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「今回の舞台は宝塚か?」
「引退して事業始めようとしたら断られちゃったけど、この人役者さん?」
「茨城紫雨さん、というわしいですね。あれ、引退しちゃいましたよ?」
「有名な実業家だったらしいな。その三ヵ月後、山際社長は死亡した。どうも心臓疾患を患っていて、だというのに暑がりだから風呂上りに扇風機で涼む習慣があったらしい。はて、扇風機で死ぬのは都市伝説(冗談)じゃなかったか?」
「いや、山際社長は心臓に疾患を持っていたから、そういう人が扇風機を直接浴びる低体温症を引き起こして危険になるらしい。つまりは事故、あるいは病死か」
「あれ? バスローブからバラの花粉が着いてたよ。昨日来たばかりのバラ、バスローブなんかにどうして……風に運ばれたかな?」
「扇風機全然別の場所にありますよ。あの風で飛ばされたってのはどうもねえ。おや、サーキュレーターありますね、空気を循環させる電気扇風機です。あれが山際さんを直撃していたとしたら、バラの花粉が飛んでくるかも」
「んな馬鹿な、サーキュレーターの風は扇風機より拡散しづらくて集中的に当たるんだぞ? 心臓悪い奴が二重にやったりするわけ……あ」
「だな。つまり誰かが侵入して、社長の身体にサーキュレーターの風を当てた奴がいるかもしれん。社長は元々玄関の鍵も閉めないくらい無用心な人だったからな」
「待て、サーキュレーターはきちんと部屋の天井を向いているぞ?」
「死体発見時に誰かが直したのでは? となると怪しいのは第一発見者たち。山際さんの会社専務である矢橋さん。新しく始めるタレントスクールの共同事業者である元帝都歌劇団スター淀さん。そして茨城さんです」
「監視カメラに不審人物いたよ。矢橋さんのコートに似てるな……どうも社長とすれ違いがあってクビになりかかってたらしいよ」
「一方杉下さんは淀さんの事務所に。あの社長大事な契約とかも家でやる人だったらしいよ。ところで例のタレントスクール、元々茨城さんの予定だったのを変更したらしい」
「ああ、冒頭揉めてたな。おっと、矢橋さんのアリバイが成立したぞ。だか新事実だ。淀さんと矢橋さんが付き合ってた。元帝都歌劇団スターの淀さんならコートを借りて男に化けるのは朝飯前。どうも揉めてたらしいしな」
「次は茨城さんだ。どうもあの社長、淀さんと組んで目と鼻の先に茨城さんのとは数倍以上上の規模を誇るタレントスクールを作って潰そうとしていたらしい。しかもその契約を見せ付けようと呼び出したんだから意地の悪い女だ」
「傲慢なやつです。どうも淀さんと揉めてたというのも契約云々らしいですね。でも解決したそうですけど……あら、淀さんの証言からすると、サーキュレーター動かせたの茨城さんだけですよ」
「てことはやっぱり茨城さんが……てあれ、茨城さんの隣の人がその時間サイン貰ったって、アリバイ成立しちゃったよ!?」
「……変だな」
「淀さんは茨城さん四年先輩、初舞台の時歌劇団を辞めようとした茨城さんを世話したらしい。ひょっとして、庇ってるのか?」
「しかし、どうして庇う? 七年前の初舞台に何があったんだ? どうもその時辞めたスタッフがいるようだが」
「辞めた後引きこもって、自殺しちゃいましたよその人。やっぱり事情は言わなかったらしいです。舞台裏のことは話さない。だからこそ夢を与えられる、ですか。あれ、茨城さんこちらへ訪れていたんですか、三ヶ月前に」
「ふむ。微妙に噛み合うな。しかし大好きなんだなたまきさん。色々豆知識教えてくれたぞ。帝都歌劇団には入団時期に合わせてそれぞれ別のシンボルマークがつくらしい……てあれ、これは……」
「七年前の例の舞台って、新人公演だったんだね。ところが、元々主演は潮風うららという人だったのに、突然茨城さんに変更になった。そして機械係だったスタッフが辞めているということは――」
「その事故と関連していると見て間違いないな。茨城さんは話す気なさそうだから、本人に聞くとするか」
「あれ、この人は山際さんの会社にいた……史恵さん? この人が潮風うららだったのか?」
「初日の二日前にせりが下げられたままになっていて転落、それが原因で再起不能になってしまった……とすると、茨城さんが庇っていたのは史恵さんですか? つまり犯人は史恵さんは実行犯、茨城さんはサーキュレーターを動かして証拠を隠滅したのですね」
「七年前の事故、あの女社長がお気に入りの茨城さんを主役に据えるため仕組んだ罠だったんだって。茨城さんは三ヶ月前にそれに気付いてスタッフを問いただした。ああだから自殺したのか。それを教えられた史恵さんが殺したのか。そりゃ憎いだろうけど、二人してタレントスクール作ろうとしてたのに、その夢潰しちまった」
「まあそれすら潰そうとしていたんだから、社長は文句を言う資格はないがな。自業自得というやつだ」
「で、どう? 最近の相棒は」
「んー……相棒名物の掛け合いがなくなっちゃったけど、このパターンも悪くはないな。スッキリしたというか。まあ慣れてきたよ」
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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