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「クスト!? どういうつもりなのこんなことして!」
「そっちこそ、この荒れ模様にどこへお出かけだい? 女子供だけの夜遊びは危険だぜ」
「そんなことを言っている場合ではない! そこをどけ!」
「嫌だね。こっちにも事情ってものがあってさ」
「なんなんですか貴方? 宙に浮かんで……いや、吊るされている?」
「ご明察。目がいいねえ。俺は浮いてるんじゃない、吊ってるのさ、天井からのほっそーい糸でね」
「ふん、奇術師じゃあるまいしくだらん細工をしおって! 我々は静馬を助けねばならんのだ邪魔立て無用!」
「静馬が? ……ああ、そういやそうだったな」
「クスト、何か知ってるの?」
「ま、一応な……しかし、だとするとなおさら外へは出せないな」
「なに!? まさか、お前たちが……」
「さてね。それはともかく……なあ、おとなしくしてくれないかねえ」
「やかましい! いいからそこをどけろぉ!」
「プッ!」
「ぬおっ!?」
「おっ! すげえな、あれを避けるとは大したもんだ」
「な、なんだお前! 今何か口から出したろ!」
「なんか、白くてネバネバして……粘着性のある糸の塊みたいな」
「そんな、蜘蛛じゃあるまいし……」
「いや……蜘蛛だよ」
「なんですって?」
「おいおい、勝手に喋るなよPK……まあいいけど」
「PKの言う通りさ。あらよっ!」
ピシュピシュピシュ!
「うわっ!」
「指から糸が……何本も?」
「俺の体液は特別製でね、粘度を変えて体の穴から打ち出せるのさ。硬度も自在だよ。例えば、さっき出したように粘着質の捕獲用とか、硬度を高めてワイヤー質の攻撃用とかね」
「そういえば、昔そんなもの見たような……あれはあなたの仕業ですか」
「信じられん、そんな人間が存在するなど……」
「人間? 残念ながら、それは違うぜ」
「な……!」
「フェイク・ハイブリッド……なんて言ってもわかんないよな。まあ一番わかりやすい表現を使うと『改造人間』さ、俺は」
「改造人間!?」
「…………」
「まあそんなことはどうでもいいさ。とにかく動かないで貰うぜ。おとなしくしてくれりゃ、痛くはしないさ」
「馬鹿を言うな! 改造人間だか何だか知らんが、お前一人で我々を止められると……!」
「悪いけど、一人じゃなくてよ?」
「え?」
「お久しぶりね」
「あまりしたくない再会の仕方だが」
「クリス!? 迦稜まで!」
「おやおや今日は千客万来ですねぇ……何の御用ですか」
「決まってるでしょう?」
「邪魔しに来たのだ、お前らをな」
つづく
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