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2020年09月24日
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テーマ: 中国情報(414)
カテゴリ: 中国、台湾
 高速鉄道は安定性と円滑性の要求が非常に高いので、その建設費は普通鉄道の建設費より2~3倍高い。
 車両や軌道の維持などの費用も普通鉄道より高額となる。
 高速鉄道網は膨大なインフラ建設を伴うが、旅客輸送専門なので人口の稠密な地域間で乗車率を高くしないと、採算が合わない。
 利用料金は、拠点間のインフラ投資が不要の航空輸送と競合しうる設定が上限となる。
 中国は世界に類を見ない短期間で、大規模な高速鉄道網を実現した。
 莫大な建設コストの償還と運行コストの赤字の負担の時期がきた。

        ​
中国を脅かす巨大なリスク
「中国版新幹線」のはてしない無軌道
北京の著名な研究者も警鐘を鳴らした
2019年2月25日 現代ビジネス
  …(略)…
膨れ上がる債務の実態
【5】中国の高速鉄道は主として融資による債務に依拠しており、大規模な高速鉄道の建設は中国鉄路の負債を2005年の4768億元(約7兆7720億円)から2016年の4.72兆元(約77兆円)まで急増させた。
 中国鉄路の収支は秘密事項だが、その公表された負債と旅客運輸収入のデータから考えると、たとえ高速鉄道の運営コストを考慮しない前提で、高速鉄道の全運輸収入を高速鉄道の建設に関わる借款の利子払いに充当したとしても足りないと判断できる。
 その理由はこうなる。
 2016年末の中国鉄路の負債は4.72兆元だったが、その中の少なくとも3.3兆元(約53.8兆円)は高速鉄道2.2万kmの建設と動力ユニットの購入に投入されたが、これを年利4.75%で利息を計算すると、毎年支払わねばならない借款の利息は1568億元(約2兆5560億円)となる。
 2016年における高速鉄道の運輸収入は1409億元と推定できるので、1568億元の利息支払いにも不足するのである。

【6】中国鉄路の旅客輸送収入は2018年上半期には1693億元(約2兆7600億円)に達したので、通年では3400億元(約5兆5400億円)が見込まれる。
 しかし、2018年9月までの中国鉄路の負債総額はすでに5.28兆元(約86兆円)に達しており、目下のところデータはないが、地方政府が高速鉄道の建設で抱えている莫大な金額の債務を考えると、巨額な高速鉄道の債務はすでに形成され、国家的な金融リスクが誘発されているのかもしれない。
  ― 引用終り ―
        ​
 何もなくとも採算の合わない中国高速鉄道網を新型コロナ対策のロックダウンが衝撃を与えた。
 人が移動しないので運賃収入は激減した。
 にも関わらず景気刺激策として建設投資は継続された。
 2020年の初めから年末までに高速鉄道が約2300キロメートルに達すると見込んでいる。
 おそらく大半が赤字路線となることだろう。
        ​
中国国家鉄路、
5兆円投資で止まらぬ新線建設
4分の3を新線建設などインフラ向けに当てる
財新 Biz&Tech 
2020/07/16 東洋経済オンライン
 中国国家鉄路集団(国鉄集団)は7月5日、2020年上半期に全国で総額3258億元(約4兆9500億円)の鉄道関連の固定資産投資(設備投資に相当)を完了し、その額が前年同期比1.2%増加したと発表した。
 今年上半期の鉄道投資は新型コロナウイルス流行の影響を受け、1~3月期の投資額は前年同期比21%減の799億元(約1兆2100億円)にとどまった。
 だが4月以降、国鉄集団は着工済みのプロジェクトの建設ペースを加速し、4~6月期には前年同期比11.4%増の2459億元(約3兆7400億円)を投資した。
        ​
 鉄道関連の固定資産投資は、線路敷設などのインフラ向け投資と、車両などの装備向け投資の大きく2つに分けられる。
 上半期にはインフラ向け投資に前年同期比3.7%増の2451億元(約3兆7300億円)が割り振られ、総投資額の4分の3を占めた。
 そのうち4~6月期のインフラ向け投資は1797億元(約2兆7300億円)と、前年同期比16.4%増加した。
  ― 引用終り ―
        ​
 高速鉄道網はさらに巨大化。
 維持費も当然より巨額となる。
 そして利用者は、コロナ禍により減少。
 収支はさらにさらに悪化。
        ​

中国国家鉄路、上半期に「巨額赤字」で前途多難
コロナ禍で旅客輸送の売上高が半分以下に
2020年9月11日 東洋経済オンライン
 中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)が、新型コロナウイルスの流行がもたらした巨額の赤字にあえいでいる。
 同社が8月31日に発表した2020年1~6月期決算は、売上高が前年同期比23.52%減の4039億3000万元(約6兆1800億円)に縮小し、 純損失は前年同期の2億元(約30億円)から桁違いの955億4300万元(約1兆4620億円)に急膨張 した。
 国鉄集団は(需要の少ない地方路線など)公益的な輸送機能を担っており、毎年度の最終四半期に中国政府から公益輸送の赤字を埋める補助金が支給される。
 おかげで過去数年間、同社は最終損益の黒字を維持することができた。
 しかし今年は上半期の赤字があまりにも巨額であり、下半期の経営は未曾有の圧力にさらされている。
  …(略)…
        ​
 2020年6月末の時点で、国鉄集団は総額5兆5900億元(約85兆5270億円)に上る負債を抱えている。
 同社の説明によれば、この負債は主に鉄道網の建設を急ぐための大規模投資を継続している結果として積み上がったが、あくまで(長期的には利益が投資を上回る)優良資産だという。
 だが財新記者の調べによれば、国鉄集団は2020年から2022年までの3年間に650億元(約9950億円)の鉄道建設債券、1130億元(約1兆7290億円)の中期社債、1970億元(約3兆140億円)の短期借入金が続々と期限を迎える。
 輸送需要の急回復が見込めないなか、これらの返済をどう乗り切るのか、プレッシャーは高まる一方だ。
  ― 引用終り ―
        ​
 政治により路線拡大し、赤字も拡大していく様は、日本の国鉄に通じるものを感じさせる。
        ​
 2020年 6月9日、 香港・キャセイパシフィック航空は、香港政府が主導する総額390億香港ドル(約5460億円)の資本増強計画を発表した。
 「一帯一路」に基づき海外諸国で建設されたインフラも、収支が合わないため借款の返済不能となり、中国に帰属することになる。
        ​
 中国のしてきた投資の数々は債務と化し、双曲線的に増大する。
 過去、国内で「投資」名目でなされた中央・地方の債務は、経済成長の陰に隠れていた。
 経済成長が低下する中、増大する一方の巨額な債務を抱える中国政府は、財政を立て直す方向の政策に切り替えることができるのだろうか?
 経済破綻を隠蔽すべく国外進出の度を強め、内政は独裁を強化していくのだろうか?





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最終更新日  2020年09月24日 06時00分09秒
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