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2006.01.08
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カテゴリ: 米外交史

(前回までのあらすじ)ロレンツの委員会での証言も終盤に差しかかった。決定的な証拠写真の存在やロレンツの諜報活動について質疑応答が進むが、委員会のメンバーとロレンツとの間に大きな認識ギャップがあるため、なかなかかみ合わない。しかしロレンツの発言の端々からは、ケネディ暗殺を請け負った、CIA工作員スタージスと、その背後にある国家的な陰謀が浮かび上がってくるのであった


さて、ここでフィシアンの最終質問が始まるのだが、フィシアンもマクドナルド同様、ロレンツの驚愕すべき体験について半信半疑であった。とくにケネディが殺された直後、なぜ暗殺集団とともにダラスに行ったことを警察に話さなかったのか、などとフィシアンは疑問を呈する。賢明な読者ならば、すでにその答えはご存知だろう。

読者にとってはすでに当たり前となったテーマに関する質疑応答部分は、巻末に「フィシアンの最終質問」としてまとめておく。細部のやりとりは、研究者にとっては興味深いはずだ。

それでは、フィシアンがオズワルドとオペレーション40のメンバーによるダラス行きについて質問する場面から、この物語を再開させよう。

「証人に日付の件で確認したいのです。(1963年)十一月十七日の夜、リー・ハーヴィー・オズワルドとダラスのモーテルにいたということになっていますが」
 依然として、ダラス行きの日にちが問題になっていた。ロレンツが思い出すように言った。
 「私は十八日に発ったので・・・」
 ロレンツも日にちについて混乱していた。

 フィシアンが聞いた。「あなたたちは十六日にマイアミを出発した」
 「はい」


 「十一月十八日です」

 「十六日の朝発ったのなら、二日かかって運転・・・」
 「私は昼間出発したのです」

 「そうですか。私に確認させて下さい」
 「私はダラスに向け、昼間発ちました」

 「あなたはマイアミを午前中に出発したのですか?」
 「いいえ、午後です」

 「午後。オーケー、ならば分かります。それではあなたたちは十六日の夜と十七日の昼間はずっと運転し、十七日の夜のいつかの時点でダラスに着いた」
 「はい」

 「あなたは十七日ダラスで泊まり、翌日飛行機でダラスを発った。そうですね?」
 「いいえ。十九日か二十日です。正確な日にちは覚えていません」


 「では、こういう風に聞かせて下さい。ダラスのモーテルでその七人の男たちと何泊一緒に泊まったのですか?」
 「二泊です。多分。それよりは長くないと思います」

 「いいでしょう。それでは一九六三年十一月十六日から十九日までの間ですね?」
 「はい」

 「それ以前では、リー・ハーヴィー・オズワルドを最後に見たのはいつですか?」


 「そう。今度は少し過去の話に戻りつつあります。それ以前で最後にオズワルドを見たときです」
「家の中です。十六日の前では、彼をボッシュの家で見ました」

 「いいでしょう」
 「二週間前かもしれません」

 「というと、大体十一月の初めごろですね」
 「はい」

 「つまり、あなたは一九六三年十一月一日ごろ彼を見かけた」
 「はい」

 「そこからもう少し過去に遡りましょう。ボッシュの家で彼を見かける前に最後に彼を見たのはいつですか?」
 「おそらく隠れ家か、訓練場です」

 「隠れ家で? あなたがビラを折っていたとかいうあの隠れ家ですか?」
 「はい」

 「それはいつだと言いましたっけ?」
ロレンツは少し苛立った。自分の記憶がおぼろげであることに加えて、フィシアンがあまりに細かく日時を聞き出そうとしたからだ。「正確には分かりません。でも何だって言うんです? 八月から十一月まで三カ月もあるんですよ」
(続く)





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最終更新日  2006.01.08 09:40:26
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