偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2010.11.24
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カテゴリ: 偐万葉

偐万葉・真澄篇(その10)

 昨日に続き、本日も偐万葉であります。シリーズ第84弾、偐万葉・真澄篇(その10)をお楽しみ下さい。
<参考>過去の偐万葉・真澄篇は ​コチラ ​​ からどうぞ。
           真澄さんのブログは コチラ からどうぞ。

  偐家持 (    にせやかもち ) 真澄郎女 ( ますみのいらつめ ) に贈りて詠める歌20首

西風の 運べる雨の 雫にや
      咲きて真白き 秋の花なれ (花家持)
(注)ゼフィランサスの花の名はZephyros(西風、ゼピュロス)と
        anthos(花)に由来する。

20100921ゼフィランサス.jpg20100923雲がくれ.jpg

うすぎぬを まとひて尾花 萩の花
        雲居の月に 恋ふてやあらし (中秋家持)

かぎろひの 空駆けゆける おほとりの
( はね ) ( ) すらし 朝風わたる

20100928曙の飛行.jpg20101003朝顔.jpg

天上の 青うつしてや 高々と
      向けてぞ空に 牽牛花咲け (出立ちの朝)

枝垂れ咲く 花は高々 大空ゆ
        み神の笑みの こぼれて咲くや (
枝垂麻呂 ( しだれまろ )

20101006花にみおろされて.jpg20101012松葉菊.jpg

怠惰など 言はるる筋の なくあれば
       サボってん菊の 駄洒落とや見む (聞くも涙)

エリーゼに あらねど恋の アラベスク
        繰りや返せる ロンドにあらし (輪舞家持)

20101014アラベスク.jpg20101016頭巾の少女.jpg

行く人を 呼びや返さむ  少女 ( をとめ ) らの
       頭巾も
領巾 ( ひれ ) か 風にぞ靡く ( 偐佐用姫 ( にせさよひめ )

ひと針に いのちぞ込めむ  縫女 ( ぬひめ ) われ
       恋とふ糸の 先は知らずも (
偐縫女 ( にせぬひめ )

20101017布に.jpg20101018座織機.jpg

機織 ( はたお ) りの 音のみしてや 秋の夜は
       更けゆくならむ 星も降るらし

( かろ ) き身の 借り暮らしなり  竪琴 ( たてごと )
一曲 ( ひとくせ ) きかな たなばたつ ( ) に  (借り暮らしのナリヒラッティ)

20101021アイリッシュハープ.jpg20101024機織り.jpg

ひとつ織る ごとにやあやに 花咲きて  あかぬ夢見の 夜長なりけり

蜜柑の香 たちまちにして 部屋に満つ  皮剥くきみの 白き指先

青き服 着て来たりける ひとありて 蜜柑を剥きぬ 白きその指

20101026蜜柑.jpg20101029蕾み.jpg

わが 屋前 ( には ) に  ( いま ) ( ふふ ) める その花の
        いかにか咲くや 待ち恋ひあらむ (偐紫田舎源氏)

秋雨の しくしく降れば 思はゆる
      花をかざしの はしき兒もがも (偐傘持)

   (注)もがも=副詞語尾風助辞「も」に、或る状態が実現するように心の
          中に望みを持つことを示す「が」が付いたのが「もが」。
          「もがも」は、この「もが」に感歎の意を示す「も」がつ
          いたもの。はしき(いとしい)あの娘がいたらなあ、とい
          うような意味である。

20101031番傘.jpg20101114咲く.jpg

風吹けど しなやかに咲く コスモスの 少女は今し いづくやあらむ

咲けば散る 咲かねば散らぬ 山茶花の
          散りて乱れて 今は眠らな (
眠今日白 ( ねむりけふしらう )

20101117眠り.jpg20101122輝くもの.jpg

無となりて  修証一如 ( しうせういちにょ ) 只管打坐 ( しかんたざ )
          自ずからにし 輝けるあり (偐道元)

もみつ葉の  木間 ( こま ) ゆ射し来る 日のありて
        ほつ枝差し延べ 木もまた踊る (
踊狂家持 ( やうきやうやかもち )

20101123太陽と踊り狂う大木.jpg

   (注)掲載の絵画は全て真澄さんのブログからの転載です。






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最終更新日  2019.07.15 19:16:18
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Re:偐万葉・真澄篇(その10)(11/24)  
童子森の母  さん
昨日は、有難うございました。

真澄さんの絵は、不思議な雰囲気をもっていますね

細い線から伝わる躍動的な力強さ~アジアの風を感じています。 (2010.11.24 11:43:31)

Re:偐万葉・真澄篇(その10)(11/24)  
真澄♪  さん
素敵は秋の展覧会
「俵万葉・真澄編」ありがとうございます。
並べ方が絶妙です。。。
うたにされると
絵にも意味が生じるようで
楽しいです♪ (2010.11.24 19:42:37)

童子森の母さんへ  
けん家持  さん
 昨日の偐万葉・童子森の母篇(その3)も楽しいものでありましたが、今日の真澄篇(その10)も面白い、とまあ、自画自賛(いや、今回は「他画自賛」ですな。)、自己満足であります(笑)。
 真澄さんの絵は、たしかに「不思議な雰囲気」というか、独特のものがあって、歌で切り込みし易いというか、自由に連想をさせてくれるものがあって、まあ、偐家持としては歓迎です。
 なるほど「アジアの風」をお感じになられますか。小生の下手な歌が自由な鑑賞の妨げにならぬことを祈るばかりであります(笑)。
(2010.11.24 20:04:20)

真澄♪さんへ  
けん家持  さん
 こちらこそ、自由に歌を付けさせていただき感謝して居ります。連歌も「発句・脇句・・」と複数の人間がコラボしてゆき、そこに生まれる、調和やズレやどんでん返しを楽しむものであるかと思いますが、絵画に和歌を付けるという行為もそれに似ていなくもありませぬ。真澄さんの絵が「発句」で小生の短歌が「脇句」。発句の作者の意図や思いとうまくマッチすることもあれば、作者の思いに反して、或いはそれから大きくずれて、脇句作者が違う世界へと導いてしまうようなこともあるかと思います。そういうことも含めて「偐万葉」を楽しんで戴けたら(所詮お遊びですから)嬉しく存じます。
 ところで、「偐」の字が「俵」になってしまっていますが、これは意図的なものですか、それともタイプミスですか?まあ、どっちでもいいのですが(笑)、「偐」の字がパソコンで出ないというようなことを時々耳にしますので、念のため申し上げると、「げん」で漢字変換すると「諺」などと並んで「偐」が出て来ると思うのですが・・。
 次は、冬の展覧会になりますかね。どうぞこれからもよろしく。
(2010.11.24 20:27:33)

Re:偐万葉・真澄篇(その10)(11/24)  
真澄さんの絵は幻想的で動きがあって
物語(ストーリー)を感じますね。

このような素晴らしい絵を見ていると
けん家持さんの歌心が刺激されて
歌が泉のように湧き出してくるのでしょうね。

高嶺の花、近づきがたいお二人ではあります。
(2010.11.24 21:14:42)

ビッグジョン7777さんへ  
けん家持  さん
 そうですね。真澄さんの絵は幻想的で物語(ストーリー)性もあります。歌心を刺激されるものでありますな。
 まあ、真澄さんは「高嶺の花」でいいのでしょうが、小生は「根なし草」であり、高嶺どころか道端ですら花も咲かさぬものと言うべきものであります(笑)。

(2010.11.24 21:44:25)

Re:偐万葉・真澄篇(その10)(11/24)  
木の花桜  さん
真澄さんの絵の世界を、素敵に読み解いていただいたようで、感動をしました。

行く人を 呼びや返さむ 少女らの 頭巾も領巾も 風にぞ靡く
偐佐用姫さま、には笑いましたが、なるほどこの美少女の髪に靡く薄衣は領巾に違いないと思いました。

この回は、詠み人の名前傑作集のようです(笑)
真澄さんの絵はいつも楽しみに拝見しているのですが、一同に会すると素晴らしい作品になりますね。
絵と歌の相乗効果はいいですね (2010.11.25 00:32:43)

木の花桜さんへ  
けん家持  さん
 「読み解く」なんぞとは「をこがましき」ことにて、勝手解釈と言うべきものでありますが、それなりに楽しんでいただけたなら嬉しきことにてありまする(笑)。
 絵もまた短歌や俳句と同じでメッセージとしての曖昧性を有していると言うべきで、見る側、読む側の解釈に委ねる部分を本質的に持っているものにてあれば、このような勝手解釈も亦許されるのかと。
 松浦佐用姫は狭手彦を呼び返そうとしましたが、さてこの少女は誰を?
 ピッタリくる詠み人名が思い付くと楽しい気分になります。時には、詠み人名が先に浮かび、それに導かれて歌が出て来るということもありますので、詠み人名も言わば作品の一部です。
 真澄さんはこれを「展覧会」と言われましたが、偐万葉・真澄篇はそのようなものかも知れません。絵はやはり一堂に集めて眺めるのが何と言っても楽しいようですな。全体として醸される雰囲気というものが生まれますから。
(2010.11.25 09:02:20)

Re:偐万葉・真澄篇(その10)(11/24)  
木の花桜  さん
こんばんは。
訂正の訂正です。先のコメントは削除をお願い致します。

昨夜は漢字の変換ミスが2件
家持さんのブログでは「一堂」を「一同」としてしまいました。
ある方のブログでは「無理そう・・・」を「無理草」
これはどうしたことか!! 半分居眠りかも
誠にお恥ずかしい限りです。申し訳ございませんでした。 (2010.11.26 00:00:46)

木の花桜さんへ  
けん家持  さん
 変換ミスは付き物ですな。小生もよくやります。変換で出て来た文字が違っているのに気付かずに、という場合もありますが、気付いて正しい文字に変えた筈なのにキーボードの反応が悪いのか、押し方が悪かったのかそのままという場合もあります。
 変換ミスがあっても正しい意味や文字が想像できる場合が殆どですから、まあ、問題はないでしょう。小生の一番の口惜しいミスはヤカモチを名乗りながら万葉集の歌全4516首を打ち間違って4615首としたことでしょうか(笑)。
(2010.11.26 00:36:17)

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