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「さ、寒い……」
「寒いなんて言ってる場合じゃないわよ! あいつは空気中の雪、水分をコントロールできるんだから、こんなところにいたら全員氷漬けよ!」
「ふっふっふ……『神速のフォルト』と言えど、ナノマシンの塊に過ぎない私を斬るのは無理。おまけに、この雪の中加速すればどうなるか……」
「――なんのことです?」
「あ、いや……」
「……光速の50%っで移動するってのは、相対的に言えば、光速の50%で世界が突っ込んでくるってことなのよ」
「おい、言うなって!」
「今さらなんだ。ともかく、ぶつかった物体の破壊力は基本的にその質量と加速度で量る。そうすると、加速中のフォルトにとっては例え雨粒でも散弾銃レベルの打撃となる」
「いやすまない、おかげで氷もだいぶ溶けてきた……なんだと? じゃあ、もしこの雪の中神速でもやったら……」
「まず間違いなく原形を留めないな」
「いやそこまで単純じゃない! こっちも衝撃波という空気の壁作ってるんだから、大抵はぶつかる前になくなっちまう……」
「そんなこと言ってる暇ないよ! 凍るー!」
「あ、やばい、外へ逃げるぞ!」
「馬鹿、外も雪まみれだ!」
「こんな狭いとこよりはマシだ! 雪を操ることはできても、凍らせられるのは純粋な奴のナノマシンだけなの忘れたか!」
「て、撤退、撤退ー!」
「…………」
「やれやれ、相変わらず面倒な患者ですよ、貴方は」
「まあだからこそ、その命を支配する意味がある……ん、なんですかあれは」
「はあ、はあ……寒いわね」
「確かに寒いですけど、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。どうするんですかあの怪物」
「ナノマシンだか何だか知らんが、あれでは斬ることもままならん。どうしようもないではないか……」
「八年前は一応『倒した』んでしょ? どうやったんですか」
「……あれはなあ。死ぬかと思ったぜ。資源採掘場での戦闘だったんだが」
「場所がなんと雪山でな。雪山全体が襲いかかってきたぞ」
「仕方ないから、採掘場の物資……何かの化学物質だったかしら……を爆発させたのよ。おかげで火山まで噴火させて、山脈一つ消滅したけど」
「しょ、消滅……」
「いくらなんでも、あの手は使えないよ。でも他にやりようが……」
「いや……ある」
「え?」
「しかしこいつは博打だ……それに、手を打たれていないわけがないし、使えるかどうか……」
「さて……あいつらはどこへ行ったか……ん?」
「…………」
「そんなとこにいたか。覚悟を決めた……わけがないか」
「なあ、一つ聞いていいか、氷結」
「……なんだ」
「この順番てどうやって決めたの? まさかあみだじゃないよな」
「別に……自然に決まっていった。順番に固執する者はあまりいなかったよ」
「儀式って言うよりゲームだね……だったら、ルールはきちんと決まっていて、足を引っ張り合うとかはなしか」
「まさか。たとえそんなものがあったとしても、そんなお優しい連中じゃないのは知ってるだろ?」
「そうだねえ。ってことは……」
「お前はこれを知らないわけだな?」
「……!?」
ビカッ!
つづく
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