PLUTOからの便り
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
キツネのコンスケ、今日も川べりで“いいカモが来ないか”と、あたりを見回しています。森の方ばかり見ていたので川の中からぬうっと現れたカメぱっぱが、声をかけたからびっくりしました。「何をしているのキツネさん」頭にあるお皿は、間違いなくかっぱだが、胸と背中にある甲羅に覆われた体は、かめの奇妙な動物が近づいてきました。「な、なんだ?」「ボク、カメぱっぱだよ」急にしおらしい態度に変わったコンスケが話し出します。「このところ食べ物がなくて困っていてね。妻と子供4匹が飢えそうなんだよ」「そりゃあ大変だ、ボクが魚をとってきてあげようか」「そうしてくれると助かるよ、そんなごちそう1ヶ月以上も食べていないから」カメぱっぱは、ドボンと川の中にとびこみ、すぐに姿を消しました。「コ~ン コ~ン こりゃあ 気のイイ奴に出会ったな、よし、たくさんの魚を干して仲間に売りつけてやろう」川からあがってきたカメぱっぱは、疲れた表情をしています。「昨日の雨で水がにごっているから魚がとれないの、もう少しまっていてね」再び見えなくなりました。“果報は寝て待てか”コンスケはニヤニヤしています。そのあとカメぱっぱは、一匹の大きな魚を口にくわえて帰ってきました。「キツネさん 今日はこれだけで申し訳ない。明日はいっぱいとってあげるよ」「しかたがない。明日も来るから頼むよ」魚を受け取ったコンスケは、森の中に向かい歩き出しました。そのあとをタヌキのタマノジョーが、後をつけているのはわかりませんでした。タマノジョーは、川べりでのカメぱっぱとコンスケのやりとりを最初から最後まで隠れて見ていたのです。コンスケは樫の木の根元で立ち止まり、周りを見ています。持っていた魚を下に置き枯葉を集めて隠すと、木によじ登りはじめました。しばらくすると、クルミやドングリが入った小さな袋を手に持って降りてくると魚をとりだし立ち去りました。次の日、キツネはやって来ませんでした。太陽が傾きはじめたとき、タヌキが現れカメぱっぱに近づきます。「コンスケは、もう、来ないよ」「キツネさんの友達なの?」「あんな奴は、友達なんかいないよ。毎日、みんなをだまして食べ物をとったりして迷惑をかけているからね」「そうだったんだ」「今頃は腹をかかえて転げまわっているよ。昨日、君があげた魚にお腹が痛くなる草をたっぷりとなすりつけたからね」「タヌキさん、キツネさんにこれを届けてください。お願いします」と、5匹の魚をさしだしました。「なんで、あんな悪い奴に親切にするんだい?」「お腹がよくなれば食欲もでるし、このお魚が誰かのお腹に入ればうれしいな」「カメぱっぱと、言ったな。君は本当に優しいね。だまされても悔しくないのかい」「だって、コンスケさんにも、きっと何かの事情があったんですよ。だからボクは恨みません」「そうか、奴の言葉で一つだけ真実なのは、まだ小さな子供が一匹いるんだ。今頃はひもじいだろう。わたしがこれを届けるよ。また、会おう。カメぱっぱ君」タマノジョウは、森の奥に向かい歩きし、おかしくもないのに自然と笑みがこぼれるのは、なぜだろうと、首をひねるが、その理由はわかりません。ただ胸の一部があたたかくなっているのには気づいていました。 おしまい
2012/10/02
コメント(0)