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隣の部屋に移動したメルトンブッチャーは、長さが10mもある大理石のベッドに巨体を投げ出し手足を広げます。すぐに地響きを起こすようないびきをかき始めました。背中側の右肩部分が少し持ち上がったのでオナガのビヨンヌは、隠れていた小さな穴から急いで飛び出し空中に舞い上がります。 40m上のアーチ型天井にある梁の一本にとまり真下で寝ているブッチャーの姿を見つめました。こいつは並み外れた生物で、高度な知能を持つ巨人なんだと、再確認しましたが、ビヨンヌの小さな脳では対応策なんて考えられません。 すぐにでもここから逃げ出し緑地仲間に事情を知らせねばならないと、ドームと大洞窟から脱出する機会を狙いますが、そのチャンスは思いのほか早くやってきました。ブッチャーの姿をひとまわり小型化した生物が部屋に入ってきたのです。寝ている巨人を起こさないようにして、地上では見たことのない食べ物を大皿に盛って石のテーブルに置くと静かに扉を開け外に出ていきました。 料理の中で奇妙なものが目につきます。それはドロドロの真っ赤な粘土物質が炎を上げいつまでも燃え続けていました。ビヨンヌには理解できませんが、地下深く流れているマントルを加工した大切な栄養源で赤肌族の主食でした。 大きく開いた扉からビヨンヌも急いで部屋から飛び出します。ドームの入口には、扉がなくてそのまま外に出ると、洞窟の天井が見えないほどの広さに驚かされ小さな目を見開きました。カメぱっぱたちがいる第一地下層へ戻る前に工場で何が行なわれているのか探ってやろうと、大きなドームのひとつに飛び込みました。 まず目に入ったのは、高い天井から鉄の棒が何本も縦列に垂れ下がり、そこに上下逆のベルトコンベアが、ゆっくりと動いています。ベルトの下についている鎖には先ほど食事を運んできた生き物、いやロボットがずらっと背中から突き出たフックで吊るされゆらゆらと、揺れ動いているのです。 その数はゆうに500体を超えていますが、それだけではなく見えない奥の部屋から次々と送り出されていました。どれも無表情で目は閉じていて、どことなくブッチャーの顔に似ていますが、身体は人間と同じような筋骨をしています。 進行方向にある壁際の大きなテーブルには、三人の巨人が椅子に座り大型のディスプレイパネルを見て、手元の操作盤をいじくっています。 つづく
2017/01/31
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「待て、グラシオラズ、それよりその変な言葉を使うな」「どうしようもないやんか、地上での電波を傍受していたら通天閣という場所の人間どもがペチャクチャ話していたのが、耳にこびりついたので、堪忍してや」「人間の情報は電波集積分析装置に任せて、お前は大事な任務があるだろう。クローンの生産増強は計画どおりに進んでいるのか」「はいな、もうバッチリで今月中に1000体は、いけまっせ。ただ鉄を含む重金属は無限にあるが、ニッケルやセラミックは加工が必要で遅れ気味だから、これからの生産に支障をきたすかもしれまへん」「工場内で働いているクローンをアップデイトして効率よく働かせろ」「クローンをあまり進化させると、感情をもち、あとあとやっかいなことになりますやろ」「それは心配するな、人工知能を脳に組み入れるとき三段階に分けているから、Cランクの単純労働のみのクローンを全体の60パーセントとし、Bランクは自分で考え行動するもので全体の30パーセント、残りの10パーセントが特殊技能をもつエリート集団にしている。いずれも俺たちの命令を無条件で従うようにするディスクを埋め込んでいるからな」「さすがやな、メルトンのブッチャーさんは。ところで嫌な報告が最後にありますのや、我々赤肌族の人数が、ここにきて急速に減ってきて、ついに200人を切り、ワシも頭が痛いですわ」「俺たちの平均寿命は、620年だけど繁殖率が低いから、人口は少なくなる一方だ。それが、今回の地表侵略作戦の動機のひとつでもある。クローンをいくら増やしても、しょせんクローンだ。人間どもの生身の肉体を改造して俺たちの子孫を増やす研究をしていて、もうじき完成するだろう」「白肌族のクリサーラなんかも、おもしろい実験動物になりますがな」「いや、あれは知能が高すぎるのと、DNAが我々と違い過ぎるから困難だ」「さ、ワシもそろそろ工場に行って、クローンの増産に励みますわ、なんか他に用事がありまっか」「兄のデルフミュームに変な動きはないだろうな」「そんな心配せんと、弟のあんさんがここの帝王なんや、兄やんは、マントル近くの地下牢に閉じ込めています。あ、ここも地下でしゃろ、地下の地下っておもしろいがな、どこまで続く地下の地下って」「もういい、お前といると頭が痛くなる。俺は少し横になるから」 つづく
2017/01/28
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2時間近く歩いていると、奇妙な生き物たちがぞろぞろ出現してきて巨人に、こうべを垂れます。直径1mの丸い岩で体全体が青いトゲでおおわれ、雪だるまのように小さな円形の顔があるもの、トカゲの顔をしていて6本の指と太い手足をもつ2mくらいの動物で、身体構造は人間と変わらないもの、体はボディビルダーなみの黒いムキムキの筋肉をしているが、首から上は極端に小さくて猿顔をしているもの、細いヒョロヒョロした棒状の体とひょろ長い手足に、小さな目鼻がついていて左右にフラフラ揺れているもの、その他、地上では絶対にお目にかかれない大中小、さまざまな動物たちがメルトンブッチャーが歩いている通路に整列しているのです。進むにつれて一段と広い空間が現れ、半透明のドーム形をした建物が見えました。24棟もあり、いずれからも、まばゆいばかりの光を放射して地上の真昼と同じ状態にしていました。奇妙な動物たちの中には、ブッチャーが通る前からひざまずいている上に、ほとんどのものは沈黙しています。通路の真ん中をドッシドッシ威風堂々と、歩く姿は、まるで皇帝のようで、この地における彼の立場を表していました。 右から3番目の大きなドームに入ったブッチャーは、大声を上げます。「グラシオラズ、お前の読みは外れたぞ、白肌族の女王、クリサーラは案外、手ごわくて、俺の命令に逆らうつもりだ」 入口の左側にある2番目の部屋の扉が開き、ブッチャーと同じ巨人が顔を出しました。顔つきはブッチャーに比べると、柔軟ですが、それでも迫力はあります。「ブッチャーさん、あんな小さい宮殿、バラバラに踏みつぶして平にしなはれ、他に、いくらでもあるよって、ほならワシがいってくるわ」 つづく
2017/01/24
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「そういえば、かなり前から耳元が静かで違和感があったけれど、うるさいビヨンヌがいないパッパ、誰か知っている?」 新之助とギンコ、それにヒミメールまでもが首を横にふりました。「もう、こんなときにどこへ行ったのかなパッパ」 ヒミメールが部屋の外に向かいます。「知っているものがいたならば、すぐに連絡させます。それにモグンバを探してここに連れて来ますから」残された緑地仲間は、不安な表情を浮かべたまま無言で床にうずくまりました。 その頃、ビヨンヌは第二地下層の深い場所にある巨大な洞窟の中、刃物の形をした鋭利な岩山中腹の陰に隠れていました。至る所を照らし出す強力なサーチライトの光が、そこの部分だけ届かないので、ほんの少しの間、休息地として選んだのです。メルトンブッチャーと名乗った巨人が第一地下層にある宮殿へ侵入し、女王クリサーラに地表にでる基地とするから協力しろと、脅かしたあと、引きあげる際、身体の左後方肩口下にあった小さな岩穴を見つけ潜り込みました。 ビヨンヌは、ただ好奇心だけで入り込んだ訳ではなく、この凶暴ながら高度な知識のある巨人の社会に行けば、なにか弱点を発見できるかも知れないと、考えた結果なのです。ビヨンヌにとってラッキーだったのは、岩石でおおわれている巨人でも動くときの関節部分や体内の熱を放出するラジエーターが18カ所の穴になっているのですが、そのほとんどが高熱でそこに飛び込めば、すぐ焼き鳥になったかも知れません。背中側の穴、5カ所だけが30度以下でその中のひとつに潜り込み助かりました。もうひとつの幸運は、その場所が念波を通さないのでブッチャーに思考を読まれない絶妙な隠れ場所だったからです。宮殿を出た巨人の歩く速度は、人間が全力疾走しているのと変わりませんが、途中にある障害物を蹴っ飛ばし手で払う度に無数の砕けた岩と、ほこりが舞い上がり、立つ鳥、跡を濁さずの逆で滅茶苦茶汚しています。3mもの巨体が通れる通路が地下にあるのも不思議ですが、潜れば潜るほど空間が広がるのは、地球内部の奥深さを感じられました。 つづく
2017/01/21
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「カメぱっぱさんの申すのも一理あるが、地上への早道を知っているのは、ここの生物で、手っ取り早く案内してもらって行くほうが得策と考えまする。どうでござるか、あのモグンバさんにそっと知らせ、手はずを整えれば。まずヒミメールさんに相談すれ・・」 その時、声は小さいが高音が響きました。「あなた方の内緒話は、よーく、聞こえますね」いつの間にか部屋の入口に小柄なヒミメールがにこやかに立っています。驚いた新之助が顔を白黒させ(ほとんど顔色に変化はありませんが)謝りました。「いつからそこにいらっしゃったのですか、失礼は平にご容赦を」「いえ、謝る必要はありません。あなたがたが今回の出来事を心配し、ここを脱出しようとするのは、当然です。ギンコさんもいわれたようにメルトンブッチャーは必ず見張りを残していますから、まずそのものたちが何処にいるか探りましょう。複数いれば脱出する道を何通りも考え最適な道を決め、おとり作戦も新之助さんだけでなく、こちらからも何匹かだすように手配します。すぐにモグンバに連絡しますから、しばらくお待ちください」「ヒミメールさん、かたじけのうござるが、クリサーラさまにうかがわなくてよろしいのでござるか」「女王さまは、宮殿内外にいる動物たちと連絡を取り合い、今後の対策を相談しています。ブッチャーたちと戦えば多くのものが殺されるので、それを極力避けながら勝機を見出そうとけんめいに考えていますからね。あなた方が地上に戻る計画はもう少し経ってから報告します」「わかり申した。よしなにお願い致しまする」 ヨシコがカメぱっぱの短い腕をそっと引っ張りました。「ね、ずっと前から気になっていたけどニャー、オナガのビヨンヌがいないけど知っていた?」 つづく
2017/01/18
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ようやく最初に案内された部屋に到着し、床にうずくまると、お互いの目を見合わせ、ほっとした表情を浮かべます。ヒミメールが静かに部屋を出ていくと、ハクビシンの新之助が口を開きました。「まずは、皆々方のご無事なによりでござった。それにしてもメルトンブッチャーと申す奴、恐ろしい生き物であった。あやつの体、岩石でおおわれた化け物で地上にはいない怪物であるのは間違いないが、私めがじっくりと観察していると首の下、胸元上部に縦長の小さな亀裂があって・・その中でドクドクと真っ赤な溶岩のようなものが激しい勢いで流れていたのでござる」 ヨシコが驚いて声を上げました。「すると、あいつも体の中は、柔らかい内臓があって血液が流れているというわけだニャー、皮膚の部分が岩石でも他は地上動物と変わらないかもニャン」「それでも、あやつの弱点には繋がらないかも知れぬな、それよりも我々がすぐに行動しなければならないのは、ここを早く脱出して地上に戻り、木村トメどのや他のごじんにこの件を早急に知らせることでござる。この点に異議のあるものはいないと考えるが」 新之助が皆の顔を見渡しました。それまで一言も喋らなかったカッポウギンコが口を開きます。「ここから脱出するのには賛成だが、あいつの部下がすでに見張っていると思うニャー」「わたくし新之助が注意を引きつけまする。声を張り上げ走り回わるから、その間にギンコさんは地上に出る道を探し、駆け上がってくだされ」「ちょっとまった、なんでギンコなのニャー」ヨシコが不満そうな声を発しました。「二匹よりも一匹のほうが目立たないからです」「すばやく動くのはアタシが上だニャー」 ギンコが口をはさみます。「ヨシコとアタシが行けば・・どちらかに何かがあっても片方が地上に辿り着く確率が高くなるニャン」「わかり申した。そこまでのお覚悟、私めも後を追い必ずや地表に出るしょぞんでござる」 三匹のやり取りを聞いていたカメぱっぱが話し始めました。「たしかに上に帰るのは危険で困難かも知れないパッパ。あいつは計画の準備が整う前に二本足へボクたちが知らせるのを怖れているから。それでも二本足だけでなく緑地仲間も危険にさらされているのを黙って見ているわけにはいかないパッパ。脱出作戦をクリサーラさんに前もって知らせるかどうか決めましょう。ボクは黙っていたほうが良いと思うの。なぜならここの生物を巻き込めばメルトンブッチャーが報復するからね」 つづく
2017/01/15
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カメぱっぱと緑地仲間は、ぼうぜんと巨人が引き上げるのを見つめていました。クリサーラの挑発でメルトンブッチャーが激情にかられ、大暴れするのではと心配していましたが、思いのほか静かに去っていくからです。「なんなの、あの悪魔の化身みたいな奴、怒り狂うかと思ったら何もしないで帰ったよパッパ」 クリサーラが応えます。「あれは見かけよりもはるかに賢くて、知能も高い生物です。たしかに私は侮辱して混乱させようとしましたが、あいつは、冷静さを失わずに対応しました。感情に流されないだけの分別も持っているのです。それは、私たちにとってやっかいな問題で、あれの欠点や弱点を探し出し、そこを集中して攻撃しようと考えていたのですが、かなり厳しいですね」 猫のヨシコが口を開きました。「このまま、あいつの言うとおりにするのかニャー」「あなたの前だから言うわけでは、ありませんが、しばらくの間、猫をかぶるしかありません。ここでジタバタしても何の役にも立たないから、相手の動きを探りながら対策を考えましょう」「わかったニャー、クリサーラさんの命令に従うから、なんでも言ってニャン」「それでは、とりあえずあなた方は、別室でお休みください。こんなに深い地下へ来たら、次から次へと信じられない出来事が起こるなんて、さぞかし驚いたでしょう。もし大きな動きがあればすぐに知らせます。ヒミメール、部屋まで案内してください」 のろのろと立ち上がったヨシコとカッポウギンコの次にカメぱっぱが続き、後ろからハクビシンの新之助がヒミメールの先導で退出しました。 廊下に出ると通路の床や壁面が大きなハンマーで叩かれた感じで崩れ落ちています。破片の一部が散らばり進行の妨げになりましたが、それらをよけながら小走りに部屋に向かう一同は、改めて巨人の凶暴さに眉をひそめました。 つづく
2017/01/12
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メルトンブッチャーは、クリサーラの後ろ姿をじっと目で追っています。クリサーラの左右に居並ぶものたちは、固唾を呑んで巨人の行動を見守っていました。岩石を擦り合わせたような異様な声が上空から響きます。「思ったとおりだな、お前が俺に服従するなんてあり得ないと考えていたが、やはりな。お前の反応は、すべて想定内だから、なんら問題ない。俺は感情をそのまま表面にだすものを最低動物だと、位置づけていて軽蔑するが、今の発言は、かなり計算していたな、あからさまに俺を侮辱すれば、理性がくずれ道理に合わない行動を起こし、その混乱の隙に反撃か逃亡しようと考えたのは、さすがだといっておこう。そんな手には乗らないが、これから俺の部下がここに出入りして地上に出る基地を造りだすが、それを妨害したら・・必ず殺す。黙って見守っている分には、なにもしないと約束する。さっきのお前の名演説の中で、ひとつ大きな矛盾点があったぞ。人間どもは、大昔から環境破壊を重ねていたが、現代人の一部は地球全体を考えるようになったと、ぬかしたな。それは間違っている。最近のポピュリズム(大衆迎合主義)と過度なナショナリズムは、自国や自分たちだけの利益と繁栄を願い、無能な庶民に取り入ろうとする政治家がほとんどの国で増大しているのは、どういうわけだ。地球全体や大局を見る人類など今はいない。むしろ知恵のなかった昔のホモサピエンスに戻ろうとしているな。文明の利器は、大いに進み、ちまたに溢れていても、心や精神は退化しているのだ。そんな下等動物を排除すれば、地球の寿命は、まだまだ延びる。俺の演説は、これでおしまいだ。数日内に部下がここに来て基地造りに入るから、ここにいるなり、どこに行こうと勝手にしろ。ただし、地上から来た動物たちは、上に戻ってはならない。この情報を人間にリークされたら困るから、複数の見張りを置いていく。そのものたちの武器は、いや、いうのはよそう、邪魔をすれば分かるから。それでは、クリサーラ・・また、会おう」 つづく
2017/01/09
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「あなたの考えは独裁者共通で、命令を出すのは自分で、その他は全て命令に従うもの、それ以外はないのでしょうね。無力な私たちを一瞬で消滅させる力をもっているのは、認めましょう。しかし、心の中まで支配はできません。たとえ、今、ここで殺されても、私はあなたの従者にはなりませんよ。ここにいるものは、みな、誇りをもって生きているのです。力ずくで全ての生物を支配するなどという、下等動物なみのあなたは、これから私の目の前で、何人かの侍女や動物を殺すでしょうね。そうすれば、恐怖心から私は、ひざまずき許しを乞うと思っているのは、手にとるように分かります。この宮殿を地上進出の前線基地とするのもお断りします。生物を殺す目的の基地なんて、私たちは、許しません。お先に失礼をお詫びしますが、これからいう言葉は、私が生きてきた過去においても、これから先の未来でも、二度と言いません。・・・メルトンブッチャー、お前なんか、原始生物以下の動物だ。くそくらえ、くたばってしまえ」 ほほ笑みながら元の位置に戻るクリサーラの背中には、威厳のオーラが炎のように燃え上がっていました。 つづく
2017/01/06
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「ここに来た目的は、地表に出る前線基地として活用するためだ。他にもアジア、北米、ヨーロッパとオーストラリアに数ヵ所、俺の部下がいつでも地上に進出する準備をしている。その中で一番大きな穴が南極と北極にあり、人間どもは、それを<アガルタ>か<シャングリラ>と、呼んでいるのだ。 いみじくも地下への入り口、幸福の入り口となずけているが、まさか、そこから地球の救世主である俺が登場するとは、誰も予想しなかっただろう。 最後になるが、俺の名前は、メルトンブッチャーだ。クリサーラに対する最初の命令は、ここの動物たちに無駄な抵抗をしないように説得しろ。 そうしないと無益な血が流れる。なお、生田緑地とやらいう地上から紛れ込んだ動物たちは、しばらくの間、上に帰るのを禁ずるからな、もし、守れなければ・・抹殺する。ここにいるものも、外に逃げているものも、お前たちが生き残れる手段は、ひとつだけだ。俺の命令を忠実に守ること。 二度とないので、今だけ質問を許そう、なにかあるか?」 真っ白な顔色が透明になるような感じでクリサーラが、無表情のまま、一歩前に出ました。「私もあなたと話すのは、二度とないでしょう。地球を究極の平和にするために地上の人類を奴隷にし逆らうものは、削除するっていいましたね。 それは命令に従わないものを皆殺しにするということで、あなたが原始生物といった人類と同じやり方です。力を持つものが弱いものを支配する、それも人間と同じです。知能の高い生命体は、結局、力ずくで相手を屈服させ自分の考えを通すのが必然だと、いいましたが、その論理も原始生物並みの愚かさですね。たしかに人類は、地球を汚し地下資源を摂りつくそうとしていますが、ごく一部のものたちは、自国だけの繁栄を考えず、地球全体を見るようになっています。・・・」 つづく
2017/01/03
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