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2019年12月28日
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テーマ: ステーキ(223)
カテゴリ: 「食」
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 ステーキブームのけん引役、外食チェーンの花形「いきなり!ステーキ」が、急速な店舗展開の拡大後、短期間で失速、客離れ・売上げ減に歯止めがかからない。
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相次ぐ値上げと大量出店の誤算
2019年12月4日 NEWSポストセブン   
  …(略)…
 ステーキを立ち食いするスタイルが受けてきた「いきなり!ステーキ」が失速した。
 11月中旬、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは10月の月次動向を発表したが、既存店売上高は前年同期比41.4%減と大幅なマイナス。
 客数の落ち込みも深刻で同40.5%減だった。
 2018年の春先までは好調が続いていたが、4月から既存店売り上げが前年実績を割り込み、数字は月を追うごとに悪化。
 10月には、とうとう売り上げ、客数とも4割以上減少してしまった。
  …(略)…
        ​
 まず2013年12月、東京・銀座に1号店を出店。
 「分厚いステーキをリーズナブルな価格で立ち食いする」ことにテレビなどマスコミが飛びついた。
 口コミでの広がりもあって店舗網を拡大し、急成長を遂げた。
 2016年末に115店だった店舗数は、17年末に188店、18年末には389店まで増えた。
◆ステーキ文化を無視したNY進出で惨敗
 2017年2月には、鳴り物入りでニューヨークに進出した。
 一瀬邦夫社長は「全米1000店舗展開を目指す」と高らかに宣言。
 2018年2月16日、ニューヨークの中心部マンハッタンの5番街近くにオープンした4号店の開店イベントには、ニューヨーク・ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏も駆けつけた。
 松井選手の背番号は55。
 gogoということだったらしい。
 一瀬邦夫社長は〈野茂(英雄)さんも松井さんも(米国で)大成功された。それにあやかりたい〉と語った。
 米国で多店舗展開する資金を調達するため、2018年9月に日本の外食チェーンとして初めて米ナスダック取引所に米国預託証券(ADR)を上場した。
  …(略)…
        ​
 米国のステーキ文化を無視し、日本で流行ったからということだけで「立ち食い」を始めても客を呼び込めるわけがない。
 慌ててテーブル席に切り替えたが、オシャレな店舗でもないのでビジネスランチには向かず、若者がデートで使うこともなかった。
 一時は11店舗まで拡大したが、消費者を掴み切れず店舗を次々と閉鎖し、赤字をタレ流した。
 その結果、2019年9月、米ナスダック取引所の上場を廃止。
 米証券取引委員会(SEC)の登録もやめた。
 「いきなり!ステーキ」のニューヨーク上陸は惨憺たる結果に終わった。
  …(略)…
        ​
◆相次ぐ値上げで客離れを引き起こす
 決定的だったのは、「仕入れが困難」という理由でたびたび値上げをしたことだ。「量り売りといっても、たいして安くない」(20歳代のサラリーマン)といった声が挙がっていたうえ、2018年5月には「国産牛サーロインステーキ」と「国産牛リブロースステーキ」を1グラム当たり1円値上げして11円とした。じつに値上げ率は10%だ。
 公式サイトの全店共通のメニューによると、一番上に表示されているのが「リブロースステーキ」。量り売り価格は1グラム当たり6.9円(税抜き)。昨年7月以前と比べると0.4円高くなった。300g定量カット×6.9円=2070円(税抜き)、400g×6.9円=2760円(同)。これを「安い」と考える消費者は、どれくらいいるだろうか?
 サラリーマンがよく昼食に注文するのは「CABワイルドステーキ」で、こちらは200g1130円(税抜き)、300g1390円(同)と安価だが、メニューの末尾に載せていて、しかも扱っている店は数えるほどしかない。
 相次ぐ値上げで値ごろ感を失った──。
 これが客離れを引き起こした最大の原因である。
        ​
◆「郊外店」が大苦戦を強いられる店舗戦略の失敗
 「いきなり!」の店舗は駅前を中心に立地していたが、2017年5月、群馬県高崎市で初の郊外店を出店したのを皮切りに、出店エリアを都心から地方に拡大した。
 2018年の大量出店も半数は郊外だ。
 主に閉店したコンビニエンスストアの店舗などを活用した結果、店舗網は47都道府県に広がった。
 もちろん郊外は都心に比べ出店余地が多いうえに、家賃も安い。
 だが、すでに店&商品に客を引き寄せる魅力が薄れ始めていた同店が郊外に、しかも多数立地すれば結果は目に見えていた。
 また、特にフランチャイズ(FC)店の新規出店が目立った。
 店舗数472店のうちFC・委託店は4割強を占めるようになった(2019年6月末)。
 業績不振に陥ったラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングスがフランチャイジーとなって、2017年12月、1号店を福島市内に出し、その後もFC店を次々と出店した。
 幸楽苑を皮切りに外食チェーンのFC店が急増したのである。
        ​
 だが、FC店はいずれも郊外の路面店だ。その結果、1つの商圏で複数出店するケースが続出。
 客を奪い合う深刻なカニバリーゼーション(自社競合)が起きてしまった。
 ペッパーフーズは店を増やすことだけに目を奪われ、「1つの商圏に店は1つ」という基本ルールから逸脱したのである。
  ― 引用終り ―
        ​
 最大の原因は、「値ごろ感を失ったこと」。
 他に何があるか。
■立ち食い
 立ち食いは都会のランチには向いている。
・狭い店で展開でき、高い家賃の負担が軽減できる
・滞在時間が短くなり、回転を上げられる。
・食事の提供などサービスの展開が容易。
 地方のランチ、ディナーでは、なぜ狭いところで立って食事をしなければならないのか、必然性が分からない。
■シンプルメニュー
・食材のロスが少ないため、原価率を高目に設定できる。
・厨房を特化でき、必要最小限のスペースにできる。
・厨房の什器への投資が最小限で済む。
・早く提供できる。
 人口の多い所では、メニューを絞っても客が多いので、十分来店は確保できる。
 人口の少ない所では、メニューを絞ると、常連が飽きてしまったら来店客が減る一方となる。
 加工工程の少ないシンプルメニューなれば、バリエーションの拡大は難しい。
 狭い厨房とする必然性は、ショッピングモールへの出店以外では見いだせない。
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■都市中心の出店
・駐車場がなくとも集客できる
 郊外への単独出店では来店客数に合わせた駐車場の設置が必要。
 郊外では駐車場がいっぱいだったり、入出庫がしにくい店は次第に客を失う。
 競合する場合この点は顕著で、とめ易い駐車場環境が必要。
■米国のステーキ
 伝統的な食事は、ご飯に味噌汁のような定番の組合せがあることが多い。
 「ハレ」と「ケ」に分類すれば、日本では「ハレ」に近いステーキが、米国では「ケ」に近い。
 米国でステーキを食べた日本人の多くはかく語る。
 「肉もでかいけど、付け合わせが多くてビックリした」。
 付け合わせはマッシュポテトのような穏やかなものもあるが、ポテトフライ山盛り、オニオンフライ山盛りなど、カロリーと脂肪分がたっぷりのメニューもある。
 ステーキだけでは物足りない。
 最近はヘルシー食志向の米国人が増加している。
 有機野菜取り扱いのスーパーが増加し、牛乳はアーモンドミルクや豆乳などに替えられつつある。
 ヘルシー志向の米国人は、ステーキだけをたくさん食べることはない。
ペッパーフードサービスの2018年12月期の連結決算は、最終損益でマイナス1億2100万円の赤字。
 2019年12月期も2期連続の最終赤字の見込み。
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 急速な店舗網拡大と急速な業績不振は、肉にかかわるところでは、業績不振の理由は全く異なるが三光マーケティングフーズが運営する牛丼チェーン「東京チカラめし」を想起させる。
 「焼き牛丼」がウリだったが、定食がたくさんあった。
 2011年6月、1号店(池袋西口店)オープン
 2012年9月、累計100店舗
 2014年6月、全88店舗中62店舗の運営を、新設会社である株式会社チカラめしに移管
 同日、チカラめしの全株式を株式会社マック他2社に譲渡
 2019年12月、7店舗のみ営業
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 ​ 店舗情報
 元祖 焼き牛牛丼
 東京チカラめし
 三光マーケティングフーズ 公式サイト
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最終更新日  2019年12月28日 06時00分13秒
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