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久しぶりの猫麻呂ポイント5つ星なのである。この作品、ピアノ・トリオとしても楽しめるが、一応はフリー・ジャズなのだ。スタンダードを演奏しているものの、全く手垢のついた感じがしない。それに、不思議なことに、音を聴いていると演奏している様子が何となくイメージされるのだ。しかも、底抜けに明るい演奏でもある。3人のうち、猫麻呂が知っているのはハン・ベニンクだけだった。(あぁ、情けない。)エルンスト・グレルムはバス・ジャケの作品しかしらないし、ミケル・ボルストラップは本当に初めて知ることになった。しかし、このボルストラップが何とも猫麻呂好みのピアノだったりするのだ。ジャズ以外の引き出しからいろんなおもちゃを出してきてくれる。それに、何よりもヨーロパ人ピアニストなのに明るいのが嬉しい。同じオランダ人ピアニストのカーステン・ダールにも同じ雰囲気を感じたが、明るくマニアックにやってくれるタイプが好きなのだ。オランダ系明るいジャズといえば、ハン・ベニンク大先生だろう。このオジサン、生で見たときは、頭にハチマキして、床から壁からありとあらゆるものを叩いていた。(さすがに客の頭は叩いていなかったが。)極めつけは、スティックを口にくわえて、そのスティックを叩きながら口の形で音を変えるというスゴいテクニックだ。この時は、観客からの驚きと笑いで大変なことになっていた。フリー系なのに強烈なスイング感があって、このオジサンがいるだけで場が和み、何故か音楽の深みが増してしまうのである。何とも不思議なオジサンなのだ。この作品でも、ハン・ベニンクが参加しているだけでボルストラップは相当影響を受けていることだろう。とにかく、全員が面白くなってしまうのだ。あのエリック・ドルフィーも影響を受けただろうか?猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Han Bennink - Michiel Borstlap - Ernst Glerum / 3 1. Round Midnight 2. Huub 3. Erroll 4. Take The A-Train 5. Masquelero 6. I Love You So Much It Hurts 7. Blues on the Corner 8. BBGHan Bennink(ds), Michiel Borstlap(p), Ernst Glerum(b)1-6:1997年5月1日、7:2003年5月31日、8:1997年10月17日
2008年05月31日
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アイドリース・シュリーマンにリーダー作があったこと自体、実は猫麻呂も最近まで知らなかった。「いつでも・どこでも・誰とでも」のポリシーでセッションからセッションへと渡り歩く「セッション系渡り鳥」のシュリーマンが、自らリーダーとなって、選曲にメンバー選定にギャラの配分まで考えるなんて、とても想像できないのである。シュリーマンといえば、セッションでリーダーから「ハイ、ここの2コーラスで景気良く頼んますネ」と言われて、与えられたスペースでバップフレーズをブチまけるための専門職だったはず。しかも、いつでも全力投球のハイテンションでブリブリ吹きまくるから、良くも悪くも大味で単調な感じとなる。この大味さがツボにはまった時の感じが猫麻呂は大好きだったのだが、ワン・ホーン作品となるとそうは行かない。あのテこのテで聴かせどころを作らなきゃならないし、微妙な陰影やら色気やらも出さなきゃいけない。そうだ、シュリーマンの演奏でこれまで感じなかったのは「色気」なのだ。さて、そんな「色気」とは対極にあるようなシュリーマンにワン・ホーン作品ができるのだろうか、という点が本作品の聴きどころである。毎度の話となるが、トランペットでワン・ホーンというのはとにかく大変なのだ。ブリブリ吹けばうるさいし、マッタリ吹けば退屈となる。だから、ラッパのワン・ホーンは選曲の良さで勝負するのだ。その点、この作品ではよく考えられている1曲目にアップテンポのブルースを持ってくるが、リハモされて小洒落た感じに仕上げてあるので、オープニングとしては心地よい。2曲目はデューク・ジョーダンの美しいバラードだ。でだしがストレイホーンの"Chelsea Bridge"に似た曲だが、こういった手垢のついていない曲を持ってきたところが巧い。3曲目はレコードのB面の名曲と呼びたくなるようなミディアムテンポの美味しいオリジナル曲だ。4曲目はホレス・パーランの"A Theme for Ahmad"という曲。ラテン・フレーヴァーでとにかく美しい曲だ。これもB面の名曲系だろう。本物のB面の1曲目はアルバムタイトルの"Now's The Time"となる。B面2曲目がシュリーマンの作曲したスタンダード風のバラード。ラストもシュリーマン作曲でミディアム・テンポ。絵に描いたようなB面ラスト曲だ。選曲面で言えば、B面系の渋かっこいい曲で固めたマニア好みの作りとなっている。こんな考え抜いた選曲をシュリーマンがしたとは到底思えないくらいの出来過ぎぶりなのである。しかい、よく考えると、レコーディングの選曲はプロデューサーが決めたりするわけで、シュリーマンが考えたとは限らない。そもそも、この作品を作りたかったのはシュリーマン自身ではなく、スティープルチェイスのオーナーであるニルス・ウィンターがシュリーマンンでワン・ホーン作品を作ろうと考えたのがことの発端らしい。サイドマンの選定も、たまたま欧州ツアーをしていたジョージ・コールマン・カルテットのリズムセクションをニルス・ウィンターが借り受けたもので、シュリーマンが自ら集めたものではない。そうなると、選曲もニルス・ウィンターによるものと考えたほうが自然かもしれない。やっぱりシュリーマンには選曲やメンバー集めは無理だったのかな・・・。(こうして決め付けてはいけませんね。)選曲は良いとして、演奏はどうかというと、これが普通すぎて驚いてしまう。シュリーマンにしては随分とおとなしい演奏で、猫麻呂的にはやや期待ハズレではあるが、ダスコ・ゴイコビッチが吹いているのと大差ないのだ。ということは、一般的は良くできているということになるのか・・・。一応、トランペットとフリューゲルの両方を吹き分けているらしいのだが、猫麻呂には全部トランペットに聞こえる。シュリーマンがフリューゲルを吹くような軟弱なジャズはいけない、という過激な思想を持つ猫麻呂としては、ちょっと安心だったりする。全体を通して評価すると、この作品はかなり出来が良い部類だと思う。シュリーマンの作品と知らずに聴けば、通好みの渋かっこいい作品と言っているだろう。録音も良いしサイドのシダー・ウォルトン、サム・ジョーンズ、ビリー・ヒギンスのサポートも素晴らしい。しかし、何かが足りないような気がするのだ。それは、50年代のシュリーマンの持っていた大胆さや勢いなのだろう。何か、型にはまってしまった感じがするのだ。どっちが良いとか悪いという話ではないが、シュリーマンは50年代の方がシュリーマンらしかったのかもしれない。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Idrees Sulieman / Now Is The Time (SteepleChase)
2008年05月25日
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今回の主役であるフィン・サヴェリーというデンマークのピアニストについては、実は何も知らなかった。何も知らないのにCDを買ってみる自分には呆れるが、一応は購入をするにそれなりの合理的(?)理由があったのだ。Fontanaのデンマーク・シリーズCD化の際に、Jazz Quintet 60やペドロ・バイカーと共に買っていたのである。こんなメチャクチャな買い方ができたのも、このCDの値段が手頃で「ついで買い」しやすかったためだろう。ジャズ評論家の某氏は安価なCDの価格設定は音楽家への敬意をないがしろにし、音楽産業の崩壊につながると主張しているが、価格設定のおかげで今まで出会うことの無かった音楽に出会うことがあることを無視してここまで言い切るのはいかがなものであろうか。少なくとも、Fontanaデンマーク・シリーズ復刻は、音源を広く安価に提供することにより、貴重な音楽資産を全世界に知らしめることに貢献したのである。音楽産業のグローバルなM&Aは音楽のアメリカナイズが全世界的に進め、ローカル&マイナーな音楽資産が消えていくのではないかという懸念があるが、ユニバーサルが行った今回のデンマーク・シリーズ復刻のような活動は企業の社会的責任の一環として是非続けて欲しい。経済合理性に基づき音楽産業が世界的に統合して行くのはやむを得ないが、それにより誕生した寡占企業には世界の音楽資産の保護を行う義務があるのだと思う。それができなければ、各国の競争政策当局と文化保護当局は何らかの規制を行うべきではないか?前置きばかりが長くなってしまったが、購入時のインフォメーション(HMV)では、この作品は1963年に録音のピアノ・トリオ作品であること、普段は自作や前衛作品の多いらしいフィン・サヴェリーには珍しいスタンダード・ナンバー集であること、ペデルセン(ベース)とアレックス・リール(ドラム)といったデンマークを代表するミュージシャンが参加していることだけが分かっていた。これだけ分かればハズレではなさそうだと推測できるから、まんざらメチャクチャな買い物というものでもないのだ。(と自己弁護する。)さて、実際に音を聴いてみた感想だが、「さすがは前衛もやるだけの人だな」という印象。お馴染みのスタンダードのはずなのに、一聴すると「この曲なんだっけ?」という感じになるから、アラ不思議!手垢まみれの節回しを避けるためにワザと曲の重心を外し、曲に浮遊感が漂う不思議な感覚だ。ペデルセンとアレックス・リールという大看板との競演にもかかわらず、徹頭徹尾フィン・サヴェリー節満開で、聴きなれたスタンダードを新鮮に聴かせてくれるのが気持ちよい。音質に定評のあるFontana録音だけあって録音は悪くないが、マスターテープが劣化していたためだろうか、一部音程に不安定な箇所があるのが残念だ。評論家某氏に喧嘩を売るわけではないが、こんな素晴らしいCDが1,500円以下で買える時代になったことを素直に喜ぶべきであると思う。フィン・サヴェリーを聴いたことがないあなた、この作品を買ってみて、気に入ったら最新作を買ってみましょうよ!猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Finn Savery / Presenting Finn Savery (Fontana) 1. But Not For Me 2. Woodyn' You 3. Queen's Fancy 4. Sweet Georgia Brown 5. Willow Weep For Me 6. Satin DollFinn Savery(p), Niels-Henning Orsted Pedersen(b), Alex Riel(ds)
2008年05月11日
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困ったときのラウズ頼みで今回のディスクは「ラウズ対クィニシェット春の大ブロー大会(?)」となった。ブログ・ネタは山のようにあるが、ブログに書きたいこと/書かねばならぬこと(なんてあるのか?)が尽きてきたのかもしれない。ちなみに、ブログに書こうとして挫折したは"Eretik / Sacha Perry Trio (Smalls Records)"と"Clarke-Boland Big Band (Atlantic)"だった。ちょっとだけ書いてみて、あまりに普通なことしか書けなくて断念した。普通なことを書くのはジャズ評論家に任せておかないとねぇ・・・。ちなみに、その次に考えたのが"Kelly Blue / Wynton Kelly (Riverside)"のB面の佳曲"Keep It Moving"だけで書いてみる・・・ということだったのだが、これは気が向いたらそのうち挑戦してみたい。さて、今回のラウズ作品だが、最初に結論を言うと「期待ハズレ」で購入後3年くらいは棚に眠っていたCDである。しかし、この作品、何故か巷では評判がいいようだ。東芝盤の日本語ライナーを書いている児山紀芳氏もやや興奮気味でライナーを書いているようだ。「テナー・バトル」なのだから、興奮するのは当たり前なのである。しかも、タイトルが"The Chase Is On"なのだ。テナー・バトル・マニアがこのタイトルから想像するのはデクスター・ゴードンvsワーデル・グレイのプロレスのような白熱のライブ・バトルなのである。グレイがテリー・ファンク、デクスター・ゴードンがスタン・ハンセン、お互いに見せ場を作った後は、恒例の場外乱闘でもつれ合う・・・。こんなテキサス風のテナー・バトルにラウズが登場するとなれば、日本ラウズ協会は黙っちゃいられない。しかも相手はレスター・ヤング風の小粋なフレーズが売りのベビー・フェイスなテナーマンではないか。ラウズ先生、あんな野郎はラリアット一発で病院送りにしてやってくださいな・・・。てな訳で、ビール(もしくはバーボン)を片手にリングサイドから観戦するような気分でCDをかけてみたのである。1曲目の"The Chase Is On"のテーマは期待通りだ。最初に出てきたのは青コーナー(右チャンネル)のラウズ。しかし、何故か音に元気がない。赤コーナー(左チャンネル)のクィニシェットとピアノのソロに続いて場外乱闘(4バース)だが、これがあっけなく両者リングアウトで終了してしまい、消化不良の観客からはブーイングや「延長!」のコールが上がる。2曲目"When The Blues Come On"は演歌みたいな腑抜けた曲で、ラウズとクィニシェットが仲良くコーラスを分け合っているではないか。しかも、いつの間にか、赤コーナーと青コーナーが入れ替わっているぞ!(そんなことはどうでもいいのだが・・・。)3曲目以降も何となくテナー2人が仲良しムードでじゃれ合っているではないか。こっ、これはアル&ズートなのか-っ!!こうして、この作品は猫麻呂の期待を大きく裏切ることになったのだが、この作品の特徴について、もう一度おさらい&補足をすると、以下のようになる。 -激しいテナーバトル作品ではない -曲目もアップテンポやブルースは少ない -アル&ズートが好きな人には十分楽しめる -録音は良くない(特にラウズの音がショボい)以上、悪い作品とは言わないまでも、ラウズファンにはウケの良くない作品なのである。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Charlie Rouse & Paul Quinichette / The Chase Is On (Bethlehem)
2008年05月05日
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