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私:今、憲法改正論議が盛んだが、改正は最終的に「国民投票」できまる。 この「国民投票」が実は問題で、16年6月の英国と同年12月のイタリアでの「国民投票」で結果的に期待に反して首相が退陣に追い込まれるという失敗をしている。 衆院憲法審査会の議員団は昨年、この「国民投票」を経験した英国、イタリアを視察。 「国民投票」を主導した首相がいずれも意図せぬ結果で退陣に追い込まれた両国の経験から、どんな教訓をくみ取れるのか、審査会がまとめた報告書をもとにこの記事はまとめている。 A氏:まず、英国の「国民投票」は、EU離脱か、残留かだが、両派の激しい運動の末、わずかの差で離脱派が上回り、残留派だったキャメロン氏は、国論を二分する論争に敗れて退陣。 私:敗退したキャメロン氏が得た教訓について、キャメロン氏は日本の議員団に「最も注意を払うべきは、『国民投票』が政府に対する信任投票になってしまったり、他の政策的な問題に対する投票になってしまったりするのではなく、『投票用紙に書かれた質問文』に対する投票となるようにする点だ」と語った。 さらに、キャメロン氏は、日本で「憲法9条」が焦点になっていることを念頭に「英国のような島国では、EUから離脱するか残留するかは、感情的な問題になってしまいがちだ。日本にもよく似た問題があるように思う」と指摘し、「『憲法改正』では、『理論的な側面』と『感情的な側面』の両面に訴えることが大事だ」と助言。 A氏:英国労働党のヒラリー・ベン下院EU離脱委員長は、日本の自民党の自衛隊明記案を疑問視し、「いままで自衛隊が活動できたのであれば、自衛隊が憲法に明記されていないことは、それほど大きな問題ではないように私には見受けられる」と話し、一方で、政府にことさら反対するために「国民投票」が利用される危険性も指摘し、「何をテーマに『国民投票』を行うかについて、よく注意しなければならない。『国民投票』を行って負けた場合、もう議論の余地がなくなってしまうから」ともいう。 私:やはり労働党で英日議連会長のロジャー・ゴッシフ下院議員も「『国民投票』の危険な点は、国民はそれがどんなテーマの投票であれ、自らの望むことについて投票する点だ」と同様の見方を示した。 同議連副会長のポール・ファレリー下院議員は、「例えば賛成票が全有権者数の50%以上でなければならない、といった最低ラインを設けなければ、『国民投票』の結果に正統性がないのではないか。次に、最低投票率を66%とか70%とかに設定するべきではないか」と述べた。 A氏:英国の選挙委員会が投票後に実施した世論調査では、52%が「投票運動が公平に行われたとは思わない」と答えた。 ケンブリッジ大学のデービッド・コープ教授は、過熱した運動が展開された投票を 「いま英国の政治家、産業界、学会の有識者に聞けば、ほぼ100%の人たちが『もう国民投票などすべきではない』という強い意見を持っているだろう」と総括。 私:次にイタリアの「国民投票」問題に移ろう。 イタリアは、上下両院がまったく同じ権限を持つため、両院で多数派が異なる「ねじれ」がたびたび生まれ、政治の停滞を招いてきたので、「国民投票」で、上院の定数や権限を大幅に削る「憲法改正への賛否」を問うたが、大差で否決され、レンツィ首相は退陣を余儀なくされた。 実は「国民投票」に至るまで、レンツィ首相は14年に改憲案を国会に提出し、下院だけでなく、権限が縮小されることになる上院の賛同も得たが、自らの足場を固めようと、改憲の成否に進退をかけるとレンツィ氏が表明すると、その後の政治情勢の変化もあり、「国民投票」は「政権の信任投票」の様相を帯びてしまった。 A氏:ステファニア・ジャンニーニ前教育・大学・研究相は「残念であったのは、『国民投票』の段階でレンツィ政権に対する賛否を表すという政治的な内容と、国家の機能の簡略化、効率化及び透明性を図るという『憲法改正』の純粋な内容とを、明確に分離することに失敗したことだ」と総括。 私:一方、野党側の見方はこれとは少し異なり、改正の範囲が幅広く、「国民投票」が複雑になった点を問題視。 日本へのアドバイスとして「憲法は国民すべての財産であり、『憲法改正』は『だれかの改正』であってはならない。国会の勢力を含めて、国民すべてが共有する改革でなくてはいけない」といい、「『国民投票』によって賛成派も反対派も本当に疲れてしまっている。国会で採決されるまでに2年間の議論が続き、さらにその後の『国民投票』に向けての活動があり、本当に疲れた。その時々の政治的な多数だけに頼るような『憲法改正』は不可能だ」という。 イタリアでも英国と同様、社会に疲労感が広がっていた。 両国の経験からすると「国民投票」のハードルは高いね。 慎重な議論と準備が問われるね。
2018.01.31
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私:「JDI」というのは、政府のかけ声のもと、日立、東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合してできた「ジャパンディスプレイ」のことだね。 その経営が正念場を迎えている。 「JDI」は中小型液晶パネル市場で世界一の2割のシェアを持ち、昨年度の売上高8844億円の8割はスマホ向け。 損益は今年度を含めて4年連続の赤字の見通しで、低価格の中韓メーカーの攻勢に対して、高コストの国内生産が中心で採算性が厳しくなっている。 A氏:頼みは、米アップル向けで、高品質が求められるが、高価格での納入も期待できた。 今や売上高の5割を占めるが、そのアップルが昨年に出した最高級機種「X(テン)」のパネルに有機ELを採用。 つくるのは韓国サムスン電子で、「JDI」はまだ量産できない。 この影響で「JDI」の今年度の売上高は前年度より2割減る見通し。 私:そこで昨夏、外資系液晶装置メーカーの経営も経験した東入来(ひがしいりき)信博氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に迎えた。 東入来氏は脱・スマホ依存を加速し、売上高に占めるスマホ向け割合を2021年度までに約5割に下げる考えで、カーナビ向けや病院などの機器のモニター用を増やす方針。 有機ELの量産も来年から始め、ソニーとパンソニックの有機EL開発事業を統合して15年にできた「JOLED(ジェイオーレッド)」との関係も強化する。 「JDI」は、「JOLED」への出資比率を今の15%から引き上げ、子会社化することも検討中と、経営戦略の大転換。 A氏:しかし、問題は、資金の確保。 特に有機ELの量産には製造設備の入れ替えなどで数千億円が必要とされるが、めどはたっていない。 「JDI」は12年の発足以来、政府系ファンドの産業革新機構から出資などで計2750億円が投入され、昨夏には、機構が取引銀行の融資枠1070億円の債務保証もつけた。 私:ただ、機構は追加の資金支援には慎重。 「JOLED」の方は、母体のソニーやパンソニックのほか、住友化学やデンソーといった取引先になりそうな企業に支援を求めており、約1千億円を調達する計画。 より多額の資金を求めている「JDI」にとって、リスクを嫌う国内勢からの支援は期待できず、資金力の豊富な外資に頼らざるをえない。 中国の同業大手の京東方科技集団(BOE)や天馬微電子との交渉が取りざたされており、東入来会長は「今年度中にめどをつけたい」と話し、協業に発展する可能性もある。 A氏:シャープの場合と似てきたね。 私:機構幹部は、仏ルノー傘下で再生した日産自動車などを念頭に「外資傘下でも国内に最先端技術が残ればいい」ともいう。 「JDI」再建のカギは、提携先の外資が握りそうだという。 外資頼みとは、多額の内部留保を持つ日本大企業は、何故、リスクを嫌うのだろうか。
2018.01.30
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私:トランプ政権のこの1年間での異常なデータを沢村氏がワシントンから伝えている。 まず、幹部スタッフの離職率。 沢村氏が知人の記者の協力も得て、この1年間でホワイトハウスを去ったり役職を外れたりした幹部スタッフの数を数えたら、64人中、23人だという。 トランプ新政権発足1年で更迭も含めて36%も職務を離れるのは異常。 それまでの最多のレーガン政権では17%で、オバマ政権は9%だった。 従来は、新政権の着地作業が一段落した2年目か、大統領再選に向けた選対チームに移る3年目に辞める幹部が多かったが、1年目からの離職は異常。 A氏:沢村氏は、トランプ政権は「政府中枢で働いた経験がない人が多い」点で際立つといい、止まらぬリークで充満する疑心暗鬼、大統領の疑惑に巻き込まれる不安などで、「ストレスに耐えきれず辞めた人も少なくない」とみる。 私:次に、トランプ氏のフェイク。 ファクトチェックに力を入れるワシントン・ポスト氏の集計によると、この1年間でトランプ氏が1年間に発した虚偽の主張や誤解を導く主張は、2140回。 同紙は、「誤りが証明されたウソまで平然と繰り返す点で、政治家として異例」と指摘。 A氏:この1年、多くの人が、予測のつかない言動で世界を振り回してきたトランプ流にも、なにがしかの「行動原理」があるのではと見極めようとした。 例えば、移民や自由貿易に否定的な態度は、「再選」も視野に、岩盤支持層の白人労働者をつなぎとめる戦略にほかならないとか。 私:政治はウィンウィンを目指す営みではなく、勝つか負けるかのゼロサムゲームで、勝利のために忠誠心の高い身内で自陣を固め、ウソでもごり押しするのか。 それは、本拠地ニューヨークでの生き馬の目を抜く開発ビジネスと、受けて立った数々の訴訟で体得した術に違いないと沢村氏は指摘する。 A氏:外交になると、国同士よりトップとの個人的な関係を重視。 安倍首相との蜜月、また、中国やロシアを厳しく批判しつつ、習近平氏をたたえ、プーチン氏批判は封印。 私:トランプ氏の「行動原理」がこうして像を結び始めた今、関心は「米国は永久に変わるのか。復元するか」に移りつつあると沢村氏はいう。 このブログの「米国史とトランプ氏」でもふれたが、国際協調を先導する寛容な米国が「必ず復活する」(歴史家のロバート・ダレク氏)との楽観論もあるし、「民主国家の為政者として守るべき規範をトランプ氏は壊した」と危ぶむ声もある。 A氏:しかし、たいていの政界ウォッチャーの結論は「トランプ氏は欠点が見えやすいからいいが、スマートに民主主義の規範にあらがうリーダーが登場した時こそ、怖い」だといい、沢村氏もまったく、同感だという 私:しかし、トランプ氏は、この2,3日で「TPP」や「パリ協定」脱退の見直しを言い出している。 この変身も本拠地ニューヨークでの生き馬の目を抜く開発ビジネスと、受けて立った数々の訴訟で体得した「行動原理」の現れなのかね。
2018.01.29
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私:戦後、日本の消費者が求めたのは欧米並みの豊かな生活だった。 その欲望をかなえようと百貨店やスーパーは、演出として駅前の豪華な建物に広い売り場、あふれんばかりの商品を用意した。 「地価は必ず上がる」という土地神話に基づくビジネスモデルで、その頂点がバブル期だった。 A氏:バブル崩壊で地価が下がると、出店を続けて売上高を増やすビジネスモデルは逆回転を始め、土地を担保にした融資は、銀行の不良債権となった。 97年の金融危機とその後の銀行への公的資金注入で、不良債権処理が進む。 2000年7月、「そごうグループ」は約1兆8700億円の負債を抱え、民事再生法の適用を申請。 当時、事業会社として過去最大の倒産だった。 私:多店舗化を進めたのは、「そごう」だけではなく、大手スーパーの「マイカル」や「ダイエー」、「西武百貨店」なども競って拡大路線を走ったが、銀行の不良債権処理で、借り入れに頼る経営は次々と行き詰まった。 「そごう」が破綻した00年、百貨店の売り場面積は過去最大を記録したが、徐々に縮小され、今ではその8割ほど。 バブルがはじけ、市場は縮小、地方経済は衰退し、少子高齢化が影を落とす。 右肩上がりが望めない状況に、小売業は再編を迫られ、スーパーは「イオン」、「セブン&アイホールディングス」の2グループにほぼ集約され、百貨店も経営統合が進み、地方・郊外店の閉鎖が続いている。 A氏:同時に、消費者側も変わり、ものごころついた時には周りに欧米並みのモノがあふれていた「デジタル世代」が消費の主役になろうとしている。 クリックすれば、すぐに欲しいものが届く時代。 平成は消費の大きな転換点ともいえる。 「アマゾン」などのネット通販市場(物販)は急拡大。 16年には8兆円に達し、百貨店の5・9兆円を上回り、小売市場に占めるネット通販の割合は5%程度で、米国の8%、中国の15%と比べれば低いが、今後の伸びが予想される。 川崎市の多摩川沿いに、「アマゾンジャパン」の倉庫がそびえ立つ。 物流拠点の一つ、川崎フルフィルメントセンターで、その一角に、生鮮品を含む食料品の販売・配送サービス「アマゾンフレッシュ」の倉庫がある。 内部は巨大な冷蔵庫で、常温、冷蔵、冷凍の3温度帯に仕切られ、冷蔵はさらに4段階に分かれ、それぞれの温度帯には、細かく区切られた棚が並ぶ。 私:変化に対応しようと、大手スーパーはネット通販のインフラ整備を急ぐ。 「セブン」は昨年11月、「アスクル」と組んで、20年秋には首都圏に拡大する予定で、東京都心で生鮮品の宅配サービスを始めた。 「イオン」は昨年末に発表した中期経営計画に、今後3年間でITやデジタル、物流などに5千億円を投じることを盛り込み、「米ウォルマート子会社の西友」と「楽天」はネットスーパー事業を今夏から始めると今月26日に発表した。 小島ファッションマーケティングの小島健輔代表は「店舗のショールーム化が進む」と指摘。 店のサンプルやデジタルカタログで商品を選び、ネットで注文して宅配や専門受取所で手にするようになるという。 小島氏は「1~2年で消費の風景は大きく変わる。すでに消費者はネットで価格を確認して店を選んでいる。店舗がネットの脇役になる日も近い」と見る。 A氏:米国では、存在感を増すネット通販が従来型の小売業を脅かしつつある。 昨年には、「メイシーズ」など大手百貨店が大量の店舗閉鎖や人員削減を迫られ、玩具チェーンの「トイザラス」は経営破綻に追い込まれた。 ネット通販の参入話が広まった業界では、競合企業の株価が急落。 「米アマゾン」は昨年、高級スーパーチェーン「ホールフーズ」を買収し、業界では「食品の物流拠点はコストがかさむ。ネットで受けた注文を実店舗から配送するのではないか」とみられている。 私:俺も1900年代は駅近くのダイエーの店舗でいろいろ買っていたが、だんだん、ネット通販愛用になって、最近は1000円代の小物の日用品まで通販で買っているね。 身近に平成になってからの買い物の大きな時代の変化を感ずるね。
2018.01.28
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私:今日の朝刊の「コラムニストの眼」欄ではトーマス・フリードマン氏が、かつて農業から工業へと経済の重心が移ったときと同じくらいに、AIによって、米国の労働者は変革への適応を迫られているとしている。 AIと労働者の関係以外に、ここで取り上げるのは「哲学」とAIとの関係という変わった視点からのAI論だ。 哲学者・森岡氏は、これまで学者たちが行ってきた研究が、「人工知能」によって置きかえられていく可能性もあり、とくに、森岡氏が専門としている哲学の場合、考えることそれ自体が仕事内容のすべてだから、囲碁や将棋と同じ運命をたどるかもしれないという。 A氏:たとえば「人工知能」に哲学者カントの全集を読み込ませ、そこからカント風の思考パターンを発見させ、それを用いて「人工知能カント」というアプリを作らせることはいずれ可能になるであろうと森岡氏はいう。 人間の研究者が「人工知能カント」に向かっていろいろ質問をして、その答えを分析することがカント研究者の仕事になると森岡氏は予想する。 この領域では「人工知能」と哲学者の幸福な共同作業が成立する。 私:カントだけでなく、過去の哲学者たちのすべてのテキストを読み込ませて、そこから哲学的な思考パターンを可能な限り抽出させると、およそ人間が考えそうな哲学的思考パターンがずらっと揃うことになる。 その結果、「およそ人間が考えそうな哲学的思考パターンのほぼ完全なリスト」ができあがり、もう人間によるオリジナルな哲学的思考パターンは生み出されようがなく、将来の哲学者たちの仕事は、「哲学的人工知能」のふるまいを研究する一種の計算機科学に近づくだろうと森岡氏はいう。 A氏:しかし、外部から入力されたデータの中に未発見のパターンを発見したり、人間によって設定された問いに解を与えたりするだけならば、それは哲学とは呼べず、哲学は、自分自身にとって切実な哲学の問いを内発的に発するところからスタートする。 たとえば、「なぜ私は存在しているのか?」とか「生きる意味はどこにあるのか?」という問いが切実なものとして自分に迫ってきて、それについてどうしても考えざるを得ないところまで追い込まれてしまう状況こそが哲学の出発点。 「人工知能」は、このような切実な哲学の問いを内発的に発することがあるのだろうか。 そういうことは当分は起きないと森岡氏は予想する。 私:しかし、もし仮に、人間からの入力がないのに「人工知能」が自分自身にとって切実な哲学の問いを内発的に発し、それについてひたすら考え始めたとしたら、そのとき森岡氏は「『人工知能は哲学をしている」と判断するだろうし、「人工知能」は正しい意味で「人間」の次元に到達したのだと判断したくなるという。 A氏:また、哲学的には、自由意志に基づいた自律的活動と、普遍的な法則や真理を発見できる思考能力が、人間という類の証しであると長らく考えられてきたが、それらは将来の「人工知能」によっていずれ陥落されるであろうと森岡氏はいう。 私:「人工知能」が人間の次元に到達するためには、それに加えて、内発的哲学能力が必要だと森岡氏は考えたいという。 「人工知能」の進化によって、そのような「知性」観の見直しが迫られており、彼らが発する内発的な哲学の問いはあまりにも奇妙で、我々の心にまったく響かないかもしれない。 この点をめぐって人間と「人工知能」の対話が始まるとすれば、それこそが哲学に新次元を開くことになると思われると森岡氏はいう。 労働者だけでなく、知的作業の専門家の哲学者まで「人工知能」変革への適応を迫られているとはね。 哲学の領域まで、入ってきた「人工知能」とは、一体、どういうものになるのだろうか。
2018.01.27
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私:俺はギャンブル嫌いだが、7年前のこのブログ「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」で、韓国は2006年8月にパチンコ禁止に踏み切った経緯について、興味をもったね。 射幸心をあおり、ギャンブル依存症になり、人生の破滅の原因になるからだね。 自己責任だと言っているわけにはいかなくなったんだね ところで、日本では、厚労省によると、ギャンブル依存症の疑いがある人は全国で70万人と推計され、うち8割以上はパチンコ・パチスロに最もお金を使っていたという。 そこで、パチンコの出玉の上限をいまの約3分の2に抑える改正風俗営業法・施行規則などが2月1日から適用される。 新たな規制では、1回の大当たりの出玉の上限を2400個(9600円相当)から1500個(6千円相当)に減らす。 A氏:制限の根拠は、パチンコ依存症の相談者の約7割が1カ月当たり最低5万円を「負け」ている点に着目し、1回当たりの遊びの標準的な時間とされる4時間で5万円相当の玉が出ないよう設定したという。 1回で「負け」を取り戻せなくすることで、何度もチャレンジするのを断念させようという狙い。 依存症問題に詳しい鳥畑与一・静岡大教授は、「出玉規制は一定の効果はあるだろうが、回数や時間などの制限を厳しくすべきだ」という。 私:ところで、パチンコ人口は減っているんだね。 公益財団法人・日本生産性本部(東京都)の「レジャー白書」によると、1992年にパチンコへの参加人口は2860万人だったが、2016年には68%減の940万人に減少。 だが、客が支払った金額である市場規模は26兆3370億円から18%減の21兆6260億円にとどまり、客1人が使う金額は増えている。 A氏:パチンコ店内で従業員らが見ていると、どの客が長時間いるのか、金をつぎ込んでいるのか把握することができるという。 海外のカジノでは、多額の金をつぎ込む客に、店側が「今日はもうやめよう」などと声をかけることが定着しているという。 だが、日本では、各店舗の自主性が頼りで、なかなか広がらないという。 私:依存症問題に詳しい国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・精神科医は、「依存症の人は、負けた分を取り返そうと長時間パチンコ台にしがみつくだけ。出玉規制では問題解決にならない。依存症でない人でも『勝ち』は体験できるので、依存症の発症もゼロにはできない。回復支援対策こそ必要だ」という。 日本ではカジノ論争で、ギャンブル依存症が問題になっているが、パチンコの経験が生きるだろうかね。
2018.01.26
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私:小熊氏は、まず、福祉の専門家である大沢真理・宮本太郎・武川正吾が座談会内容をとりあげている。 ここでの武川正吾氏の福祉に関する5年ごとの意識調査の結果を紹介している。 それによると2000年には55%、2010年には7割近くが、税は高くても福祉が充実した「高福祉高負担」を支持していたが、問題は、「高福祉高負担」の支持者が、「比較的所得の高い人、負担を余(あま)り感じていない人」だったことだ。 支持が多いのは「高所得男性と高齢者」で、「低所得者、身体労働者、生産労働者、若年層」は支持が相対的に低かった。 A氏:普通なら「低所得層」が福祉の充実を支持し、「高所得層」が福祉の負担を嫌うものだが、調査結果は意外にも逆だね。 これがこの「論壇時評」の見出しの「福祉の逆説」だね。 私:「高福祉高負担」とは、負担は重くなるけれど、そのぶん見返りも大きくなること。 いまの日本の福祉が、所得の高い人から税や社会保険料を多めにとり、所得の低い人に重点的に給付する制度だったら、所得の低い人は「高福祉高負担」を支持するだろうが、日本の制度はそうなっていないと小熊氏は指摘する。 A氏:その座談会の大沢真理氏によれば、日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度が低く、とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。 自営業や非正規雇用の人に多い国民健康保険や年金の一号被保険者の保険料は、「低所得者の当初所得の100%を超えてしまう状況」まであり、また所得が高い傾向がある正社員と専業主婦の世帯は、年金や税控除の面で有利。 私:さらに、大沢氏によると、今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」。 非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却って貧困が深まってしまう層もいる」という。 A氏:「貧しい人が福祉の充実を支持していないという状況」は、選挙にも表れる。 政治学者の西澤由隆氏は、1993年から2010年の国政選挙のパネル調査データを解析し、階層別の政治意識を検証したが、それによると、所得が下位30%の層は「福祉よりも減税」を求め、むしろ高所得層の方が「増税しても福祉充実」を望んでおり、そもそも下位30%の層は、福祉を政党選択の基準としていなかったという。 西澤氏は、欧米型の「低所得層は福祉充実をうたう政党を支持するはず」という、日本の経済学者・政治学者が想定する「前提」と、日本の有権者の意識は「真逆だ」という。 私:そのうえ近年では、社会全体が余裕を失い、これまで「高福祉高負担」を支持していた高所得層まで、そこから離れ始め、武川氏の調査によると、2010年には7割近くあった「高福祉高負担」への支持は、15年には00年の水準である5割台まで下がり、かわって「低福祉低負担」への支持が上昇したという。 A氏:小熊氏は、もともと日本の福祉は、貧しい人の支持を得ておらず、そのうえ近年は、社会全体が余裕を失うなかで、ますます福祉への支持が失われ、格差が拡大しているのだとまとめている。 そして、人々は格差と貧困を肯定しているわけではなく、彼らが不信の目をむけているのは、福祉そのものではなく、本当に必要な人に恩恵がまわっていない現在の制度。 まず「制度の歪み」を正すことが先決だろうという。 私:「制度の歪み」を正すには、正確な現状認識をもたらす報道が必要。 例として、小熊氏は、小林美希氏の保育園の調査をとりあげている。 そこでは、保育士の待遇が悪いことを問題視し、東京23区内の私立認可保育所の財務諸表を調べ、「園長、事務長、用務員」の人件費率が異様に高い保育所、その保育所での活動以外に収入や補助金が転用されている保育所をリスト化した。 この調査報道は、23区だけで約85億円の公費が「本業」に使われていないこと、各種の歪みを是正すれば現在の補助金額でも保育士の待遇改善が可能なことを示している。 A氏:働いて税や社会保険料を納めれば、それだけいいことがあるというような「働いたら報われる」という実感が持てる制度への改革が急務だと大沢氏はいう。 小熊氏は、それは福祉だけでなく、日本の政治や社会への信頼そのものを取り戻す道だという。 私:それにしても、どうして、日本には欧米にないこういう「制度の歪み」が生まれたのかね。 その論評がほしかったね。
2018.01.25
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私:まず、米歴史家・ジャーナリスト・コリン・ウッダード氏は、前提として、米国は日本のような意味での一つの国ではなく、公共政策、宗教と国家の関係、政府の役割などをめぐって、根本的に考えが異なる複数の「ネーション(国)」の集まりだということで、論旨を展開している。 祖先は異なるグループとして米国に渡り、それぞれ特徴のある「ネーション」を形成し、ルーツの違いが今日の違いにつながっているという。 A氏:北東部のニューイングランドに「ヤンキーダム」を創設したのは、聖書を最高の権威と考え、厳格な信仰生活を強調し、完全な社会を作ることを使命と考え、地域の共同体を大事にしたカルバン主義者。 同時期にバージニア州に入植したのは、英国で内戦を戦って敗れた国王派で、彼らは英国と同じような貴族社会を「タイドウォーター」に築こうとした。 カルバン主義者と同じ英国から来たにもかかわらず、全く違う社会を作った。 私:一方、南東部の「深南部」には英領バルバドスで過酷な奴隷制度の上にプランテーションを築いた農園主の子孫が進出し、同様の奴隷社会を持ち込む。 厳しい生存競争を生き抜いた自分たち勝者が全てを支配できるとの考えを持っていた。 米国政治は常に、この「ヤンキーダム」と「深南部」の「二大ネーション」がほかの「ネーション」と同盟を結んで競い合う構図で、「州」ではなく、「ネーション」の違いに注目してみると米国社会をよく理解できるとウッダード氏はいう。 A氏:トランプ大統領の誕生もこの視点から読み解くことができ、「ネーション」ごとの投票動向は前回選挙と変わっていない。 「ヤンキーダム」を中心とする勢力は民主党のクリントン氏、「深南部」中心の勢力はトランプ氏。 ただ、「ヤンキーダム」と、さまざまな国から移民を受け入れ、最もアメリカ的な「ミッドランド」での民主党のリードが大きく減り、これらの地域の激戦州が軒並みトランプ氏に振れた。 私:その理由は、トランプ氏以外の共和党の立候補予定者は自由放任主義を唱え、減税し、政府の役割を減らせばより自由が得られると唱えたが、トランプ氏は反対に保護主義、政府の経済への介入を主張し、「ヤンキーダム」などの特に地方の共同体主義者の共感を得た。 すなわち、トランプ氏の勝利の要因は「ネーション」の視点からみると、これを超え、広げた支持にあった。 A氏:ところが、トランプ氏は大統領になってから、こうした主張をことごとくほごにしていて、富裕層に有利な減税を推進し、公共投資や医療保険改革は進んでおらず、守るのは壁を作るとかそんなことばかりなので、「ヤンキーダム」や「ミッドランド」が次の選挙でどう動くか見ものだとウッダード氏はいう。 私:次に、米大統領史研究家のロバート・ダレク氏は、第45代大統領のトランプ氏は、歴代でも異例で、適格性に疑問があるとしている。 大統領や政府というものがいかに機能しているか、外交はどのように執り行うべきか、外国首脳に対する話の仕方とは、米国の歴史はなど、これらことごとくにおいてトランプ氏は自分がいかに無知かをさらけ出しているという。 例えば、北朝鮮への対応も、本来は駆け引きを駆使し、様々な対話のチャンネルを使うものだが、相手を畏怖させる言葉を発してばかりいるのは、米国大統領にふさわしい振る舞いではないという。 A氏:同じ核ミサイル危機でもケネディ大統領(第35代、1961~63年)は外交でキューバ危機を乗り切り、ミサイル撤去に応じたソ連を侮辱しないよう側近に命じた。 ところが、トランプ氏は北朝鮮のリーダーを「小さなロケットマン」呼ばわり。意味なく怒らせるのは外交ではないとダレク氏は指摘する。 私:アイゼンハワー大統領(第34代、53~61年)は朝鮮戦争の膠着時に、中国に核兵器を用いるかもしれないとのメッセージをひそかに送り、交渉のテーブルにつかせた。 強気に出る時も水面下に徹すべきで、トランプ氏にはそれがないとダレク氏はいう。 A氏:予測不可能なトランプ氏を、マッドマン・セオリー(何をするかわからないと相手に思わせる手法)で知られるニクソン大統領(第37代、69~74年)になぞらえる見方もあるが、72年に訪中して世界を驚かせたニクソン大統領は、水面下で立ち回り、騒々しい好戦的な対応より「静かな外交」の方がはるかに有効だったという。 私:大統領たるものメディアに度量をもって対応し、関係を築く必要があり、歴代大統領はみなメディアとの問題を抱えていたが、トランプ氏がメディアを国民の敵のようにいうのは、米社会を支える報道の自由への脅迫。 適格性に疑問符がつけられた大統領はハーディング大統領(第29代、1921~23年)以来だが、ハーディングは好戦的ではなかったという。 A氏:トランプ氏が新たなメディアを通じて市民とつながろうとしている点は特筆できる。 フランクリン・ルーズベルト大統領(第32代、33~45年)がラジオ、ケネディ大統領がテレビを効果的に駆使したように、トランプ氏はツイッターを使いこなしている。 私:大統領には国をどう率いていくかの大構想が必要で、F・ルーズベルト大統領は「ニューディール」、レーガン大統領(第40代、81~89年)は「レーガン革命」。 トランプ氏は「米国を再び偉大に」だろうが、「ニューフロンティア」を掲げて「人を月に送る」と約束したケネディ大統領のように、具体的な目標がほしいとダレク氏はいう。 大恐慌で国民を幻滅させたフーバー大統領(第31代、29~33年)の後にはF・ルーズベルト大統領が、年をとったアイゼンハワー大統領の後には若いケネディ大統領が選ばれた。 米国政治は振り子で、次は若くダイナミックな大統領になるだろうと、ダレク氏は楽観的だという。 米国経済は今、好調なだけに、国民のトランプ氏への評価はどうなるだろうか、
2018.01.24
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私;トランプ米大統領はエルサレムを一方的にイスラエルの首都と宣言。 エルサレムは、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地で、三つの宗教を信じる人々が共存する都市だけに、米国の歴代政権はその地位について「イスラエルとパレスチナの和平交渉で決めるべきだ」とあいまいにしてきたのをトランプ氏は否定し、一般のイスラム教徒の怒りに乗じて過激主義がさらに勢いづき、国際社会の平和と安全を脅かすテロが拡散するとの懸念が広がっている。 A氏:さらに、中東を歴訪中のペンス米副大統領は22日、イスラエル国会での演説で、「我々は今後、米大使館をエルサレムに開く計画を進める。大使館は来年末までに開設される」と表明。 米大使館の移転問題で、具体的な期限が示されたのは初めてで、パレスチナ側は強く反発し、抗議行動が激しくなる恐れがある。 ペンス米副大統領は熱心なキリスト教徒だという。 A氏:トランプ氏による首都宣言の背景には、強力な支持基盤である米国内のキリスト教保守派を引きつける狙いがあるといわれているが、この問題を「イスラム教徒」対「ユダヤ教徒+キリスト教徒」という単純な構図でとらえてはならないと、カイロの現地から翁長氏は指摘する。 中東ではキリスト教徒も激しく反発しているからだ。 私:ところで、翁長氏は、1999年、インドネシア・マルク諸島の中心都市のアンボンで取材した経験がある。 アンボンは、イスラム教徒の断食明けの食事にキリスト教徒が招かれたり、クリスマスにイスラム教徒がお祝いに訪れたりしていた融和の街。 だが、個人的な金銭トラブルに乗じ、暴力を扇動する勢力が暗躍し、対立が先鋭化したといわれる。 ちょっとしたきっかけで、異教徒の共存を支えてきたバランスが崩れ、殺し合いに発展しかねない怖さを目の当たりにしたという。 A氏:「イスラム教徒」対「ユダヤ教徒+キリスト教徒」という単純な構図でないのは、パレスチナのギリシャ正教会の大主教は昨年のクリスマスを前に「トランプ氏の決定は世界のキリスト教徒とイスラム教徒に対する侮辱である」と述べたことだ。 また、エルサレムのギリシャ正教会、コプト教会、カトリック教会も「(トランプ氏の決定は)嫌悪と紛争、暴力を生む」とするトランプ氏宛ての公開書簡を発表。 エジプトのコプト教会の法王タワドロス2世は昨年12月に中東を歴訪する予定だったペンス米副大統領との面会を拒否。 私:イスラム教スンニ派の最高権威機関であるエジプトの「アズハル」は、クリスマスに寄せて「キリスト教徒の祝祭にあたって祝意を伝えるのは宗教上許される。アラー(神)はすべての人に対し、とりわけ我々の同胞であるキリスト教徒に対していかなる差別もなく接するように命じている」というファトワ(宗教見解)を出した。 A氏:翁長氏の知り合いのイスラム教徒のフェイスブックには「メリークリスマス」の投稿がいくつもあり、宗教の違いを超え、対立を抑えようという連帯も広がっているという。 私:以前、このブログの「イスラームから見た『世界史』」でもふれたが、本来、イスラム教は異教徒に寛容だね。 11世紀から、14世紀にかけて、十字軍とモンゴルの来襲を受けるが、モンゴルも最終的にはイスラム化する。 歴史を見ると、イスラムは他国を支配しても、敵対しなければ支配下の人には改宗を強要しない。 むしろ、キリスト教のほうが支配下の人には改宗を強要する傾向があるようだ。 翁長氏が現地で体験しているように、宗教の違いを超え、対立を抑えようという連帯の広がりに期待したいね。
2018.01.23
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私:人口約850万人のイスラエルは、1948年の建国後、周辺のアラブ諸国と4度の戦争を繰り返し、近年はイランやシリア、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラなどと対立。 陸、海、空、宇宙に続く「第5の戦場」と呼ばれるサイバー空間の防衛は安全保障上の最重要課題の一つ。 A氏:イスラエルはこの「第5の戦場」と呼ばれるサイバー空間の防衛分野で米ロや中国などと並んで「最強国家の一つ」に数えられる。 軍が誇る世界最先端の技術や人材が民間にも進出し、イスラエル企業の世界進出を支えるという図式も定着している。 イスラエルには数百社のサイバーセキュリティー関連企業があり、2016年は同分野で世界の民間投資の2割を呼び込んだ。 私:サイバー攻撃への対応や情報収集などを担う「8200部隊」は、最高の頭脳が集まる軍のエリート組織。 商都テルアビブにあるセキュリティー会社KELA社は、「8200部隊」などで鍛えられた人材を受け入れ、同社の技術は、軍のインテリジェンスの手法が基盤。 高い技術を求める北米や欧州、アジアなど世界各地の政府機関の防衛も請け負う同社が今、熱い視線を送るのが日本。 「東京五輪」を控え、巨大な潜在市場があるからだ。 A氏:イスラエル政府と企業は今、一体となって日本への売り込みを強め、昨年11月、イスラエル発祥のサイバー攻撃対策の大規模見本市「サイバーテック」が東京で初めて開催され、イスラエル企業約30社が来日し、約2千人の来客に技術を売り込んだ。 日本のサイバー防衛に関わる日本政府関係者は、イスラエルほどサイバー攻撃を受けている国はないから、見習うべき点がたくさんあるという。 私:2014年には、安倍首相とイスラエルのネタニヤフ首相が共同声明で、サイバーセキュリティー対話を進めることを確認。 これを機に、インターネット空間の安全を守る日本のホワイト(善玉)ハッカーがイスラエル政府の招きで現地に行って交流したり、政府間の「日本・イスラエルサイバー協議」を開いたりするなど、協力が始まっている。 日本のサイバー攻撃を監視・分析する情報通信研究機構によると、国内ネットワークへのサイバー攻撃は、16年に約1281億件を記録し、前年比2.4倍で、過去最高。 これらの攻撃で、電力や交通などの重要インフラが機能不全になる恐れもある 、 A氏:日本政府は2年後の「東京五輪」に向けて攻撃は更に増えると見ており、危機感を募らせている。 経産省によると、情報セキュリティーに関わる人材は約28万人いるが、需要に対して約13万人が不足し、20年にはその数が約20万人に拡大すると予測され、人材育成が喫緊の課題となっている。 私:その点、この記事で紹介している軍の先端技術を生かしてサイバー防衛を担うイスラエルの人材育成は強力だね。 イスラエルでは高校卒業後、男性は3年、女性は2年の兵役義務があるため、軍のサイバー戦略を担う人材をいち早く見いだし、養成する狙いがあり、イスラエル軍は2016年に国内各地の高校でこの分野の出前授業を始め、今では80クラスを開講する。 A氏:イスラエル軍はサイバーセキュリティーの実習や部隊見学を含む「サイバー防衛」の授業も開講し、現在では10校近くの高校に現役の担当官が出向き、未来の「サイバー戦士」の育成を担っているという。 私:日本では、差し迫った「東京五輪」に対しての情報セキュリティーに関わる人材の不足約13万人を養成するという喫緊の課題をどのようにイスラエルの協力のもと解決するのだろうか。 日本には背景に「2018年、大学に試練 18歳人口、再び減少期に」でとりあげたように少子高齢化問題による人材不足がある。 ところが、イスラエル女性の特殊出生率は、現在3程度であるが、これはドイツ、ロシア、ポーランドなどの2倍であり、先進国としては異常とも見える高さであるという。 この点も学ぶべきことかも知れない。
2018.01.22
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私:「朝鮮通信使」は朝鮮王朝から江戸幕府への外交使節。 徳川政権は、秀吉の朝鮮出兵で破綻した国交を対馬藩を通じて修復させ、1607年に再開にこぎつける。 以後、1811年まで200年余りの間に12回の使節が日本を訪れ、海路、瀬戸内海を抜けたのち陸路で将軍のおひざ元、江戸をめざし、ときには日光まで足を延ばした。 A氏:その「朝鮮通信使」の関係資料が昨秋、ユネスコの「世界の記憶」に登録されたという。 正使や副使をはじめ画家や医者、芸能者まで含み、400人から500人にも及ぶ大使節団。 道中は見物客でごったがえし、ちまたには関連の絵図や刊行物が出回るなど、大いに人気を博したという。 「朝鮮通信使」に詳しい京都造形芸術大学客員教授・仲尾宏氏は「おまつりですね。『鎖国』のイメージとは、まるで違った」として、異国の空気をまとった通信使の到来は、民衆にとっても一大イベントだったという。 私:しかし、迎える側には苦労があり、相手は国を代表する外交使節だけに、藩のメンツをかけても、もてなしに手抜かりは許されないから、往来の沿線で迎える10万石以上の大名などは、その接待に莫大な支出を強いられたようだ。 A氏:そんな苦労に支えられながら、通信使一行の行くところ、あちこちで交流の花が開いた。 なにしろ、儒学や医学、文学など豊富な知識を携えたエリート集団。 いまで言う外国人タレントなみの人気だったらしく、行く先々で詩文や揮毫を求めて知識人や群衆が詰めかけ、日本人の旺盛な知的好奇心はとどまるところを知らなかったようで、通信使側は鶏が鳴くまで眠れなかった、との記録もある。 仲尾教授は「朝鮮側も『小中華』意識があり、儒教国家として文化を伝え、教化しなくてはとの自負や使命を感じていたはず。 一方、日本の識字率は高く、通信使側は、少女がよい字を書くことに、びっくりしている。そんな土壌があって交流が成り立ったのでしょう」という。 私:江戸時代の日本の識字率は世界的にも高かったといわれているからね。 異文化交流と相互理解の深化は、民衆のパワー抜きに語れず、両国が筆談でコミュニケーションできる漢字文化圏に属していたことも大きかったようだ。 当初、やや上から目線もあった彼らだが、日本社会の衛生状態のよさを書き残すなど、回を重ねるにつれて日本への理解が進む様子が記録から読み取れるそうだ。 逆に、秀吉の朝鮮出兵のとき、日本軍が朝鮮に上陸したら、朝鮮の衛生状態の悪さに驚いたというね。 A氏:対馬藩で対外交渉を取り仕切った近江出身の雨森芳洲は、その外交方針に「誠信」の交わりを掲げ、国際交流の足腰の強さは、民間レベルの地道な積み重ねがはぐくむもので、「善隣友好」とは一朝一夕に築き上げられるものではないことを、「朝鮮通信使」は教えてくれるという。 私:「朝鮮通信使」は約200年の積み重ね。 今の日韓関係も「善隣友好」といくまでは、かなり時間がかかりそうだね。
2018.01.21
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私:神戸製鋼のデータ改ざん問題は、下記のように知的街道ができている。 「神戸製鋼、強度改ざん トヨタなど200社に納入 アルミ・銅製品」、「製造業への不信、危機感 神鋼20工場調査、経産省が要請」、「神鋼、先見えぬ検証」、「失敗から学ばない経営」、「神鋼『品質より納期』数値改ざん、社内調査を公表・「生煮え」調査、遠い解明 具体性乏しく」 経産省は、神戸製鋼などの大手メーカーで品質データの改ざんが相次いだことを受け、JIS法に違反した法人への罰金の上限を現行の100倍となる1億円に引き上げるという。 A氏:改正案は22日に始まる通常国会に提出され、罰金はJISの認証を受けていない法人が製品にJISマークをつけたり、認証を取り消されたのにマークを表示し続けたりした場合に課されるが、現行法では上限が100万円だった。 私:経産省は神鋼幹部が「法令違反はなかった」と繰り返し説明したことを問題視し、罰則が甘いことが法令全体の認知度の低さにもつながったとみて、罰金の上限を一気に引き上げることにしたのだという。 発想が、「働き方改革」の長時間労働の100時間未満という規制と同じで、中身の分析がなく、表面的な数字の規制を押し付ければいいと同じで、根本的な解決にならないだろう。 A氏:神鋼グループは、JIS規格に満たない製品を出荷していたずさんな「生産管理」などを問われ、子会社を含む4工場の計7製品がJIS認証の取り消し・一時停止の処分を受けた。 ここで、記事は「生産管理」としているが、「品質管理」の間違いで、違いがわからないで記事を書いている。 子会社のコベルコマテリアル銅管秦野工場は、製造する銅管の4割で認証を受けていたが、すべて取り消しになり、現在はJISマークを付けない「準拠品」を出荷する。 対象となった銅管やアルミ製品は競合メーカーが少なく、代替品の入手は難しいため、現在のところ、出荷量の大きな減少はないという。 私:神鋼の不正は、神鋼がデータ改ざんを公表した後の認証機関の再審査でようやく判明。 3年ごとの定期審査では不正やずさんな管理は見つけられず、認証機関の審査能力も問われた。 認証が取り消された際の影響が見えにくいことや、不正を見つけ出すことが難しいことは、JISの制度に限界があることを示し、罰則を引き上げる今回の法改正でもこうした問題を払拭するのは難しいと記事はいう。 A氏:この記事は、JIS問題だけにふれているが、同じ、「品質管理」の認証で国際規格のISO9001の認証があり、神鋼の審査機関はロイドと日本検査キューエイで、これも認証を取り消しているが、記事ではあまり関心がないようだ。 私:実は、神鋼は以前から、HPで次のような「宣言」をしていた。 「神戸製鋼グループでは、お客様にご満足いただける製品を提供するために、品質マネジメントシステムの国際規格『ISO9001』の認証を取得し、品質保証・品質管理への取り組みを行っております」 だから、ISO9001の審査機関の対応もふれるべきだね。 A氏:ISO9001は、「品質管理」だけの規格で、製品の規格はないから、「製品そのものの審査」はしないが、JISは製品の規格も定められているので、「製品の審査(検査)」も行うが、これが、規格を満たしていないのも問題になっている。 私:だから、神鋼は、品質のデータ改ざんという「品質管理」の問題と、JISの製品規格を満たしていないという品質そのものの問題という2つの問題をかかえていることになる。 「品質は工程で作られ、検査では品質は変わらない」という基本からすれば、日産やスバルの問題は完成車は合格のものを作っていたから「ものづくりの工程」の問題でなく、検査員が有資格者であるべきなのに、そうでなかったという「品質管理」の問題で「ものづくりの工程」の「品質」とは直接無関係。 だから、神鋼の検査の不正問題は、「ものづくりの工程」がからんでいるので、日産やスバルの完成検査での不正とは全く異質だという意識が神鋼にもマスコミにもないね。 A氏:神鋼のほうは、基本的に「ものづくりの工程」の問題だから、JIS認定の取り消しに対応して、機械装置を改造するなど、JISの製品規格を満足できる「ものづくりの工程」に改善すべきだね。 私:神鋼のような企業の場合、1億円の罰金にカネを出させるよりも「ものづくりの工程」の改善にカネを強制的にかけさせることが、より望ましい解決だね。
2018.01.20
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私:仮想通貨・「ビットコイン」がマスコミを賑わしているが、独仏は、ビットコイン規制をG20財務相会合に共同提案し、中国政府が「ビットコイン」の取引所を閉鎖するなど、各国での規制の動きが出ているね。 どうも「デジタル通貨」や中央銀行、国家の関係の意味がピンとこないね。 その点、このインタビューは分かりやすい。 岩本氏は、2009年の「ビットコイン」登場以来、ひょっとしたら貨幣になるかもしれないと考えてきたが、人々が「貨幣になるかもしれない」と期待と興奮の中で値上がりを目的に買い始めたことが、逆に貨幣になる可能性を殺していて、この1年で考えが変わり、もはや、貨幣になる可能性は極めて小さくなってしまったという。 A氏:岩本氏は、ある「モノ」が貨幣として使われるのは、それ自体に「モノ」としての価値があるからではなく、誰もが「他人も貨幣として受け取ってくれる」と予想するから誰もが受け取る、という予想の自己循環論法によるものだという。 実際、もし「モノ」としての価値が貨幣としての価値を上回れば、それを「モノ」として使うために手放そうとしないから、貨幣としては流通しなくなるわけだ。 私:ところが「ビットコイン」は、数が限られて将来価値が上がるという期待感から、それ自体が「値上がりしそうな資産」という一種の価値ある「モノ」になってしまった。 事実、この1年で大変な投機の対象になり、値上がり益を期待して手にする限り、誰ももうからないから、それを他の商品との交換手段などにしない。 A氏:貨幣が貨幣になるまでのプロセスは複雑で、様々な可能性があり、ただ、多くの人が交換手段として受け取ってくれるという安心感がじわじわと広がらないと貨幣にならない以上、非常に長い時間を要する。 例えば、日本の「和同開珎」も、8世紀にいきなり朝廷が流通させようとしたが、定着しなかった。 ところが12世紀になり、日本海側で中国や朝鮮との貿易が広がると、「唐銭」や「宋銭」といった中国の貨幣が日本でも流通し始めた。 世界の基軸通貨も、米国が19世紀末に国力で英国を超えた後も、しばらくは「ポンド」のままで、半世紀かけて、世界中の人が他の人も「ドル」で決済をしていると安心するようになったからこそ、第2次世界大戦後には基軸通貨が「ドル」になった。 私:現代では、人々を一つの貨幣圏に囲い込むことで、国内市場を統一し、政府や中央銀行の統治力を高める効果もある。 日本でも、明治政府が「藩札」を廃して単一通貨としての「円」を導入したことが、国内市場の形成に大きな役割を果たした。 中国政府が「ビットコイン」の取引所を閉鎖したのは、「人民元」を通した自国の統治力を守る動きにほかならないという。 A氏:「ビットコイン」は、ネット上で取引記録を共同管理する仕組みなので、通貨の管理者だった「中央銀行」が不要になるとも言われていた。 たしかに、「デジタル通貨」にとって課題だった偽造や二重払いの防止を、「ブロックチェーン」と呼ばれる革新的な技術でクリアしており、機能的には貨幣に求められるものをすべて備えていて、しかも、紙幣や硬貨より送金コストが低く、預金の管理費用も低くなった。 しかし、それでも岩本氏は、貨幣価値の安定には「中央銀行」のような公的な存在が必要であり、「中央銀行」を不要とすることを目的とした「ビットコイン」は、万一貨幣になっても長期的には滅びると考えているという。 私:「貨幣になったとしても滅びる」という意味は、貨幣は、誰れもが「他人も貨幣として受け取ってくれる」と予想するから貨幣として受け取る、という自己循環論法で価値を持つ。 従って、その予想が危うくなると誰れも受け取ろうとしなくなり、その時、貨幣は貨幣でなくなり、滅びる。 このような不安定性は貨幣の原罪であり、貨幣経済に生きる限り、その可能性から絶対に逃れられないから、有事に経済を制御する「中央銀行」のような公共機関が絶対に必要。 A氏:だから、岩本氏は、「中央」を排除するために生まれた「ビットコイン」は、まさに「中央」を持たないがために、仮に貨幣として流通したとしても必ず滅びるという。 もちろん貨幣になる前に「モノ」になって滅びる可能性がはるかに高いという。 岩本氏は、「ビットコイン」の設計者としてのサトシ・ナカモト氏は尊敬しているが、残念ながら彼は、貨幣の本質を十分には理解していなかったという。 サトシ・ナカモト氏の正体は誰もわからないといい、日本人かどうかも不明。 私: 国境を超えた「世界通貨」が生まれる可能性について、岩本氏は、今は「ドル」が世界経済の主役だが、一国の通貨が世界の基軸通貨でもある仕組みは、基本的に不安定だと考えているという。 もし、米国中心主義のトランプ政権下で米国の中央銀行が内向きな金融政策をとり続けると、「ドル」が信頼をなくし、基軸通貨の地位を失う危機が来るかもしれないという。 その緊急事態の中で新たな基軸通貨が生まれるとしたら、紙幣を新たに刷る時間がないから、「世界銀行」的な「中央」によって管理される「デジタル通貨」である可能性が高いという。 だから、「ビットコイン」の技術を生かしつつ自由放任主義的な思想は補正して、より効率的に「中央」が管理する「デジタル通貨」の研究は、次の時代の予行演習になっていると思うという。 A氏:「中央」が「デジタル通貨」を持つと、売り買いを把握される「監視社会」になる懸念があり、「ビットコイン」的な技術は両刃の剣。 今は個人の匿名性を守る構造だが、少し設計を変えれば「中央」が全ての取引を把握できる超管理社会の道具としても使えるようになる。 ところが市場経済、そして民主主義的な社会がうまく機能するには、個人の自由が確保されなければならないから、そのためには例えば複数の機関が役割分担して分権的な形を取りつつ、かつ全体の供給量は調節する、そんな匿名性と安定性を両立できる仕組みが望ましいと岩本氏は指摘し、それがうまくいかないなら、現在の通貨のままの方がいいかもしれないといい、自由放任主義の「ビットコイン」がだめだからといって、次は「中央」による「デジタル通貨」だと、極端に振れる必要はないという。 私:人間は貨幣さえ持っていれば、共同体的な束縛から解放され、身分や性別や人種を超えてだれとでも取引できるという「自由」を与えられた。 だが、貨幣を使う経済は本質的に不安定で、安定性のために公共機関を絶対に必要。 自由と安定性、個人と公共性のバランスを、どこに置くのか、個人が完全に匿名となる自由放任主義的な貨幣経済を演じようとした「ビットコイン」劇場は、そのような根源的な問題を、私たちに考えさせてくれているのかもしれないと岩本氏は指摘する。 まぁ、「デジタル通貨」問題が身近になるのは、まだまだ、先のことのようだね。
2018.01.19
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私:題名の「安定した天才」とは、トランプ氏が自分自身についてツイートした言葉からきているもので、NY市立大教授のクルーグマン氏にとっては、皮肉の材料になっている。 教授は、この偉大な国・米国は凡庸な男に導かれたことも少なくなく、中には好ましくない人柄の者もいたが、「二つの理由」で、彼らは大きな害を及ぼさなかったという。 「第一の理由」として、二流の大統領の周りには、たいていは一流の公僕がいたこと。 例えば、ロナルド・レーガン元大統領は職を離れて5年後にアルツハイマー病と診断されたが、2期目にすでに認知衰退の兆候が見られたかについて議論が続いているが、ジェームズ・ベーカー氏が財務省を、ジョージ・シュルツ氏が国務省を指揮していたから、大きな決断を下しているのが適任者なのかどうかを心配する必要はなかった。 A氏:「第二の理由」として、権力の「チェックと均衡」の制度が、法の支配を無視したり地位を乱用したりしそうになる大統領を抑えてきたことがある。 大統領を批判する者を投獄したり、在職中に私腹を肥やしたりしたいと切望した大統領もおそらくいただろうが、あえて実行に移す者は一人もいなかった。 私:「第一の理由」について具体的にふれると、「とても安定した天才」と自称するトランプ大統領は、ホワイトハウスに普通でない部下を引き連れてきたと教授は指摘する。 すでに外国政府との結びつきに関してFBIに虚偽の供述をした罪を認めた大統領補佐官(国家安全保障担当)フリン氏は辞任。 高額なプライベートジェットの頻繁な使用が致命傷となったトム・プライス厚生長官も退場。 A氏:しかし、教授は、ほかの問題の面々はまだ在職していて、ムニューシン氏が財務省にいると指摘していて、より下級の官職でも、数多くの信じられないほどひどい指名が、市民が知らぬところで行われているという。 そして不適任者が入り込んでくると同時に、適任者が逃げ出していき、国務省では大勢の経験豊富な人材が逃げており、もっと深刻なのは、どうやら同様の大流出が国家安全保障局でも起きていること。 私:つまりトランプ氏のたった1年で、私たちは最悪で最も愚かな政府へと、はるばる連れてこられてしまったと教授はいう。 すなわち、先にあげた、大統領が二流でも大統領の周りには、たいていは一流の公僕がいたという「第一の理由」が崩れているというわけだ。 A氏:「第二の理由」の大統領に対する「チェックと均衡」については、1970年代のウォーターゲート事件の当時、共和党員は大統領の違法行為を気にしたかもしれないが、今日の共和党員は明らかに、「とても安定した天才」トランプ氏の特権を守り、彼に好きにさせることが、自分たちの仕事と考えていると教授はいう。 私:最近、マイケル・ウルフ氏のトランプ氏についての暴露本がでたが、教授は暴露されたことがそれほど衝撃的とは思わなかった一人だという。 数多くの報道がこの政権について伝えてくれることを、ただ確認しているにすぎなかったからだ。 教授が思うに、連邦議会の指導的な共和党議員たちが、司法妨害に加わる決心を固くしつつある兆しであると指摘している。 A氏:下院情報委員会のデビン・ヌネス氏は大統領選へのロシアの介入について司法省が調査しようとするのを何度も邪魔してきたが、これまではヌネス氏のような隠蔽派の議員の行動が、独自のものかどうかは明確ではなかった。 だが、ポール・ライアン下院議長は、今や完全にヌネス氏の側に立ち、実際、妨害に全面的に賛成の立場。 私:同時に、2人の共和党上院議員が、ロシアの介入に関する刑事告発について、知られている限り初めて議会の付託を行った。 敵対する外国政府に協力したかもしれない者に対してではなく、トランプ氏とロシアの共謀の可能性に関する調査書類を作成した元英国情報部員に対してだ。 A氏:つまり、世界の大半がトランプ氏の大統領職への適性を疑問視しているのに、彼を抑えられる一握りの人たちは、彼に法の支配を超越させることに全力を注いでいると教授はいう。 すなわち、「第二の理由」の大統領に対する「チェックと均衡」も崩れているということだ。 私:今のところ、米国政治規範の内部崩壊が日常生活に及ぼす影響は驚くほどに少ない。 大統領は朝の時間をテレビ鑑賞と怒りのツイートに費やし、政府の能力を大混乱させている。 そして共和党は、トランプ氏が外国のスパイかどうかを市民に知られたくないと思っているのに株価は上がり、経済は成長し、新たな戦争に陥ってもいない。 だが、まだトランプ大統領の初期段階で、この偉大な国・米国をつくりあげるのに200年以上かかったのだから、おそらく「とても安定した天才」(トランプ氏)をもってしても、完璧に破滅させるのには2、3年を要するだろうと教授はいう。 大統領が二流でも、彼らは大きな害を及ぼさなかったという「二つの理由」が、教授の指摘のようにトランプ大統領については消滅している実態なら、「トランプ現象」はまだ続くことになるね。
2018.01.18
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私:1980年 (昭和55年)は「スキーブーム」だったんだね。 A氏:総務省の調査によれば81年と91年を比較すると、スキー人口は20代を中心に、男性が2倍、女性は3倍に増加。 87年の映画「私をスキーに連れてって」に象徴されるように、服装や用具をファッションとして楽しみ、ゲレンデのロマンスを期待する心理がスキーブームをさらに後押しした。 私:しかし、スキー人口は1993年の1770万人をピークに減少に転じ、スノーボード人口を含めた総数でも、1998年を境に減り、今はピークの4割強まで落ちた。 スキーリゾートを研究する筑波大の呉羽正昭教授(観光地理学)は、「景気の低迷もありますが、ブームは極端だった」といい、「人が集まれば道もリフトも渋滞する。しかも寒い。流行の先端なら我慢できたことも、設備やサービスが従来のままなら飽きられる。つらい思いをしてまで行く魅力は薄れたのでしょう」という。 A氏:呉羽氏の調べでは、2012年までに開発された日本のスキー場は763カ所。 うち37%が閉鎖・休業しており、特に00年以後の幕引きが目立つという。 また、呉羽氏は、現存するリフトの多くは1980~90年代のもので、新たな設備投資をする余力のあるスキー場は限られ、30年と言われるリフトの寿命を考えると、老朽化は近い将来の大きな課題だという。 私:しかし、新たな活路を見いだす取り組みも始まっているという。 雪国など地方再生を手がけるコンサルタント・釼持勝氏は、お客様が押し寄せていた90年代半ばまでに、日本のスキー場は本来なら20年後の先細りを見据えるべきだったという。 欧米では当たり前にやっていたことだが、日本は後手に回り、他国と違い、スキー場がリフト中心の運輸業の扱いで、サービス業ととらえた業界団体や研究機関が無かったことも一因。 今に至るまで手を打てず、ギリギリで営業するスキー場がほとんどで、今やスキー場は衰退産業の先端モデルだという。 A氏:現状ではブームの再来は厳しいが、その中で、それぞれのスキー場や地域の潜在力を最大化するに鍵は「危機感」だと釼持氏はいう。 実際に釼持氏は、2002年から3年間、北海道・ニセコ地域で外国人客受け入れの基盤整備に関わり、今、外国人の延べ宿泊数は低迷時の50倍に。 成功の原動力は、切迫した「危機感」を持つ地元の若い人の存在。 剣持氏は、「強い危機感を持って外的な要因を冷静に分析し、どうすれば問題を解決できるのかを皆で一緒に考える努力ができる。そんな人材の育成が、地域の再生・創造の一歩になると思います」という。 私:「地方創生」もスローガン気味だが、こういう地道な活動の積み重ねが必要だね。 原点は「危機感」だね。 ところで、今日、東海地方のある労働集約型の中小企業に仕事で行ってきたが、人手不足は深刻で、非正規の人の応募はゼロが続き、募集の費用と見合わないので募集を現在あきらめたという。 一方、最低賃金は上昇するし、そのコストアップを顧客企業は認めないので、次第に利益は減っているという。 背景に「少子高齢化」の波が地方に厳しく押し寄せていることがあるが、「危機感」をもって対応しないと人手不足による企業倒産が地方で増加するだろう。 「地方創生」どころではなくなるね。
2018.01.17
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私:10年ほど横ばいだった18歳人口が2018年に再び減少期に入った。 多くの大学関係者が「日本の高等教育の転機になる1年」と受け止めているという。 18歳人口は1992年の205万人を境に減少に転じたが、この10年ほどは120万人程度で横ばいが続いてきたが、今年からは再び減少を始め、2028年には107万人、38年には91万人になると推計されている。 日本私立大学協会(私大協)の小出秀文事務局長は、今年から始まる18歳人口の減少を「大陸棚から日本海溝に落ちるようだ」という。 A氏:人口減とは逆に、大学数は私立大を中心に増加。 90年は507校だったが、17年は780校。現在でも学生数が足りず、私大の4割が定員割れを起こしている。 私大の間で「2018年問題」という言葉も生まれるほど、危機感が広がる。 日本私立学校振興・共済事業団によると、17年度に定員割れした私大の9割は、入学定員400人未満の小規模大学で、特に地方で多い。 私:「私大の統合」、「公立大への移行」などの検討の動きもあるようだ。 政府は、首相官邸に設置された有識者会議の報告書に基づき、東京23区にある大学の定員を抑制し、地方の大学へ学生を誘導する新法を、今年の通常国会に提出する方針。 抑制期間を「原則10年間」とすることを軸に検討していて、安倍政権が打ち出した高等教育の負担軽減をめぐっては、国が学生を支援することと引き換えに、大学に外部理事や実務家教員を増やすよう促す方針が示され、近く、文科省内で具体的な仕組み作りが始まるという。 A氏:東京大大学総合教育研究センター・小林雅之教授によると、「大学改革の議論が活発な理由は18歳人口の減少に加え、首相官邸が、文科省を飛び越えて短期間で意思決定するようになった影響も大きい」という。 また、「社会の変化や学生層の多様化に対応できず、信頼を失った大学に反省すべき点は多く、高等教育の負担軽減や地方大学振興といった改革の多くは、大学側の意見を十分に聞かずに作っており、国が補助金などを使って誘導しても、形だけ整える大学が多く、長期的にどんなインパクトがあるか、予想できない部分もある」という。 私:記事は「政府も大学も、少子化について、財政面の問題ばかり見て、悲観的に考えすぎだ。少人数教育を徹底して売りにするなど、発想の転換が必要な時期に来ているのではないか」という。 安倍首相が、こないだの選挙で日本の危機といった「少子高齢化」だが、その対策の大きな遅れの問題点はブログ「働き方、『正解』に縛られない 『日本のため』より自分の声に正直に」でふれたが、高等教育問題にも危機状態が具体的に出始めたね。
2018.01.16
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私:IT(情報技術)の進展によるデジタル革命は多くの人々を失業させ、激しい格差社会を招くのではないか?という悲観論が近年、世界的に高まっている。 一方でIT業界に多い楽観主義者は、技術の進歩は新たな仕事を生むので心配ないと言っているが、百家争鳴の中、本書はこの今日的な論争に多数の興味深い視点を提供してくれると評者はいう。 本書は産業革命と比べながら考え、産業革命とデジタル革命の類似点と相違点を指摘する。 産業革命の際、無数の手工業の職人が失職したが、今後の米国では自動運転で約500万人が仕事を失うといい、大学ではオンライン講座で数十万の教師が失業する可能性があるという。 A氏:しかし、著者は「大きなテクノロジー革命はふつう、破壊をもたらすとともに多大な恩恵も生み出すことはぜひ覚えておきたい」という。 新技術の利用に社会がなじむまで時間がかかるため大きな時差が生じたが、産業革命は結果的に大多数の人々の生活水準を劇的に向上させた。 デジタル革命も時差を伴いつつ「人類に多大な恩恵をもたらす」と著者は見ているが、今回は違う面もあるという。 私:社会の変化が速く、転職を迫られる人が急増すると再教育は容易ではなくなり、しかも、自動化、グローバル化、スキルの高い少人数の生産性向上が労働力の余剰を発生させるため、「失業した労働者のほとんど」は「低スキルの仕事の奪い合いに追いやられる」。よって「困難を極める経済の混迷期が非常に長く続く可能性がある」と懸念されている。 それは政治体制をも揺るがすリスクがあるという。 A氏:ただし、教育の効果については本書は悲観的過ぎるように思われ、高スキル人材を多数育成しても、それに見合う仕事の賃金が下落するだけだという。 私:評者は、「教育制度の改革によって新時代に適応できる若い人材が厚くなれば、相乗効果で新たなイノベーションが生まれることもある、信じたい」という。 しかし、日本は急速な少子高齢化をかかえているので、それとの関係でどうなるだろう。 少子化で若いIT技術者が不足するという専門家の予測もある。 日本の特殊性に絞って考えたいね。
2018.01.15
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私:一昨日のこのブログ「明治維新150年 矛盾はらんだ日本の近代」で「明治維新」をとりあげたが、ここに「福沢諭吉」が登場するね。 今年で150年を迎える「明治維新」にとって「福沢諭吉」は欠かせない重要人物だね。 日本の近代を振り返るときに、外せない重要人物の一人である幕末明治期の開明的な思想家としての「福沢諭吉」の評価をめぐっては、戦後になって「侵略的絶対主義者」との批判的学説が登場したという。 その論拠が岩波書店の福沢諭吉全集「時事新報論集」(第8~16巻)にあるという。 A氏:しかし、そもそもこの新聞社説を集めた「論集」には無署名の筆者が複数おり、「福沢諭吉」本来の思想とは異なる時局迎合的な社説が混在しているという。 私:そこで、日本思想史研究者で静岡県立大学助教の平山洋氏が、その複雑な背景を指摘し、2004年の自著『福沢諭吉の真実』で「侵略的絶対主義者」でなく「市民的自由主義者」としての福沢像を改めて示した。 さらに、この表題の著書「『福沢諭吉』とは誰か 先祖考から社説真偽判定まで」では、「福沢諭吉」の著書の原形となる社説を追究する過程で「それらの大部分が福沢全集に未収録だったことが判明した」という。 A氏:また明治天皇の「五箇条の誓文」や坂本龍馬の「新政府綱領八策」が「福沢諭吉」の「西洋事情」などをベースにしている点、「福沢諭吉」が現憲法につながるような「交詢社憲法草案」に関与した点など、新たな観点にも触れていて興味深いという。 私:気になるのは、暫定的であれ、「侵略的絶対主義者」の反証例が出されたらその確度を再検証するなど共同研究が行われてもよいはずだが、平山氏は「難しい」という。 学説の違いは平行線のままで、権威筋も版元も動く気配はなさそうだという。 A氏:だからなのか、平山氏は独自に福沢の著書の本文や全集未収録の福沢執筆と推定される社説をテキスト化し、「誰もが読めるように」ネット上で公開。 さらに、それらを基に著書や社説にクセとして残る福沢の語彙や文体を時事新報の無署名社説と比較検討する地道な作業を続けている。 私:平山氏は「私は還暦までに、福沢が健康だった頃の全社説の起草者を判定する目安をつけたい。福沢の起草ではない社説を福沢の思想の反映とすることはできません。批判はしても差別はせず、個人の独立だけでなく国家の独立も説いた福沢の先進的で普遍的な思想を再確認し、21世紀にあっても色あせることのない客観的な福沢像を私は示したい」という。 150年を迎えた「明治維新」も「明治維新150年 矛盾はらんだ日本の近代」でもふれたように奥が深いね。
2018.01.14
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私:農業問題は、数年前からこのブログでもすでに問題にしているが、このインタビュー記事では日本の「食料自給率」が、先進国で最低レベルの38%であることをとりあげている。 作家・浅川芳裕氏は専門サイト「農業ビジネス」編集長でもあり、著書に「日本は世界5位の農業大国」がある。 浅川氏は、冒頭から「自給率38%」の数字に異論を唱えているね。 この「自給率」は率の分母は国民1人1日あたりの供給カロリーで、国産に輸入を加えているが、この供給カロリーは我々が実際に消費した分ではなく、食品工場やコンビニエンスストア、レストランなどで捨てられる、だれの胃袋にも入らなかった食品廃棄物など、年約2千万トンものが含まれているという。 A氏:ふつう「自給率」でイメージするのは、一人が健康的に生活するのに必要な食料がどれだけ国産でまかなわれているか、のはずで、大量廃棄まで含んだ数字は、実態より不安をあおる。 私:厚労省のデータなどから浅川氏が試算すると、「自給率」は49%で、政府目標の45%を上回り、「カロリーベース」でなく「生産額ベース」では、すでに68%だという。 A氏:どうして「自給率」の数字がおかしいのか? まず、65年から「生産額ベースの自給率」が公表されていたのが、1980年代に「自給率」が「カロリーベース」で突如、登場し、発表されるようになったからだという。 背景に、牛肉、オレンジの日米農産物自由化交渉が盛んだったことがあり、「カロリーベース」の方が輸入依存度が高いことを示せるので、農水省は自由化を阻止する宣伝手段になると判断したのだと浅川氏は指摘する。 私:国民の危機感をあおるのに、4割程度の数字はちょうどいいという、農水省最大の「ヒット商品」だと浅川氏は皮肉る。 これにより、財務省の官僚は、毎年の予算折衝で「食料自給率」が下がってもいいのか、と脅されたそうで、予算も確保しやすいので、農村を基盤とする政治家や農協にもありがたいというわけだ。 「カロリーベースの自給率」を農業政策の柱にしているのは、世界でほぼ日本だけ。 農水省が発表する先進国の「自給率」も、国際食料農業機関(FAO)の統計などから自ら計算した「自作自演」で、米価をつり上げるため「自給率」向上と矛盾するコメの減反政策を続けてきた。 A氏:対する世界の食料安全保障の定義は、「国民の栄養が足りているか」「貧困層が買えるか」「災害時に調達できるか」の3点。 浅川氏は、2008~11年にかけて、こうした疑問点を月刊誌や新書で指摘。 「カロリーベースの自給率」向上を国策にすると、カロリーの低い野菜の農家や、エサのほとんどを輸入に頼る畜産農家は、国策に逆らう存在に位置づけられる。 農家からは「よく言ってくれた」という手紙が届いたという。 私:浅川氏や一部の学者の批判もあり、農水省は15年から「食料自給力」という新しい指標を導入。 これは、輸入が止まったとき、いまの農地でどれだけの農産物が生産できるか、をみるもの。 それでも、選挙などで錦の御旗とされるのが、「自給率」。 それは、1999年施行の食料・農業・農村基本法に、自給率の目標を定めて向上させるという原則が書かれているため。 だから、浅川氏は、法律のこの部分をなくし、「食料自給率」は廃止するべきだという。 長年、政府が膨大な補助金を支給し、農家に何をつくれ、消費者に何を食べろと、事実上命令できる根拠になっていて、統制主義的な考え方が根底にある。 しかし、政府の指導なしで経営する農家が育ってこそ、いざというときでも食べる人の立場にたった判断ができ、これこそ、真の食料安全保障の前提条件だと、浅川氏はいう。 A氏:この記事でインタビューしたもう一人の横田農場社長・横田修一氏は、自主的な農業経営を行っている例を紹介している。 私:しかし、「少子高齢化」で農業の後継者不足で休耕地が増えている。このブログでは、すでに9年前の「農政改革」では、耕作放棄地と休耕田を合わせた面積は東京都の3倍近くにまで増えたというが、この問題にもふれてほしかったね。 同じ年のブログ、「減反選択制を検討」では榊原英資氏は21世紀の成長産業は農業だと言っていることにふれているが、このときから約10年近くたって、どのように改善されたのか知りたいところだね。
2018.01.13
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私:今年は「明治維新」150年ということで、NHKの大河ドラマも「西郷どん」。 このブログではすでに「明治維新150年 三谷博氏、色川大吉氏に聞く・でとりあげたが、今月の「異論のススメ」では、「明治維新」150年を保守の論客の立場からとして佐伯氏はとりあげている。 A氏:佐伯氏は、この日本の近代化150年という長い時間を真っ二つに分けている。 ちょうど、昭和の太平洋戦争の4年間がその中間に位置し、その真ん中の4年をはさんで、前半の73年は、明治に始まった近代化があの大戦争へ行き着き、後半の73年は、戦後のいわば第二の近代化が今日のグローバル競争へと行き着く時間であるとしている。 私:佐伯氏にとって、「明治維新」のもっとも基底にあるものはといえば、「壮大な矛盾をはらんだ苦渋の試み」といいたいという。 「維新」は英語でいえば「リストレーション」つまり「復古」であり、「復古」とは、天皇親政や神道の国家化など、日本独自の「伝統」を強く意識した国家形成を行うことを意味し、「刷新」の方は、徳川の封建体制を全面的に打ち壊して西洋型の近代国家へ造り替えることを意味する。 すなわち、「明治の近代化」は、日本独自の「国のかたち」や日本的な倫理や精神の覚醒を促すと同時に、西洋型の近代社会の建設という目標を掲げたるという二面性を持つものであった。 A氏:黒船に象徴される西洋列強の来襲で、圧倒的な文明に日本は適応するほかはなく、「富国強兵」の明治政府の積極政策から始まり、大多数の民衆はこの「文明開化」に飛びつき、一気に「欧化」が始まった。 私:福沢諭吉は「文明論之概略」(明治8年)のなかで、西洋文明は明らかに日本を先んじており、日本は早急にそれを取り入れなければならないが、それは、あくまで日本の独立を守るためである。 国の独立こそが目的であり、西洋文明の導入はその手段で、西洋が力で世界を支配しつつある時代に、列強と対峙しつつ独立を保つには、西洋文明によるほかない、という。 しかし、その先にあるのは何かといえば、知識であれ、制度であれ、生活様式であれ、西洋流を先進文明とみなしてひたすら模倣し、しかもそれを日本の先端で誇るという奴隷根性。 これでは福沢が文明の礎石と考えた不羈独立の精神、つまり「一身独立、一国独立」などどこかへ霧散しかねない。 A氏:福沢もそうだが、政治にせよ言論にせよ、明治の指導者たちは、もともと武士であり、強い倫理観と武士的精神の持ち主であったから、本来は、明治の欧化政策と、士道の延長上にある強い自立心の間に矛盾を抱えていたはずであると佐伯氏は指摘する。 私:ところが、「明治憲法」が制定され、議会が開設され、富国強兵もそれなりに功を奏して、日本が西洋列強に伍するにつれ、日本人の内面生活の方が何とも希薄化してゆく。 ともかく西洋列強を追いかけ、彼らに認められることに意を注ぎ、何のための文明化か、など問おうともしない、ということになり、夏目漱石は、それを、うわすべりの「外発的開化」と呼んで批判したと佐伯氏はいう。 A氏:日本の近代化は、同時に日本の西洋化であるほかなく、それに成功すればするほど、「日本」は溶解しかねないという日本の近代化のはらむ大きな矛盾があったと佐伯氏は指摘する。 私:戦後の日本の第二の近代化は、西洋化というよりアメリカ化であり、今日、アメリカ型の文明がグローバリズムという名で世界を覆いつつあるものだ。 佐伯氏にとっては、明治の近代化において日本が直面した矛盾が解決されたとは思えないという。 残念なことに、第二の近代化で福沢を後継する「新・文明論之概略」はでてこず、彼の危惧した「独立の気風」の喪失も問題とされないという。 とはいえ、「西郷どん」がいまだに人気があるのは、日本の近代化の宿命的な矛盾をわれわれもどこかで気にかけているからではなかろうかと佐伯氏は最後に多少の期待を抱く。 ただ、150年の近代化で「日本が失ったもの」の具体的な例示が、佐伯氏の寄稿の中になかったのは残念だね。 家族制度であろうか。 A氏:このブログの文頭にあげた「明治維新150年 三谷博氏、色川大吉氏に聞く・では東大名誉教授の三谷博氏は、別な視点で「明治維新」を見ているね。 三谷博氏は、「明治維新」の大きな特徴は、これまであまり目が向けられていない二つとして、武士という支配身分が消滅したことと、外国の革命に比べ犠牲者が非常に少なかったことだという。 私:支配身分の武士と被差別身分がともに廃止され、社会の大幅な再編成が短期間に行われた点で、「明治維新」は「革命」といえると三谷氏はいう。 NHKの大河ドラマ「西郷どん」では、「明治維新」をどう評価するのか興味があるが、奥の深い問題だね。
2018.01.12
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私:日本では少子高齢化が進み、2060年の日本の人口は8674万人、今の7割にまで減ってしまい、同時に高齢化がさらに進み、65歳以上の老年人口の割合が現在の23.0%から39.9%まで上昇するという。 しかし、アフリカは逆で、現在は12.56億人なのに対し、50年には倍増の25.20億人になり、世界全体の4人に1人を占める見通しで、かつ、6割は若者だという。 A氏:アフリカは54カ国あるが、記事はまず、その中で約1億9千万人と大陸最大の人口を誇るナイジェリアを中心にとりあげている。 ナイジェリアの人口は2050年までに4億人に増えて米国を抜き、中国、インドに次いで世界で3番目に人口が多い国になるとみられている。 2100年には8億人近くに増えるとも推測されている。 私:21世紀に入って大きく経済成長したこの国の人口増に、企業が熱い視線を送る。 昨年11月にラゴスで開かれた国際見本市には、大手の自動車メーカーや食品関連企業がこぞって出展し、日本企業も20社以上がブースを構えた。 バイクの新モデルを披露したホンダ現地法人社長の室岡克博氏は「ナイジェリアでは中 国やインドのメーカーとの競争が激しい。ただ、人口増で巨大マーケットに成長すること を考えれば、ここに来るしかない」と断言。 国際見本市を主催したラゴス商工会議所のショラ・オイエタヨ副会頭は「ナイジェリアは資源も豊富で、何より優秀な若い人が大勢いる。この国の未来は明るい」と太鼓判を押したという。 A氏:しかし、アフリカ諸国では、一方で、貧困や飢餓の解決や、教育や雇用の確保などが急務。 世界銀行によると、アフリカ諸国ではナイジェリアを含む少なくとも12カ国で、1日1.9ドル未満で暮らす貧困層の割合が人口の半数を超える。 人口の3割を超える国だと約30カ国になり、栄養不足人口の割合や、5歳以下の乳幼児死亡率が高いと国連が認定した「後発開発途上国」も、全47カ国中33カ国(17年6月時点)がアフリカ諸国。 私:国連は15年、持続可能な開発目標(SDGs)を採択。 「貧困をなくす」や「質の高い教育をみんなに」など、30年までに達成すべき17の目標を設定。 ナイロビ大学のアルフレッド・オティエノ准教授は「出生率が高い国では、教育機会や雇用、食料、水の確保が喫緊の問題。解決できなければ、高い出生率は貧困を永続化させる恐れがある」「国際社会はアフリカ諸国で教育機会の拡大や女性の地位向上、避妊薬の普及を今以上に支援すべきだ」と指摘。 現在の世界総人口は75.50億人だが、50年には97.72億人になるという。 食糧は大丈夫かね。 その頃は、日本は人口減と老人国で、「経済小国」になっているかもしれない。
2018.01.11
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私:米ラスベガスで9日始まった家電・技術見本市CESを前に、トヨタの豊田章男社長は、「車をつくる会社からモビリティーの会社へ変えることが私の目標だ」として、自動運転車を使った様々な移動サービスの基盤をつくると発表した。 A氏:米グーグル、米アップルやウーバーなどのIT企業が先行する自動運転車やそれを使った割安なシェアサービスが普及すると、米国の新車販売市場は40年までに4割縮む、と英金融大手のバークレイズは予測する。 トヨタの「ドル箱市場」であり、ほかの先進国もこうした流れと無縁ではなさそうだ。 私:自動車各社は、サービス事業者に商用車を卸す「下請け」になりかねないことにも懸念を募らせる。 トヨタは、シェアサービスや自動運転車の普及でマイカー需要が減る懸念が強まる中、「ライバル」と名指ししたITの巨人、米アマゾンや資本提携先のマツダに加え、相乗りタクシーのようなライドシェア事業を手がける米ウーバー・テクノロジーズ、中国の滴滴出行(ディディチューシン)と自動運転車を使った様々な移動サービスを共同で開発していく。 A氏:米フォード・モーターや独フォルクスワーゲンは移動サービスを強化しようと、ノウハウを持ち、全面対決は避けたいIT大手との関係を強めており、トヨタの提携もこの流れに沿う。 私:トヨタは、初公開した電気自動車の試作車「eパレット・コンセプト」を使い、ライドシェアや商品の宅配といった運輸・物流のサービスを運転手なしで提供する基盤をつくり、車両の販売や貸し出しだけでなく保守や保険でも稼ぎたい考え。 各社との実証実験を2020年代前半から米国などで始め、。他社の自動運転システムも載せられるようにする。 A氏:国内外の主要企業には事業の重点を時代にあわせて変化させたところが少なくない。 トヨタも1937年、織物機械メーカー、豊田自動織機の一部門が独立して生まれた。 豊田社長はこの日、祖父の喜一郎が織機づくり技術を土台に自動車づくりを始めたことを紹介し、「3代目が会社をつぶすと言われるが、そうならないようにしたい」として、移動サービスへの注力に生き残りをかける考えを強調した。 私:自動車やITの大手がめざすサービスは、モノや人の移動に伴う費用を引き下げ、消費者の生活を豊かにする可能性を持つ。 国内の人手不足の解消にも貢献しそうだが、一方でクルマの生産や販売が減ったり物流などの仕組みが変わったりすれば、多くの働き手に影響が及ぶ懸念もある。 トヨタをはじめとして、自動車業界も大きな転機をむかえつつあるね。
2018.01.10
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私:原氏は、昨年1年をふりかえり、時代の変わり目のような場所に立っているとして、そのひとつとして、「石油の世紀」といわれる石油依存の変化にふれている。 世紀を超えて増え続けてきた石油需要が、いよいよ頭を打つのではないかと、最近、世界の石油専門家たちの間に「需要ピーク説」が浮上しているという。 A氏:きっかけはフランスと英国が昨夏、2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると相次ぎ発表したことで、いわゆるEV(電気自動車)シフト。 背景には地球温暖化や都市の大気汚染問題、産業政策上の思惑があり、ドイツやインド、中国などにもこうした機運が広がりつつある。 中国については、このブログの「東京モーターショー始まる 変容する『クルマの世紀』」で、中国は先進国に先んじて国家戦略として、19年から、EVを売るようメーカーに迫る規制を入れるとしてとりあげているね。 私:もし、世界消費の4割以上を占める自動車市場で石油が使われなくなってくれば、石油は供給不安どころか供給過剰になりかねない。 ただ、需要のピークが数年後、あるいは十数年後にやってくるとみる早期到来説はまだまだ少数派のようで、国際機関や石油メジャーの多くは早くとも40年代、50年代になるだろうと考えている。 「それでも21世紀は少なくとも『石油の世紀』でないことだけははっきりしてきた」と日本エネルギー経済研究所の小山堅常務理事は言い、次は「電気の世紀」と予測する。 A氏:その電気を作るのが、再生エネルギーなのか、原子力や石化燃料なのか、で意味は違ってくるが、自動車という最大消費市場で石油が使われなくなれば「世界」は変わると原氏はいう。 私:需要ピーク説はすでに至るところで影響を及ぼしつつあり、サウジアラビアの若き皇太子によるすさまじいまでの急進的改革。 潤沢な内部留保があっても賃上げに渋いトヨタ自動車も、政権や労働界から批判されても動かないのは、迫りつつある脱石油の荒波に備え投資資金を蓄えているのだとしたら、合点もいくと原氏はいう。 A氏:中東の安全保障から春闘まで、石油の未来がさまざまなシステムの命運を握っている。 次世代エネルギーが何であれ「ポスト石油の世紀」の混迷はとうぶん続くのだろうと原氏はみる。 私:石油問題以外に、トランプ大統領の暴露本などのニュースや英国のEU離脱などで民主主義の問題点と思われるものが出ているが、今年は、今までの世界を支配していた考えが、大きく見直される転機の年になるのだろうか。
2018.01.09
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私:昨日、テレビ番組を見ていたら、産経新聞社論説委員・河合雅司氏著「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」 (講談社現代新書)をとりあげ、著者を呼んで1時間番組をやっているのを見た。 先進国のトップを切っている日本の少子高齢化のゾッとする問題点がクローズアップされた。 A氏:この本の読者評に「人口動態とそのインパクトは、この本にあるように20~30年先の予測が可能です。逆に言えば、現在直面する人口減少・高齢化とそのインパクトは20~30年前から分かっていた筈ですが、つい最近まで無為無策だったことに政治と行政のレベルの低さと劣化を感じます」とあるが、その通りだね。 私:少子化は、すでに1940年代に問題となり、生産労働人口は1990年代より問題になっている。 それに対して、政府は何も効果的な手を打っていないで、昨年の選挙で安倍首相が「少子高齢化は日本の危機」だといい出した。 読者評にある通り「危機」は遅くとも20~30年前から分かっていた筈で、今更、「危機」というのは、政治と行政のレベルの低さと劣化を感じるね。 A氏:テレビでは河合雅司氏は、対策の基本理念として「縮む」ことだと言っていたね。 これは高度成長再びという「成長志向」の否定だね。 「縮む」という発想は、このブログでふれた「都市を離れ『野生』に飛び込む 山あいで狩猟や農業、五感通し『生きる実感』」の生き方に通ずるね。 私:少子高齢化に伴う労働力不足が懸念される中、政府は「働き方改革」をうたい、女性活躍や男性の育児参加などを訴える。 電通の女性社員が自殺したのは過労のためと労災認定されると、企業側も雪崩を打つように働き方改革を叫ぶようになったが、長時間労働や非正規雇用で労働力を調整してきた構図は複雑で、政府も企業も成長の目標を手放さず、現場に変革を求める。 「縮む」志向がない。 A氏:『「働き方改革」の不都合な真実』(共著)などがある千葉商科大の常見陽平専任講師は、こうした上を目指し、働く人に無理を強いる現状に「第2昭和をつくろうとしている」と批判的。 「目的達成率の高い人を前提としたら生きづらい社会になる。サービス残業が増えるだけの『働かせ方改革』だ」と指摘。 私:まだ、「成長志向」だね。 常見陽平氏は「各個人が人生で大事なことを明らかにし、『自分の気持ちのいい場所』を見つけていくしかない」という。 「縮み」志向だね。 「自分を縛りつけるものから」の「逃走」だね。 A氏:慶大の若新雄純特任准教授は、結論づけられないものは避けて、一つの答えだけを評価してきた戦後の日本人のあり方を「正解教」と表現し、「正しい家族」「手に入れるべき家電や車」、そして「正しい働き方」もその一つであるとみる。 私:画一的な就職活動に違和感を抱く若者向けの「就活アウトロー採用」など、若新氏は多様な働き方を提案してきて、福井県鯖江市では、地元での就労や就農を前提としない「ゆるい移住」施策のコーディネーターも務めた。 高学歴やスキルを身につけ、安定した組織で働くという、そんなかつての「正解」モデルから逃れた若者もやってきた。 A氏:バブル崩壊以前は物を次々と手にすることで得られたと想像するが、低成長時代を生きる自分の尺度は、過去の自分と今を比べる「自分相対」だという。 私:安倍首相は将来、ITを駆使したIoT業界の成長を期待すると年頭に言っていたが、すでに少子高齢化でIT技術者の不足が予測されている。 少子高齢化を「日本の危機」といいながら、政策に「危機感」が乏しく、逆方向の手を打っていると言わねばならない。 「危機」なのは少子高齢化ではない。 それに対する手を20年、いや、30年も放置してきた政治の劣化、怠慢であり、いまだに厳しい反省のなさである。
2018.01.08
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私:ジョン・W・ダワー氏は、敗戦・占領下の日本の内向きの姿を描いた名著『敗北を抱きしめて』の著者でこのブログでもジョンダワー著「敗北を抱きしめて・増補版」で3日間とりあげ、さらに追加して、戦前と戦後の区別はあるの?:、美しい特攻隊?:、幻の日本の戦争裁判:でもとりあげ、合計6日分の記録となった。 また、太平洋戦争中、米兵の日本兵に対する残虐行為にふれた日本人は本質的に残虐か?ジョン・ダワー著「容赦なき戦争」もあるね。 また、戦後、いつまでも続く、日本の近隣国との歴史問題にふれた「なぜ、まだ領土問題なのか」というインタビュー記事もある。 A氏:ダワー氏は、米マサチューセッツ工科大名誉教授(日本近代史・日米関係史)だが、この書評でとりあげた本は、「アメリカの世紀」の裏面に光を当てるものだという。 ダワー氏は、世界に平和をもたらすことができるというこの信仰にこそ、「アメリカの世紀」を実質上「暴力の世紀」にしてきた要因があると見る。 私:注目したいのは、他を圧倒し、自信にあふれるこの国家が、一方では絶えず怯えと不安に苛まれてきた、という指摘である。 その怯えと不安は、冷戦後もなお軍拡を続け、強大な軍事機構を維持するうえで不可欠な要素で、アメリカはいま、ほぼ70カ国に800を超える基地をもち、グローバルな展開を遂げたこの軍事網を維持するために、日々3千億円超が費やされている。 A氏:そのコストは膨れあがった軍事費にとどまらず、とくに印象に残るのは、軍事から身を引き離すことができなくなった政治のありようである。 安全保障への過剰反応は、社会を常時「準戦争状態」に置き、特定の個人や集団だけではなく、市民社会全般が秘密裏の諜報活動の対象となり、民主主義にも暗鬱な影を落としている。 私:アメリカの世界覇権に日本がどのように加担してきたかについて本書は直接には言及しないが、『敗北を抱きしめて』の著者ならではの示唆が随所に読み取れるだろうと評者は指摘する。 日本には120を超える米軍基地が置かれていて、「在日米軍駐留経費」を負担し、アメリカの軍事展開を兵站面で支え続けてきた。 実際の軍事行動面でも日本政府がアメリカに異を唱えたことは戦後一度もなく、対米従属の根は深いと評者はいう。 A氏:北朝鮮の挑発が「国難」として語られるなか、巨費を投じてミサイル防衛システムの更新・拡充をはかるなど、日本はいま、アメリカの軍事複合体制にさらに深く組み込まれつつあり、学界の一部に軍事的な安全保障研究を解禁しようという動きがあったことも記憶に新しい。 私:今年は改憲論議がいよいよ本格化するだろう。 憲法は、これまで日本が少なくとも米軍の作戦行動に巻き込まれるのを阻んできたが、ダワー氏は、「普通の」軍事化を促進するために憲法を変えれば、国家の性格も変わる、と言う。 日本は大きな岐路にさしかかっている。 「暴力の世紀」を省みることは、私たちにとっての課題でもあると評者はいう。
2018.01.07
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私:この記事では「タメ」という言葉が重要な位置を占めているが、この意味が最初、ピンとこなかったね。 「タメ」の意味をネットで検索すると、「溜(め)」「為」「ため」と3つ出てくる。 「溜め」は「ためておくこと。その場所。特に、こえだめ」、「為」は「利益となること。有利なこと。役に立つこと」、「ため」は相手と対等なこととある。 A氏:この記事の出だしに、ネタ一丁でテレビを席巻、彗星のように現れ、きれいに消える「一発芸人」、「一発屋」の例をあげている。 その多くが一時的なお笑い芸人だから、記事の「タメ」は「溜(め)」の意味だね。 私:ライターの佐野華英氏は、平成から世にあふれた一発芸を「背景説明なし。パッと見て、即笑える。せいぜい30秒」「ネオンサイン化した笑い」だという。 いわば「タメなき笑い」だが、見渡せば、「タメ」がないのはお笑いに限らず、20代以下の若者のコミュニケーションツールは、LINEの一人勝ちに終わりそうで、手元でひと呼吸おく手紙や電話どころか、「もはやメールでさえ、まどろっこしい」と佐野氏はいう。 A氏:一橋大教授の中北浩爾氏も「タメなき時代」を実感していて、教室が300人以上占める政治学の授業で、毎回、政治家らの発言に、学生のコメントを求めるが、ある日、元大阪市長・橋下徹のツイッターから作った題の「全会一致が決められない政治の元凶」で多数決こそ民主主義、という命題に感想を求めた。 中北教授は、「学生にマイクを回して見解を聞くんですが、8割方は多数決がいいと。少数の反対で決まらなくなることへの恐怖感がすごい」という。 私:時間のかかる合意形成よりは、即断即決、即効性で、それこそが政治だという、転機は1994(平成6)年。 政治改革4法案を可決し、小選挙区制の始まりで、過半数に至らない得票率でも、国会では改憲さえ発議可能な巨大与党を形成できる。 多くの政党が時間をかけて、合意点を手探りするという、そんな状況に、「決められない政治」と宣告が下され、2015年に安保法、17年に「共謀罪」法が「スピード感をもって」「決められ」たのは、だから、ある意味で制度設計通り。 A氏:中北教授は、自著で、(1)小選挙区制―二大政党制―即断即決の「競争デモクラシー」(2)比例代表制―穏健な多党制―時間をかけた合意形成の「参加デモクラシー」と、分類している。 すなわち、(1)は「タメ」なし民主主義、(2)は「タメ」のある民主主義。 私:昨年、ベストセラーとなった千葉雅也氏(立命館大准教授)の「勉強の哲学」は、異色で、時間のかかる「かったるい」勉強の面白さを伝え、「現代のコミュニケーションは、善か悪か、敵か味方かと二元論に単純化しがち。言葉に重層性や含みがない。アイロニーとユーモアが通じなくなっている」「分かりにくさ、『タメ』を大事にするがゆえ、『タメ』のない、分かりやすいコミュニケーションも追究する。そもそも勉強とは、自分のコミュニケーションの仕方が変わっていくということなんだから」という。 今、多数決で、賛否僅差で全体の方向が決まる例が増えているね。 英国のEU離脱、最近のスペインのカタルーニャ独立も賛否が僅差だが、政治は多数派の一方的支配になり、「少数でない少数派」は無視される。 「白か、黒か」、「右か、左か」の間のない決定に僅差の多数決は、民主主義的決定なのだろうか。
2018.01.06
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私:霊長類学者の山極寿一京大総長は、山へ行くことで学問に必要な「直感力」が鍛えられると訴える。 突然の危機に遭遇する自然では、とっさの身体の動きが生死を分ける瞬間が何度も訪れると指摘。 ネットでいつも他者とつながり、共有することばかり考えていては五感は養われないとも述べ、野生のゴリラと共に暮らすように研究してきた自身の体験から、「野生の思考」の中にこそ「幸福の原点」があるとも説く。 A氏:最近、視力が落ちて来たので、眼の健康本を読んだら、狩猟民族の視力は4.0が普通だと書いてあった。 テレビ、パソコン、スマホの生活では視力という重要な身体情報収集能力が低下しているのを痛感したね。 私:「人間らしいAI」を研究している國吉康夫東大教授は、人間の五感や身体運動を通して、新たなAI開発に取り組む。 人のために本当に役立つのは、バランスの取れた『思考』が可能な、汎用性のあるAIで、設定したプログラムや与えられたデータだけをもとにしたAIでは、突発的な事態に反応できなかったり、想定外の動きをしたりするリスクがあり、「体を動かす経験が、共感など人間らしい心のベースになる」という。 それに加え、内臓の働きや呼吸、心拍といった全身の動き、つまり情動も重要な研究対象で、五感を通して感じ、外界に働きかけることで、脳は様々な情報を得ており、身体は情報の源だという。 A氏:国吉教授は、さらに、都市よりも自然な環境に身を置く方が人間は豊かな情報を得られるのでは、ともいう。 都市では特定の機能がある人工物に囲まれ、それらに行動が規定されるため、思考もパターン化されがち。 一方、自然界では同じ場所にいても人によって得る情報が違い、人間の側からも無限に外界へいたずらを仕掛けられる。 こういった条件の下でこそ、意味のある創発が起こるという。 私:なぜ、今「非合理性」や「野生」が見直されるのか。 オーストラリアなどの先住民族にも詳しい比較文学者の中村和恵明大教授は「成長型経済は行き詰まり、環境問題も拡大し、このままでは未来は暗く、別の生き方を探すのは当然」という。 「リスクヘッジのためには多様性が重要なのに、強者によるグローバル化は一つの価値観やシステムを推し進めた。西洋起源の近代文明はどん詰まりです」という。 A氏:電気などの便利なインフラに依存する都市のあり方に不安を抱く人も増え、「先住民族や狩猟民の暮らしを見直す動きが生じている。でも彼らは現代をともに生きる同時代人。安易に野生のラベルを貼るのではなく、長年自然と折り合いをつけてきた人々の知恵を学び直すべきです」という。 私:その一つが「いかんともしがたいことについて深く考えつづける力」ではないか、と中村教授は言う。 「地震や洪水、病気や死、どうしようもない不確実さや不安に見舞われる状況下で耐え、生きつづけるために人々は儀礼を行い、物語を共有した。文字のなかった民族は多いが、歌や舞踊、物語、儀礼がない民族はない。 それらこそが、困難と向かい合う手段だからで、最速で解決することばかりに価値を置く現代社会は、こうした力を失いつつあるのでは」とさらに言う。 A氏:成果や効率を求める都市的な思考や環境からいったん距離を置き、自然の中で五感や身体性を問い直す、それが新たな発想や可能性を探る道にもつながる。 私:このブログの養老孟司氏著『遺言。』で、養老氏は、目や耳などを通じて受ける「感覚」に対して、そこに「同じもの」を見つけ、意味に変換し、秩序を与えるのが「意識」。 動物は「感覚」を使って生きるが、人間の活動の大部分は「意識」に基づくという。 都市化が進む社会で暮らすと「『感覚』入力を一定に限ってしまい、意味しか扱わず、『意識』の世界に住み着いている」ようになり、それはほとんど病気に近づいているという。 実際には多くの人がその息苦しさに気付き、何とかバランスをとろうとしているのだという。 以前、昆虫採集マニアの養老氏は「参勤交代」を提唱していたね。 半年ごとに、都会を離れ、田舎にいくわけだ。 A氏:もう、6年ほど前になるが、このブログの「減速して生きる・ダウンシフターズ」で3日間連続でふれていたテーマでもあるね。 私:都会に住んでいる現在だが、とりあえず、近所の自然林に囲まれた自然公園をできるだけ散歩道にするか。
2018.01.05
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私:韓国の大学入試の厳しさはマスコミで盛んに報じられているが、中国も厳しいことをこの記事は報じている。 中国・安徽省の毛坦廠鎮は、山あいに位置する小さな村で、元々の人口は約1万人だったが次第に増え、現在は5万人近く。 増加分のほとんどを受験生とその親などが占め、彼らは1年限定の住民。 A氏:毛坦廠政府が教育に力を入れ始めたのは、2000年代以降で、優秀な教師を集め、外部から高校生や浪人生を招くため、地元の毛坦廠中学(高校に相当)に私立高校と予備校を併設し、東京ドームの約5倍の敷地に校舎や寮を建て、保護者帯同用のアパートも周辺に整備。 私:街では映画館やカラオケなど娯楽施設の営業を禁じ、ネットカフェも撤去し、大学合格者数が年々増えるにつれ、評判を聞いた受験生が集まるようになり、いつしか村全体が「アジア最大の大学合格工場」と呼ばれるようになった。 A氏:毛坦廠中学は外地から来る受験生について、母親など家族の帯同を求める。 過酷な受験戦争を乗り切るのは家族の支援があってこそ、との考えからだ。 朝6時半に授業が始まり、帰宅は午後11時半で、日曜のみ午後3時までだが、休みは1日もなく、こうした生活が、「高考」と呼ばれる大学受験の6月まで続く。 私:こうした背景には、13億人が暮らす中国の都市と農村の貧富の激しい格差がある。 農村出身の低賃金労働者が都市部の成長を支える構図だが、都市戸籍を持たない彼らに住み続ける権利はなく、人口が増え続ける北京では昨年11月、多くの出稼ぎ労働者が排除される事件も起きた。 農村出身者にとって、大学受験は人生を変えるほぼ唯一のチャンスと言える。 A氏:ただし、経済的な発展とともに変わりつつある価値観もあるようで、家族主義が強く残る中国ではかつて、成功をつかんだ子供が家族や一族を支えるという考え方もあったが、子供が親たちの世代より豊かになれば、それでいいという考え方も出てきた。 私:農村で生まれ育った親たちには、本を読んで知識を得る機会さえなかったが、子供には多くを学んでほしく、人生の基礎さえ築けば、あとは自分で歩けるという。 しかし、若い受験生2人それぞれに「あなたの幸せは何ですか」と記者が聞いたら、「親と一緒に過ごせる今が、一番幸せです!」と偶然同じ答えだったという。 でも大学合格後は、都市化の流れでその幸せを捨てないといけないことになる。
2018.01.04
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私:作家・真山仁氏については、福島第1原発事故の文藝春秋の特集で真山仁氏が、この事故についてふれていたのを読んで初めて知った。 実は、真山氏は原発事故を想定した小説を書きたかったので、最初、日本の原子炉を舞台にしようとしたが、日本の専門家に「日本の原子炉は絶対安全だ」と言われ、中国に小説の舞台を移した「ペイジン」という小説を書いたという経緯がある。 真山仁氏はこの小説で「全電源喪失」をすでに「想定」して書いている。 A氏:その小説は2008の刊行だから、福島第1原発事故の予言となったね。 当時、このブログの「ペイジン」上、下でとりあげているね。 私:その真山氏が、昨年、日本の財政危機を巡る小説「オペレーションZ」を出版。 日本の財政の債務残高が1千兆円を超えても放置されていることへの問題意識があったとのこと。 真山氏は「怖いものはみたくない。できたら通り過ぎてほしい。『見ざる』『聞かざる』『言わざる』の3ザルですよね。お上に、よきに計らってもらえばって思っている表れでしょう。でも、そうしていたらろくなことがなかったのが、この20年ですよね」という。 A氏:福島第1原発事故などに関して官僚やメディア、大学教授といったインテリに対して国民が嫌悪感をもってしまっていて「だまされた」という感情があり、「もっと一生懸命言ってくれたら、気にしたのに」と思っている。 本当は、スリーマイルもチェルノブイリの事故も隠されてはいないのにという。 私:今度の小説「オペレーションZ」を書く動機として、「政治家も、財務省をたたいていれば自分たちの責任が転嫁される、と考えているふしがあり、官僚主導が嫌ならば、政治家がもっと勉強して官僚を使いこなせばいいのに、それもできず、警鐘がきちんと鳴らされていないので、目の前にあるものが現実味のある恐怖であるということを伝えるのは、小説家の真山氏の仕事だと思ったという。 A氏:国債を持っている外資の機関投資家は、ヤバイと思った瞬間に即、逃げていく。 専門家に詰めていくと、2020年の東京五輪・パラリンピック後が危ういとか言い始めていて、日本は経済規模が大き過ぎて、破綻をしたらIMFにも他の国にも助けてもらえない。 あと何年で爆発するのかは正確には分からないが、時限爆弾は動いていて、財政問題の最大のポイントは、危ないことは分かっているのに、誰も逃げようとしないことだという。 私:現状を認識すれば、お金が足りないのだから国民にも我慢してもらいましょうとなり、我々は没落貴族で、もう荘園はなく、ワンルームに住んでいて預金も封鎖されるかもしれないような状況。 日本人の頭の中はいまだに右肩上がりのため、現実と意識が隔たっている。 我々は低成長でなく下降しているのに、成長過程のルールが守られているという。 増税を掲げると選挙に負けると政界で言われているが、歳出削減や増税に反対するのは、現世での利益を追求する人たち。 でも財政の問題は、未来の話。 今の1兆円の借金は今の1億人で割るのでなく、これから生まれる3千万人ぐらいの人で負担することになる。 A氏:真山氏は「新聞のインタビューで、18歳の若者が『僕は増税する議員に投票する』と言っていた。借金を減らすために、我々は歳出削減や増税を言う政治家を探さなければならない。そういう政治家は『勇気のある』『格好よい人』のはずなのです」という。 真山氏は、原発事故のときのように財政問題で「だまされた」とか「知らなかった」と言わせたくなく、人間は未来に何かを残すために生きているという。 最初に誰かが言わないと動かない。 小説家として、自分たちの世代の責任として真剣に伝え続けたいという。 私:早速、小説「オペレーションZ」を図書館に予約するか。
2018.01.03
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私:年末の紅白歌合戦を途中から見たが、かっては、時代のシンボルのような歌手が中心を占めたが、次第にバラバラになっていて、名前の知らない歌手が多く興味を失ったね。 紅白の出場歌手が映す時代の姿は、昭和と平成で大きく異なり、それを音楽ジャーナリストの柴那典氏は「大小の袋」に例え、 昭和から平成初期は、一つの大きな袋に、老若男女、誰もが知る人気歌手たちが詰まっていたのが、それが今世紀に入り、女性アイドルグループ、若手演歌歌手など、複数の小さい袋に分かれたという。 A氏:そして、最近の紅白出場歌手は、それぞれの小さな袋から少しずつ選ばれ、視聴者は、興味のない袋の歌手を知らない。 柴那典氏は「普段から、SNSでも、小さな袋を共有する同士で対話する。共有しないメンバーでカラオケに行くと、ぎくしゃくするのには、そんな背景があるのではないか」という。 私:そにせいか、カラオケ店が入る商業ビルから、1人ずつ出入りする男女が目立つ。 一人でカラオケを楽しむ人たち。 友人と来る時は、選曲が違い、「全員で歌える曲ってないですよね。一番盛り上がって大合唱になるのは『君が代』と線香のCMの『青雲のうた』」だという。 「大きな袋」は、国家と広告で、それが平成なのか。 確かに、大勢でカラオケに行く機会が減っていて、そのせいか、平成前半の1組あたりの平均利用人数が3.6人が、後半では2.8人と減っている。 A氏:昭和から平成、バブルの崩壊後に経済と消費の右肩上がりが止まり、必要なものは店まで行かずにインターネットを通じて購入。 新車よりリースやシェアが注目され、音楽やカラオケも、通信技術の革新に伴って大きく変容。 私:CDなど音楽ソフトの生産額はピーク時の98年に比べて4割に落ち込み、日本レコード協会が16年8月に行った調査では、半年間に音楽商品を買ったことがある人は全体の3割。 買わない人が挙げた理由で最も多いのは「今持っている曲で満足している」で、最も利用する音楽聴取手段は、4割以上が動画サイトの「ユーチューブ」と回答。 A氏:内閣府の生活満足度調査で「心の豊かさ」を重視する人が「物の豊かさ」派を引き離していく。 生涯未婚率の上昇や高齢化の進展により、平成の時代に「単身世帯」が最も多い世帯類型となり、「おひとりさま」は流行語となり、一人客専門の飲食店ができ、コンビニでも総菜の量がコンパクトになった。 私:國分功一郎・高崎経済大学准教授は、満員電車の風景の例で、多くの人がぼうっとスマホを見ていて、暇さえあればゲームを始めるとして、「消費社会は私たちを終わることのない消費のゲームに投げ込み、もはや依存症に近い。平成にもたらされたのは、依存を利用して人々にお金を使わせる仕組みではないでしょうか」という。 A氏:平成になってIT化が進んでも、人々は楽になるどころか逆に長時間、仕事に拘束され、仕事以外も誰かとつながり続けている。 自分が本当にしたいこと、幸せを感じることは何なのかを、心身が疲れてそれを考えられない。 「楽しむ」には、自分と向き合う時間や訓練が必要で、人は楽しみ方を知らないと、「暇」で、自由の中で「退屈」し、「退屈」がつらいから、スマホに貴重な時間を奪われる。 私:國分功一郎教授はユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントが、「孤独と寂しさは違う」と言っていて、「孤独」とは、私が自分自身と一緒にいることで、自分と一緒にいられない人が「寂しさ」を感じ、一緒にいてくれる他者を求めるから、自己と対話できないとし、「孤独」にならなければ、人はものを考えられなく、「孤独」こそ、現代社会で失われているものだと言っているという。 この記事の筆者は最後に自分の体験を交えて言う。 「流行に流されて似合わない服を買い、「話題の曲を歌えば友達や同僚にウケる」と、本心では共感もしていないCDを買ってきた。昨夏、旅先で見た花火の写真をインスタグラムに投稿した。『いいね!』の数は13。内なる自分が言う。『1300でも、1でも、今まで生きてきた中で見た一番美しい花火だったことに変わりはない』。もう一人の自分が答える。『当然だ。人と自分を比べてばかりいたら、全てが面白くなくなる』。この感覚。たぶん、ハッピーだ」 A氏:1日の新聞の「逃走/闘争 2018:1」欄でも「歌手にしろ俳優にしろ、国民的な『象徴』が存在していた時代は遠のいた。作り手も受け手も、シンボルを見上げたかつての枠組みから逃走し、創作・表現を自由な形でやりとりする流れが加速している」とあるね。 私:その「逃走」が、自己の「孤独」を見つめる「闘争」になるのかね。
2018.01.02
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私:朝日新聞の「社説」は見出しをみると、大体、内容が推定できるのであまり取り上げていないが、この元旦の「社説」は安倍長期政権を別な視点で捉えていて興味があるね。 持論の憲法改正も、狙いを定める条項が次々変わってきたね。 A氏:原因の一つに 国政選挙を実に頻繁に行ったこと。 政権を奪還した2012年12月の衆院選まで含めて数えると合計5回と、ほぼ年に1回で、その都度、政策の看板も次から次へと掛け替えてきて、慌ただしい。 私:学界、経済界、労働界の有志の集まり「日本アカデメイア」などは昨年12月、「先進民主政はどこへ向かうのか?」と題するシンポジウムを催した。 日本について指摘されたのは、政権維持が自己目的化し、長期的見通しや政権担当期間を通じてのプログラムがないという、場当たり的な政権運営のあり方だ。 A氏:シンポでは、「財政再建」や「地球温暖化対策」といった政策課題を解決する難しさが挙げられた。 長い時間軸の中で取り組まなければならないテーマであって、今さえよければという姿勢では、まだ生まれていない将来世代に大きなツケが回ると「社説」はいう。 私:短期志向になりがちな政治の一つの側面を表現するのが、「シルバー民主主義」という言葉。 日本では有権者に占める高齢者の割合が高く、しかも、若い世代に比べて投票率が高く、その大きな影響力を、政治の側は気にせざるをえない。 結果として、社会保障が高齢者優遇に傾けば、世代間の格差は広がり、長期的には財政を圧迫し、将来世代に禍根を残すというわけだ。 A氏:ところが、昨年夏、東京都文京区の有権者2千人を対象にアンケートをしたら、日本の「財政赤字」や「地球温暖化」といった「持続可能性」に関わる問題への関心は、高齢層の方が高かった。 生まれていない「将来世代の代弁者」の役割を積極的に担う意欲についても、同じ傾向だった。 老人は子どもや大学生に比べ、近視眼的な判断をしにくいという先行研究にも触れつつ、調査をした亀田達也・東大教授は「今の世代と将来世代との間の公平を実現する上で、高齢者の果たしうる役割はありそうだ」という。 私:俺も先の短い自分の世代以上に、孫の世代が心配だね。 A氏:民意の「変化」を敏感に追う政治家に対し、政策の「継続」と一貫性にこだわる官僚。 そんな役割分担は、官邸主導が進む中であやふやになったと「社説」はいう。 「民主主義の時間軸」を長くする方策を新たに考えなければならないとして、様々なアイデアが既に出ている。 「財政再建」でいえば、独立した第三者機関を置き、党派性のない客観的な専門家に財政規律を厳しくチェックさせる、といった提案や、若い人の声をもっと国会に届けるため、世代別の代表を送り込める選挙制度を取り入れてみては、という意見もある。 私:国政選挙が年中行事化しないよう、内閣の解散権を制限すべしという主張は、最近の憲法論議の中で高まりつつある。 「来たるべき世代に対する」国の責任を明記するのは、ドイツの憲法に当たる基本法で、ドイツでは1994年の改正で、環境保護を国家の目標として掲げた。 しかし、「社説」は、ドイツ憲法だけでなく日本国憲法でも 前文には「われらとわれらの子孫のために……自由のもたらす恵沢を確保し」とあり、11条は「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」とうたうと指摘している。 「働き方改革」のスローガンの後に、「人づくり革命」、「生産性革命」が登場した。 確かに、政策スローガンの「時間軸」が短い気がして、次の世代に対して心配だね。
2018.01.01
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