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今日は、辛い内容ではありますが、純粋に医学的見地からすれば、それはそれは本当に凄い治療成績を残した患者さんの話です。年末に、「奇跡的症例報告」 と記しました。その患者さんの話です。最初に書いておきますが、届いた知らせは、残念ながら訃報です。ですから、スルーをご選択の方はここまでということで患者さんは、スキルス胃癌の女性で、私との出会いは、2007年10月です。当時、60代の半ばのお歳でした。某癌専門病院で、スキルス胃癌・腹膜播種と診断を受けました。米村先生の治療並びに手術に関心を持った娘さんが、先ずは一人で米村先生の話を聞きに来て、それから、患者さん本人が来院し、治療開始となったんです。全身化学療法(TS-1服用)と 腹腔内投与です。この頃は、いまみたいに PCIスコア なんてありませんでした。術前化学療法を経て、2008年2月に手術を受けました。胃癌の定型手術に加え、腹膜切除、子宮、卵巣、胆嚢、脾臓切除、更に、術中温熱療法です。術前化学療法が功を奏して、癌はかなりイイ状態になってきてました。術後早々に、感染症で辛い思いをしたり、食事の困難が続いたりで、退院後も、自宅療養の期間は結構、長かったと記憶しています。それでも、自他共に術前の状態に戻ったと言える日はやってきました。1年くらい、かかってしまいましたけどね。その後は、本当にお元気になり、通常の生活を送っておられました。娘さんからは、術後1年、2年、3年・・・と、必ず、手術記念日となった日に近況メールが届きました。(この近況メールの話は、過去のブログでその都度、書いています。)術後5年までは、毎年、欠かさず届いていたのですが、翌年からは届かなくなりました。どうしたんだろう。。。実は内心、今年も術後6年目の近況が届くかな・・・と心待ちにしていました。もしかして、もしかして・・・癌は5年生存で表される病気だから、術後5年を機に、もう癌は卒業完治と、ご家族で話したのかも。。。何時までも癌患者ではいたくないだろうし。。。こんな風に考えると、こちらから連絡を取るのは憚られました。ですから、その後の近況は全くわからないまま時が流れたんです。それが、突然、昨年の11月の下旬だったでしょうか・・・あの娘さんから電話がかかってきました。 「覚えてますか?」 と。本当にびっくりしました。もう何年も音沙汰がありませんでしたから。あれから。。。術後6年も、術後7年も元気に過ごしていたそうです。ですが、8年目が近くなった頃、定期健診で膵臓に影が映ったのだと。毎年連絡をくれていた娘さんは、あれから海外在住となり、私の連絡先がわからなくなってしまったのだと。ケータイを見たら、私の電話番号だけが残っている事に気づき、思い切ってかけてみたのだそうです。膵臓に異変が見つかってからのことは、残されたご家族のお気持ちを考慮して、敢えて、触れずにおきますが、結果を言えば、術後8年を過ぎてから再度の開腹を試みた時は、もう、どうにも手が付けられなかった状態だったそうで・・・ 「今はもう、何時どうなっても不思議ではない状態となってしまいました 本人は、家に帰りたがっているのですが、 それも、難しい状態です」と教えてくれました。そして、年末に訃報が届いたのです。この患者さんと出合った頃・・・本当に治療成績という意味では、スキルス胃癌・腹膜播種は散々たるものでした。この患者さんの経過も、最初の1年が本当に辛いものだっただけに、どこまで頑張れるのか・・・と思ったものでした。期待値という意味では、決して、高くはなかったんです。でも、8年10ヶ月という時間を実際、過ごされました。ご存命されました。術後8年10ヶ月という時間は、凄いと素直に思う反面、やはり、残念で残念でなりません。1度、お会いしたことがある患者さんで、目上の方に失礼かもしれませんけど、小柄で、控えめで、可愛らしい女性でした。
2017年01月27日
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この間の日曜日に、BSで癌治療の番組が放送されていたので、見てみました。新聞に載っていた番組紹介で、患者さんは現役の医師であること、病名は進行胃癌であること、治療は全て受けることを基本にしていること、手術、抗癌剤治療、並びに放射線治療、そして免疫療法を受けていると、書かれていたので気になったんです。今、期待値最大レベルの免疫療法は何と言ってもオプジーポ。オプジーポを使用している胃癌患者さんだけは知りません。単純に、純粋に胃癌に対するオプジーポ症例の効果を知りたいと思ったんです。ですが、この患者さんが受けている免疫療法は他の治療でした。治療選択は個人の自由です。免疫療法は何と言ってもお金がかかります。来月から半額になるそうですが、オプジーポなんてやったら、年間3千万円かかります。これが半額になっても1500万。。。半額になったからと言っても、そうやすやすとトライできる金額じゃないです。 (この金額がネックになり、ご自身が選ぶ事ができた免疫療法がNK細胞療法だったんじゃないかしら?と、勝手に思いました。)で、この患者さんが選択したのが、手術に、抗癌剤治療に、放射線治療に、免疫療法(NK細胞療法)。この手法、実は13年くらい前に、米村先生もやってました。当時、「第三世代の治療」と名付けてね。スキルス胃癌・腹膜播種の患者さんに、術後、抗癌剤治療と併用して免疫療法も取り入れてみたんです。スキルス胃癌の患者さんは、基本、放射線治療は向きません。癌細胞が、微細に散らばるのが特徴というよりも、狙い撃ちできるほど、大きくなってくれないから、放射線で焼くって、事実上、無理なんです。だから、放射線治療は取り入れてはいません。術前の全身化学療法に加えて、腹腔内投与、その後、胃癌の定型手術に加え腹膜切除、術中温熱療法、術後も化学療法。そして当時、目新しく出てきた免疫療法である、樹状細胞療法も取り入れてみました。免疫療法はお金がかかりますから、あくまでも、患者さんの希望と患者さんの懐具合と相談です。樹状細胞と言うのは、簡単に言うと、免疫細胞の中でも、敵と味方の区別をする役割を担う細胞です。でも、この樹状細胞というヤツは、結構、見落としをすることが後にわかりました。そして、癌細胞自体も樹状細胞に覚えさせても形状を変えてしまうこともわかったんです。つまり、やっても良いけれど、決して悪くはないけれど、長らくできる治療法とは言えない・・・これは、私個人の結論です。期待ほどの効果が出たとは言えなかったように、私は思います。スキルス胃癌の腹膜播種だから、当時は、2年も存命してくれれば、何がどう効いたのかわからずとも、相乗効果だったのかもしれないけど、効果ありって言えますから、そういう意味では、効果はありましたけどね。お金で命の長さは計れませんけど、実際、出した金額に見合う成果を人は求めるものでしょう。湯水のようにお金を使える人は別として、子供の事、生活の事、将来の事、家のローンの事等・・・全く無視できない現実の中、どうしても、見合う成果と金額を天秤にかけて考えてしまうものじゃないでしょうか。今は、腹腔内投与と腹膜切除と、温熱療法だけでもスキルス胃癌・腹膜播種でも3年以上の存命者が普通に出てきているから、当時の免疫療法との組み合わせはどれだけ意味を成したのか、これは何とも言えません。症例数も数えるだけでしたしね。でね、13年前はね、癌治療の最前線にいる医師や、癌専門病院の名だたる医師は、免疫療法を毛嫌いしていた風潮がありました。実際、当時、国立がんセンターの講演を聞きに行った時、その医師は、「免疫療法は効かない」と断言していました。当時主流の免疫療法は、NK細胞療法です。今よりも、もっと解明されていない頃の話です。「解明はされていないけど、人工的に作ったリンパ球や、人工的に強化させたリンパ球は、癌細胞に味方してしまう輩が出来てくる」そんな意味合いの事を言ってました。さすがに、これは極論ですけどね。ただ当時、免疫学の世界的大家が、免疫療法が効く癌は、メラノーマだけだと事実上の白旗を揚げた時期でもありました。でも、あの頃はわからなかったけど、今思うと、PD-1 や PDL-1 の発現でこれはスジが通ってくる。あながち、全くの嘘じゃなかったって事になります。免疫療法も、スパコンが入ってきてからは画期的に変化を遂げてますからね。当時は、わからないことだらけだったこともあり、それだけ偏った考えの医師が多かったけど、その頃から、米村先生の頭は軟らかかった。温熱療法だって、米村先生は「なんかわからんけど、効くんです」ってところから始まって、今は、ヒートショックプロテインが解明されていますし。治る為なら、より長い延命のためなら、まだ未知の世界であっても、何でもやってみれば良いって言ってました。側にいた私は、「ただの新しいもの好き」 にも見えましたけど^^;新しい手法、何でも取り入れてました。色々やって、成果を出しても「この患者さんは、たまたま進行が遅いタイプ」とか言われちゃうこともありますけどね。それでも良いじゃないって思う私です。
2017年01月17日
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久しぶりの更新です風邪がようやく下火になりました。発熱は38度程度でしたけど、とにかく頭痛が酷かったです。カキ氷を食べると、頭がキーンとすることがあるでしょう。あんな痛みなんで、きつかった久しぶりに熱を出したから、これで、少しはヒートショックプロテイン現象が起きたかしらんたまに熱を出すことは、免疫の活性化に良いと言われています。ところで。。。今日は、新たな癌治療の試みの話です。これは、あくまでも個人的な偏見と受け取って頂いて良いですが、術後、採取した癌細胞を使って、抗癌剤の 「感受性試験」 なるものをしますけど、これ、以前からずっと、どれだけアテになるのって疑問に思っていたんです。とどのつまり、試験管の中での話でしょう。体とは違います。実際、ある癌患者さんが、タキサン系の抗癌剤の効果は80%と出ました。この数字、一般的に見て相当高いです。なのに、実際に投与すると、全然、効果が出ませんでした。全くもって効果なし・・・だったんです。これ以来、私はずっと疑問に感じていたんです。あれから時は流れ。。。今、採取した癌細胞から実際にどの抗癌剤が効果が出るのか、遺伝子レベルで検査する手法があるってご存知でしょうか?今現在、日本で使える抗癌剤、並びに、日本にはないけど海外には存在する抗癌剤等、健康保険診療の垣根を越えて、調べる手法です。抗癌剤って今、実際にどれだけの種類が存在するのかわかりませんけど、健康保険診療では、原発巣ごとに区分けされていて、使用できる抗癌剤が決まっています。例えば、古くからあるタキサン系の抗癌剤は、胃癌では当たり前に使えますけど、大腸癌では使えないとか。。。ある抗癌剤は単剤では、保険適応外だとか。こういった区分けがあるので、効果がある抗癌剤、並びに手法が今の世の中に存在しているかもしれないのに、実際には使えないんです。使えるようになる為には、治験を経て、エビデンスを確立して・・・って流れがありますから、手を伸ばせば届く所にあっても、届かないんですねぇ。今、何が誰の癌に効くのか、遺伝子レベルで調べる手法があるのです。この検査が出来る病院は限られていて、国立がんセンターや、北海道大学病院、岡山大学病院、京都大学病院等々・・・検査費用は、詳細版と簡易版があって、安い方で40~50万円。高い方は100万円くらい。この検査で、垣根を越えた抗癌剤の効果を調べることができます。でも、実際にご自分にマッチした抗癌剤を何種類が見つけられても、保険外診療、つまり、自由診療になる可能性が大なので、費用は・・・先日、この手法で治療を受けている、ある癌患者さんがテレビに出ていましたけど、費用は月90万円だと言ってました。でも、これでどんなに効果が出て、癌が縮小しても、最終的に癌の最善治療はやはり手術です。手術不能患者さんが、手術に持ち込む為のより確実な手法じゃないかと・・・でも、この検査で逆に、合う抗癌剤が健康保険診療の垣根を越えてさえも見つからなかった・・・って事もあります。そうなると。。。ん~・・・どうしたら良いものやら。。。
2017年01月13日
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久しぶりに風邪をひいてしまいまして、2日間ほど寝込んでしまいました昨日から、少しずつ日常を取り戻していますメール対応も、再開致します!!本来の更新は、いま少し先になりそうです
2017年01月11日
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昨日から熱を出して寝込んでます。年末に頂いたメールは全て、お返事済みですけど、新年明けてから届いているメールには、まだお返事できていない状況です。誠にすみません。いま少し、お待ちくださいませ。
2017年01月09日
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2017年。新年、あけましておめでとうございます。年末には、毎年恒例の丹波笹山の黒豆を煮ました。この黒豆は、ありがたいことに年末に必ず贈って下さる方がいて、毎年煮るうちに、すっかり上手になりました。贈り主は、2007年11月にスキルス胃癌でご主人を亡くされた60代の女性です。黒豆を扱うお商売をされていて、毎年、当時の思いを込めて贈って下さるんです。今年も、カラカラっとした明るい、お声を聞くことができました。本当にありがたいです。何年経っても、ご遺族という立場になっても、こうして私を思いやって下さる方が、本当に多くて、涙が出ます。こんな風に書いても、言うほど私はうぬぼれてはおらず、常に、自分自身のことは、「ナンボのもんじゃ」って思うんです。。。その 「ナンボのもんじゃ」 がどうして、こんなに愛して頂けるのか。。。不思議でならないです。思えば。。。ブログを始めて10年を越えました。サポート活動は、15年というところでしょうか。サポート活動自体は、辞めるつもりはなく、相談メールは、常にウエルカム状態です。(なかなかお返事に間がかかりますけども。。)10年前とは違って、スマホが大流行している今、誰でも彼でも簡単に、何時でもどこでも情報が発信できる世の中になりました。そんな世の中で、このブログが存在する意味や意義を見失うことがあるのです。情報は欲しいけど、自分の情報は、諸事情から明かしたくはないと言う方だっているでしょう。だったら、何も私が書かなくたって。。。そんな中で思い出したのが、スキルス胃癌で他界したある女性患者さんの言葉です。楽天のメンテで、このブログが開けない時間にたまたまアクセスしたらしいんですが、メンテで開けないだけだとわかっていても、このままずっと開けなかったらどうしよう。。。そう思うと、不安で仕方なかったと。彼女は私のケータイ番号も、アドレスも、住所も知っています。連絡を取ろうと思えば、個人的には何時だって取れます。それなのに、不安で仕方なかったと言いました。存在してくれているだけで安心するのだと。。。彼女の言葉を思い出したら、泣けてきちゃいました。多分、答えは見つからないまま、このまま続けていくんだろうなぁ。。。私は。「続けてください」「頑張ってください」って言葉は、ありがたいことに沢山届きます。その言葉に、今しばらく応えていこうかと思っております。そもそも、米村豊サポーターでもありますから。更新の頻度は、低くなるとは思いますが、本年も宜しくお願いいたします。
2017年01月05日
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