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「あ、直りましたかPK」
「いやあ……昨日はごめん」
「まあいいさ、別になんでもないのだし」
「しっかし、これで三日目か。ずいぶん延びたなこのレビュー」
「やれやれ、そろそろ終わらせたいですね」
「公江さんの夫、とっくの昔に亡くなってたんだ……」
「正確には婚約者ですけどね。33年前に事故で恋人を失い、その命日が明日、一月二日だそうです。恋人を失って33年間、自分の時間は止まったまままったく前に進めない、シシュポスの岩のように……」
「シシュポスの岩?」
「つまり、いつまで経ってもそのままってことだ」
「悲しい話だな……」
「ん!? おいちょっと待て、根元が道警から逃げたぞ!」
「二人が道警に預けたらすぐ逃げ出したんだよなあ……その前も目盗んで逃げようとしたし、どうも様子が変だと思ったら」
「そもそも着の身着のままで東京にいたのも、公判直前に逃げ出したそうです。ここまで逃げようとしているのは、やはり脅迫されていたと考えるのが自然ですかね。では誰に? どうして?」
「どうも根元は、取引直前に暴力団が大物と取引しているのを目撃してしまったらしい。それを裁判で証言させ、その大物を引きずり出すのが目的だそうだ。ようするに、脅迫者はその大物の手先か」
「え、でも県警にいたんでしょその時? それで脅迫できる人って……」
「県警の人間だけだな、そういえばカシオペアで旅してるという男、刑事の隠語使っていたような。調べてみるとやっぱり、その男藤井とかいう刑事だ。その大物の手先だったんだな」
「根元さん家族のとこに行ったら、藤井に捕らわれちまった。やっぱこいつか。本当はカシオペアで脅すくらいでよかったんだが、殺人のせいで身動きできなくなった。で、こうなったらと拉致しやがった」
「くそ、なんということだ」
「まあ仲間の裏切りによって汚名叩きつけられた道警の協力もあって、なんとか無事に助けられましたけどね。これでやっと事件解決ですか」
「……いや、あと一つ」
「な……公江さんが塚本から爆弾を買った!? 大事に持っていたカメラケースが遊園地に映っていたぞ!?」
「なるほど……そういうこと」
「ど、どういうこと?」
「公江さんにとって列車内での殺人事件は、迷惑極まりないことでした。函館に着いて警察が入ってきたら荷物検査されます、そしたら爆弾が見つかって一発アウト。一応空き部屋に隠そうとしましたが殺人犯の安藤さんが入ってくるしここも危ない。しかしここで犯人に気付いたのは僥倖でしたがね」
「策士だなあ……あの青森駅の話は誘導だったのか。一方で安藤さんに食堂のゴミとして捨てるように示唆しておいて、何気ない会話を装って杉下さんにそれを告げることによって、犯人逮捕へ導いたんだ。それによって爆弾を安全安心に運べた」
「しかし、どうして爆弾なんか……」
「うわー! 公江さん、ホテルで爆弾掲げて男に手錠掛けた!」
「33年前、と言えば学生運動が活発だった時代です。その中の左翼過激派は、あろうことか爆弾で関係ない人まで吹き飛ばす連中もいました。その激動の時代の中、公江さんの恋人は爆弾を作っていたんですね」
「ところが公江さんの恋人はセクトのメンバーではなく、当時過激派メンバー、現在はホテル王と呼ばれている仲瀬に脅されて手伝わされていただけだった。それが何と公江さんとその子供の関係とはね」
「しかし製造中に爆弾が誤爆、恋人は死にたまたまその場にいた公江さんも巻き込まれ流産してしまった。恋人と子供を奪われ、可哀想な公江さん……」
「でも仲瀬はその事件を境にセクトを抜け復学、そして今ではホテル王とまで呼ばれるまでの地位を手に入れた。そりゃ、許せないよな」
「でも一緒に手錠掛けてどうやって……一緒に吹き飛ぶ気!?」
「気持ちはわからなくないですが、こんな馬鹿と吹き飛ぶ必要はありません。一瞬のスキをついて起爆スイッチを奪い取って公江さん確保、事件解決です」
「根元さんが目撃した大物ってのは、仲瀬だったのか……何年経っても悪党は悪党だな。これで少しは救われるといいな」
「いえいえ、杉下さんが見つけてくれましたよ、爆発事故の遺留品から黒こげになったロケット。誕生日プレゼントだったんでしょう。あるいは、貧乏で買えないエンゲージリング」
「中身は輪のように動く星の美しいリングの写真。深いではないか、時間を動かす時が来たのかもな……」
「犯罪者だらけの列車だったなあ……今回『爆弾』と『過激派』がテーマなのは、映画と絡ませているのかね」
「次回は……あれ、あの人『ついてない女』の二つ名を持つ幸子さんじゃないですか。つきまくるらしいですよ次回は」
「ど、どういうこと? 何があったのあの人に?」
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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