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“Bye Bye Blackbird”by Ringo Starr (1970) Original by Gene Austin (1926) 2002年の7月16日は、Peak District の Farm House に泊まっていた。 二度目のイギリス訪問はまずロンドンの友人宅に泊めてもらい、そこからレンタカーで Peak District を目指した。 インフォメーション・オフィスで紹介してもらったファーム・ハウスがとても気に入って、宿泊した。 野ウサギがたくさんいるような所だったが、明け方、窓から外を見ていたら、ブラックバードが何羽もいた。やはりこの鳥はイギリスに似合うなあ。 久しぶりに見たブラックバード。鳥好きの息子にすぐに教えてやった。そして飽きもせず二人でずっと、美しい声でさえずりながらちょんちょん飛び回るその姿を眺めていた。初めてビッグマン君のフラットから見た時のことを思い出しながらね。 この気に入りの Farm House に連泊した後、ビッグマン君一家の住むグロスターシャーに向かったのだった。 ********************* "Bye Bye Blackbird" を初めてちゃんと聴いたのは、リンゴスターのファーストアルバム「センチメンタルジャーニー」だった。 スタンダードナンバーばかり12曲集めたこのアルバムは贅沢にも、一人一曲、12人のアレンジャーを使って作り上げ、リンゴはヴォーカルに徹するというのが話題になった。 金のない学生時代だったけれど、これは発売後まもなく、つい買ってしまった。思わず手が出たのは、やはり豪華なアレンジヤーの名前につられたからだった。裏ジャケの曲目の下のArranged byに続いて並んだ錚々たる編曲者の名前を見れば、十分納得していただけると思う。 この "Bye Bye Blackbird" は、あのビージーズのモーリス・ギブがアレンジを務めていて、これがとても良い。このアルバムのベスト3に入れていいと思う。 イントロのバンジョーだけの演奏に歌が入り、ベース、ドラムが加わり、ピアノが入る。良くあるパターンとは言え、とても心地よいアレンジぶりが曲の良さを引き立たせていると思う。 この曲はアメリカのスタンダード・ナンバーなので、ここに出てくるブラックバードは「クロウタドリ」ではなく、「ムクドリモドキ」だ。・・・とは言っても、クロウタドリと違って見たことがないので、どういう鳥か分からない。 ムクドリはうちの庭にも良く来るし、大量に発生することがあって、おなじみさんだが、モドキが付くとどう違うんだろう。あとで Google だな、これは。 ********************* 昨日、義母が息を引き取りました。 20年前、英国滞在中に単身アエロフロートに乗って娘に会いに来たときは、さすがに驚いたけれど、あの行動力が、その後の大病も克服した源だったんだろうと、納得させられる。 どうぞ安らかに。
2008.07.16
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“Blackbird”by the Beatles (1968) ウィンブルドンが佳境に入ってきましたねえ。シャラポワさんもイバノビッチさんも早々負けてしまって、バイディソバさんもベスト4に残れなかった。残念。 ウィンブルドンと言えば、ロンドン・・・。21年前、ちょうどウィンブルドンの少しあとにロンドンに行った。当時は当たり前の南回り。香港乗り換えのドバイ給油で、22時間かかった。 一泊付きの航空チケットだったので、初日はノッティングヒル・ゲイトの安宿に泊まり、翌日からは日本で知り合ったイギリス人に紹介してもらったビッグマン君(仮名)のところに世話になった。 イギリスにおける生活体験の第一歩ということもあって、テムズ河畔のパットニーにあったビッグマン君のフラットでの思い出のひとつひとつが、今でも心に残る。 赤煉瓦造りの建物は、日本に持ってくれば、そのまま古い洋館として文化財にでもなりそうだが、これがごく一般的なイギリスの家屋だから驚いてしまう。 明らかに何度もペンキを塗り直した扉を開けると、まず乳製品のにおいがする。これは英国滞在中あちこちでその後何度も体験するのだが、夕食の時その理由が判明した。 イギリス人はバターを冷蔵庫に入れないのだ。 後に、誰が教えてくれたか忘れたが、「パンに塗るには冷蔵庫に入れない方が良いだろう」ということだった。最近では真夏には30度を超えるようなことも良くあるようだが、その夏イギリスでは半袖になったことは一度もなかったから、涼しい気候ならではの習慣だと思ったものだった。 当時まだスモーカーだった僕のために、ノンスモーカーのビッグマン君は、台所の隅の少し出窓のようになった場所を喫煙コーナーに提供してくれた。 ロンドン2日目。窓を開けて目に入ってくる景色のどれもが新鮮で、遙か異国の地で新たな生活が始まる実感が湧いてくる。その時あの窓辺で吸ったショートピースの香りは、全くたばこを吸わなくなった今も懐かしくよみがえる。 7月の長い日がようやく暮れた頃、再び喫煙コーナーでたばこを吹かしていると、ふと、鳥の鳴き声がした。 夜にこんなに鳴くのは近所で飼われている鳥だろうと思ったが、それにしてもきれいな声でよくさえずる鳥だなあと感心して、声のする階下の方を見下ろすと、地面で何か動いた。目を凝らしてよく見ると、小型のカラスみたいな鳥が・・・。 "Blackbird.(ブラックバードだよ)" ビッグマン君がいつの間にか横に来て、一緒に窓の下を見ながら教えてくれた。 えっ!ブラックバード。そうか!これがあのホワイトアルバムのブラックバードなんだ!頭の中であの歌詞とメロディーが・・・ ♪ Blackbird singing in the dead of night... 「♪ 真夜中に鳴くブラックバード...」って、これのことだったんだ。 "Blackbird(ブラックバード)=クロウタドリ" の実物を知らなかった僕は、この時すべての謎が解けたようなすっきりした気分を味わいながら床についた。 あの夜僕に「ブラックバード」を教えてくれたビッグマン君は、僕らの英国滞在中にいろいろ力になってくれた。 その後、日本にも来て、何年か英語教師をしたりしていた時には、一緒に遊んだりしたが、僕らと同じように渡英してあのパットニーのフラットで世話になった美人女性(K子さん)と結婚し、息子が二人できたのを期に、ビッグマン・ペアレンツの住むグロスターシャーの田舎に家を買い、移り住んだ。 息子と3人で2度目の英国行きを敢行した時も、その家に厄介になりずいぶん世話になった。いつか日本にまた来るようなことがあったら、恩返しをしなくてはと思っていた。 最初 K子さんから久しぶりに手紙を貰った時、ひょっとしたら訃報かなと、悪い予感がした。ビッグマン・ペアレンツもそろそろそのような年齢になりつつあるので、覚悟しながら封を開けて、思わず凍り付いた。 訃報という悪い予感が当たってしまった。しかし、まさかあのビッグマン君の訃報だなんて、誰が想像できたでしょう。 正義感が強く、サイクリストで、教養もあり、何よりも家族を愛し、英国の美しい田舎町で幸せな家庭を築いていた彼が、突然いなくなった。 何も恩返しできていないのに、どうしたら良いんだろう。 神様は本当に残酷だ。僕は一生、ビッグマン君に何もお礼ができなかったという悔恨の念を携えて生きて行かなくてはならないのです。 いくら気丈でしっかり者の K子さんでも、さすがに辛い思いをしているだろう。子供達は元気にしているだろうか。 やっぱりさんざん世話になった、ビッグマン・ペアレンツもどうなさっているか、心配だ。 子供達と海岸に行って化石を取ろうとしたのか、崖から転落したということだが、手紙を読み終えた僕の頭には、不謹慎にも "Blackbird" のフレーズが、あのとき一緒に聴いたクロウタドリのホントに歌うような鳴き声と共に、鳴り続けた。 ♪ You were only waiting this moment to be free... ビッグマン君、君は十分自由だったではないか。次に会うのがあの世だなんて、ひどい話だなあ。 地下鉄の駅を降りてパットニー・ブリッジを渡り、あのフラットまで連れて行ってくれたロンドン2日目が、つい昨日のことのようです。とても21年たったとは思えませんね。 どうぞ安らかに!
2008.07.04
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