まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.01.04
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上白石姉妹と美術にかんする話。

わたしは、以前、
「萌歌の美術の好みはよく分からない」
と書いたけど、

今回の AERAの記事 によると、
≫印象派が好み。
≫画家であればフォーヴィスムの創始者でもあるアンリ・マティスが大好き。
とのこと。

まあ「マティスが好き」というのは前にも言ってました。

でも、萌歌の嗜好からは、
さほど印象派の要素を感じなかったのですよね。


≫印象派が好き。とくにモネが好き。
というのは、とても分かりやすいけど、

マティスは印象派に比べてかなり現代的だし、
やはり萌歌の好みは、
ピカソ&マティスが軸になってると考えるほうが、
わたしにとっては分かりやすい。



もともと、
美術史におけるマティスの位置づけは分かりにくい。
あまりにも現代的だから、
近代の《象徴派》にも《印象派》にも、
そして《野獣派》にさえも収まりきらない面がある。


現代のグラフィックデザインや、
むしろイラストレーションに近いもので、
いわゆる「西洋美術史」の中には位置づけにくい。

アカデミックな伝統との断絶とか、
従来的な美術史カテゴリーからの逸脱という点では、

強いて分類するなら 「ポスト印象派」 ってことでしょうか。



これは、
ちょうどエリック・サティの音楽が、
ドビュッシーやラベルなどの印象派とはだいぶ違って、
いわゆる「西洋音楽史」の中に位置づけにくいのと似ている。
さしずめフランス近代が生んだ鬼子なのですね。

実際、
エリック・サティ (1866年生) と、
アンリ・マティス (1869年生) は3才しか違わないし、
出身も同じフランス北部だったりする。

そして、なにより、
サティの「家具のような音楽」 と、
マティスの「肘掛け椅子のような絵」 は、
ほとんどコンセプトが同じなのですよね。

今でいうなら「アンビエント」ってこと。



大久保恭子は、
コクトー&ピカソ&サティの『パラード』 (1917) と、
マティスの『ジャズ』 (1947) とを関連づけています。



前者は、
見世物小屋のパレードを描いたディアギレフのバレエリュス作品。
後者も、モチーフが似ていて、
サーカスや演劇を切り絵と言葉のコラージュで描いたアートブック。

両作品には、2つの大戦をまたいで30年の間隔があるけれど、
どちらにも「ジャズエイジのモダニズム」というべき通俗性がある。

ちなみに、
アポリネールが「シュルレアリスム」の語を初めて用いたのは、
コクトー&ピカソ&サティの『パラード』に対してです。

こちらは山村浩二のアニメ。

サティとマティスの近似性については、
もっと多くのことが考えられねばならないし、
そうでなければ、彼らはいつまでたっても、
「近代の鬼子」みたいな位置づけに据え置かれる。
とくにフランスの近代文化は、
ジャンル横断的にとらえなければ見えてこないものが多い。

戦後の日本人は、
そういうことをすっかり忘れてしまったのだけど、
戦前 (とくに大正期) の日本人は、
比較的そのことがよく分かっていた気がします。



ちなみに、わたしも、
昔から「マティス的」なものが好きでした!
それは、より正確に言えば 「ミック板谷的」なもの ですがw

「マティス」と書くより「マチス」と書くほうがしっくりくる。


わたしが「ミック板谷的」なものを意識するようになったのは、
同世代の例に違わず、
ゴンチチのアルバムジャケットの刷り込みがあるから。
わたしが愛聴してたのは『マダムQの遺産』です。




ちなみに『マダムQの遺産』に太田裕美が参加してるのは、
もともとプロデューサーが福岡智彦だからです。


まさにゴンチチの音楽なども、
サティやマティスを基礎にしていたところがある。
(とくに初期のころは)



ミック板谷みたいな画風は、
もとはといえばマチスやコクトーに始まるわけですが、
その後のさまざまな画家にも見られます。

個人的には、
パウル・クレーやサミー・ブリスにもそれを感じるし、
ポーラ・マッカードルとか、
ロジーナ・ワハトマイスターとかにも感じてしまう。
岡本太郎にもそういう面がなくはないw

そういう作品を見るとき、
わたしの頭の中には、
どこかでゴンチチの『マダムQの遺産』の音楽が鳴ります(笑)。
とりわけ「バスで見た女 ひと 」という曲。






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最終更新日  2024.05.21 14:33:28


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