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「クリスマスの夜、警官が一人射殺された。サイレンサー使ったり、一発で射殺したり只者じゃない。何者なんだこいつは? 目的は?」
「数日後の十二月三十日、特命係は警視庁の正月飾りというまあ雑用をしていました。終わってみるとオペラハウスに証拠品の返却と防犯相談に伺うことと新たな命令が。神戸が先に向かいます」
「ん? なんか変な人がいるね、ピエロ? キッズクラブの子供たちと遊んでるけど、クラブの人じゃないみたいね。キッズクラブっていうのは、オペラを楽しみたい親が子供をその間預けるチャイルドケアセンターの一つだって。送迎バスでアイスショー観に行く予定なんだけど……」
「一方その頃、ある男性が病院にいた。出産間近の彼女に付き添っていたいが、夜間清掃のバイトのため行かざるを得ない。マイクロバスがオペラハウスの前で止まっているとのことで、乗り込んでみると……」
「そして子供たちがピエロに連れられてやってきたバスに乗ると……ん、なんだこの怪しい男たち。あ、さっきの青年も。無理やりバスに子供たちを押し込んで……あれ、神戸が乗ってきたぞ!」
「証拠品の返却にやってきた神戸が、ピエロを不審に思い追いかけたんだ。止めようとピエロと格闘するが、バスに乗っていた男に捕まってしまう。なんとか警察手帳は隠したが、運転手は銃で脅され一緒にいずこかへ誘拐されちまった」
「この場合止むを得ないでしょう。劇場の社員ということで誤魔化しましたが、そこでキッズクラブの少女が助け船を出してくれました。いったいどこへ行くんでしょう」
「一方、遅れてやってきた杉下さんは神戸が戻ってこないことに疑問持ったよ。携帯にも繋がらないし、防犯カメラや現場の状況から見て何かが起こったことを察する」
「神戸は捕まっている中なんとか中の状況をメモする。人質は子供七名女性教諭一名若い男一人そして神戸。銃を三丁所持し、犯人は最低で四人以上。一人は左利き……む、パトカーが停止命令を出したぞ。運転手の山辺さんがハザードランプを焚いていたのか」
「助けを求めたんだろうが、残念ながら上手いことやり過ごされてしまった。そのままどこかのガレージでバスを乗り換えて移動される。運転手はどうなるんだ……」
「急きょ捜査本部が作られた。誘拐された子供たちはいずれも資産家だから身代金目的の略取誘拐の可能性もある。急いで見つけないと。問題のピエロは、警備員に確認されるから搬入口からも裏口からも入れない。ならば観客として券を買って正面から入ったんだろう。半券から空席だった、つまり来ていないはずの客の番号があったらそいつがピエロだ。指紋が残っているかもしれない」
「その頃神戸たちはどこかの廃屋へ連れ込まれてました。監禁されましたが、危害を加える気はないようです。何が目的なんでしょう。この彼ってどー見ても金持って無さそうなのになんで一緒に誘拐されたんでしょうね。間違えられたとか言ってたけど」
「深夜清掃のバイトのためマイクロバス探してたら、あのバスだと思って入っちゃったんだって。なんという不幸……とにかく今は、おとなしくしてるしかないね。下手に逆らったら子供たちも危険だ」
「一方杉下さんたちは、例の半券を見つけていた。採取された指紋から……おお、何者かわかったぞ! 草壁彰浩? 何者だ?」
「なんてこった……テロを企てかねない危険思想の持ち主として、ずっと警察庁警備局がマークしてた奴だ。元は防大出のエリートで幹部間違いなしと目されていたが、軍のあり方で上官と衝突して除隊、その後渡航しフランスの外人部隊に入り、義勇軍として戦場で兵士として戦っていたそうだ。五年前に帰国した後は職を転々とし、半年前に行方をくらませている。しかし、この経歴からすると草壁は帰国後孤立しているな。テロを企てる仲間なんているか?」
「いや、今じゃ米国でもテロリストの四割が自国民なんだと。世の中に不満を抱いていたり、世間に悪意を持つ輩は、草壁みたいな奴の口車に乗ったとしてもおかしくない。そういうのはアクティブ・シューターと呼ばれ、世間を騒がせるだけ騒がして最後は自爆だ。迷惑な連中だが……当面の問題としては、そんな奴が相手だとすれば、神戸が警察官だと知れたら即殺されるってことだ。まずいぜこれは」
「現場に落ちていたピエロのボタンから犯歴のある指紋が検出されました。速水智也……あああの男ですね。傷害で起訴猶予って大した罪じゃありませんが。速水の部屋を調べてみますが、別にこれと言って気になる物は……写真? 裏に「偽物の青空と白い雲」と書いてありますが、公園とビルしか映ってませんよ。あとは古い区民広報とこれは……手帳にメモ? なんでしょこれ」
「神戸怪しまれてるね。草壁は要注意だよ。ん? この国どう思ってるか?」
「戦前戦中戦後一回も責任を取ったことが無い。事が起こってからでないと何もしない。国民を守ろうとしたこともない。そんな国の未来を憂いて行動してる……なんつってるけど、無理やり連れて来られて監禁されてるガキからすりゃ迷惑な話だ。ムカつくなあ」
「ところで、さっき神戸を助けてくれたカナちゃんだが、暗闇がダメだそうだ。なんでも三年生の時、同級生の子供に体育用具室に閉じ込められてしまった。それ以来光がないと怖くてしょうがないのだとか。可哀想なことだ。それで神戸は、自分が持っていた夜光のチェスのルークを模したストラップをお守り代わりにプレゼントした。いい奴じゃないか……」
「そんでやっぱ、警官を射殺したのは草壁の仕業のようだな。どうしてそんなことしたのかね」
「草壁曰く、この国の住民は火の放たれた家の中で何も知らず寝ている子供なんですって。自分たちがいかに無防備で危険かを知らせゆり起すため、明日声明文を発表する。そしてその後は、いさぎよく自決……はてさて、どんな声明文出すつもりなのやら」
続く
現実VS虚構(ニッポンVSゴジラ) 2016.08.31
レビュー企画 相棒Legend12 2015.09.20
レビュー企画 相棒Legend11 2015.07.28
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