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September 10, 2006
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<二日目_夜~三日目_朝_楓>



「ねえ、長岡に教えてあげればいいんじゃない? 『あんた、そろそろ死ぬよ』って」
 少年を前にして私は以前から思っていた事を言った。すると少年は少し困った顔をした。
「ナガオカさんにですか?」
「なんなら、私が代わりに言ってあげてもいいよ」
「いえ、ダメです。幽霊は直接的に本人に死を告げることが禁止されています」
「だから私が言うって」
「カエデを介したところで、それは僕がナガオカさんに教えているようなものですから駄目なんです」
「そうなの? でも、間違って私が言っちゃうかもしれないじゃない」

 確かに少年の許可もなく教えるつもりはない。私は駄目と言われている事をわざわざやる人間ではないからだ。
「分かった。それで長岡はいつ死ぬんだっけ?」
「明日です」
「え、もう?」
「明日です」
「何とかならないかな?」
「出来ますよ。そのために僕はカエデの前に現れたんですから」
 そういえばこの少年が私の前に現れた理由を私は知らなかった。長岡を助けるためというならば確かに理由になるだろう。なら、何故長岡を助けるんだ? と思わないでもないが、この際、何でもいい。
「じゃあ、私はどうすればいい?」
「簡単です。明日の夜にナガオカさんをカエデの家に呼ぶだけです」
「それだけ?」

「そんな事で人が死んだり死ななかったりするの?」
「死ぬ予定の人が死ななくなるんです」
 この少年は妙に説明的だと思う。私は質問を続けた。
「でも、私が長岡を呼んでもあいつが家に来るかどうか分からないわ」
「ナガオカさんは来ますよ、絶対」

「僕には未来が分かります」
「それじゃあ、長岡は何しに家に来るの?」
「それは分かりません」
「えっ、未来が分かるんでしょ?」
「ええ、そうですけど、僕が関わってしまうと僕にも予測しにくい未来になるんです。だから僕にも、分かる未来と分からない未来があります。何をするかは、二人で相談して決めてください」
「そう」
 明日、私達はどうやって時間をつぶそう。やはり私から誘うんだから何か用意をしておく必要があるんじゃないだろうか? 私はそれからずっとそれについて考えていたが結局何も思いつかなかった。
 いつの間にか少年はいなくなっており、私は気付いたらベッドの上で朝を迎えていた。



「夜、うちに来ない?」
 私はうちで何をするのかも思いつかないまま、長岡を誘った。これで長岡の命が助かるのなら安いものである。何をして暇を潰すかというのはおいおい考えていけばいい事だろう。
 そんな私に対して長岡は目を見開き、酷く驚いていた。今にも『まさか本当にこうなるとは』と口に出しそうな表情である。
 長岡は少し考えてから、こう言った。
「ああ、いいよ」
 私は長岡が、もうちょっと考えるなり、『楓のうちで何をするんだ?』と質問するなりの反応があると思っていた。だが予想に反して長岡はすんなりオーケーした。
 だから私は目を見開き、酷く驚いた。今にも『まさか即答されるとは』と口に出しそうな表情になっていた事だろう。

 私は少年の予言がいよいよ現実のものとなるような気がして、なんともいえない緊張感を持った。こころなしか長岡の方も緊張しているように見えた。





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Last updated  September 10, 2006 09:40:31 PM
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