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ここのところ、なんとなくフランス映画から離れていたので、圧倒的なフランス・カラーが、なんだか懐かしい。その個性は、小休止を挿んで、さらにまた魅力的に感じられた。言わずと知れた名作。カトリーヌ・ドヌーヴが本当に美しくて、切ない悲恋に心動いた90分だった。とにかく音楽がすばらしい。 この作品は、ミシェル・ルグランあってこその名作だと言っていいと思う。台詞がない、ほぼ音楽のみで構成される情緒たっぷりな恋愛劇を想像していたので、終始メロディにのせた台詞があっておどろく。歌と踊りの最高峰だと私的に思っている『ウエスト・サイド物語』とは、対極にあるといっていいかもしれないミュージカル。派手に踊ることもないし、囁きや嘆きや普通の会話が、優しい歌と音楽にのって描かれていく。 傘屋の娘ジュヌヴィエーブは、工員の青年ギイと恋に落ちる。しかし、アルジェ戦争によってふたりは引き裂かれ、互いに愛し合いながらも、別々の道を歩んでいく―――。強烈に相手を求める若さゆえの恋は、こんなにも一途であったか、、、! そんな懐かしい切なさに打たれて、苦しくなった。健気なドヌーヴの、美しく儚い存在感が抜群に素晴らしくて、なにからなにまで絵になる作品だった。とにかく音楽が最高! 「モーナムー」というテーマ曲が頭を離れない。 そして、ラストが印象的だ。数年後、ギイの経営するガソリンスタンドで、互いに家族を持つ身となって再会するふたり。節度ある振る舞いが、時を経たことを思わせるけれど、しっかりとあの頃の愛を再認識しているようで、、言葉少なな別れが切ない涙で滲んでくる。とっても余韻の残るラストだった。 監督・脚本/ ジャック・ドゥミ 撮影/ ジャン・ラビエ 作詞/ ノーマン・ギンベル 音楽/ ミシェル・ルグラン 出演/ カトリーヌ・ドヌーヴ ニーノ・カステルヌオーヴォ マルク・ミシェル エレン・ファルナー (カラー/91分)
2009.09.30
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夢野 久作(1889~1936) 福岡県出身の小説家。日本右翼の大物、杉山茂丸の長男として生まれた。ジャンルはSF、探偵もの、幻想文学、ホラーなど多岐に渡る。代表作『ドグラ・マグラ』は日本探偵小説三大奇書の一つに数えられている。はじめての夢野久作作品です。偶然『ドグラ・マグラ』の紹介文に出会い、興味が湧いて、さっそく古本屋で著作を探してみました。表題作の他に、『童貞』『けむりを吐かぬ煙突』『女坊主』を収録。『少女地獄』、、ってタイトルからビビってしまいますが(笑) 中身は構えたほどではありませんでした。昭和11年というから、古い古い作品です。3話に分かれた構成で、それぞれ、虚言癖の少女、サディズムの色魔に抵抗できず命を落とす少女、醜貌ゆえに阻害されづづけた少女、らが主人公。どれも書簡体という、作者の得意としたスタイルで書かれています。3タイトルそれぞれに映画化がされていますが、大概はピンク映画という、、やっぱりそうなっちゃいます?ただし『ドクラ・マグラ』だけは評判もまずまずなので、いつか観る機会があるかもしれません。全部の物語が、男女の宿命的な出会いからはじまって、異様な様相を呈していく――。そこに耽美さ蠱惑的な要素が合わさると、エロチシズムのある独特な世界が広がっていくのでした。 異様とはいっても、色んなもので免疫をつけてしまった現代には、驚きはないかもしれない。でも、これを書いていた夢野久作氏の大物具合は、ニュアンスから感じ取ることができます。私的には『少女地獄』の第一話『何でも無い』という物語が好き。病的なほどの虚言癖ある少女に、医院を乗っ取られかけた、耳鼻科医の手簡で綴られるお話。次第にことの真実が暴露されていくと、驚かされ、ちょっと寒気がするようで、、。こんな少女、現実にも居そうだからこそ、ゾクっとする面白さがあるのですね。しかも彼女は、きっと死んでないんですから、、。
2009.09.24
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スラップスティックで描く、田舎娘ザジの、パリでの36時間。名優フィリップ・ノワレが、ナイトクラブで働く叔父に扮し、こしゃまくれたザジをエスコートする・・・のですが。朝寝坊してる間に、ザジは独りで街へ繰り出しちゃう!ヘンテコな人々に出会う、刺激的な一日。彼女と一緒になってパリを歩いているような、子ども目線の冒険の楽しさが、一番の見どころといっていいかも。コマ落としや、カットバック、早回し、ロングショット、ありとあらゆる手法を駆使した斬新な映像は、たしかに今では観飽きた感もあるけれど、いつもとは違った角度から映画を見ているような感覚がおもしろい。エッフェル塔の高所で撮影したシーンは、ほんとにゾクゾクしちゃうのだった。落っこちそうな叔父さんにドキドキ、すごい高さから螺旋階段を下りてくるザジにハラハラ・・・変に手を加えていないからこそ、素直に映像の遊びを楽しめる良さがある。メトロに乗ることだけを楽しみに、母親に連れられパリにやってきたザジなのに、メトロはストで動かない―――。子どもらしく駄々をこねた後、繰り広げられるドタバタは、とりとめがなく進行し、乱痴気騒ぎへと突入していく、、。もうワケがわからない!という脈絡のなさが、フランス的な遊び感覚であり自由さであり魅力なのかもしれないけど、ただ、ほんとにくだらなくなっている瞬間も確実あるわけで、あとは監督との相性なのかな。私的にはまだピンときたことのないルイ・マル監督作品。監督/ ルイ・マル 原作/ レイモン・クノー 脚本/ ルイ・マル ジャン=ポール・ラプノー 撮影/ アンリ・レイシ 音楽/ フィオレンツォ・カルピ 出演/ カトリーヌ・ドモンジョ フィリップ・ノワレ カルラ・マルリエ ユベール・デシャン (カラー/93分)
2009.09.22
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随筆家・内田百けんとその門下生たちとの交流を、ほのぼのと描いたドラマ。とにかく登場人物みんなが、気持ちいいほど高らかに笑う。清々しくて、愉快な生き方がステキだ。百けん氏の人柄を窺い知れば微笑ましくて、いつの間にか愛着を持って見てしまう。手に取ったことのある『第二阿房列車』『続 百鬼園随筆』からの印象では、百けん氏はユーモラスで、不機嫌で、わがままで。計画通りにことが進まないと安心できない小心者。ここには、そのまんまの百けんさんがいる。けして欠点ではくなくて、一長一短な個性として。タイトルは、還暦を迎えたのを機に開かれるようになった『摩阿陀会(まあだかい)』から取られている。「まだ死なないのかい?」の意味で「ま~あだかい?」と問われると、百けんさんは「ま~あだだよ!」と答えていたのだそうだ。みんな酒好き、大盛り上がりの宴は、一緒になって浮かれてしまうほどに楽しい。いつでも氏を慕い、賑やかに取り巻いていた門下生たちの姿が、ほんとうに清々しかった。度々家を訪問する門下生たち。その後の、戦争による空襲、奥さんとの仲睦まじい三畳一間の暮らし、「摩阿陀会」での大騒ぎ、、、。最後まで飽きさせないエピソードが続く。黒澤明の視線はずっと温かで、この大らかな作品が、巨匠の遺作であることは、出来過ぎたように流石だと思う。終盤での迷い猫・ノラのエピソードがいい。随筆『ノラや』を生んだ、愛猫の行方不明事件は、先に随筆を読んでから見ていれば、もっと楽しめたかもしれないと思うと残念。『ノラや』をはじめ、他の作品もまたぜひ読みたくなってしまった。監督・脚本・編集/ 黒澤明 原作/ 内田百けん 音楽/ 池辺晋一郎 助監督/ 小泉堯史 出演/ 松村達雄 香川京子 井川比佐志 所ジョージ (カラー/134分)
2009.09.16
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カウリスマキ作品の主人公たちは、なぜにこれほど情けないのだろう(笑)敗者三部作といわれるのは『浮き雲』『過去のない男』『街のあかり』なのだけれど、本作もその仲間に入れてもいいくらい情けない主人公だ。そしてそこが愛おしい。いつも似た構図のドラマばかりなのに、飽きがこないのは、台詞のないポーカーフェイスな人物の魅力と、絶妙なユーモア感覚か。 フィンランドの北の果て、ラップランド。炭鉱の閉山で失業したカスリネン(パヤラ)は父の遺品である真白なキャデラックで南を目指す。ヘルシンキに向かう途中、強盗に有り金全部を奪われ、日雇い労働者となった彼だが、イルメリ(ハーヴィスト)という女と知り合い恋に落ちる。彼女には一人息子がいた。その後、冤罪で刑務所に入れられ、脱獄し、銀行強盗で荒稼ぎ・・・国外脱出を企てるのだが―――。タイトルとなった原題の「ARIEL」は、ラストで国外へ逃亡するためのメキシコ行の船の名前。天使の名前をイメージさせて、ハッピーエンドらしいラストを彩る。ちなみに、いつも私のなかに湧き起こる感情を見事に表現した一言を某所でみつけたのでちょっとお借りすると、、。「カウリスマキ作品を観ると、身の回りの不要なものを捨てたくなる。デカダンな生活をしたくなる」そうだ、これだ!!ごちゃごちゃ混沌もいいけれど、閑寂な侘び寂的カウリスマキ作品にはいやおうなく惹かれてしまう魅力がある。なんにもいらない、生きているだけでいい。そんな素朴な力が、脱力感たっぷりなのに確かに届くのだからすごい。こちらも『死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれています。● ● ● ●監督・製作・脚本/ アキ・カウリスマキ 撮影/ ティモ・サルミネン 音楽/ ヨウコ・ルッメ 出演/ トゥロ・パヤラ スサンナ・ハーヴィスト マッティ・ペロンパー
2009.09.11
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『ホルテンさんのはじめての冒険』がじんわり素敵な後味だった、ベント・ハーメル監督作品。こちらも、ほのぼのとあったかく、時に哀愁を感じさせながら綴る良質な小品でした。 1950年代初頭のスウェーデン。キッチンの近代化を図るため、使う人の行動パターンを知る様々な調査が“家庭研究所”によって行われていた。つぎの調査は、ノルウェーに住む独身男性を対象にしたものだ。被験者となった初老の男性イザックの家にも、中年の調査員フォルケが派遣されてきて、「台所での行動パターン調査」は開始されるのだったが、、イザックは不信感と敵対心を募らせていく―――。会話を交わしてはならい規則に従い、真面目なフォルケはひたすら調査表と被験者をにらめっこ。反撥したいイザックは、キッチンで料理を作らないボイコット。ギクシャクしているふたりが、少しずつ会話を交わしはじめ、いつしか誕生日を祝い、酒を酌み交わすまでになっていく様を、ユーモラスに描きます。人は誰かと繋がり合いたいと常に願っている。そうでなければ人生の孤独には耐えられないからだ。イザックとフォルケにとっては、黄昏時に出会った気の合うお互いが、かけがえのない理解者になっていく。いつも高みから、素朴なイザックの生活を眺めているフォルケ。彼を訪ねてくるのは、唯一、愛車のトラクターに乗った変な友人だけ。コーヒーを飲んで、おしゃべりをして、ただ帰る。なんの変化もおきない毎日だ。しかし、イザックの平穏な日々は、調査台とトレーラーハウスを行き来するだけのフォルケ自身によって、気づかないうちに変化をみせていくのだった―――。中盤、仲良くなっていくふたりに、イザックの友達が嫉妬心を募らせていく件がおもしろい。思いあまった彼は、フォルケの寝床のトレーラーハウスを、トラックでこっそり運び出す。真夜中、そして線路上に置き去りにする・・・!「・・消す!」そんな彼の心の叫びが聞こえるよう(笑)すんでのところでイザックに助けられたフォルケだが、そんなことは露知らず、、。なんともシューール!常に人生の先には「死」がある、そんな会話も、イザックの愛馬が重い病気に罹っているらしいことも、ラストへの伏線となっていった。出会いによって人生が変わった人たち。人と繋がったことで、新しい何かを発見した人たち。『ホルテンさんのはじめての冒険』でもそうだったように、人生の変化に遅いも早いもないのだなぁとあらためて思う。幾つになっても変われるし、自分らしくあることが素晴らしいし、「限りがある」ことを知ってなければ大切にできない事があるのだ。ユーモアの後ろにこっそりと、胸の芯まで響くような切なさを用意しているベント・ハーメル作品に脱帽です。評判どおり、すごくよかった。じんわりじんわり、いつまでも残ってく感動。北欧らしいぬくもり。● ● ● ●監督/ ベント・ハーメル 製作・脚本/ ベント・ハーメル ヨルゲン・ベリマルク 撮影/ フィリップ・オガールド 音楽/ ハンス・マティーセン 出演/ ヨアキム・カルメイヤー トーマス・ノールシュトローム ビョルン・フローバルグ (カラー/95分/ノルウェー=スウェーデン合作)
2009.09.08
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「パラス・アテナ」(1898)クリムト 本日までの展覧会に間に合いました。暇のあった午前中、車を運転して芸術の森美術館へ。我が家から美術館へ行く道は、ドライブにもってこいなとても気持ちのいいコースです。途中のにわか雨清々しく、お出かけしてきました。 19世紀末ウィーン。保守的な芸術のあり方を脱し、アカデミズムに訣別を告げた「ウィーン分離派」を中心に、独創的な表現が彩りと活気をもたらした。1887年に開館したウィーン・ミュージアム(旧ウィーン市立歴史博物館)のコレクションの中から、クリムト、シーレをはじめ、ハンス・マカールト、カール・モル、コロ・モーザー、マックス・オッペンハイマー、オスカー・ココシュカらの選りすぐりの絵画約120点を公開する展覧会。クリムトといえばなんといっても『接吻』を思い出しますが、本展にはきていませんでした。ざんねん。一度は生で観たい絵画なのですが。今回の目玉は保守派を震撼させたという『パラス・アテナ』。“ 舌を突き出す黄金のゴルゴンを胸元に輝かせ、むきだしの真実の像を手に乗せた女神アテナ ”は、ひと際異彩を放っていました。この頃の、金箔を多用した官能的で妖艶な作品は、好きでも嫌いでもありませんが、目の前にあれば圧倒されてしまう、美に溢れています。背景の不気味さも印象に残る。私的に好きなのは、背景や洋服に細かく描きこまれている、アラベスクのような模様。そして鮮やかな色遣い。色や絵の、雰囲気だけでみるとヘンリー・ダーガーを思い出しました。鮮やかさの背後に存在する、確実に在る「死」のようなもの、、、それが似ていると感じさせる理由なのでしょうか。「牧歌」ldylle (1884) クリムトそんな絢爛豪華なクリムトですが、若いころ(保守派と決別する前)には、このような宗教画風な作品も描いていたそうです。ミュシャに似ていると思ったら、ミュシャも同じくオーストリア帝国出身で同時期に活躍した画家なのでした。これだけ見事な「牧歌」を観ると、作風や精神が革新派ではあっても、宗教的な思想をしっかり持っていた画家なのだと実感させられます。 「アルトゥール・レスラー」(1912)シーレ クリムト エゴン・シーレに関してはまったくの無知識でした。クリムトの生涯にわたる友人で、クリムトは描かなかった自画像を、シーレはよく描いたとか。強調された手や顔や体の輪郭の武骨さもきらいな作風ではありません。ダークな「ひまわり」の絵など、いいなと思う作品が幾つかありましたよ。写真(上・右)はクリムトの作品です。こんなアラベスクが散りばめられた幾何学的で絵本の挿絵に出てきそうなの絵も、今回あればよかったのに! (検索していたらすごく好みの絵を見付けたので載せてみただけよ、、、)
2009.09.06
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ジョニー・デップとティム・バートンの黄金コンビで大ブレイクした『チャーリーとチョコレート工場』のオリジナル版。当時、日本での劇場公開はなかったようです。CGに頼らないファンタジーが、ほのぼので、古き良き時代を思わずにいれない良作。『死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれています。内容は有名なので割愛させていただきますが、リメイクに比べて貧しさは切実。ダブルベッドで向かい合って寝る4人の祖父母からは、ほんとうの悲愴感が漂うカンジ。着てるものも汚れてて、リメイク版の楽しい寓話のような世界とは違います。ただ、心がキレイな子が幸せになる!というメッセージ性だけは変わりません。ワンカ(=ウォンカ)を演じたジーン・ワイルダーは、お人形のようなジョニデと比べてしまうと地味だけど(笑)わたしは好きです。意地悪なガキンチョ、食いしん坊、ゲームオタクならぬTVオタク、ガムを噛み続ける少女・・・みんなひとりずつ脱落していったあとで訪れるチャーリーの幸せは、ほんわか温かなハッピーエンドなのでした。ちなみにCGじゃないウンパルンパたちの歌と踊り、存在感も抜群でした。役者さんとして在る、体の小さな男優たちの熱演は、やはりリアリズムに勝り雰囲気作りに一役買ってます。改めて思うのは、ティム・バートン監督が手がけると、キッチュでダークな物語になるのだ!ということ。 ● ● ● ● ● ●監督/ メル・スチュアート 原作/ ロアルド・ダール 脚本/ デヴィッド・セルツァー 音楽/ ウォルター・シャーフ レスリー・ブリッカス アンソニー・ニューリー 出演/ ジーン・ワイルダー ピーター・オストラム ジャック・アルバートソン (カラー/100分)
2009.09.03
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若者たちを描いた作品が多い印象のガス・ヴァン・サント監督による、懺悔の物語。米・コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフにして描いた『エレファント』や、『パリ、ジュテーム』でもしっくりこなかったのは、作風が苦手なのだろう。淡々として、虚無感が漂い、最終的な結末は観る者に委ねられていく――。アレックスはスケートボードに夢中の16歳。ある日、ボーダーたちの憧れの公園“パラノイドパーク”へ向かった彼は、不良グループと出会い危険な遊びに加わる。その最中で、彼は誤って警備員を死なせてしまう。証拠はなにもないものの、警察の捜査に対し罪の意識を強くしていくアレックスだったが・・・。この主人公もまた、両親の離婚問題を抱えている。アメリカでは結婚したのち、半数のカップルが離婚するのだ。子どもがいないならまだよし、片親だけとなる子どもにとっては、問題を抱えやすいだろう。だから非行に走ると結論付けるのは短絡的だけれど、離婚した家族のドラマがこれほどたくさん作られる国アメリカの暗部は、日本の未来予想図のようで気になってしまう。もしも重大な罪を犯して、誰かに告白を聞いてほしいとき、相手がいないことの虚無感がやりきれない。とにかく、やりきれない物語だった。恋人がいるのに、その彼女は話したい対象ではない、薄っぺらな付き合いで、ましてや親や教師に相談することなんてできない。結局、彼が心を開きたいと思ったのは、恋人よりは落ち着きのある、まだ知り合ったばかりの女友達だった・・・。親の不在や、友の不在、悔恨の不在、自分が生きているリアルな五感感覚の不在。だれがこういう若者たちを救ってくれるのだろう。愛する意外に、なにができるだろう。監督は現代の若者の姿を、ありのままに描きたかったのかもしれない。真摯すぎて、温度なく荒んだ光景は、ブルーになるばかり。相変わらず、クリストファー・ドイルのカメラだけは奇麗だった。● ● ● ●監督・脚本・編集/ ガス・ヴァン・サント 原作/ ブレイク・ネルソン 撮影/ クリストファー・ドイル レイン・キャシー・リー 出演/ ゲイブ・ネヴァンス テイラー・モンセン ジェイク・ミラー (カラー/85分/アメリカ=フランス合作)
2009.09.02
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