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< 父との再会 > タカシと父とのテレパシーによる会話が始まった。『タカシ、父さんは土星を見てきたよ』 それを聞いたタカシはやっとの思いで嗚咽をこらえた。なぜなら年老いた父が、生前『天文台にあるような大きな望遠鏡で土星の輪を見てみたい』と言い、タカシは「いつか一緒に観に行こうよ、ぼくが車で連れて行ってあげるから」そう言うと、父は嬉しそうに頷いていた・・・だが、その約束を果たせないまま父は逝ってしまった。 父とは、いつまでも目に見えない強い絆でつながっている。そう信じていたタカシだったが・・・父との最期の約束を果たせなかったことが、彼の心の一隅を曇らせていたのだ。 『父さん、ごめんよ・・・約束したのに・・・いっしょに土星を観ようって・・・』『いやいや、お前は何も気にしなくていいんだよタカシ。父さんは幸いにしてあらゆる束縛から解き放たれ、自由自在な新しい命を恵まれてな・・・この目で本物の土星とその輪を直に見て来たし、もっと遠くの銀河系にも行ってきた・・・子供の頃から夢みた天体の、いつまで見ていても飽きることの無い、素晴らしい眺めを堪能してきたのだから・・・』『それは・・・なんてすごいんだ!良かった!本当に良かったねお父さん!』タカシが見上げる上空で、父も嬉しそうに頷いた。『そんな宇宙の旅の途中で、偶然知り合ったスターライフたちから君らの計画を聞いたんだ。懐かしい生まれ故郷の惑星、地球を救う計画だ。その場で仲間に加わることを決意したよ。そしたら彼らの口からお前の名前が出た!おまけにお前の役目は彌勒菩薩の代行だと言うじゃないか!これにはさすがに驚いた!・・・もう、父さんは居ても立ってもいれなくて、スターライフたちを先導して飛んできたのだよ、何しろ地球のことは、誰よりも父さんのほうが詳しかったからね!』タカシは胸が熱くなってしまって・・・もっとたくさん言うべきことがあったのだろうけれど・・・『父さん、ありがとう・・・感謝するよ・・・』それだけ言うのが精一杯だった。
2010.02.25
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< 懐かしい声 >「タカシ・・・」 唐突に声が聞こえた、それはタカシ以外には聞こえていなかったのだが・・・とても懐かしい声だった。「もしかして、父さん?」「久しぶりだね、タカシ・・・」上空を埋めるスターライフたちの中に父を探すタカシ。その思いに応えるように上空の一角にタカシの父の温顔が現れた。「父さん!」父は人さし指を口の前に立てた。「わたしの顔は、お前にしか見えていないのだよ。だから心の中で話しをしよう。地球でいうテレパシー、あのようなものだと思ってもらえばいい」タカシは、父に見えるように頷くと、メットに指示を与える。『音声、オフ』管長や、前田総理たちは、タカシ扮する彌勒が来訪者たちを見上げて「父さん!」と言ったきり沈黙を守っていることに戸惑いを感じている。なにしろ、上空を覆いつくす訪問者達の中に救世主の『父』が居るのだ、誰一人タカシに声をかけることなどできず、ただ彼の背中を見守っている。
2010.02.23
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