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2008.03.07
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カテゴリ: 文学・芸術
▼シャルル・ボードレールの墓2(マラルメ42)


では、マラルメの「シャルル・ボードレールの墓」を詳しく見て行きましょう。

第一節
埋没した神殿は、汚泥とルビーのよだれをたらしながら
地下下水道の墳墓の口から、獰猛に吠える犬のように
鼻面を真っ赤にしたアニュビス神の
偶像のようなものを憎たらしげに吐き出す

原文詩三行目の「Abominablement(憎たらしげに)」は二行目の「bavant(よだれをたらしながら)」にも掛かっているようですね。だから正確には「埋没した神殿は憎たらしげに」としたほうがいいようです。修正後は次のようになります。

第一節

たらしながら、地下下水道の墳墓の口から
獰猛に吠える犬のように鼻面を真っ赤にした
アニュビス神の偶像のようなものを吐き出す

ここには二つのイメージが重なって表現されています。一つはエジプトの砂漠に埋没した墳墓の遺跡から出土したアニュビス神の像であり、もう一つはパリの下水道の排出口に溜まったゴミです。アニュビス神は、顔はジャッカル、体は人間の形をしたエジプトの「死の神」ですね。「獰猛に吠える犬」「鼻面を真っ赤にした」はアニュビス神の顔であると同時に、パリの街中で吠える野良犬の描写でもあるようです。

神殿やアニュビス神が何を象徴しているかですが、一つの解釈として、神殿とアニュビス神をボードレール、アニュビス神の偶像をマラルメとすることができます。ボードレール(神殿)が下水道(『悪の華』)から吐き出す詩句には毒(泥)と戦慄するような美(ルビー)があります。

ボードレールの詩を知ったマラルメは、その詩句に衝撃を受けます。マラルメ(野良犬)はうならされ、感化されます。それはそのまま、詩人の叫びの声(獰猛に吠える犬)となってボードレール(アニュビス神)風の詩句を吐き出させたのではないでしょうか。するとマラルメは「アニュビス神の偶像」さながらに、ボードレール(神殿)が生み出した(吐き出した)詩人でもあるということになります。マラルメにとっては、それらの詩句があまりにも衝撃的であったがゆえに、憎たらしげでもあったのでしょうね。

パリの下水道やゴミといった暗いイメージは、ボードレールの詩の世界と呼応しています。

第二節
あるいは最近できたガス灯が怪しげなランプの芯を捻じ曲げるがよい
人々は知っている、そのランプの芯が、被った恥辱を拭い去ることを
ガス灯は逆上したかのように取り乱し、不滅の恥骨に点火する


第二節は、街灯に照らし出されたパリの夜のイメージです。「最近できたガス灯」「ランプの芯」は私たちにはわかりづらいですが、当時、灯芯を使う石油灯に代わってガス灯がパリに設置されたことを言っています。ガス灯のほうが明るく、石油灯は暗かったのだそうです。

そうすると、意味が段々とわかってきます。暗い「ランプの芯」のほうが、恥辱を隠す(拭い去る)のに適していたと言っていることになります。恥辱とは何かというと、パリの恥部でもある売春や排水口のゴミではないでしょうか。暗ければ、「恥」も見えない振りをしたり無視したりすることもできました。ところがガス灯は、煌々と街中を照らし出すので、暗部が丸見えになってしまいます。せっかくベールで覆って隠していたものが露出されたのでは、「ランプの芯」はたまったものではありません。すごすご退散するか、ひねりつぶされる運命です。

つまり、ガス灯はボードレールの象徴なんですね。新星(最新のガス灯)のごとく現れた詩人です。これまでの詩人(石油灯)が取り上げなかった売春などパリの暗部に光を当てたのは、ボードレールでした。怪しげな行為(売春)に対して見て見ぬ振りをしていた石油灯がガス灯に駆逐されたように、ボードレールの出現で、現実よりもふわふわした夢のような世界ばかりを描いていた詩人たちは顔色(灯火)を失います。

ガス灯の力は強く、荒々しく、かつ生々しく恥部を描き出します。そこに照らし出されたものが、「恥骨」が象徴する売春行為のことなんですね。同時に恥骨の形は、ガス灯の炎の形でもあるようです。「不滅の」とは、売春が世界最古の職業だからでしょうか。娼婦は、火に誘われる蛾のように、ガス灯の周りに群がります。そして客が見つかると、暗がりへと消えていきます。現れては消える娼婦は、まるで明滅する街灯の火だとでも言っているようです。

第三節

ボードレールの大理石にむなしく寄り添って座る
女のように、祝福できるというのだろうか

ガス灯によって不夜城と化したパリの街。そのモンパルナスの丘にボードレールの墓が鎮座しています。ここにも下水道の排出口を埋めたのと同じ枯葉が舞っていたのでしょう。それが奉献されたかのように墓石の周りを埋め尽くしています。だれも掃除する人などいないのでしょうね。その墓石に「寄り添って座る女」とは、ボードレールをよく知る娼婦だったのでしょうか。

第四節
戦慄とともに姿を消す女性を取り囲む幕の中で
彼女を、その亡霊を、そしてもし私たちが死のうとするなら
いつも一呼吸で死に至らしめる守護神の毒を

「戦慄とともに姿を消す女性」は、すでに第二節に出てきた娼婦が暗がりに消えるイメージと同じですね。「戦慄」は感覚的に「ガス灯の明滅」と重なります。「彼女」は娼婦、またはボードレールの作品でもあります。「亡霊」は娼婦の影でもあるボードレール自身のこと。「守護神の毒」は昨日説明したように、『悪の華』のことですね。一呼吸で死んでしまう「毒」ですから、強烈なインパクトのある劇薬ということになります。この三つの並列された目的語に対応する動詞は、第三節にあった「祝福できるというのだろうか」です。

ふ~、やれやれ。解説に二日は掛かると書いたとおり、長い解説になってしまいました。断っておきますが、これはあくまでも私の勝手な解釈なので、異なる解説も可能です。でもこれだけ原文を逐語的に解説しているものは、ほかにないのではないかと思います。大雑把で抽象的な解説はたくさんありますね。

そういえば、ボードレールの墓の浮彫はあのロダンが施したと書いてありました。昨日紹介した写真の墓碑でしょうか。何かはっきりしませんね。

さて次が、私の紹介する最後のマラルメの詩となります。
(続く)

湘南・稲村ヶ崎の風景です。
稲村ヶ崎

中央を飛んでいるのはUFOではなく、トンビです(笑)。晴れ渡っていれば、トンビが飛んでいるあたりに富士山が見えるはずなんですけどね。江ノ島も遠くに見えます。





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最終更新日  2008.03.07 14:01:33
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