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イリノイ・ジャケー!(思わず叫んでみました)と言えば、元祖コテコテ・テナーであり、サックスに「吼える」という機能があることを大衆に知らしめた偉大なる男である。また、JATPを下品なブロー大会に落としいれた下手人1号としても悪名が高く、ジャケーと言えばブローというイメージもある。この作品のジャケ写真だって「これでもか!」とばかりのブローによる波状攻撃なのである。(猫麻呂はジャケ写真にひかれて買ってしまったのだが・・・。)イリノイ・ジャケーは、名前からイリノイ州か広島県出身と思われがちだが(そんな人はいない?)、テキサス州ヒューストンの生まれ。だから、本場モノの「テキサス・テナー」なのだが、実は折り目正しい正統派スイング派テナーマンでもある。下品なブローを期待して買ったのだが、この作品は「ホンカー」ものではなく正統派スイングジャズ作品としてじっくり聴き込むべき作品だったのだ。この作品を有名にしているのは2曲目の"Harlem Nocturne"だろう。スケベ度No.1の曲なのだが、ジャケーの演奏は意外なことに端正そのもの。変なスケベ心は一切なく、心を込めてメロディーを歌い上げている。実はジャケーはジェントルマンだったのだ。ベン・ウェブスターは、いい意味でエロさを目指していたと思うが、コールマン・ホーキンスにはエロさはなく、常に音楽に対して直球勝負だった。そんなホーキンスの潔さが猫麻呂は好きなのだが、この作品のジャケーにホーキンス流の潔さを感じるのだ。レスターのように粋を求めるでもなく、ベン・ウェブスターのように甘さを求めるでもなく、観客を意識してブローで盛り上げる必要もなく、ただひたすら「ジャズの神様の思し召しのままに」スイングするジャケーの姿がそこにある。うーん、今までジャケーに対して抱いていたイメージとは随分違うなぁ。ジャケーのジェントルマンぶりは、ミディアムテンポの曲に強く現れている。"Can't We Be Friends"や"Have You Met Miss Jones"での節回しは、飾りの少ないフレーズだが素直にスイングしている。これがジャケーのスインガーとしての真の実力なのだろう。これほどまでにジャケーをありがたがって聴きてしまっていいのだろうか・・・。(ちょっと褒めすぎかも。)この作品、ジャケーは比較的オトナ風の演奏を聴かせるが、その代わりにロイ・エルドリッジが炸裂している。さすがに30年代の火の玉プレーとはいかないが、当時を彷彿とさせるようなお得意フレーズてんこ盛りで頑張っているのだ。そんなロイをジョー・ジョーンズがうれしそうに煽り立てているのも微笑ましい。猫麻呂は国内盤の紙ジャケで購入したが、最近はLONEHILLがこのCDを再発しているらしい。LONEHILL盤はワイルド・ビル・デイヴィスとのセッションがカップリングされているらしい。(ちょっと気になっている。)猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Illnois Jaquet / Swing's The Thing (Verve)
2008年02月23日
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ハリー・スイーツ・エディソンもライブで見たかったトランペッターのひとりだった。燻し銀のバック・クレイトン vs 華やかなスイーツというオールド・ベイシーの時代から、スイーツは「粋」で「華やか」な演奏が最大の魅力だ。しかし、スイーツのような演奏はマネしようにも簡単ではない。音を採譜しても、シンプルなフレーズが並んでいるだけなのだ。この個性を真似るには、自分がスイーツになりきるしかない。かつて、猫麻呂はそんなスイーツが好きではなかった。若気の至りでお恥ずかしい限りだが、当時はコピーを前提に「音符」を追っていたため、シンプル過ぎるスイーツのフレーズは研究の対象外だったのだ。それが、ある日突然スイーツに目覚めた。きっかけは、ノーマン・グランツのジャムセッションの映像を集めた"Norman Granz Presents Improvisation"というDVD(当時はLDで高かったなー)だった。レスター・ヤングのセッションに飛び入りするスイーツの立ち姿のカッコイイこと。そして、あの艶っぽい音色にすっかり参ってしまったのである。スイーツのオープン・ホーンの音は、ジャズ・トランペットの歴史に残るカッコイイ音だと思う。おかげで、猫麻呂もスイーツの愛機セルマーの同じモデルを中古で買ってしまった。脱線ついでに楽器の話をひとつ。セルマーといえばサックスが有名だが、オールド・ジャズ界ではセルマーのトランペットは一大ブランドなのである。あのルイ・アームストロングやハリー・ジェームズもセルマーを使っていた。当時のセルマーのトランペットの音色の特長は色気と明るさと粘り気。ルイやハリー・ジェームズの音はその典型だと思うが、かなりエロい音が出る。そんなセルマーのトランペットの中で、エロ&ダークな音が出るのが"K-MODIFIED"というモデルだ。この楽器は中音域の音の深さでメロディーを歌い上げるのに適している。ただし、音色は演歌風のドスの効いたものなので、クールでモダンな演奏には向かない。つまり、スイング派御用達の楽器なのである。そして、"K-MODIFIED"使いの代表がスイーツなのだ。晩年のスイーツをテレビ番組で見たが、やっぱり"K-MODIFIED"を使っていた。ボロボロの楽器でベルがお辞儀をするような状態だったが、それでもこの楽器にこだわり続けたのはよく分かる。トム・ハレルがコーンのコンステレーションにこだわっている(最近は楽器を変えたんでしたっけ?)のと同じだ。話をスイーツに戻すと、スイーツの個性は音色(50%)、雰囲気(40%)、間の取り方(10%)だと猫麻呂は分析する。音色については"K-MODIFIED"を吹けば貴方も今日からスイーツ気分(気分だけね)だが、このオシャレ感はなかなか真似できるものではない。決してド根性で吹いてはいけないし、マイルスのような斜に構えてもいけない。常に飄々かつ堂々と(なんか矛盾してるような?)吹くのは難しい。この世界、ジャズというよりも古典落語に近いのかもしれない・・・と思って聴くと、格別の味わいなのだ。そろそろ今日の作品の話に入ろう。この作品、これまでCD化されなかったが、ようやくCD化されたようである。(猫麻呂は吉祥寺ウニヨンで目撃しましたが、他店ではあまり見かけませんね。)しかも、同じルーレットでの1958年のセッションをカップリングした徳用盤。ただし、猫麻呂は随分と昔に買ったLPで聴いているのでCDは購入していない。この作品を購入したきっかけは、サイドで参加しているジミー・フォレストが目当てだった(当時はスイーツは好きではなかったから)が、フォレストのソロが1曲もないので相当がっかりした記憶がある。だから、フォレスト目当ての人は要注意。トミー・フラナガンとエルビン・ジョーンズが参加しているが、この2人も個性が活かし切れていない感がある。つまり、スイーツだけにスポットライトが当たった作品であり、スイーツだけを楽しむ作品としては良いが、それ以外の目的には適さないというのが留意点である。なお、この作品のジャケ写真には分解されたトランペットが写っているが、これが何と本物の"K-MODIFIED"である。スイーツ本人の楽器かどうかは不明であるが、ジャケット写真を眺めながらスイーツの音色を聴けば、スイーツの音が一層楽しめるだろう。願わくば、ミュートを多用しないでオープンで吹いて欲しかったなー。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Patented by Edison (Roulette) 1. WITCHCRAFT 2. BLUE SKIES 3. CONFESSIN' THAT I LOVE YOU 4. MISBEHAVIN' 5. CANDIED SWEETS 6. THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME 7. TEA FOR TWO 8. THERE IS NO GREATER LOVE 9. TWENTY-FORTY 10. IT'S EASY TO REMEMBER 11. SWEETCAKES 12. ANGEL EYESHARRY EDISON(tp), JIMMY FORREST(ts), TOMMY FLANAGAN(p), TOMMY POTTER(b), ELVIN JONES(ds)Feb 12, 1960
2008年02月16日
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こんなに気持ち良く聴けるピアノ・トリオは久しぶりだ。ピアノの鳴りっぷりが凄い。猫麻呂はこれまでロシアものは避けて来たが、これがロシアン・ピアニズムなのだろうか?とにかく、ピアノの音が明るく突き抜けた感じがする。音には好みがあるので、レイ・ブライアントやマル・ウォルドロンのような個性的な音の方がジャズっぽくていいや、と思う反面、やっぱり楽器の上手い人は違うなァ、とも思う。概して猫麻呂ブログでは楽器の上手い人は褒める対象になりにくいのだが、今回は素直に認めてしまった。久々の★★★★★で大盤振る舞いなのだ!何が凄いかって、演奏が熱いのだ。ピアノが超上手いのに、透明感よりも熱気を感じさせるというのが素晴らしい。少なくとも、キース・ジャレットのスタンダーズよりも熱い(例えが悪いって?)と思う。これでバップ臭さをほのめかすようであれば、これからずっと追いかけていく「永代供養」決定であるが、残念ながらそうではない。それに、この人が今後もジャズをやっているとは思えない。猫麻呂がこう言っても説得力ないかもしれないが、「別にジャズじゃなくてもいいんじゃない」と思う。うーん、何だか遠慮がちな書き方になっちゃったなー。率直に言いましょう。この人のやっている音楽は本質的にはジャズではありません・・・と言うと語弊があるので言わないが(でも言っている)、いわゆるジャズとは違うと思う。でも素晴らしい。こんな話を書いていると、「ジャズの定義は何だ?」という不毛な議論になりかねないので、あまり深入りしたくないのだが、ジャズがジャズであるための一番重要な「臭み」がないのだと思う。しかし、矛盾するようだが、この作品は立派な「ジャズ作品」なのだ。Misha Piatigorskyの他の作品を聴いた事が無いのでよく分からないが、勝手な想像をすれば、Misha Piatigorskyとは共演する相手次第でどんな風にでもバケられる天才肌のミュージシャンで、今回はベースと特にドラムのEric Harlandの熱く激しい演奏により立派な熱血ジャズ作品となったのではないだろうか・・・。よく知らない人のCDをディスクレヴューだけを頼りに購入すると、概してトホホな気分になるのだが、たまには今回のような大当たりもあるという例である。しかしこのCD、Mishaの自主制作盤なのか、プレス枚数が異常に少ないようである。だから、こんな楽しいディスクなのに知っている人が少ないという「むふふ」なところがマニア心をくすぐるのだが、こういう作品こそ大手が自信持って売り出して欲しい。ジャズファンじゃない人の方が、案外素直に楽しめるかもしれないし・・・。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Misha Piatigorsky / Pure Imagination (MishaMusic)
2008年02月09日
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「ヨーロピアンなピアノ・トリオ」というのは、どうも好きになれない。ヨーロッパ的なものが嫌いなのではなくて、「美しい音楽」が苦手なのかもしれない。もしくは、ジャズに「ほろ苦さ」や「エグさ」のようなものを求めているのかも・・・。だから、そんな猫麻呂がこの作品を聴いた第一印象は「オーディオ的には悪くないけど・・・」というものだった。それが、繰り返し聴いているうちに、だんだん美味しさが解ってきたような気がする。最初は耳がベースに行ってしまい、ベースとピアノのインタープレイとして聴いてしまったのがイケなかったようだ。ドラムがピアノにどうけしかけ、ピアノがどう反応するか・・・という聴き方をすると、これが面白い。特に素晴らしいのがタイトル曲の"Whirlpool"。エキセントリックさはないが、やっていること自体はフリー・ジャズとあまり変わらないのかもしれない。こんなあたりが、さすがジョン・テイラーなのだと思う。とは言え、大半は美しい曲と名人芸の調和の世界で聴かせるヨーロピアンなピアノ・トリオだ。猫麻呂には副作用としての「眠気」が強くでているが、そこは録音の良さによるオーディオ的な楽しさがカバーしてくれる。ベースがズズーっと前に出てくるのが気持ち良い。それに、いい曲が入っているのだ。4曲目のKenny Wheelerの曲"Nicolette"は、どこかで聴いたようないい感じの曲だが、どうやら猫麻呂の聴いたことのあるディスクには入っていないらしい。とにかく、一度聴いたら耳に残る良い曲だと思う。それからもう1曲、おなじみのガーシュインの"I Love You Porgy"が唐突に出てくるのが嬉しいビックリ箱となっている。スタンダードが並んでいるCDの中でこの曲が出てきても何も驚かないが、この作品では唯一のスタンダードとして"隠し球"のように効果的に出てくるのだ。しかも、テイラーの抽象的なオリジナル曲の後にさりげなく置いてある演出が憎い!この作品、巷での評判の良さに相当期待して聴いたのだが、猫麻呂はそれ程は楽しめなかった。それでも、ヨーロピアン風に見えて実は骨太なジャズ作品だというのはよく分かった。しかし、やっぱりどこかモノ足りないというか、おあずけを食らったような感じが猫麻呂にはするんですなー。次作では、全編骨太でゴリゴリな作品を期待したいと思うのは、猫麻呂だけだろうか?(そうだろうな。)猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)John Taylor / Whirlpool (CAM)
2008年02月02日
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