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「うう……みんな、無事か?」
「な、なんとか……」
「やれやれ、酷い目に遭いましたね」
「まさか自爆するとはな……両腕切っても出血しなかったから、また合成人間とやらなのかとも思ったが。せっかくの一張羅がズタズタだ」
「そんな中、一人爆風を避けた俺は勝ち組」
「あ、汚い」
「なわけねえだろ」
「ぐふっ! ごふっ! げふっ!」
「こんなとこで気張るなよ……病人なんだから自重せい」
「それにしても、とんでもない男でしたね……あの氷結に勝るとも劣らない怪物でした」
「まあ、性能自体はな。でもやっぱロートルでね。タクティカルレッドじゃ一番高齢だったっけ。たしか……90くらいじゃなかったか?」
「90!? そんな高齢なのか!?」
「サイボーグ手術でずーっと生きながらえてたんだよ。それも戦闘用に。ほとんど改造してない部分なかったんじゃないかなあの人?」
「そうまでして戦い続けたかったんですか……もはや変態の領域ですね」
「……ま、わからないわけじゃないけど」
「……フォルト、お前……」
「さて、帰ろう。PK、今度はゆっくりとした乗りもので頼むぞ」
「…………」
「どうしたヘレナ、珍しく黄昏ちまって」
「……なあ、フォルト」
「ん?」
「あのグレッド・スコーニルのこと、よく知ってるのか?」
「……いや、あいつ自身から聞いたわけじゃない。ただ噂と、あいつと同郷が友人だったからなんとなくな」
「それでいい、聞かせてくれ」
「――職業軍人でさ、いっつも前線で戦うそれなりに優秀な奴だったらしいよ? ただ頭が固くて昇進できなかったみたいだけど」
「ふむ」
「でもな、その国は戦争末期にトランザスに武力制圧されちまったんだ。で、防ぎきれなかった軍人は嫌われ者……しかも財政破綻も発生した。どこの国でも金がないと削るのは公務員と軍人の給料と数。あいつはとっくに退役して年金生活だったが、それすらも削られちまった」
「だから、裏切られたとして憎しみからタクティカルレッドへ?」
「というより、昔の栄光が忘れられなかったのかもしれないなあ……で、その身を人体実験の材料にして機械の体、永遠に戦える体に改造したのさ。あのナノマシンもその一つ……もっとも、技術が古くて今となってはロートルだけどな」
「――虚しい奴だ」
「同感だな。ありゃそろそろ限界だったんだ。戦場で滅びたかったんだろう――でも、あんなのは別に珍しくもない」
「お前の元仲間は、そんなのばかりなのか?」
「そんなのが生まれやすい環境だったてこと。ある意味あいつも被害者さ……もっとも、同情には値しないし、そんなもん奴も求めてないだろう」
「…………」
「その剣……」
「ん?」
「オブリージュ、だっけか」
「ああ、そう命名した。私と魂を共有するものだからな。……もっとも、かなり体力がいるがな」
「アホなことを……俺なんか使った途端ぶっ倒れたんだぜ? ま、話を聞く限りじゃ当たり前と言えば当たり前だが」
「使ってみるか? 今のお前ならできるかもしれんぞ」
「やめときますよ。二人の仲を邪魔したくはないし、俺には多分ダメだと思うからね。そんじゃ、今日はゆっくり休めよ」
「…………」
「本気でやれると思うんだけどな、あいつ」
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