ヤンチャリカ☆358さん
こんばんは。

>わたしも、同感です。

ボードレールにとっての唯一の救いは、生前ヴェルレーヌやマラルメといった若き詩人たちに熱狂的に支持されていたことでしょうか。ボードレールは時代のかなり先を行っていた詩人でしたが、見る人が見ればわかったんですね。それがささやかな慰めになったのではないかと、私は思っています。 (2008.04.16 22:10:07)

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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: 文学・芸術
▼悪の華と薔薇21(ボードレールの作品と生涯)


事前に遺書を法廷後見人に送りつけて、自分は胸にナイフを突き刺して死のうとしました。ところが傷はかすり傷程度で、とても死ねるようなものではありません。だけどボードレールは気絶するんですね。やはり繊細な詩人さんです。

この事件の後も、世間から見捨てられたようなボードレールの屈辱的な生活は続きます。期待した母親からの同情も十分には得られず、彼の孤独な苦悩は深まるばかりです。当時はジャンヌだけが「唯一の安らぎ」だったと、ボードレールは手紙に書いています。

このころからボードレールの不満の矛先は、自分の境遇は理不尽な階級制度や抑圧的な法律にあるのだと考えるようになるんですね。その階級制度の先には、オーピック将軍という、母親を奪った義父がいたのでしょう。ボードレールは、社会主義者ピエール・ジョセフ・プルードンの急進主義的社会運動に加わります。そして1848年の二月革命に加担、王政派政府攻撃の筆陣を張ります。あわよくば、王政下で将軍の地位に上り詰めた義父を追い落とせる、あるいは亡き者にできるとの期待もありました。

しかしボードレールの希望に反して、義父のオーピック将軍は革命の動乱をうまく立ち回るんですね。共和政の臨時政府が誕生すると、すぐに新政権に組します。そしてまんまとトルコ駐在大使に指名されます。

落胆したボードレールは、次第に政治への関心を失っていきます。1851年にルイ・ナポレオンのクーデターが起こったのを機に政治運動と決別し、文筆業に専念するようになったようです。その中で、サバチエ夫人と知り合ったり、マリーに夢中になったりしていたわけですね。

1857年に出版された『悪の華』にけちをつけられたことは、ボードレールにとっては経済的にも精神的にも大打撃でした。以後死ぬまで、厭世観や挫折感が彼を支配します。しかしその暗く彩られた人生の最後の時期に、文芸評論『1859年のサロン』や散文詩集『パリの憂鬱』といった傑作を書いてもいるんですね。

『悪の華』は1861年に友人の出版業者によって再版されますが、その出版社は倒産、ボードレールもその失敗に巻き込まれ、ますます財政状態が悪くなります。1864年には、債権者の督促を逃れる目的もありベルギーへ講演旅行に出かけ、そのままベルギーで新しい生活を始めます。でも講演は不評で、全集の出版計画も頓挫します。

失意のボードレールに追い討ちをかけたのは、梅毒の影響とみられる症状がひどくなってきたことです。病苦と窮乏の中にあって、祖国フランスに残してきた母親への思いも募ります。



ボードレールは、パリのモンパルナス墓地に埋葬されました。偉大な詩人としては寂しい葬儀で、友人の中にはあまりにも参列者が少ないことに嘆く人もいました。その死を報じる新聞も単なる死亡記事扱いにするところが多く、この反逆の詩人はそのまま忘れ去られてしまうかに思われました。

時代は変わります。ボードレールの死後30年が過ぎようとしているころには、彼の作品に対する評価がドンドン高まっていきます。20世紀になると、ボードレールの詩は、中学生により隠し読みされるようになります。世代から世代へと密かに読み継がれていたんですね。1917年には彼のすべての作品の公刊が可能となり、今日では19世紀最大の詩人に数えられています。





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最終更新日  2008.04.16 13:12:17
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Re:ボードレールの作品と生涯  
furafuran  さん
こんにちは。

こうやってボードレールの生涯を知ると、本人が自らまいた種ばかりではなく、あまりにも不遇な刈りとり作業が続き、心もからだも蝕まれていく中での作詩だったのですね。

傑作とうたわれるものが、亡くなるまで認められず日の目を見ないことは、芸術とされるものの中には数多くあるのでしょうが、せめてどれかひとつでもうまくいっていればと思ってしまいます。 (2008.04.16 16:19:40)

Re[1]:ボードレールの作品と生涯(04/16)  
>傑作とうたわれるものが、亡くなるまで認められず日の目を見ないことは、芸術とされるものの中には数多くあるのでしょうが、せめてどれかひとつでもうまくいっていればと思ってしまいます。

わたしも、同感です。
(2008.04.16 18:24:45)

Re[1]:ボードレールの作品と生涯(04/16)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>こうやってボードレールの生涯を知ると、本人が自らまいた種ばかりではなく、あまりにも不遇な刈りとり作業が続き、心もからだも蝕まれていく中での作詩だったのですね。

命を削って作り上げた作品も多かったでしょう。満たされない心がないと、傑作が生まれなかったのかなとも思ってしまいますね。若いときに作ってしまった借金と病気が、生涯を通じて重くのしかかってしまいましたね。

>傑作とうたわれるものが、亡くなるまで認められず日の目を見ないことは、芸術とされるものの中には数多くあるのでしょうが、せめてどれかひとつでもうまくいっていればと思ってしまいます。

生きているうちに日の目を見なかった芸術家や作品は多いですね。ヴィクトル・ユゴーは、生きているうちに大成功した作家ですが、ボードレールは彼に嫉妬して、ユゴーを馬鹿にしたり、作品を酷評したりしていました。ユゴーの作品は時代と伴にあり、その後も読まれ続けました。一方、ボードレールの作品はあまりにも早く出すぎて、時代が彼に追いつくのに50年を要したと言うことでしょうか。 (2008.04.16 21:58:46)

Re[2]:ボードレールの作品と生涯(04/16)  
白山菊理姫  さん

Re:薔薇シリーズ162(04/16)  
ボードレールの生涯、興味深く拝読させて頂きました!
紆余曲折はあっても、生前も華々しい活躍をしているのだと、長い間思っていましたので、目から鱗です。 (2008.04.17 13:27:51)

Re[1]:薔薇シリーズ162(04/16)  
白山菊理姫  さん
カーク船長4761さん
こんばんは。

>ボードレールの生涯、興味深く拝読させて頂きました!

ありがとうございます。知っているようで知られていないボードレールですね。

>紆余曲折はあっても、生前も華々しい活躍をしているのだと、長い間思っていましたので、目から鱗です。

実の父親がなくなってからのボードレールの人生は狂いっぱなしでしたね。大衆に認められた作家と、一部の芸術家だけに認められた詩人。明暗が分かれます。 (2008.04.17 22:05:50)

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