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社会現象化している「日曜劇場『半沢直樹』」も、今日がいよいよ最終回。 そのタイミングに合わせるように、先日本著が発売されました。 『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』 『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』に続くシリーズ5作目。 ただし、時系列でいうと『オレたちバブル入行組』よりも前のお話になります。 ***東京中央銀行大阪西支店で融資課長を務める半沢直樹は、部下の中西と共に美術系出版社・仙波工藝社への融資を進めていた。しかし、同社のM&Aを強引に推し進めようとする支店長・浅野らが執拗に妨害。その売却先は、スター経営者・田沼時矢を社長とする大手IT企業ジャッカルだった。田沼は絵画コレクターとしても世界に知られる存在であり、仁科譲の作品については圧倒的なコレクションを誇っていた。来春オープンする田沼美術館では、その仁科作品が大きな目玉となる。仙波工藝社社長室には、仁科の「アルルカンとピエロ」のリトグラフがかかっていた。このM&Aに不信を抱いた半沢は、田沼が仙波工藝社を手に入れようとする理由を探る。そして、仙波工藝社の本社ビルが、かつて堂島商店の本社ビルだったこと、その堂島商店で、若き日の仁科と佐伯陽彦という若者が勤務していたこと、さらに、仙波工藝社の本社ビルの壁に落書きが残されているという事実に辿り着く。 ***血気あふれる半沢直樹の姿は、まだまだ若々しいものですが、他の銀行業務を差し置いて、ここまで探偵まがいの行動をとれるものかとも思います。また、仙波友之社長の語る「ファミリー・ヒストリー」(p.62~)の大阪弁は、やはり中途半端で不自然、違和感満載……。池井戸さんは岐阜県生まれやから、しょうがないとも思うけど、愛知県生まれの水野敬也さんの方は、読んでて全然違和感ないからなぁ……。作品として世に出す前に、誰かがチェックを入れてるはずやけど、なんでこうなるんかな?
2020.09.27
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準惑星天涯上空での小惑星要塞攻略失敗後からほぼ1か月。 香椎方面艦隊司令長官と火伏兵站監は、責任を取る形で辞職。 香椎は予備役編入、火伏は軍務局の地方出先機関の閑職に追いやられていた。 火伏に代わり兵站監となったは吉住二三四大佐は、 壱岐方面艦隊司令長官・水上と共に 壱岐星系防衛軍第3管区司令官・セリーヌ迫水との交渉に臨み、 壱岐星系防衛軍から方面艦隊に編入する戦力についての合意に成功する。その頃、壱岐星系のYHH(安久ホールディングス)では、アーロンの自死により統合政府筆頭執政官・タオ迫水の妻でありアーロンの長女であるクーリア迫水とアーロンの長男・ダニエルとが、その筆頭株主と総帥の座を争う事態になっていた。火伏の妻・朽綱八重は、20数年ぶりに実の父である出雲星系の南雲ホールディングス(NGH)総帥・南雲元に会う。そして、母との離婚後に南雲が自分たちのため積み立てていた養育費を受け取ると、ダニエルに接近していくのだった。一方、特設武装偵察隊隊長アンドレアは、水上の命により、20人の志願兵と共に天涯で威力偵察を行い、次々に新たなガイナス情報を入手。軌道エレベーターから氷宇宙船を経ての脱出にも成功する。その支援に当たっていた水上率いる艦隊もガイナス艦隊を悉く撃破。独立混成降下猟兵第1連隊シャロン連隊長は、新たに開発された原子熱線砲を用いてガイナス艦に対抗し、軌道エレベーターや小惑星要塞を切断。そして、ガイナスの地下都市を占領すべく、天涯に降り立ったのだった。 ***さて、今回私が特に印象に残ったのは、次の部分です。 「俺がいなけりゃ機能しないようなチームじゃ失敗だ。 そんなチームしか育てられなかったとしたら、それこそ指揮官失格だ。」(p.54)これは、兵站監を辞職した火伏が、そのことを非難する水上に言った言葉。私がずっと目指してきたことと、火伏が全く同じことを述べているので驚き。「自分がいなくても回るチームを作る」これが、私がずっと目指し、人知れず掲げ続けているテーマです。 とかく組織では大きなトラブルが起きてから、 それを解決できる人間が有能と評価されがちだ。 しかし、真に有能な人間は、全体に目配りし、トラブルの兆候を発見し、 それが問題となる前に対処する。(p.77)これは、吉住の仕事ぶりについて述べた部分。「不断のリスクマネジメント」が必要であり、そのために「関係各所との連携」や「情報収集と共有」を図る。もちろん、全ては組織的にチームで対応。 「あなたが壱岐で変えようとしていたのはこれなのね」(p.211)これは、有料放送メディアから流れる映像を見て、八重が呟いた言葉。この作品の大きなのテーマの一つのようですね。
2020.09.26
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『夢をかなえるゾウ』から始まって、 『夢をかなえるゾウ ガネーシャと貧乏神』、 『夢をかなえるゾウ ブラックガネーシャの教え』、 そして、本著『夢をかなえるゾウ ガネーシャと死神』。 今回は「死」がテーマだけに、これまでの作品と比べると重い。 ガネーシャは、いつも通りの振る舞いなんだけれど、何せ、主人公が重い。 そりゃ、そうだ。 だって、いきなり余命3か月を突きつけられたばかりなのですから。読み手の精神が安定していないと、本著を読み進めることはそう簡単ではありません。私も、これまでの3冊は、どれもこれもアッという間に読了した記憶がありますが、今回はおよそ2か月に渡って、本著は机の上に乗り続けていたと思います。手を伸ばしたものの、少し読んでは手が止まり、そのまま放置……の繰り返し。その間、手術入院したり、その後も、検査結果が分かるまで、しばらくかかったりと色々ありました。お陰様で手術は成功し、その後の経過もまずは良好。検査結果も良いものだったので気持ちも安定し、こうして読了まで漕ぎ着けたわけです。 ***さて、本著の中で、特に私の心に残ったのは、次のような箇所でした。 でも、『働く』の語源が『傍を楽にする』て言われるように、 傍にいる人の苦労が分かって感謝できるようになれば、 世の中の人らの苦労を減らせるサービスも生み出せるようになるんやで(p.205)これは、本当に「へぇ~っ!!」でした。確かに、誰かが「働く」ことによって、「傍を楽にする」ことが出来ますよね。 判断に迷うちゅうことは、 自分の本心と、周囲からの期待が合うてへん場合がほとんどやねん。 そんで、自分がこれまで周囲の人の気持ち大切にしてきたんなら、 違う方を選択する勇気も持たなあかん。 その両方を経験して初めて、 自分とってほんまに大事なもんが何か分かるんやからな。(p.211)自分のやりたいことを優先する。これも、そうすることが難しい場面・状況の方が多いものだと思いますが、やはり、周囲に負担や迷惑をかけてでも、自分の気持ちや思いを優先すべき時というのはあるのだと思います。 ある地域で働くタクシー運転手たちにこんな質問をした。 「通常は30分で行ける距離を大急ぎで走った場合、何分短縮できるか?」 ほとんどの運転手たちが「5分から10分短縮できる」と答えた。 しかし、急いだ運転と、適切な車間距離を取った運転をしてもらい 両者の時間を比べると、平均して「2分45秒」の違いしかなかった。 人間は、車を急がせれば「時間を短縮できる」という錯覚を起こすのだ。 結果、短縮できる時間はほとんどなく、 事故率だけが大幅に上がることになる。(p.214)これは、私も同じことを、良く知る身近なプロのタクシードライバーから言われたことがあります。「急いで運転しても、5分も変わらんよ。急ぐなら、5分早く出発したらいい」と。焦っても、逆にトラブルが生じれば、余計に時間がかかることは目に見えています。 ただ、より良い状態を目指し続けるちゅうことは、 同時に、悪いとされる状態も、より悪く感じられるようになってまうねんな(中略) 「死を憎しみ、遠ざけようとすればするほど、死の恐怖は高まっていく」(中略) 頑張ることが「良い」とされればされるほど、頑張らへんことは「悪い」ことになる。 若さを保つことが「良い」とされればされるほど、 老いることは「悪い」ことになる。 夢をかなえることが「良い」とされればされるほど、 夢をかなえてへんことは「悪い」ことになる。 人間の歴史が始まって以来、今ほど、個々の人間が夢をかなえてへんことが 「悪い」とされる時代はあれへんかったで(中略) 今、世の中の人らが感じてる苦しみの多くはな、 「夢」が生み出してんねんで。(p.303)これは、本著の肝になる部分ですね。まさにその通り、深イです。 他人に完璧を求めれば求めるほど、自分が完璧でないことに苦しめられる。 逆に、他人に完璧さを求めへんようになれば、 完璧じゃない自分を許せるようになる。 ありのままの自分が肯定できるようになり、 自分を苦しめていた偏見が消えていく。つまり-(中略) 完璧じゃない状態を許せることが、本当の意味で完璧なんやで。(p.331) これも、まさにその通りですね。でも、他人には厳しいけれど、自分には甘い人も……見かけますよね。
2020.09.26
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副題は「歴史・人・旅に学ぶ生き方」。 著者は、2006年にライフネット生命保険株式会社を設立し、 2018年からは立命館大学アジア太平洋大学学長を務める出口治明さん。 1948年のお生まれなので、現在71歳か72歳のはず。 本のタイトルや副題から「還暦後の過ごし方指南書」をイメージしましたが、 本著に記されているのは、そういうジャンルのものとは全く別物でした。 還暦後、個々人が日々をどのように過ごしていくかに焦点を当てたものではなく、 日本の社会全体や経済活動の在り様、そしてそこに生きる人々について考察した内容。 日本経済の低迷は、新たな産業構造の牽引役になれるユニコーンが なかなか生まれないところに根本的な原因があります。 学者によれば、ユニコーンを生むキーワードは、 女性・ダイバーシティ・高学歴の3つだそうです。(p.39)著者は、このような人材が集い、育成される場が必要であるとし、それをAPU(立命館大学アジア太平洋大学)で取り組んでいると述べています。 世界のトップ企業たるGAFAやユニコーンでは、 自分の頭で考え、新しいアイディアを創造することが大切な 「頭を使う仕事」が中心です。 世界ではとっくの昔にパラダイムシフトしているのに、 日本だけが製造業の工場モデルに固執し続ければ、 競争力を失い世界に置いて行かれるのは当然です。(p.106)このような変化の中で、還暦後も「人・本・旅」による自己投資を行い、これまでの蓄積に頼らず、新しい物事を勉強し、チャレンジしていくことが大切。 動物の自立は自分で食い扶持を得ることなので、 だいたい20歳ぐらいまでを子供とすると、大人としての人生は80年あります。 そう考えると20歳からスタートして半分の40年が経過した60歳は、 ちょうど人生のど真ん中。 人生100年時代の60歳は折り返し地点と位置付けられます。 「60歳にになったからそろそろ人生も終わりに近い」と思っている人は、 定年制という歪んだ考えに毒されているのです。(p.53)まだまだ人生は長い。健康寿命を延ばすためにも働ける限りは働き続け、新しい世の中に置いて行かれることがないよう自身をアップデートしながら、好きなことを、やれることをやり続けましょう。
2020.09.26
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前巻の最後、調査兵団とマーレ陸軍エルディア人戦士隊が手を組んで、 エレンたちと争う展開になりました。 今巻は「地鳴らし」を阻止すべく、調査兵団とマーレ陸軍が言葉を交わし、 これまでのわだかまりをときながら歩み寄っていく姿が描かれています。 イェーガー派に占拠された港に辿り着いた一行は、 アルミンたちがフロックたちを欺き、飛行艇を奪回しようとします。 しかし、それはあっさりと見破られ、かつての仲間同士が殺し合うことに。 激闘の末、一行は船で飛行艇を牽引したまま出港することに成功したのでした。 そして、とうとう「地鳴らし」が人類を襲います。世界連合艦隊の力をもってしても、それを食い止めることは出来ませんでした。「世界を滅ぼす すべての敵を この世から 一匹残らず 駆逐する」エレンの真の狙いは、本当にこの言葉通りなのでしょうか?今巻は、お話にそれほど大きな進展はありませんでした。次巻は、2021年1月8日(金)発売予定です。
2020.09.13
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芥川賞を受賞した2作品を読むため購入。 『破局』を先に読みましたが、作者の若々しさを感じると共に、 「受賞者インタビュー」を読んで伝わってきた作者自身の個性や人格が、 作品の主人公の中にも、しっかりと反映されていると思いました。 続いて『朱里の馬』を読みましたが、 こちらは、作者がこれまでに積み重ねてきた経験というものを感じると共に、 スタートからグイグイとお話の中に引き込まれていきました。 後半は、ちょっと失速したというか、私には難解な結末でしたが。2作を読んで感じたのは、私が読書する際に好ましいと感じる趣向と芥川賞に選ばれる作品の傾向は、やはりあまり馴染まないなということ。これは、芥川賞についてのみ言えることではなく、他の賞についても同様。受賞は、作家さんの名前や作品を、多くの人たちに知ってもらう契機にすぎません。さて、本著を読んで最も印象に残ったのは、藤原正彦さんの「ファンレターへの回答(古風堂々・16)」です。日本が国際連盟規約に人種差別撤廃を入れるよう提案した際の欧米諸国の反応やウィルソン米大統領の行動の根本は、未だ変わっていません。
2020.09.13
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PHP10月増刊号の特別保存版。 先日、手術・入院した際、病院の売店で購入した一冊。 著名人に影響を与えた”言葉”の数々を、 「前を向いていこう!」「弱い心に打ち克つ!」 そして「気楽に生きてみる」の3つに分類し、紹介してくれています。 *** 「生きるんだ、お前は親ではないか」(p.58)これは、藤原ていさんが、敗戦の1年後、3人の幼児を連れて北朝鮮を放浪していた際、38度線突破を試みるも力尽き、草の中にころがっていたところを、北朝鮮の兵士3人が取り囲み、ていさんの肩を殴り、発した言葉。兵士たちは「オレ達が助けてやる。泣くな」と、3人の子供を背負い、ていさんの手を引いて、米軍陣地まで導いてくれたという。これが、北朝鮮の地で、北朝鮮の兵士たちが示した行動。「人」そして「生きる」ということを、強く感じさせてくれるエピソード。他にも、川柳作家でエッセイストの時実新子さんが、祖母から聞いた言葉である「太郎を呼べば太郎がくる」(p.88)や、「克己 己に克たざるものは 他に克つことはできない」(p.94)に添えられた大津赤十字病院元名誉委員長・藤田仁さんのp.95の文章、医師・坪井栄孝さんの「ならぬことは ならぬものです」(p.104)という、會津藩校日新館の「什の掟」といわれたものの言葉、作家・立松和平さんの座右の銘「流れる水は先を争わず」(p.162)等が、私としては、とても印象に残りました。
2020.09.03
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