生する2年前(現在から4年前)に​ 別件 ​(この時も他院で外傷性歯根破折で抜くしかないと言われた左上5)で来院された時の画像からアップしてみる。

まず当時の他院でのレントゲン写真の写メからだ。
右下7には2年後に問題となるような異常所見は認められないが、ヘミセクションと言って後ろ側半分の歯根を抜歯している。歯根破折だった可能性は高いが今となってはよくわからない。
ただ咬合力を受け止める能力は半分になっていると言って良い。

右上6の神経は取られているようなので、2次象牙質生成はできず象牙細管のリンパ液による自浄作用もなく自己修復力は全くないので徐々に劣化し突然破折崩壊する応力腐食割れを起こす危険性は大きい。



様々な問題を抱えているということはよくわかる画像だ。



問題の歯は右下7なのだが、骨隆起がすごい。
長年続く過大な咬合力で下顎骨が骨折することを防ぐために鍛えられ増殖したのだろう。

また右下5は外側にハミ出ているので、噛み合わせの上顎4と共同で強い咬合力を受け止めるには力不足だ。

鏡像なので左右逆に見える。


右上5欠損で一本義歯になっておりこれも強い咬合力を受け止めるには心許ない。
右上6と思われる歯だけで右下7と強く咬合している噛み合わせだ。
これだけ見てもどちらかもしくは両方の歯に破折などのトラブルが発生する危険性があるということは容易に想像できる。もしかしたら欠損している右上5も右上7も外傷性咬合によるトラブルで抜歯になったのかもしれないが、今となっては記録がないのでなんとも言えない。ただ可能性は大きいと言える。



正面から見ると右側の咬合力をほとんど1本で支えている右上6の骨隆起がすごい。反対側と比べてみても歯槽骨の異常増殖が認められる。
右下7に骨隆起が認められないのは上顎骨の方が海綿骨で柔らかいので補強のために増殖したと考えられる。下顎の方は緻密骨なので元々強度は大きいので増殖は必要なかったのかもしれない。

多分次回トラブルが起こるとすれば多大な咬合力を支える右上6だろう。今までなんともなかったのが不思議なくらいだ。






これも鏡像。
ほとんど右上6と右下7だけで咬合力を支えていることがわかるだろう。どちらが壊れてもおかしくない。


前医も咬合性外傷を心配していたのだろう。ナイトガードをお持ちだった。


つづく





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Last updated  2024/07/11 04:43:10 PM
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