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「連続スクーター通り魔事件、被疑者である辻正巳は野村警部補の取調べを受けていた、しかし」
「お、おい、暴行で死んでしまったぞ、一大事だ!」
「こういうのは隠し通されるのが常ですが、さて……」
「取り調べ監督官?」
「取調べを監視して問題がないか判断する仕事だ。昨今取りだたされる取調べの不透明性なんて声に対抗するために作られた。しかし、この事件を担当した下柳巡査部長は異常なしだとさ」
「明らかに情報改ざんだな。死体にも明らかな傷があった。しかし監察官が大河内さんかよ……厄介だけど悪い人じゃないからな」
「結構厳しく取り調べてますね。規定の八時間以上を越える十四時間もの取り調べとか。その後色々調べてみますが、どうも辻さんが容疑者という根拠が薄弱です。スクーターも黒というだけの共通点、被害者の目撃証言も数人の顔写真見せて「似てるのはどれ?」といったものでした。だいたいフルフェイスマスクで顔見えるわけないじゃないですか。せいぜい目」
「どうも捜査もずいぶん雑なものだったらしいからな。任意だというのに無理矢理押し込んで。スクーターのタイヤ痕はどうしたんだ?」
「ありゃ、下柳さん余計なこと言うなって釘刺されてるよ」
「取り調べ監督官たって、結局は同じところの刑事だからな。仲間意識排除しろってのが無理。ちょっと穴があるシステムだな。おっと、記者発表しちまった。何も解ってないってのに」
「大河内さんと捜一の捜査も完全無視。ま、こうなるとは思ってましたが」
「おっと、事件現場にタイヤ痕があったらしいぞ。なかったと言ってたのに」
「焦って消そうとしたら伊丹に見つかった。あれ、大河内さんが持ってっちまったぞ」
「やっぱり不正捜査はあったんだ……ってああ!?」
「下柳さんが自殺したぞ!」
「ずっと良心の呵責に苦しんでたんだろ。自分の仲間を売るようなこと、難しいよなあ」
「でも、だからって自殺すること……」
「皆さん職務を全うしようとした、だから悪いことはありません。……でも、目の前で人に死なれて平気な人間なんてロクなもんじゃありませんよ」
「まあいい。それでタイヤ痕だけど、やっぱり押収されたものとは一致しなかった。怪しいのは事件後失ったもう一つのバイクだが……あれ、野村さん来たぞ。捜査を止めてくれ?」
「焦っていたんだな。事件はもう二件目、警察の威信にかけてスクーター通り魔事件は三件目が起きる前に解決せねばならない。上からそう圧力がかけられている日々の中、ようやく怪しい人物を見つけた。それが過剰な取調べを起こさせてしまったんだ」
「警察には市民を拘束したり取り調べたりする権利があるのは、市民を守る責任があるからなんだがなあ。大きな権限には大きな責任が伴う、当たり前の台詞だがきついな」
「警察のプライドを守るために道を間違えたんですよ。そんなこよりもっと重要なことがあるはずなのに。上も野村さんも、下柳さんも余計なもの守ろうとしてしまった。本来何かを守るための組織でも、肥大化するとそれを守ること自体が重要視され他がないがしろになってしまう、てのはどこの台詞でしたっけ」
「あれ、この人最初に出てきた草壁さん……え、接触事故起こしてたの? それも辻さんと。頭ぶつけたってまさか……」
「ああ、あの日スクーター処分しようとしてたんだ。通り魔こいつだったんだな。しかし二人がいたからできなかった。しかし、通り魔の犯人とぶつかったせいで被疑者が死ぬとはなんたる皮肉……」
「結局違法捜査は打ち消しか、嫌なもんだな組織ってのは」
「言い出せなかった気持ちもわかりますがね、人二人殺しておいてそれでも維持しなきゃならない組織ってなんなんでしょう」
「あれ、この事件は前に見たような……」
「六回目の人質じゃねえか。こりゃ面白い」
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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