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Dear昭和 誘惑の落陽 (5)3日目の朝、あいにくのくもり空。ブッフェテーブルの前で朝の挨拶を交わした秋穂君が言った。「今日はご覧のとおりの天気で、午後からは降り始めるようですから撮影は中止です」こんな天気でも、オーシャンビューはいい。オフのせいか皆時間を気にせず、談笑しながら朝食をとっていた。「忘れてた!星の砂!」 唐突に声をあげて佑が立ち上がった。「どうしたんすか?佑さん」 「星の砂だよ、マキに頼まれてたんだ、ちょっと行ってくる」あ、なるほど・・・と語尾は消えそうに言い秋穂は笑みを浮かべて佑を見送る。(さっそくフロントで聞いてみよう・・・)近づいてくる佑に気付いた女性スタッフがカウンターの中で笑顔を向けながら挨拶をくれた。「おはようございます。良くおやすみになられましたか?」夕べはかなり遅くまで盛り上がったから心配してくれているのだろう「おはよう。泡盛美味しかったし、悪酔いしなくてぐっすり眠れたよ」「気に入っていただけて、良かったです」「うん、ありがとう。帰りには買ってお土産にしたいんだけど・・・」「大丈夫ですよ。泡盛なら何処ででも買えますから」よかった、お土産半分ゲット同然!「あと、星の砂ってここにもあります?」「はい、星の砂なら前のビーチにいくらでも有りますし、コンドイ岬の向こうには太陽の砂も有ります」「太陽の砂?それはいったいどんな・・・」行ってみられたらすぐにお分かりになります、と言われ砂浜に出た。なるほど、昨日まで海や夕陽、朝陽に気をとられて気付かなかったけれど珊瑚の砂の中にはホテルで教わった通り、星の形をしたものがたくさん有った! 太陽の砂も、と思ってはみたが、マキの性格を考えその反応を想像してみる「星と太陽を混ぜるって・・・どうなの?」 その後に「バランスの美ということを・・・」 と続きそうだと悟った。 結局、佑は後で買った小瓶の中には星の砂だけを詰めた。 急に聴きたくなったビリージョエル。映像とマッチ! ブログランキングに参加してます。応援のポチをお願いします♪
2013.06.29
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誘惑の落陽 (4)この島に来て2回目の朝日が昇りはじめた。現象として「日の出」というのが正しいのだとしても、「朝日が、昇る!」それが相応しい。人はどうであれ、強くそう感じたからには、その時の佑にとってそれが正しい表現であり、実際そんなふうにしか思い出せない。竹富島の上空を飾り立てていた星たち、澄んだ大気の地上から見上げる星たちは、野鳥の会のベテラン会員を100人連れてきても数え切れない!たぶん・・・おまけに色まで多彩なのだ!白く輝く星だけでなく、オレンジ、赤っぽいもの、青みがかった星・星・星・・・佑の心を虜にしていた星たちが、どうした事か、自ら輝きを失い始めた主役の太陽が、その身にまとう大気の青さに急き立てられ星たちが彼に舞台を譲ろうとしているのか?戸惑いを受け止めきれず、あるいは受け入れられず、なのか?逡巡する佑の目の前で薄れ消えてゆく星たちの中を、分け入る光の先触れが幾すじにも、瞬く間に増えて、水平線を染め始める!やがて巨大な太陽が少しずつ、東の方から海面を圧倒してゆく!直視できずに目の前に手をかざす。それでも尚、陽光は砂浜に打ち寄せる波を追い抜き、押し寄せて来る!佑に迫る感動は今までに経験した事の無いものだった。彼は、南の海と島々と共に大いなる大自然の営みを白い歯を見せて歓迎した!落陽との違いがそこにあった!一種独特な切なさに突き動かされ、波打ち際に誘う!それが落陽ならば・・・はるか東の水平線から現れる朝日は清々しい笑みをもたらしてくれるのだ!ああ、ちっぽけな俺、けれど怖れることなど微塵もなく、巨大なる太陽に向って「やあ、逢えてうれしいよ」そう言える俺がいた。人もまた大自然の一部なんだと、素直にそう思えた。朝日の中で 太陽と言えばこの曲、ジョン・デンバーで「sunshine on my shoulder」 人気ブログランキングに参加してます。 応援のポチをいただくと嬉しいです♪
2013.06.19
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※お知らせ、15日~18日まで出張です。お返事遅くなるかも よろしくお願いします。今日の昼過ぎには出発します。 誘惑の落陽 (3)2日目の朝、佑は肩をゆすられて目を覚ました。朝が苦手なので、仕事の日には出勤の1時間半前に目覚ましをセットする。ではオフの日はというと、マキからの電話もしくは彼女に肩をゆすられて目覚める。彼は後者を好む。何しろ、マキのあの顔、あの声で起こされるのだから彼女のポスターを欲しがる男の子たち、許せ!けれど現実は、それほど甘くはなくてベッドの上で起き上がった佑に決まってマキはこう言う「早く珈琲、淹れて」 とぶっきらぼうな口調で急き立てる。あれさえなきゃ言う事なしなんだが・・・ 話しは今に戻そう・・・ ボーっとした頭のまま見上げると、そこに立っていたのは秋穂くんだった。「え!」「え!じゃないです。時間ですよ。もうみんな撮影の準備、始めてますから・・・あと、ロックしてなかったですよ、ドア」そうか、今日は朝やけのシーン撮るんだったのに、モーニングコール頼むの忘れてた・・・いかん!と慌てて起き上がった!秋穂は答えをもらえないまま立っている「・・・・・・・・・・・・」顔を洗い、着替えを済ますと、秋穂くんが部屋を出るところだったが、佑を振り返ると「ミネラルウォーター、一本栓抜いときましたから、飲んだらすぐに来てくださいね!」「うん、わかった。ありがとう」えーと、日の出のシーンは光の当て方が難しいから今日は秋穂くんのアシスタントのアシスタント・・・つまりは、殆ど見学者ということか・・・夕べ泊まったリゾートホテルは、その壁面全体に白砂を吹き付け塗装しているホテル正面の石段を降りると、白い珊瑚の砂の道が裏手の砂浜へ続いていてまるで白い砂で造られた砂像彫刻のように見える。 撮影現場に着いてから、誰の目にも所在無げに映る佑に声が掛かった。秋穂くんだ・・・「佑さん、今は見学してて下さい。その代わり午後からは鬼のように使いますからね」「あ、はい・・ヨロシク・・・」我ながらぎこちない返事をしてしまい鼻白む佑だったが、大方のスタッフと違う冷ややかな視線を感じた。元を辿ってみると、イスに深ぶかと腰を落とした男と目が合った。偉そうにしてるから偉いんだろう、薄給とはいえ旅費、宿泊費会社持ちの仕事だ、佑は軽く頭を下げた。偉そうな男は偉そうに軽くあごを引いただけで、顔を元に戻した。2~3歩後ずさり、男の座るチェアの後ろを見ると、背もたれに「Director's Chair」とあった。秋穂くん、さっきのやや大きめな声かけ・・・俺がボーっとしてることを許しているその理由をディレクターにも聞こえるように・・・そういうことか秋穂くんの気の利いた心配りに感謝!その夜、秋穂くんやスタッフ達と和やかに飲んでいた。例の「D」はあの後東京へ帰った。竹富島の船着場で見送ったが「お疲れ様でした!」 と言った皆の声が、心なしか思い切り弾んでいたようにそう感じたのは佑だけじゃなかった。きっとそうに違いない・・・気分良くビールを飲み干したとき、必然的に見上げた空に流れ星がひとつ東の空へ流れて行った!「マキ」思わず東の空へ目をやった佑、「今頃、一人でどうしてるかな・・・」マキのことが恋しい、たまらなく恋しい・・・ 佑の想いにぴったりな名曲、吉田美奈子さんの 「恋は流星」です。 ランキングに参加してます。ポチっとしていただけたら 嬉しいです♪
2013.06.08
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誘惑の落陽 (2) 「sun goes down searching for a beautiful days and everyday」直訳すれば「太陽は沈んでいく、素晴らしい日々と毎日を探している」だが佑の印象は違った。CM撮影の地「竹富島」の荘厳とも言える「落陽」を目の当たりにした・・・佑は、いつのまにかため息をついていることに気付いた。彼は海辺の町で育った。海に沈む夕陽は数え切れないほど見てきている改めて綺麗だとか感じることもなくなっていた。その彼がため息をつくほどに素晴らしく、大きくオレンジ色に輝く夕陽・・・圧巻は水平線と交わるその瞬間!海を自分と同じ色に染めながら吸い上げてゆくようだ!ゴッホでさえ描き切れないだろう色彩の刹那が連続する海面を、小魚の群れがきれいな弧を描いてジャンプした!まるでスパンコールの帯が煌めくように!思わず息をのむ光景だった!佑は思った。「太陽は沈んでいくんじゃない!あの水平線の向こうにある大地のそのまた向こうで順番を待つあらゆる大地と海と、そこに生きるものすべてに素晴らしい恵みをわけ隔てることなく与えるために、毎日照らし続けていてくれる」そう感じたのだ。その貴重な体験が、一つの難しい選択を、半分とはいえクリアして神経をすり減らした佑の枯れかけた心を潤してくれた。マキが傍にいたらきっと、何度も「ありがとう」を繰り返し、彼女を閉口させた事だろう。佑は唐突に思いだした!この旅に発つ前日、漠然と聞き流してしまったマキの言葉を!「大切な人が傍に居たって、癒してあげられないこともあるよな・・・言葉で表せないような、とんでもなく大きな存在の中に、身も心も溶けてしまうような・・・そういうことが最高に癒しになるってこと、あるんじゃないのかな・・・」(マキ、お前の言うとおりだったよ! ありがとう!)周りには誰もいない、あの夕陽が行ってしまうまでここで、マキの面影と二人きりだ。 今日のオススメは佑の大好きな、吉田美奈子さんで「海」 伸びやかで、艶っぽい歌声がとても魅力的です♪ 人気ブログランキングに参加してます。ポチっとよろしくお願いします。
2013.06.03
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