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2008.03.21
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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: 文学・芸術
▼悪の華と薔薇5(ボードレール5)
こちら をご覧ください。
左手に扇を持っていますね。

こちらも 、誰が書いたかわかりませんが、ジャンヌ・デュバルの肖像画です。

そして これ は、ボードレールの友人の画家オーガスト・プレ=マラシが描いたジャンヌ・デュバルの肖像画スケッチとメモ書き。

エキゾチックな顔立ちです。

さて、昨日紹介した「バルコニー」ですが、非常に朗読しやすい、音楽的な詩になっています。当時のパリでは、今でもそうかもしれませんが、街は劇場、バルコニーはその観覧席と呼ばれ、道行く人たちをバルコニーから観察したり、外の景色を楽しんだりするのが常だったんですね。当時の雰囲気を知るのには、こちらがいいかもしれませんね。エドゥアール・マネの『 バルコニー 』です。




第二節は、主に「心地良い炉辺」の描写です。囲炉裏に燃える石炭が夕陽に映えて、ますます赤みを増しているようです。夕暮れと囲炉裏の炎のコントラストがいいですね。漂うのは、「甘美」を象徴する薔薇の香りです。

第三節は、「魅惑的な夕べ」の描写です。バルコニーから見た夕陽の光景ですね。そして、そのとき嗅いだのがジャンヌの「血の香り」というのですから、官能的です。

第四節は、「甘美な愛撫」に焦点を当てています。時間も経過して夜になっていますね。「夜が壁のように厚く」なるとは、感覚的で、とても美しい表現です。愛撫の中心は「瞳」でしょうか。二人の眼がお互いを愛撫しているように思われます。第二、第三節では視覚と嗅覚と触覚でしたが、第四節ではそれに味覚が加わっていますね。「吐息を飲み干」すとは、エロチックでもあります。甘い毒とは、いかにもボードレールらしい表現です。

第五節は、起承転結で言うと、「転」に当たりますね。第一節でボードレールがジャンヌに呼びかけた理由が明らかになります。幸福だった日々が遠い昔の話になってしまったことを嘆くボードレールの姿が現れますね。夕暮れのバルコニーに象徴される過去の甘美な日々を取り戻したい、いや取り戻せるんだと自分自身に言い聞かせているようです。おそらく二人の間には、修復不可能な決定的な亀裂が入ったのでしょう。ボードレールはジャンヌに未練たらたらのように思われます。

最終節では、そうした鬱屈した気持ちを詩に昇華させた詩人の姿が浮かび上がります。テーマは希望ですね。美を刻む詩の力によって、ジャンヌとの甘い日々はよみがえり、永遠に刻まれることになるわけです。第五節でボードレールが言っていた「あの幸福な瞬間をよみがえらせる方法」とは、このことだったのではないか、と思えてきます。

これだけ構成がしっかりしているので、音楽にもしやすかったのでしょうね。

現実世界でのボードレールとジャンヌの関係はどうだったのでしょうか。すでに紹介したように、ボードレールは21歳のころジャンヌと知り合い、同棲生活を始めます。最初の10年は比較的良好な関係が続いたようです。おそらく詩に詠われているように、甘美な日々が続いていたのでしょう。ところが1852年、『悪の華』に出てくる「白いヴィーナス」であるサバティエ夫人のサロン出入りするようになったころから、二人の関係がうまくいかなくなったようです。

それでも何度かよりを戻したりしたのでしょう。二人の関係はその後もしばらく続きますが、ボードレールが40歳となった1861年に、二人は完全に別れます。そのころジャンヌは、ボードレールにうつされたとみられる梅毒に侵され、健康を著しく損ねていました。そして翌年には亡くなってしまうんですね。冒頭に紹介したマネーの絵は、まさにジャンヌが死んだ1862年に描かれています。そのころ、すでにジャンヌの目は見えなくなってきていたと言われています。

病気をうつされた上に、捨てられ、その病気で死んでしまうとは、なんとも哀れです。人種差別もあったでしょう。それでもジャンヌは、ボードレールだけでなく、20世紀以降の作家にもインスピレーションを与えているんですね。

現代イギリス文学を代表する作家アンジェラ・カーター(1940年~1992年)は、自薦短編集『 ブラック・ヴィーナス 』の表題作品で、ジャンヌを主人公にした作品を書いています。また、ジャマイカ生まれのナロ・ホプキンソンという女性作家が、ジャンヌが登場するSF『 塩の道
(続く)





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最終更新日  2008.03.21 11:40:35
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