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2019年08月16日
ドクターも実践できる「スマホ首」解消
(『肩甲骨はがし』
両手のひらを外に向けて両肘を曲げて
手のひらを肩の高さに胸を張ってください。
できるだけ肩甲骨を近づける感じでー
そのまま左後方に左ひじを先に上半身を捻ってゆきましょう。
正面に戻って今度は右に
次は手を組んで、両手のひらを上に向けて、
ゆっくりと両手を挙げて、天井を見上げましょう。
背筋が伸びたら、顔を正面に戻して、ゆっくりと左に、
広背筋、胸の横を伸ばすように倒します。
横が伸びたら同じ要領で逆に倒します。)
ドクターも実践できる「スマホ首」解消
東京医大・遠藤健司氏、東大病院・上原浩介氏に聞く—Vol. 3
時流2019年7月16日 (火)配信
診療や調べ物、論文執筆などで
長時間動かずにいて、
同様の症状が出てしまったドクターにもお勧めだという。
(聞き手・まとめ:m3.com編集部・小島領平)
首をマッサージしても効果は2、3割
——text neckの症状に対して何をするとよいのでしょうか。
突発的な痛み以外は薬物治療が効かない
ケースがほとんどなので、
「肩甲骨はがし」をお勧めします。
『両肘を肩の高さから徐々に上げていき、
限界になったらゆっくりと後ろに引いてください。
肩甲骨を上から押し込んでいく感覚で』。
これを5回行うと、肩の可動域が広がります。
肩を外転する動作は、
肩関節と肩甲骨の横の動きと、
肩甲上腕運動が2:1の割合で動いているのですが、
肩甲骨は普段動かさないので
肋骨に癒着してしまいます。
それを“はがす”のがこの運動です。
首を支えている筋肉の7、8割は
肩甲骨と上腕から来ているので、
いくら首を回しても、
2、3割しか動かしたことになりません。
だから、首をボキボキ鳴らすほど動かしても
いまいちすっきりしないのです。
また、強いマッサージ、肩たたきなどは筋損傷を引き起こし、
それが瘢痕化して血流が悪くなると硬結ができてしまい、
強く指圧しても気持ちよさを感じなくなってしまいます。
「肩甲骨はがし」のような運動は、
体幹の深部にあるコアマッスルが付いている骨を動かし、
筋膜(ファスシア)、筋腹を
たくさん動かすことで血流が良くなり、
筋緊張が緩和されます。
おまけに姿勢も良くなります。
——愁訴があるものの
X線などに異常が認められない場合、
単にNSAIDの貼付剤などを処方するだけでなく、
こうした体操の指導もすれば患者の満足度が高まりそうです。
そうですね。
自律神経による愁訴の発生機序
を医学的にきちんと説明した上でならば、
患者は疎外感を味わわずに済むでしょう。
ただし、「肩甲骨はがし」は肩の疾患がある人は、
悪化させてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
——開業医の間で盛んに行われているエコーガイド下の筋膜リリースはいかがでしょうか。
エコーで確認しながら、
筋膜と筋膜の間に生理食塩液(生食)を注入
して筋膜をはがし、可動性を高める治療法です。
局所に鎮痛薬を注射するトリガーブロックとともに、
頸部痛に対して筋膜間に注入して
筋肉の滑動が改善することを目的に行っています。
論文化されていないので
エビデンス的に確立されていませんが、
生食を使うので材料費がかからず、
エコーを見ることで正確に注入することができるので、
医療側に人気の治療法です。
ただ、姿勢改善、疼痛改善の効果はあるものの
一過性のことも多く、
『慢性痛』ならばやはり運動をすることが大切であると思います。
ため息も重要な対処法
——ほかに対処法はありますか?
深呼吸、腹式呼吸が勧められます。
腹式呼吸をすることで横隔膜が上下運動するのですが、
横隔膜は自律神経の密集地帯。
吐く息を意識的にゆっくりとする
と自律神経が刺激されて副交感神経が優位になり、
リラックスするのです。
睡眠中の呼吸がずばりそうですね。
——私はよく、仕事が詰まるとため息をついてしまうのですが、
それにもリラックス効果があると。
そう、腹式呼吸と一緒、
ため息も体にとって重要なのです。
例えば、ご家庭で奥さんもしくは旦那さん
がため息をついていたら要注意です。
交感神経が優位になって、攻撃的になっている状態ですね。
手足の冷えや血圧が上がっていたら可能性が高いでしょう。
ただ、ここで「ストレスがたまっているよ」と忠告すると、
「誰のせいでストレスがたまっていると思っているの!!」
とますます交感神経を刺激してしまいます。
あくまで、相手を心配して
「リラックスして手足を温めるなど、
副交感神経を高めた方が体にいいよ」
と優しく話すことが大切です(笑)。
スマホは真ん中に掲げない
——携帯デバイスを使う際の注意点は?
デバイスを片手で持って肘を浮かし、
顔の正面で見たり操作したりする姿勢
が最も良くありません 。
デバイスを正中線上には掲げず、
持っている方の腕側にずらし、
そちらの肘を反対側の手で持つ姿勢 にすると、
肩の筋緊張が全然違います。
また、パソコンも含めて
やはり不動化が良くありません。
30分に一度は休憩 を取り、
「肩甲骨はがし」などの運動をすることを勧めます。
どんなに良い姿勢だとしても、
同じ体勢を続けていたら
体の下の方に水分がたまってしまいます。
これは、手術後の患者も同様で、
早期に動かした方が
その後の痛みが少ないとされています。
長い時間、同じ姿勢でいると
体がむくんでしまうからです。
姿勢も大切ですが、動かすこと、
「不動化」の排除はとても重要です。
——ドクターも診察中、不動になる方がいそうです。
ありますね。
ずっと机に座ってカルテを入力していたら、
あるいは診療後に、急に姿勢を変えて調べ物をしていたら、
首や肩の不調が出ることがあります。
私は予防のため、臨床では診察室で動くようにしています。
整形外科は動けない患者も多いので、
私の方から動いた方がたくさんの患者を診察できますし、
自分自身の体の調子が良いです。
——健康のために触診しよう! と。
そう。そして、積極的に運動指導しよう! と(笑)。
運動指導すると自分も体を動かしますから。
両手のひらを外に向けて両肘を曲げて
手のひらを肩の高さに胸を張ってください。
できるだけ肩甲骨を近づける感じでー
そのまま左後方に左ひじを先に上半身を捻ってゆきましょう。
正面に戻って今度は右に
次は手を組んで、両手のひらを上に向けて、
ゆっくりと両手を挙げて、天井を見上げましょう。
背筋が伸びたら、顔を正面に戻して、ゆっくりと左に、
広背筋、胸の横を伸ばすように倒します。
横が伸びたら同じ要領で逆に倒します。)
ドクターも実践できる「スマホ首」解消
東京医大・遠藤健司氏、東大病院・上原浩介氏に聞く—Vol. 3
時流2019年7月16日 (火)配信
診療や調べ物、論文執筆などで
長時間動かずにいて、
同様の症状が出てしまったドクターにもお勧めだという。
(聞き手・まとめ:m3.com編集部・小島領平)
首をマッサージしても効果は2、3割
——text neckの症状に対して何をするとよいのでしょうか。
突発的な痛み以外は薬物治療が効かない
ケースがほとんどなので、
「肩甲骨はがし」をお勧めします。
『両肘を肩の高さから徐々に上げていき、
限界になったらゆっくりと後ろに引いてください。
肩甲骨を上から押し込んでいく感覚で』。
これを5回行うと、肩の可動域が広がります。
肩を外転する動作は、
肩関節と肩甲骨の横の動きと、
肩甲上腕運動が2:1の割合で動いているのですが、
肩甲骨は普段動かさないので
肋骨に癒着してしまいます。
それを“はがす”のがこの運動です。
首を支えている筋肉の7、8割は
肩甲骨と上腕から来ているので、
いくら首を回しても、
2、3割しか動かしたことになりません。
だから、首をボキボキ鳴らすほど動かしても
いまいちすっきりしないのです。
また、強いマッサージ、肩たたきなどは筋損傷を引き起こし、
それが瘢痕化して血流が悪くなると硬結ができてしまい、
強く指圧しても気持ちよさを感じなくなってしまいます。
「肩甲骨はがし」のような運動は、
体幹の深部にあるコアマッスルが付いている骨を動かし、
筋膜(ファスシア)、筋腹を
たくさん動かすことで血流が良くなり、
筋緊張が緩和されます。
おまけに姿勢も良くなります。
——愁訴があるものの
X線などに異常が認められない場合、
単にNSAIDの貼付剤などを処方するだけでなく、
こうした体操の指導もすれば患者の満足度が高まりそうです。
そうですね。
自律神経による愁訴の発生機序
を医学的にきちんと説明した上でならば、
患者は疎外感を味わわずに済むでしょう。
ただし、「肩甲骨はがし」は肩の疾患がある人は、
悪化させてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
——開業医の間で盛んに行われているエコーガイド下の筋膜リリースはいかがでしょうか。
エコーで確認しながら、
筋膜と筋膜の間に生理食塩液(生食)を注入
して筋膜をはがし、可動性を高める治療法です。
局所に鎮痛薬を注射するトリガーブロックとともに、
頸部痛に対して筋膜間に注入して
筋肉の滑動が改善することを目的に行っています。
論文化されていないので
エビデンス的に確立されていませんが、
生食を使うので材料費がかからず、
エコーを見ることで正確に注入することができるので、
医療側に人気の治療法です。
ただ、姿勢改善、疼痛改善の効果はあるものの
一過性のことも多く、
『慢性痛』ならばやはり運動をすることが大切であると思います。
ため息も重要な対処法
——ほかに対処法はありますか?
深呼吸、腹式呼吸が勧められます。
腹式呼吸をすることで横隔膜が上下運動するのですが、
横隔膜は自律神経の密集地帯。
吐く息を意識的にゆっくりとする
と自律神経が刺激されて副交感神経が優位になり、
リラックスするのです。
睡眠中の呼吸がずばりそうですね。
——私はよく、仕事が詰まるとため息をついてしまうのですが、
それにもリラックス効果があると。
そう、腹式呼吸と一緒、
ため息も体にとって重要なのです。
例えば、ご家庭で奥さんもしくは旦那さん
がため息をついていたら要注意です。
交感神経が優位になって、攻撃的になっている状態ですね。
手足の冷えや血圧が上がっていたら可能性が高いでしょう。
ただ、ここで「ストレスがたまっているよ」と忠告すると、
「誰のせいでストレスがたまっていると思っているの!!」
とますます交感神経を刺激してしまいます。
あくまで、相手を心配して
「リラックスして手足を温めるなど、
副交感神経を高めた方が体にいいよ」
と優しく話すことが大切です(笑)。
スマホは真ん中に掲げない
——携帯デバイスを使う際の注意点は?
デバイスを片手で持って肘を浮かし、
顔の正面で見たり操作したりする姿勢
が最も良くありません 。
デバイスを正中線上には掲げず、
持っている方の腕側にずらし、
そちらの肘を反対側の手で持つ姿勢 にすると、
肩の筋緊張が全然違います。
また、パソコンも含めて
やはり不動化が良くありません。
30分に一度は休憩 を取り、
「肩甲骨はがし」などの運動をすることを勧めます。
どんなに良い姿勢だとしても、
同じ体勢を続けていたら
体の下の方に水分がたまってしまいます。
これは、手術後の患者も同様で、
早期に動かした方が
その後の痛みが少ないとされています。
長い時間、同じ姿勢でいると
体がむくんでしまうからです。
姿勢も大切ですが、動かすこと、
「不動化」の排除はとても重要です。
——ドクターも診察中、不動になる方がいそうです。
ありますね。
ずっと机に座ってカルテを入力していたら、
あるいは診療後に、急に姿勢を変えて調べ物をしていたら、
首や肩の不調が出ることがあります。
私は予防のため、臨床では診察室で動くようにしています。
整形外科は動けない患者も多いので、
私の方から動いた方がたくさんの患者を診察できますし、
自分自身の体の調子が良いです。
——健康のために触診しよう! と。
そう。そして、積極的に運動指導しよう! と(笑)。
運動指導すると自分も体を動かしますから。
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2019年08月15日
おかずファーストは糖尿病予防!
おかずファーストは糖尿病予防!
おかずを食べ始めて15分(10分でも可)経ってから主食を食べると
血糖の上がりがここまで
違います。
ひいてはインスリンの
必要量も減らせ、
膵臓の保護、
糖尿病発症を遅らせる
ことができます。
同じ食事の内容でも
米飯などの炭水化物を
先に食べると、
血糖の上りが早いため
インスリンの分泌量も
多くなることが
わかっています。
それなのに
少し前、
ベジタブルファースト
と言われていましたが、
副菜、主菜、
主菜、副菜の順番はともかく、
おかずを先に食べた方が、
血糖の上昇が遅く、
インスリンの必要量も少なくなることが
わかっています。
なぜ、食べる順番で、食後血糖上昇が抑えらるのか?
野菜に含まれる食物繊維が
糖質、脂質、コレステロールの消化吸収を遅らせ、
食後の血糖上昇を抑制した。
また炭水化物の摂取前に
野菜を摂取することにより
インスリンの分泌をうながす
インクレチンホルモンである
GLP-1の分泌を促進したと考えられています。
炭水化物を摂取する前に、
野菜やタンパク質、脂質を摂取すると、
GLP-1 の分泌が増加し、
インスリン作用の増強
および胃内容物の排出遅延、
腸管の蠕動抑制作用により、
食後血糖上昇を抑制し、
さらに急激な血糖上昇を抑制したと
考えられています。
急激な血糖上昇は
血管内の酸化ストレス、糖化を引き起こし、
動脈硬化を進行させるだけでなく、
老化もすすめます。
糖尿病、高血圧、脂質異常症は、
酸化ストレス、糖化、血液凝固系の亢進などにより、
相乗的に細小血管障害
および動脈硬化を促進させるが、
糖尿病患者だけでなく
食後高血糖が認められる糖尿病予備軍、
さらには健康な人にとっても、
「おかずファースト」
は簡単で実行しやすい食事法です。
おかずを食べ始めて15分(10分でも可)経ってから主食を食べると
血糖の上がりがここまで
違います。
ひいてはインスリンの
必要量も減らせ、
膵臓の保護、
糖尿病発症を遅らせる
ことができます。
同じ食事の内容でも
米飯などの炭水化物を
先に食べると、
血糖の上りが早いため
インスリンの分泌量も
多くなることが
わかっています。
それなのに
少し前、
ベジタブルファースト
と言われていましたが、
副菜、主菜、
主菜、副菜の順番はともかく、
おかずを先に食べた方が、
血糖の上昇が遅く、
インスリンの必要量も少なくなることが
わかっています。
なぜ、食べる順番で、食後血糖上昇が抑えらるのか?
野菜に含まれる食物繊維が
糖質、脂質、コレステロールの消化吸収を遅らせ、
食後の血糖上昇を抑制した。
また炭水化物の摂取前に
野菜を摂取することにより
インスリンの分泌をうながす
インクレチンホルモンである
GLP-1の分泌を促進したと考えられています。
炭水化物を摂取する前に、
野菜やタンパク質、脂質を摂取すると、
GLP-1 の分泌が増加し、
インスリン作用の増強
および胃内容物の排出遅延、
腸管の蠕動抑制作用により、
食後血糖上昇を抑制し、
さらに急激な血糖上昇を抑制したと
考えられています。
急激な血糖上昇は
血管内の酸化ストレス、糖化を引き起こし、
動脈硬化を進行させるだけでなく、
老化もすすめます。
糖尿病、高血圧、脂質異常症は、
酸化ストレス、糖化、血液凝固系の亢進などにより、
相乗的に細小血管障害
および動脈硬化を促進させるが、
糖尿病患者だけでなく
食後高血糖が認められる糖尿病予備軍、
さらには健康な人にとっても、
「おかずファースト」
は簡単で実行しやすい食事法です。
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2019年08月14日
目の病気は意外に深刻!
目の病気は意外に深刻!
今年、白内障の手術を受けました。
シャープな画像に
ブラウン管からデジタルモニターに
変わった感じがして、
疲れ目、ドライアイも軽快しました。
もっと早く手術を受けていれば、
外科としてまだ手術をしていたと思います。
つくづく目は大事!
40過ぎたら、一度は眼科受診をお勧めします。
物覚えがよくなる、うつ傾向が改善する人も
「最近の目と脳の関連に注目した
研究では白内障による視力の低下が、
認知症にも関連しているらしいことがわかってきました。
脳に送られる情報の約80%
が目を通して入ってくるといわれます。
白内障 は加齢などによって
目のレンズである水晶体
が濁る病気で、目の前の
物がかすむとか、
二重に見えるといった
自覚症状がある。
早い人なら40代から
見受けられ、
50代になると約半数
の人が発症し、
80代ではほぼ100%
というデータもある。
手術は、いたってシンプルで、濁った水晶体を
取り除き、そこに眼内レンズを挿入するのだが、
濁りが取り去られることで
見えづらさは劇的に解消する。
「確かに表情が豊かになり、
動作も生き生きとしてくる人が多いのです。
新たに趣味を持ちはじめたという人たちもいました。
それだけでなく、
手術をした後に、物覚えがよくなったという声も聞きますし、
うつ傾向が改善しているようだ
といったことも報告されています」(加治医師)
目は人間が光を受容して
脳に伝達する唯一の器官だ。
外から入る光が
水晶体によって屈折し、
網膜に像を映す。
そこで電気信号に変換された
視覚情報はまず、脳の後頭葉・視覚野に達し、
色、形などを処理する。
その後、記憶、言語の理解などをつかさどる側頭葉、
空間の知覚などを行う頭頂葉に分かれ、
これが再度、前頭葉で統合されて、
「映像」として認識される。
白内障の手術がうまくいって
周囲がはっきり見えるということは、
それだけ脳にいく情報量が増えたことを意味する。
加治医師らは1年ほど前に、
脳の血流を測る光トポグラフィーを用いた
「白内障手術後の脳血流変化の測定」
を実施した。
すると、後頭葉だけでなく
前頭葉の血流も増加している
という実験結果を得たのだ。
「手術から3カ月ないし半年が経過した
平均年齢76歳のアルツハイマー病患者の男性4人と女性9人、
合わせて13人を対象に行いました。
例えば、75歳女性の場合、
視力が右0.3から1.0、左0.2から1.0になりました。
見える世界が変わったという心理的効果もあるのでしょうが、
私の印象としては脳そのものが喜んでいる感じです」(加治医師)
このことからも、
白内障のみならず 緑内障 や 加齢黄斑変性 のような目の病気が、
認知機能低下の要因になることが推測できる。
一方、過度な目の疲れも体調不良につながっていく。
現代人が、そのビジネスシーンで受けるストレスやリスクは、
一昔前とは比べものにならないほど高くなっている。
日々の仕事でも長時間、パソコンやスマホの画面と向き合う。
目の酷使は疲れ目ばかりでなく
目の病気まで発症してしまう危険性もある。
症状としては、目が重く、ピントが合わない、
涙が出る、目の奥が痛くなるなどがある。
さまざまな原因が指摘されているが、
ブルーライトもその1つ。
これは、パソコンなどの液晶画面から発せられる
青い光で、太陽の光にも含まれている。
疲れ目を甘く見てはいけない
「このブルーライトを必要以上に浴びると、
目が疲れるだけでなく、体調に悪影響があります。
人体はサーカディアンリズムと呼ばれる生理機能で、
約24時間周期の体内時計に従って恒常性を維持しています。
ところが、夜間や就寝前に
パソコンや携帯端末を使いすぎると、
このリズムが狂い、体内時計が朝だと判断してしまうのです。
そのため眠りにくくなります。
そんな状態が長く続けば不眠症になります」
疲れ目と不眠症の関連性
をこう説明するのは
おおたけ眼科つきみ野医院の綾木雅彦院長。
とはいえ、現在の苛酷なまでの
就労環境から逃れることはなかなかむずかしい。
人によっては複数のパソコンを使いこなし、
社内および社外の人とのコミュニケーションも
口頭や電話よりもスマホだ。
働いていれば、常にそうしたリスクに
自分の目をさらし続けるわけだ。
「疲れ目といっても、決して甘く見てはいけません。
サーカディアンリズムが不調になると、
海外旅行における時差ボケのように
昼夜が逆転した状態になってしまうわけです。
起床すれば、自然に分泌される
アドレナリンがなければ活力は出ません。
当然、意欲も湧かず、出社しても
仕事モードには切り替えられず、
上司や同僚から
『あいつはヤル気がないな』
といった目を向けられることでしょう。
サラリーマンにとって致命的なマイナスです」(綾木院長)
ドライアイ の患者も多く足を運んでくる
綾木院長のもとには、
目の渇きやかゆみを訴える
ドライアイの患者も多く足を運んでくる。
電子端末の画面を凝視することで
まばたきの回数が減り、
角膜に涙が行き渡らず起こる。
そうなると目の表面が乾燥して、
角膜も傷つきやすくなり、
さらに症状が悪化する悪循環に陥ってしまう。
「コンタクトレンズの装着による
ドライアイの患者さんも確実に増えています。
痛みなどの自覚症状のつらさもさることながら、
私の研究でわかってきたのは、
集中力の低下を招きやすいということです。
さらに、睡眠障害やうつ症状の発生も心配しないといけません」(綾木院長)
いずれにしても仕事や生活をするうえで
目はかけがえのない器官だといっていい。
だからこそ、目の病気にかかると、
そのありがたさが身に染みて感じられる。
40代も後半に差しかかるようになったら、
少なくても1年に1回は専門医の検査を受けたほうがよさそうだ。
加治優一(かじ・ゆういち)
松本眼科 角膜センター
1994年東京大学医学部卒業後、同大医学系大学院修了。
ハーバード大学マサチューセッツ眼科耳鼻科病院入局。
筑波大学医学医療系眼科学准教授を経て現職。
綾木雅彦(あやき・まさひこ)
おおたけ眼科つきみ野医院院長
慶應義塾大学医学部特任准教授。
1982年慶應義塾大学医学部卒業後、
ハーバード大学医学部留学。
昭和大学医学部准教授などを経て現職。
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「あの病気」、原因は意外にも目にあった
白内障で認知機能低下の可能性あり
PRESIDENT 2019年7月19日号
岡村 繁雄(ジャーナリスト)から
https://president.jp/articles/-/29149?
今年、白内障の手術を受けました。
シャープな画像に
ブラウン管からデジタルモニターに
変わった感じがして、
疲れ目、ドライアイも軽快しました。
もっと早く手術を受けていれば、
外科としてまだ手術をしていたと思います。
つくづく目は大事!
40過ぎたら、一度は眼科受診をお勧めします。
物覚えがよくなる、うつ傾向が改善する人も
「最近の目と脳の関連に注目した
研究では白内障による視力の低下が、
認知症にも関連しているらしいことがわかってきました。
脳に送られる情報の約80%
が目を通して入ってくるといわれます。
白内障 は加齢などによって
目のレンズである水晶体
が濁る病気で、目の前の
物がかすむとか、
二重に見えるといった
自覚症状がある。
早い人なら40代から
見受けられ、
50代になると約半数
の人が発症し、
80代ではほぼ100%
というデータもある。
手術は、いたってシンプルで、濁った水晶体を
取り除き、そこに眼内レンズを挿入するのだが、
濁りが取り去られることで
見えづらさは劇的に解消する。
「確かに表情が豊かになり、
動作も生き生きとしてくる人が多いのです。
新たに趣味を持ちはじめたという人たちもいました。
それだけでなく、
手術をした後に、物覚えがよくなったという声も聞きますし、
うつ傾向が改善しているようだ
といったことも報告されています」(加治医師)
目は人間が光を受容して
脳に伝達する唯一の器官だ。
外から入る光が
水晶体によって屈折し、
網膜に像を映す。
そこで電気信号に変換された
視覚情報はまず、脳の後頭葉・視覚野に達し、
色、形などを処理する。
その後、記憶、言語の理解などをつかさどる側頭葉、
空間の知覚などを行う頭頂葉に分かれ、
これが再度、前頭葉で統合されて、
「映像」として認識される。
白内障の手術がうまくいって
周囲がはっきり見えるということは、
それだけ脳にいく情報量が増えたことを意味する。
加治医師らは1年ほど前に、
脳の血流を測る光トポグラフィーを用いた
「白内障手術後の脳血流変化の測定」
を実施した。
すると、後頭葉だけでなく
前頭葉の血流も増加している
という実験結果を得たのだ。
「手術から3カ月ないし半年が経過した
平均年齢76歳のアルツハイマー病患者の男性4人と女性9人、
合わせて13人を対象に行いました。
例えば、75歳女性の場合、
視力が右0.3から1.0、左0.2から1.0になりました。
見える世界が変わったという心理的効果もあるのでしょうが、
私の印象としては脳そのものが喜んでいる感じです」(加治医師)
このことからも、
白内障のみならず 緑内障 や 加齢黄斑変性 のような目の病気が、
認知機能低下の要因になることが推測できる。
一方、過度な目の疲れも体調不良につながっていく。
現代人が、そのビジネスシーンで受けるストレスやリスクは、
一昔前とは比べものにならないほど高くなっている。
日々の仕事でも長時間、パソコンやスマホの画面と向き合う。
目の酷使は疲れ目ばかりでなく
目の病気まで発症してしまう危険性もある。
症状としては、目が重く、ピントが合わない、
涙が出る、目の奥が痛くなるなどがある。
さまざまな原因が指摘されているが、
ブルーライトもその1つ。
これは、パソコンなどの液晶画面から発せられる
青い光で、太陽の光にも含まれている。
疲れ目を甘く見てはいけない
「このブルーライトを必要以上に浴びると、
目が疲れるだけでなく、体調に悪影響があります。
人体はサーカディアンリズムと呼ばれる生理機能で、
約24時間周期の体内時計に従って恒常性を維持しています。
ところが、夜間や就寝前に
パソコンや携帯端末を使いすぎると、
このリズムが狂い、体内時計が朝だと判断してしまうのです。
そのため眠りにくくなります。
そんな状態が長く続けば不眠症になります」
疲れ目と不眠症の関連性
をこう説明するのは
おおたけ眼科つきみ野医院の綾木雅彦院長。
とはいえ、現在の苛酷なまでの
就労環境から逃れることはなかなかむずかしい。
人によっては複数のパソコンを使いこなし、
社内および社外の人とのコミュニケーションも
口頭や電話よりもスマホだ。
働いていれば、常にそうしたリスクに
自分の目をさらし続けるわけだ。
「疲れ目といっても、決して甘く見てはいけません。
サーカディアンリズムが不調になると、
海外旅行における時差ボケのように
昼夜が逆転した状態になってしまうわけです。
起床すれば、自然に分泌される
アドレナリンがなければ活力は出ません。
当然、意欲も湧かず、出社しても
仕事モードには切り替えられず、
上司や同僚から
『あいつはヤル気がないな』
といった目を向けられることでしょう。
サラリーマンにとって致命的なマイナスです」(綾木院長)
ドライアイ の患者も多く足を運んでくる
綾木院長のもとには、
目の渇きやかゆみを訴える
ドライアイの患者も多く足を運んでくる。
電子端末の画面を凝視することで
まばたきの回数が減り、
角膜に涙が行き渡らず起こる。
そうなると目の表面が乾燥して、
角膜も傷つきやすくなり、
さらに症状が悪化する悪循環に陥ってしまう。
「コンタクトレンズの装着による
ドライアイの患者さんも確実に増えています。
痛みなどの自覚症状のつらさもさることながら、
私の研究でわかってきたのは、
集中力の低下を招きやすいということです。
さらに、睡眠障害やうつ症状の発生も心配しないといけません」(綾木院長)
いずれにしても仕事や生活をするうえで
目はかけがえのない器官だといっていい。
だからこそ、目の病気にかかると、
そのありがたさが身に染みて感じられる。
40代も後半に差しかかるようになったら、
少なくても1年に1回は専門医の検査を受けたほうがよさそうだ。
加治優一(かじ・ゆういち)
松本眼科 角膜センター
1994年東京大学医学部卒業後、同大医学系大学院修了。
ハーバード大学マサチューセッツ眼科耳鼻科病院入局。
筑波大学医学医療系眼科学准教授を経て現職。
綾木雅彦(あやき・まさひこ)
おおたけ眼科つきみ野医院院長
慶應義塾大学医学部特任准教授。
1982年慶應義塾大学医学部卒業後、
ハーバード大学医学部留学。
昭和大学医学部准教授などを経て現職。
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「あの病気」、原因は意外にも目にあった
白内障で認知機能低下の可能性あり
PRESIDENT 2019年7月19日号
岡村 繁雄(ジャーナリスト)から
https://president.jp/articles/-/29149?
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2019年08月13日
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
(卵、牛乳、豆、鶏、魚、そして豚牛、
根っこ、葉っぱ、海藻、きのこ、豆、芋、
握りこぶし1個分の果物、
油はオリーブ油、ごま油、しそ油(エゴマ)を食べてください。
食材としての魚、お肉の摂取量は、
必要タンパク量は自分の体重g×2倍
ー50kgの人は約50g×2倍=100g、
手のひら1枚分のお肉と、
手のひら1枚分のお魚を1日に食べてください。
食べる順番はおかずを
最初に食べて10分経ってから、
ご飯、麺、芋を食べてください。)
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
提供元:HealthDay News 公開日:2019/07/15
「食品の選び方」と「食べる順番」
が2型糖尿病の発症リスクに影響する
ことを示した3件の研究結果が、
米国栄養学会(ASN、6月8〜11日、米ボルチモア)
で発表された。
これらの研究では、
植物性食品を中心とした食事に改善したり、
ビタミンB2やビタミンB6を多く
摂取したりすると2型糖尿病リスクが低減したほか、
「食べる順番」も同リスクに影響する可能性が示された。
野菜を最初に食べると、
食後血糖値の上昇だけでなく、
食欲増進ホルモンの分泌も抑えられることが分かったという。
一つ目の研究は、前向きコホート研究である
CARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)
研究に参加した男女2,717人
(平均年齢25歳、約40%が黒人、約60%が女性)
を対象としたもの。
参加者を30年にわたり追跡した結果、
成人早期から中年期にかけて
食事の質に改善がみられた人では、
食事の質がわずかに低下した人
と比べて糖尿病リスクが60%低いことが示された。
研究を率いた米ミネソタ大学ツインシティー校
のYuni Choi氏によれば、
「質の高い食事」とは栄養分に富んだ、
植物性食品が中心の食事だという。
今回の研究の対象者で
最も質の高い食事を摂取していた人では、
毎日野菜を4サービング以上、
果物を2サービング、
ナッツまたは種子類を2分の1〜1サービング、
全粒穀物を約2サービング摂取していた一方、
加工肉の摂取量は1サービング未満、
赤肉の摂取量は約1サービングだった。
同氏らは
「植物性食品に含まれる多様な栄養素が
糖尿病予防に役立つと考えられる」
と述べている。
二つ目の研究は、
3件の大規模観察研究に参加した
計20万人の医療従事者から得られた
食事に関するデータを
15年間にわたって追跡したもの。
この研究では、
ビタミンB2とビタミンB6
の摂取量が最も多い人では、
最も少なかった人に比べて
2型糖尿病リスクが
約10%低いことが分かった。
一方、ビタミンB12については、
全体的な摂取量は
2型糖尿病リスクの上昇
とは関連しなかったが、
食事からの摂取量が多い
と同リスクは11%上昇した。
ただし、サプリメントからの摂取量
との関連は認められなかったという。
また、最後の研究では、
中国人の成人16人(ほとんどが男性)を対象に、
一定量の野菜、肉、米が含まれた食事を、
あらかじめ決められた5パターン
の順番のいずれかで摂取してもらい、
食後血糖値への影響を比較した。
その結果、
野菜または肉を最初に食べる
と食後血糖値の急上昇
が抑えられることが分かった。
特に、「野菜、肉、米」の順番
で別々に食べると
食後血糖値
の急上昇が最も抑えられ、
食欲増進ホルモン
にも好ましい影響が認められたという。
この研究を実施したグループ
の一人でシンガポール臨床科学研究所(SICS)
所長のChristiani Henry氏は
「野菜に含まれる食物繊維
や他の栄養素により、
食べ物の消化にかかる時間
が長くなり、
食後血糖値の急上昇
が緩やかになる可能性がある」
と説明。
米を食べるときには、
血糖値の上昇を抑えるため
に最初に野菜を食べる
ようにすることが
「シンプルで実践的な方法」
になるのではないかとしている。
専門家の一人で、
米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センター
の内分泌科医であるRekha Kumar氏は、
これらの報告を受けて、
「果物や野菜、自然なままの食品
を中心とした食事は、
2型糖尿病を管理する
上で極めて実践的で取り入れやすい方法だ」
とした上で、
「毎食必ず一皿の半分
を植物性の食品が占めるようにするべきだ」
と助言している。
また、食べる順番については、
「野菜や食物繊維が豊富な食品、
タンパク質は消化に長い時間がかかるため、
血糖値の上昇が緩やかになる。
理論的には、
食べる順番を変える
ことは体重や食欲のコントロール
に影響すると考えられる」
としている。
[2019年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
根っこ、葉っぱ、海藻、きのこ、豆、芋、
握りこぶし1個分の果物、
油はオリーブ油、ごま油、しそ油(エゴマ)を食べてください。
食材としての魚、お肉の摂取量は、
必要タンパク量は自分の体重g×2倍
ー50kgの人は約50g×2倍=100g、
手のひら1枚分のお肉と、
手のひら1枚分のお魚を1日に食べてください。
食べる順番はおかずを
最初に食べて10分経ってから、
ご飯、麺、芋を食べてください。)
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
提供元:HealthDay News 公開日:2019/07/15
「食品の選び方」と「食べる順番」
が2型糖尿病の発症リスクに影響する
ことを示した3件の研究結果が、
米国栄養学会(ASN、6月8〜11日、米ボルチモア)
で発表された。
これらの研究では、
植物性食品を中心とした食事に改善したり、
ビタミンB2やビタミンB6を多く
摂取したりすると2型糖尿病リスクが低減したほか、
「食べる順番」も同リスクに影響する可能性が示された。
野菜を最初に食べると、
食後血糖値の上昇だけでなく、
食欲増進ホルモンの分泌も抑えられることが分かったという。
一つ目の研究は、前向きコホート研究である
CARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)
研究に参加した男女2,717人
(平均年齢25歳、約40%が黒人、約60%が女性)
を対象としたもの。
参加者を30年にわたり追跡した結果、
成人早期から中年期にかけて
食事の質に改善がみられた人では、
食事の質がわずかに低下した人
と比べて糖尿病リスクが60%低いことが示された。
研究を率いた米ミネソタ大学ツインシティー校
のYuni Choi氏によれば、
「質の高い食事」とは栄養分に富んだ、
植物性食品が中心の食事だという。
今回の研究の対象者で
最も質の高い食事を摂取していた人では、
毎日野菜を4サービング以上、
果物を2サービング、
ナッツまたは種子類を2分の1〜1サービング、
全粒穀物を約2サービング摂取していた一方、
加工肉の摂取量は1サービング未満、
赤肉の摂取量は約1サービングだった。
同氏らは
「植物性食品に含まれる多様な栄養素が
糖尿病予防に役立つと考えられる」
と述べている。
二つ目の研究は、
3件の大規模観察研究に参加した
計20万人の医療従事者から得られた
食事に関するデータを
15年間にわたって追跡したもの。
この研究では、
ビタミンB2とビタミンB6
の摂取量が最も多い人では、
最も少なかった人に比べて
2型糖尿病リスクが
約10%低いことが分かった。
一方、ビタミンB12については、
全体的な摂取量は
2型糖尿病リスクの上昇
とは関連しなかったが、
食事からの摂取量が多い
と同リスクは11%上昇した。
ただし、サプリメントからの摂取量
との関連は認められなかったという。
また、最後の研究では、
中国人の成人16人(ほとんどが男性)を対象に、
一定量の野菜、肉、米が含まれた食事を、
あらかじめ決められた5パターン
の順番のいずれかで摂取してもらい、
食後血糖値への影響を比較した。
その結果、
野菜または肉を最初に食べる
と食後血糖値の急上昇
が抑えられることが分かった。
特に、「野菜、肉、米」の順番
で別々に食べると
食後血糖値
の急上昇が最も抑えられ、
食欲増進ホルモン
にも好ましい影響が認められたという。
この研究を実施したグループ
の一人でシンガポール臨床科学研究所(SICS)
所長のChristiani Henry氏は
「野菜に含まれる食物繊維
や他の栄養素により、
食べ物の消化にかかる時間
が長くなり、
食後血糖値の急上昇
が緩やかになる可能性がある」
と説明。
米を食べるときには、
血糖値の上昇を抑えるため
に最初に野菜を食べる
ようにすることが
「シンプルで実践的な方法」
になるのではないかとしている。
専門家の一人で、
米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センター
の内分泌科医であるRekha Kumar氏は、
これらの報告を受けて、
「果物や野菜、自然なままの食品
を中心とした食事は、
2型糖尿病を管理する
上で極めて実践的で取り入れやすい方法だ」
とした上で、
「毎食必ず一皿の半分
を植物性の食品が占めるようにするべきだ」
と助言している。
また、食べる順番については、
「野菜や食物繊維が豊富な食品、
タンパク質は消化に長い時間がかかるため、
血糖値の上昇が緩やかになる。
理論的には、
食べる順番を変える
ことは体重や食欲のコントロール
に影響すると考えられる」
としている。
[2019年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
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2019年08月12日
熱中症対策ー初期治療
急に来た真夏
日本に四季がなくなり、夏、夏、夏、冬
熱中症の死者、1週間で57人 ...搬送1万8千人〔読売新聞〕
2019年08月07日 15:39
総務省消防庁は6日、
7月29日〜8月4日の1週間
に熱中症で救急搬送された
人が全国で1万8347人に
上り、このうち24都道府県で57人が死亡したと発表
した。いずれも速報値。
前週(7月22〜28日)は
搬送者5664人、死者11人
で、大幅に増えた。
最高気温が35度以上の
猛暑日が各地で観測されて
おり、同庁が警戒を呼びかけている。
1週間の搬送者数は今年最多。
重症者は729人に上り、
搬送者のうち 65歳以上 は9963人( 54.3% )だった。
都道府県別では東京都が最も多い1857人で、
愛知県1342人、埼玉県1307人と続いた。
熱中症ー40℃のお湯の霧吹き、扇風機、
シャーベット状の氷で鼠径部を冷やす!
古典的熱射病は体温調節不良の小児、
高齢者で多く薬剤(β遮断薬、抗コリン薬など)に注意
現在、世界的に気温が上昇して熱波が襲い
また、都市のヒート・アイランド化が進行しています。
天災による死亡は熱波が一番多いのです。
現在、古典的熱射病で多いのは高齢者と、
夏に車に閉じ込められた小児です。
運動時でなく、
「熱波(heat waves)時に薬を処方されている慢性疾患の高齢者」
で多い。
高齢者は体温調節が不十分で
高齢者の熱射病の死亡率は50%を超えます。
古典的熱射病は発汗がないことが多く、
中枢神経症状を呈し呼吸性アルカローシスが多く、
また横紋筋融解はまれです。
皮膚は末梢が拡張していれば赤いし、
血管の虚脱があれば青白くなります。
以前、近くの観光ホテルのサウナで
倒れていた方が搬入されました。
昏睡、体温42℃でしたが
確かに発汗はありませんでした。
即座に冷却を始めましたが亡くなられました。
思春期前の小児(prepubertal children)も
古典的熱射病のリスク群です。
小児は体表面積/体積の比が大きく熱を体外から吸収しやすく、
また体温調節機能が不十分で
効率的な熱伝導ができずに蓄熱します。
また発汗が少なく熱放散が少ないとのことです。
小児の熱による死亡は
特に車内に閉じ込められたときで
数時間以内に死亡することがあります。
労作性熱中症(exertional heatstroke)は
健康成人で激しいスポーツで起こります。
思春期以後の活動的な人に多く季節は関係ありません。
熱産生が放散を上回るのです。
1984年ロサンゼルス・オリンピックで
初めて女子マラソンが採用されました。
世界中が息を呑んだ、
スイスのGabriela Andersen Schiess選手
の鬼気迫るゴールシーンです。
もう35年も前の映像ですが、
今でも強烈に瞼に焼き付いています。
彼女はゴール直前の給水所での給水に失敗しました。
また当日ロサンゼルスは気温32℃でした。
労作性+運動性の熱中症、脱水
でもうろうとしながらのゴールでした。
医師が駆け寄り手をかけよう
としますが彼女は拒否します。
手をかけた瞬間、
彼女は失格となるからです。
医師は、彼女が汗をかいていた
ことからまだ余力があると判断しました。
彼女はゴールと同時に倒れ込みました
が2時間後には完全回復したとのことです。
44人中37位でした。
労作性熱射病は
周囲環境が高温でなくても
運動により最初の60分で
起こることもあります。
コーチや周囲の期待に応えて
限界以上の運動を行うことが
リスク因子です。
アルコールや薬乱用などは
音楽祭でのエネルギッシュな
音楽とともに誘因になります。
ただ労作性熱中症では、
治療が即座に始められる
ことが多く死亡率は低い(5%以下)そうです。
冷却は40℃水をスプレー+扇風機、
シャーベット状氷を頸・腋下・鼠径に、
38℃で中止。
治療は対症、保存的です。
熱射病の治療は冷却
と臓器機能の維持に尽きます。
スプレーで40℃のぬるま湯を全身にかけて扇風機、
シャーベット状の氷を頸部、腋下、鼠径に当てます。
冷水を皮膚に散布して
扇風機を使うと皮膚血管収縮と震え(shivering)
を起こしますのでやってはなりません。
しかし現場ではぬるま湯なんてない
でしょうから25〜30℃の水でも仕方がありません。
中枢神経症状の回復があれば予後良好です。
熱射病の20%で脳障害が残り死亡率は高いのです。
【参考文献】
熱射病(heat stroke)総説
N Engl J Med(2019; 380: 2449-2459)
日本に四季がなくなり、夏、夏、夏、冬
熱中症の死者、1週間で57人 ...搬送1万8千人〔読売新聞〕
2019年08月07日 15:39
総務省消防庁は6日、
7月29日〜8月4日の1週間
に熱中症で救急搬送された
人が全国で1万8347人に
上り、このうち24都道府県で57人が死亡したと発表
した。いずれも速報値。
前週(7月22〜28日)は
搬送者5664人、死者11人
で、大幅に増えた。
最高気温が35度以上の
猛暑日が各地で観測されて
おり、同庁が警戒を呼びかけている。
1週間の搬送者数は今年最多。
重症者は729人に上り、
搬送者のうち 65歳以上 は9963人( 54.3% )だった。
都道府県別では東京都が最も多い1857人で、
愛知県1342人、埼玉県1307人と続いた。
熱中症ー40℃のお湯の霧吹き、扇風機、
シャーベット状の氷で鼠径部を冷やす!
古典的熱射病は体温調節不良の小児、
高齢者で多く薬剤(β遮断薬、抗コリン薬など)に注意
現在、世界的に気温が上昇して熱波が襲い
また、都市のヒート・アイランド化が進行しています。
天災による死亡は熱波が一番多いのです。
現在、古典的熱射病で多いのは高齢者と、
夏に車に閉じ込められた小児です。
運動時でなく、
「熱波(heat waves)時に薬を処方されている慢性疾患の高齢者」
で多い。
高齢者は体温調節が不十分で
高齢者の熱射病の死亡率は50%を超えます。
古典的熱射病は発汗がないことが多く、
中枢神経症状を呈し呼吸性アルカローシスが多く、
また横紋筋融解はまれです。
皮膚は末梢が拡張していれば赤いし、
血管の虚脱があれば青白くなります。
以前、近くの観光ホテルのサウナで
倒れていた方が搬入されました。
昏睡、体温42℃でしたが
確かに発汗はありませんでした。
即座に冷却を始めましたが亡くなられました。
思春期前の小児(prepubertal children)も
古典的熱射病のリスク群です。
小児は体表面積/体積の比が大きく熱を体外から吸収しやすく、
また体温調節機能が不十分で
効率的な熱伝導ができずに蓄熱します。
また発汗が少なく熱放散が少ないとのことです。
小児の熱による死亡は
特に車内に閉じ込められたときで
数時間以内に死亡することがあります。
労作性熱中症(exertional heatstroke)は
健康成人で激しいスポーツで起こります。
思春期以後の活動的な人に多く季節は関係ありません。
熱産生が放散を上回るのです。
1984年ロサンゼルス・オリンピックで
初めて女子マラソンが採用されました。
世界中が息を呑んだ、
スイスのGabriela Andersen Schiess選手
の鬼気迫るゴールシーンです。
もう35年も前の映像ですが、
今でも強烈に瞼に焼き付いています。
彼女はゴール直前の給水所での給水に失敗しました。
また当日ロサンゼルスは気温32℃でした。
労作性+運動性の熱中症、脱水
でもうろうとしながらのゴールでした。
医師が駆け寄り手をかけよう
としますが彼女は拒否します。
手をかけた瞬間、
彼女は失格となるからです。
医師は、彼女が汗をかいていた
ことからまだ余力があると判断しました。
彼女はゴールと同時に倒れ込みました
が2時間後には完全回復したとのことです。
44人中37位でした。
労作性熱射病は
周囲環境が高温でなくても
運動により最初の60分で
起こることもあります。
コーチや周囲の期待に応えて
限界以上の運動を行うことが
リスク因子です。
アルコールや薬乱用などは
音楽祭でのエネルギッシュな
音楽とともに誘因になります。
ただ労作性熱中症では、
治療が即座に始められる
ことが多く死亡率は低い(5%以下)そうです。
冷却は40℃水をスプレー+扇風機、
シャーベット状氷を頸・腋下・鼠径に、
38℃で中止。
治療は対症、保存的です。
熱射病の治療は冷却
と臓器機能の維持に尽きます。
スプレーで40℃のぬるま湯を全身にかけて扇風機、
シャーベット状の氷を頸部、腋下、鼠径に当てます。
冷水を皮膚に散布して
扇風機を使うと皮膚血管収縮と震え(shivering)
を起こしますのでやってはなりません。
しかし現場ではぬるま湯なんてない
でしょうから25〜30℃の水でも仕方がありません。
中枢神経症状の回復があれば予後良好です。
熱射病の20%で脳障害が残り死亡率は高いのです。
【参考文献】
熱射病(heat stroke)総説
N Engl J Med(2019; 380: 2449-2459)
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2019年08月11日
『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』
『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』
歩幅を広げることで認知症が予防できる!
2019年07月17日 16:15
予備軍も含めると患者数が860万人に上る認知症。
その大半を占めるアルツハイマー型認知症は、
いまだに有用な治療法が開発されていない。
そのような中、
歩幅を広げることが認知症の発症を抑制
する上で有用である可能性が示されたという。
『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』
を上梓した国立環境研究所主任研究員
(前:東京都健康長寿医療センター研究員)
の谷口優氏に、認知症と歩幅の関係について解説してもらった。
歩幅が狭いままだと認知症リスクが2倍以上に
—まず、この本の基となった研究の概要を教えて下さい。
谷口
体の動きと頭の働きの関係性に注目した一連の研究
では、最初に「歩幅と認知機能の変化」
を調査しました。
対象は、新潟県と群馬県の65歳以上の住民1,000例超で、
それぞれの歩幅を測定して歩幅が
?@狭い群
?A普通の群
?B広い群
—に分け、最長4年間にわたり追跡し、
認知機能の低下との関連を検討しました。
その結果、4年間追跡できた666例のうち
およそ6人に1人で
認知機能の低下が認められました。
この3群を歩幅の広い群を対照として比較すると、
認知機能低下のリスクが
狭い群では3.39倍、
普通の群でも1.22倍に上りました
(J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2012; 67: 796-803)。
次の研究では、延べ6,500例を対象とした、
最長で12年間にわたる大規模な追跡調査データを用いました。
この研究では、加齢が歩幅に与える影響に加え、
歩幅の変化と認知症発症の関係についても調査しました。
その結果、65歳以降では加齢とともに歩幅が狭くなっていくのですが、
3つの異なる軌跡を描くことが分かりました。
歩幅が広い水準で変化する群を対照として、
中程度の歩幅の広さで変化する群と、
歩幅が狭いまま年齢を重ねる群を比較すると、
認知症発症リスクは中程度の群では変わりませんでしたが、
狭いまま の群では 2.12倍 高くなることがわかりました。
この研究結果で興味深かったのは、
歩幅が狭い状態のまま年を重ねると、
年齢や性にかかわらず、
認知症の発症リスクが2倍以上になることでした
(J AM Med Dir Assoc 2017; 18: 192.e13-192.e20)。
—歩調(テンポ)は関係ないのでしょうか。
谷口
歩行速度は、「歩幅」と「歩調」の2つの要素
により決まりますが、
歩調に絞って認知機能低下との関連を調査した
ところ、因果関係は
認められず、
前述のように、 歩幅のみ の関連が認められました。
—そこで、歩幅を広げて
歩くよう推奨されている
ようですね。
歩幅の目安はどのように考えればよいでしょうか。
谷口
先にご紹介した2つの研究結果から、
私は65cmを目安としています。
これは、
『横断歩道の白線をまたぎ越せる広さ』
に相当します。
ただし、膝や腰に痛みがある人や感覚器に障害がある人にはこの目安は適しません。
そこで、 高齢者も含めて広く適用することを考えると、
これまでより プラス10cm 、
体力に自信のない方であればプラス5cmでもよいと思います。
—歩幅を広げることにどのような意味があるのでしょう?
谷口
実践してみると分かりますが、
意識して歩幅を広げて歩くことはなかなか大変で、
いつも以上に下肢や体幹、正しく体を使えている場合には
上肢を含む体全体にこれまで以上の負荷をかける
ことになります。
歩幅を広げるという一見単純な動作は、
?@脳と足の間の神経伝達が刺激され脳が活性化する
?A日ごろ使っていなかった、大きくて太い筋肉が賦活される
?B運動強度が上がるため血液の循環が良くなり、
体の隅々の細胞まで栄養や酸素が届けられるようになる
?C血管が刺激され、しなやかになる
?D背筋が伸びて姿勢が良くなり、気分が高揚する
—といったさまざまな利点があると考えています。
歩幅を広げる努力により脳内の新たな回路を構築することで認知症の抑制に期待
—認知症患者を減らすのは社会的な課題ですね。
谷口
現在、わが国の認知症患者数は約462万人、
その予備軍である軽度認知障害(MCI)
も含めると約862万人に上ると推計されています。
一般的に、加齢とともに頭の働きは徐々に衰えていきます。
これは、神経細胞(ニューロン)の減少
やシナプスの異常により
脳内のネットワークがうまく機能しなくなることによります。
しかし、ネットワークの一部に異常を来しても、
新たな刺激 が加わることにより、
新しい脳内のネットワーク の構築が可能になる
と考えられています。
新たな刺激には、
脳トレや中強度の有酸素運動などがありますが、
広い歩幅を維持するという動作にも
脳への刺激効果があると私は考えています。
歩幅を広げることは、一見単純な動作ですが、
脳と足の間では常時複雑な情報のやり取りが行われており、
変化する環境の中で足の運びを一定に保つことが
脳に与える影響は非常に大きいのです。
—今後の目標についてお聞かせ下さい。
谷口
認知症患者の約6割はアルツハイマー型に分類されます。
アルツハイマー型認知症の場合、
正常な状態から約20年という長い期間で少しずつ病態が進行し、
MCIを経て発症に至ると考えられています。
現在のところ、アルツハイマー型認知症を根治する手段はありませんが、
MCIの状態であれば発症を先送りできたり、
正常な状態に戻ると考えられています。
米国の研究では、MCIが認められた集団のうち、
その後認知症を発症したのは約2割で、
そのままMCIにとどまったのは約5割、
約3割は正常に戻ったとの報告があります
(Ann Neurol 2008; 63: 494-506)。
このことから、認知症が発症する前の段階であれば、
認知機能を正常な状態に戻せる可能性があります。
その手段として、私は、誰もが すぐに実行できて長続きしやすい 、
「歩幅」 に大きな可能性を感じています。
歩幅を広げることによる種々の効果について研究を深め、
その研究の成果として1人でも多くの方の
認知症予防に寄与することができれば嬉しいですね。
歩幅を広げることで認知症が予防できる!
2019年07月17日 16:15
予備軍も含めると患者数が860万人に上る認知症。
その大半を占めるアルツハイマー型認知症は、
いまだに有用な治療法が開発されていない。
そのような中、
歩幅を広げることが認知症の発症を抑制
する上で有用である可能性が示されたという。
『たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる!』
を上梓した国立環境研究所主任研究員
(前:東京都健康長寿医療センター研究員)
の谷口優氏に、認知症と歩幅の関係について解説してもらった。
歩幅が狭いままだと認知症リスクが2倍以上に
—まず、この本の基となった研究の概要を教えて下さい。
谷口
体の動きと頭の働きの関係性に注目した一連の研究
では、最初に「歩幅と認知機能の変化」
を調査しました。
対象は、新潟県と群馬県の65歳以上の住民1,000例超で、
それぞれの歩幅を測定して歩幅が
?@狭い群
?A普通の群
?B広い群
—に分け、最長4年間にわたり追跡し、
認知機能の低下との関連を検討しました。
その結果、4年間追跡できた666例のうち
およそ6人に1人で
認知機能の低下が認められました。
この3群を歩幅の広い群を対照として比較すると、
認知機能低下のリスクが
狭い群では3.39倍、
普通の群でも1.22倍に上りました
(J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2012; 67: 796-803)。
次の研究では、延べ6,500例を対象とした、
最長で12年間にわたる大規模な追跡調査データを用いました。
この研究では、加齢が歩幅に与える影響に加え、
歩幅の変化と認知症発症の関係についても調査しました。
その結果、65歳以降では加齢とともに歩幅が狭くなっていくのですが、
3つの異なる軌跡を描くことが分かりました。
歩幅が広い水準で変化する群を対照として、
中程度の歩幅の広さで変化する群と、
歩幅が狭いまま年齢を重ねる群を比較すると、
認知症発症リスクは中程度の群では変わりませんでしたが、
狭いまま の群では 2.12倍 高くなることがわかりました。
この研究結果で興味深かったのは、
歩幅が狭い状態のまま年を重ねると、
年齢や性にかかわらず、
認知症の発症リスクが2倍以上になることでした
(J AM Med Dir Assoc 2017; 18: 192.e13-192.e20)。
—歩調(テンポ)は関係ないのでしょうか。
谷口
歩行速度は、「歩幅」と「歩調」の2つの要素
により決まりますが、
歩調に絞って認知機能低下との関連を調査した
ところ、因果関係は
認められず、
前述のように、 歩幅のみ の関連が認められました。
—そこで、歩幅を広げて
歩くよう推奨されている
ようですね。
歩幅の目安はどのように考えればよいでしょうか。
谷口
先にご紹介した2つの研究結果から、
私は65cmを目安としています。
これは、
『横断歩道の白線をまたぎ越せる広さ』
に相当します。
ただし、膝や腰に痛みがある人や感覚器に障害がある人にはこの目安は適しません。
そこで、 高齢者も含めて広く適用することを考えると、
これまでより プラス10cm 、
体力に自信のない方であればプラス5cmでもよいと思います。
—歩幅を広げることにどのような意味があるのでしょう?
谷口
実践してみると分かりますが、
意識して歩幅を広げて歩くことはなかなか大変で、
いつも以上に下肢や体幹、正しく体を使えている場合には
上肢を含む体全体にこれまで以上の負荷をかける
ことになります。
歩幅を広げるという一見単純な動作は、
?@脳と足の間の神経伝達が刺激され脳が活性化する
?A日ごろ使っていなかった、大きくて太い筋肉が賦活される
?B運動強度が上がるため血液の循環が良くなり、
体の隅々の細胞まで栄養や酸素が届けられるようになる
?C血管が刺激され、しなやかになる
?D背筋が伸びて姿勢が良くなり、気分が高揚する
—といったさまざまな利点があると考えています。
歩幅を広げる努力により脳内の新たな回路を構築することで認知症の抑制に期待
—認知症患者を減らすのは社会的な課題ですね。
谷口
現在、わが国の認知症患者数は約462万人、
その予備軍である軽度認知障害(MCI)
も含めると約862万人に上ると推計されています。
一般的に、加齢とともに頭の働きは徐々に衰えていきます。
これは、神経細胞(ニューロン)の減少
やシナプスの異常により
脳内のネットワークがうまく機能しなくなることによります。
しかし、ネットワークの一部に異常を来しても、
新たな刺激 が加わることにより、
新しい脳内のネットワーク の構築が可能になる
と考えられています。
新たな刺激には、
脳トレや中強度の有酸素運動などがありますが、
広い歩幅を維持するという動作にも
脳への刺激効果があると私は考えています。
歩幅を広げることは、一見単純な動作ですが、
脳と足の間では常時複雑な情報のやり取りが行われており、
変化する環境の中で足の運びを一定に保つことが
脳に与える影響は非常に大きいのです。
—今後の目標についてお聞かせ下さい。
谷口
認知症患者の約6割はアルツハイマー型に分類されます。
アルツハイマー型認知症の場合、
正常な状態から約20年という長い期間で少しずつ病態が進行し、
MCIを経て発症に至ると考えられています。
現在のところ、アルツハイマー型認知症を根治する手段はありませんが、
MCIの状態であれば発症を先送りできたり、
正常な状態に戻ると考えられています。
米国の研究では、MCIが認められた集団のうち、
その後認知症を発症したのは約2割で、
そのままMCIにとどまったのは約5割、
約3割は正常に戻ったとの報告があります
(Ann Neurol 2008; 63: 494-506)。
このことから、認知症が発症する前の段階であれば、
認知機能を正常な状態に戻せる可能性があります。
その手段として、私は、誰もが すぐに実行できて長続きしやすい 、
「歩幅」 に大きな可能性を感じています。
歩幅を広げることによる種々の効果について研究を深め、
その研究の成果として1人でも多くの方の
認知症予防に寄与することができれば嬉しいですね。
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2019年08月10日
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
(卵、牛乳、豆、鶏、魚、そして豚牛、
根っこ、葉っぱ、海藻、きのこ、豆、芋、果物、
油はオリーブ油、ごま油、しそ油(エゴマ)を食べてください。
食材としての魚、お肉の摂取量は、
必要タンパク量は自分の体重g×2倍
ー50kgの人は約50g×2倍=100g、
手のひら1枚分のお肉と、
手のひら1枚分のお魚を1日に食べてください。
食べる順番はおかずを最初に食べて
10分経ってから、
ご飯、麺、芋を食べてください。)
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
提供元:HealthDay News 公開日:2019/07/15
「食品の選び方」と「食べる順番」が
2型糖尿病の発症リスクに影響する
ことを示した3件の研究結果が、
米国栄養学会(ASN、6月8〜11日、米ボルチモア)で発表された。
これらの研究では、植物性食品を中心とした食事に改善したり、
ビタミンB2やビタミンB6を多く摂取したりすると
2型糖尿病リスクが低減したほか、
「食べる順番」も同リスクに影響する可能性が示された。
野菜を最初に食べると、
食後血糖値の上昇だけでなく、
食欲増進ホルモンの分泌も抑えられることが分かったという。
一つ目の研究は、前向きコホート研究である。
CARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)
研究に参加した男女2,717人
(平均年齢25歳、約40%が黒人、約60%が女性)
を対象としたもの。
参加者を30年にわたり追跡した結果、
成人早期から中年期にかけて
食事の質に改善がみられた人では、
食事の質がわずかに低下した人
と比べて糖尿病リスクが 60%低い ことが示された。
研究を率いた米ミネソタ大学ツインシティー校のYuni Choi氏によれば、
「質の高い食事」とは栄養分に富んだ、
植物性食品が中心の食事だという。
今回の研究の対象者で
最も質の高い食事を摂取していた人では、
毎日野菜を4サービング以上、
果物を2サービング、
ナッツまたは種子類を2分の1〜1サービング、
全粒穀物を約2サービング摂取していた
一方、加工肉の摂取量は1サービング未満、
赤肉の摂取量は約1サービングだった。
同氏らは「植物性食品に含まれる多様な栄養素が
糖尿病予防に役立つと考えられる」と述べている。
二つ目の研究は、
3件の大規模観察研究に参加した計20万人の医療従事者
から得られた食事に関するデータを15年間にわたって追跡したもの。
この研究では、ビタミンB2とビタミンB6の摂取量が最も多い人では、
最も少なかった人に比べて2型糖尿病リスクが約10%低いことが分かった。
一方、ビタミンB12については、
全体的な摂取量は2型糖尿病リスクの上昇とは関連しなかったが、
食事からの摂取量が多いと同リスクは11%上昇した。
ただし、サプリメントからの摂取量との関連は認められなかったという。
また、最後の研究では、
中国人の成人16人(ほとんどが男性)を対象に、
一定量の野菜、肉、米が含まれた食事を、
あらかじめ決められた5パターンの順番のいずれかで摂取してもらい、
食後血糖値への影響を比較した。
その結果、野菜または肉を最初に食べると
食後血糖値の急上昇が抑えられることが分かった。
特に、「野菜、肉、米」の順番で
別々に食べると食後血糖値の急上昇が最も抑えられ、
食欲増進ホルモンにも好ましい影響が認められたという。
この研究を実施したグループの一人で
シンガポール臨床科学研究所(SICS)所長のChristiani Henry氏は
「野菜に含まれる食物繊維や他の栄養素により、
食べ物の消化にかかる時間が長くなり、
食後血糖値の急上昇が緩やかになる可能性がある」
と説明。
米を食べるときには、血糖値の上昇を抑えるために
最初に野菜を食べるようにすることが
「シンプルで実践的な方法」
になるのではないかとしている。
専門家の一人で、
米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センター
の内分泌科医であるRekha Kumar氏は、
これらの報告を受けて、
「果物や野菜、自然なままの食品を中心とした食事は、
2型糖尿病を管理する上で極めて実践的で取り入れやすい方法だ」
とした上で、
「毎食必ず一皿の半分を植物性の食品が占めるようにするべきだ」
と助言している。
また、食べる順番については、
「野菜や食物繊維が豊富な食品、タンパク質
は消化に長い時間がかかるため、
血糖値の上昇が緩やかになる。
理論的には、食べる順番を変える
ことは体重や食欲のコントロールに影響すると考えられる」
としている。
[2019年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
根っこ、葉っぱ、海藻、きのこ、豆、芋、果物、
油はオリーブ油、ごま油、しそ油(エゴマ)を食べてください。
食材としての魚、お肉の摂取量は、
必要タンパク量は自分の体重g×2倍
ー50kgの人は約50g×2倍=100g、
手のひら1枚分のお肉と、
手のひら1枚分のお魚を1日に食べてください。
食べる順番はおかずを最初に食べて
10分経ってから、
ご飯、麺、芋を食べてください。)
「食品の選び方」「食べる順番」が2型糖尿病リスクに影響
提供元:HealthDay News 公開日:2019/07/15
「食品の選び方」と「食べる順番」が
2型糖尿病の発症リスクに影響する
ことを示した3件の研究結果が、
米国栄養学会(ASN、6月8〜11日、米ボルチモア)で発表された。
これらの研究では、植物性食品を中心とした食事に改善したり、
ビタミンB2やビタミンB6を多く摂取したりすると
2型糖尿病リスクが低減したほか、
「食べる順番」も同リスクに影響する可能性が示された。
野菜を最初に食べると、
食後血糖値の上昇だけでなく、
食欲増進ホルモンの分泌も抑えられることが分かったという。
一つ目の研究は、前向きコホート研究である。
CARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)
研究に参加した男女2,717人
(平均年齢25歳、約40%が黒人、約60%が女性)
を対象としたもの。
参加者を30年にわたり追跡した結果、
成人早期から中年期にかけて
食事の質に改善がみられた人では、
食事の質がわずかに低下した人
と比べて糖尿病リスクが 60%低い ことが示された。
研究を率いた米ミネソタ大学ツインシティー校のYuni Choi氏によれば、
「質の高い食事」とは栄養分に富んだ、
植物性食品が中心の食事だという。
今回の研究の対象者で
最も質の高い食事を摂取していた人では、
毎日野菜を4サービング以上、
果物を2サービング、
ナッツまたは種子類を2分の1〜1サービング、
全粒穀物を約2サービング摂取していた
一方、加工肉の摂取量は1サービング未満、
赤肉の摂取量は約1サービングだった。
同氏らは「植物性食品に含まれる多様な栄養素が
糖尿病予防に役立つと考えられる」と述べている。
二つ目の研究は、
3件の大規模観察研究に参加した計20万人の医療従事者
から得られた食事に関するデータを15年間にわたって追跡したもの。
この研究では、ビタミンB2とビタミンB6の摂取量が最も多い人では、
最も少なかった人に比べて2型糖尿病リスクが約10%低いことが分かった。
一方、ビタミンB12については、
全体的な摂取量は2型糖尿病リスクの上昇とは関連しなかったが、
食事からの摂取量が多いと同リスクは11%上昇した。
ただし、サプリメントからの摂取量との関連は認められなかったという。
また、最後の研究では、
中国人の成人16人(ほとんどが男性)を対象に、
一定量の野菜、肉、米が含まれた食事を、
あらかじめ決められた5パターンの順番のいずれかで摂取してもらい、
食後血糖値への影響を比較した。
その結果、野菜または肉を最初に食べると
食後血糖値の急上昇が抑えられることが分かった。
特に、「野菜、肉、米」の順番で
別々に食べると食後血糖値の急上昇が最も抑えられ、
食欲増進ホルモンにも好ましい影響が認められたという。
この研究を実施したグループの一人で
シンガポール臨床科学研究所(SICS)所長のChristiani Henry氏は
「野菜に含まれる食物繊維や他の栄養素により、
食べ物の消化にかかる時間が長くなり、
食後血糖値の急上昇が緩やかになる可能性がある」
と説明。
米を食べるときには、血糖値の上昇を抑えるために
最初に野菜を食べるようにすることが
「シンプルで実践的な方法」
になるのではないかとしている。
専門家の一人で、
米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センター
の内分泌科医であるRekha Kumar氏は、
これらの報告を受けて、
「果物や野菜、自然なままの食品を中心とした食事は、
2型糖尿病を管理する上で極めて実践的で取り入れやすい方法だ」
とした上で、
「毎食必ず一皿の半分を植物性の食品が占めるようにするべきだ」
と助言している。
また、食べる順番については、
「野菜や食物繊維が豊富な食品、タンパク質
は消化に長い時間がかかるため、
血糖値の上昇が緩やかになる。
理論的には、食べる順番を変える
ことは体重や食欲のコントロールに影響すると考えられる」
としている。
[2019年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay.
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2019年08月09日
「冷房をつけて寝ると体に悪い」はウソだ
「深部体温」が下降するときに夜の眠りが始まる
3〜4時間は冷房をつけて安眠熟睡して夏の寝不足を防いでください
「冷房をつけて寝ると体に悪い」はウソだ
最低でも3時間は部屋を冷やすべき
「冷房が苦手」といって、
就寝時にエアコンを消してしまう人がいる。
だが、それは命を危険にさらす行為だ。
医師で早稲田大学准教授の西多昌規氏は
「熱帯夜であれば一晩中使うことが望ましい。
蒸し暑い環境で寝続けると、
睡眠不足になるだけでなく、
熱中症になるリスクがある」という——。
「昔はエアコンなしでも眠れた」にだまされてはいけない
今年は5月で真夏日を記録したこともあって、
真夏の暑さを気にしている人も多いだろう。
昔と比べて日本の夏は、
確かに暑くなってきている。
2018年に気象庁が公表した
「ヒートアイランド監視報告2017」*によれば、
日本の気温、特に首都圏をはじめとする
都市部の気温は確実に上昇傾向を示しており、
100年前と比べると、
東京の年間平均気温は 3.2度上昇 したという。
ひと世代前の人が言う
「わたしたちの頃はエアコンなしでも過ごせていた」
という言葉を、鵜呑みにしてはいけない。
このような無知が、
無謀な野外活動や労働による熱中症の多発を招いている。
睡眠も同じであり、
変化しつつある気候の条件に応じた暑熱対策が必要である。
「深部体温」が下降するときに夜の眠りが始まる
蒸し暑いとぐっすり眠れない。
当たり前のことだと思われるだろう。
人間の眠りと体温との関係をある程度知っておく必要
があるので、簡潔に説明したい。
睡眠は体温調節(ここで体温は、深部体温を指す)と深い関係がある。
約24時間周期のなかで、深部体温は夕方に最高値を迎え、
深夜から早朝にかけて最低値をとる。
深部体温が示す夕方のピークを経て下降するときに、
人間の夜の眠りが始まる。
そして深夜の最低値を過ぎて上昇に転じたときが、
覚醒・起床のタイミングとなる。
体温が下降するときに睡眠は生じやすい傾向があり、
眠ることによって代謝活動が休止するためさらに体温低下が促進される。
図が示すように、
内部から外部に熱が放散されるときに、
人間の眠気が増大する(※1)。
この基本原則が、睡眠と暑熱対策を考える際の重要な基礎となる。
放熱は、末梢の皮膚血管が拡張することによって生じる。
赤ちゃんが寝る時に、体表がぽかぽかしてくる現象が、
理解を助ける実例だ。
寝つき始めると、浅い睡眠から深い睡眠へと移行し、
個人差はあるが20〜30分程度で深い睡眠に入る。
深い睡眠(脳波上の所見から、徐波睡眠と呼ばれる)
に入ると、発汗量が増えて体温がさらに低下する.
睡眠から3〜4時間はエアコンを使用したほうがいい
寝室の温度設定の上限は28℃程度だと考える。
エアコン使用の注意点は、
設定温度・時間、エアコンからの気流に分けられる。
低すぎる設定温度は、後述する気流とも関係するが、
体温を過度に奪われる原因となる。
寝苦しさのために途中から中途半端に使うよりは、
就寝前よりオンにして寝やすくしておくなど、
予防的に使用したい。
夜中も30度に迫る熱帯夜が続く場合には、
一晩中、エアコンを使うことが望ましい。
睡眠前半の徐波睡眠は確保したいので、
睡眠前半の約3〜4時間はエアコンを使用したほうがよい。
冷風が直接当たると体調を崩しやすい
エアコンをつけたまま寝ると、
頭痛や身体のだるさなどが生じ、
不調となる人がいる。
原因としては、設定温度が低すぎること、
あるいはエアコンからの冷風が体に当たり
体温を奪われることが挙げられる。
冷風が直接当たらないように、
眠る場所と気流の位置関係には注意したい。
最近のエアコンは、
付けたり消したりするよりも継続的に使用した方が、
電気料金がかからない。
人工知能も装備して、
睡眠中も快適な温度・風向を維持してくれる高機能エアコンもある。
古いエアコンを使っている人は、
「まだ動くから大丈夫」
とは言わずに、
新調してみることも快眠への確実な方法である。
寝具は通気性・吸湿性を意識して選ぶといい
入眠が体温の放熱にかかっているので、
寝具については通気性
という特徴が最も重要と考えられる。
寝具については、好き嫌い、合う合わない、
という好みの個人差が大きい。
体格のがっしりした人は固めを、
華奢な人は柔らかめのマットレスを
選ぶ傾向があるとは言われるが、
しっかりとしたエビデンスは乏しい。
基本を押さえた上で、
自身に合ったものを選ぶのがいちばんである。
* https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_himr.html
レポート(PDF)は https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/himr/h30/index.html
(※1)Krauchi K. : The human sleep-wake cycle reconsidered from a thermoregulatory point of view. Physiol Behav 2007 ;90:236-245.
PRESIDENT Onlineから
https://president.jp/articles/-/29189
西多 昌規(にしだ・まさき)
精神科医 医学博士。早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授。
東京医科歯科大学卒業後、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て現職。
『テンパらない技術』(PHP文庫)、
『休む技術』『眠る技術』(ともに、大和書房)など著書多数。
3〜4時間は冷房をつけて安眠熟睡して夏の寝不足を防いでください
「冷房をつけて寝ると体に悪い」はウソだ
最低でも3時間は部屋を冷やすべき
「冷房が苦手」といって、
就寝時にエアコンを消してしまう人がいる。
だが、それは命を危険にさらす行為だ。
医師で早稲田大学准教授の西多昌規氏は
「熱帯夜であれば一晩中使うことが望ましい。
蒸し暑い環境で寝続けると、
睡眠不足になるだけでなく、
熱中症になるリスクがある」という——。
「昔はエアコンなしでも眠れた」にだまされてはいけない
今年は5月で真夏日を記録したこともあって、
真夏の暑さを気にしている人も多いだろう。
昔と比べて日本の夏は、
確かに暑くなってきている。
2018年に気象庁が公表した
「ヒートアイランド監視報告2017」*によれば、
日本の気温、特に首都圏をはじめとする
都市部の気温は確実に上昇傾向を示しており、
100年前と比べると、
東京の年間平均気温は 3.2度上昇 したという。
ひと世代前の人が言う
「わたしたちの頃はエアコンなしでも過ごせていた」
という言葉を、鵜呑みにしてはいけない。
このような無知が、
無謀な野外活動や労働による熱中症の多発を招いている。
睡眠も同じであり、
変化しつつある気候の条件に応じた暑熱対策が必要である。
「深部体温」が下降するときに夜の眠りが始まる
蒸し暑いとぐっすり眠れない。
当たり前のことだと思われるだろう。
人間の眠りと体温との関係をある程度知っておく必要
があるので、簡潔に説明したい。
睡眠は体温調節(ここで体温は、深部体温を指す)と深い関係がある。
約24時間周期のなかで、深部体温は夕方に最高値を迎え、
深夜から早朝にかけて最低値をとる。
深部体温が示す夕方のピークを経て下降するときに、
人間の夜の眠りが始まる。
そして深夜の最低値を過ぎて上昇に転じたときが、
覚醒・起床のタイミングとなる。
体温が下降するときに睡眠は生じやすい傾向があり、
眠ることによって代謝活動が休止するためさらに体温低下が促進される。
図が示すように、
内部から外部に熱が放散されるときに、
人間の眠気が増大する(※1)。
この基本原則が、睡眠と暑熱対策を考える際の重要な基礎となる。
放熱は、末梢の皮膚血管が拡張することによって生じる。
赤ちゃんが寝る時に、体表がぽかぽかしてくる現象が、
理解を助ける実例だ。
寝つき始めると、浅い睡眠から深い睡眠へと移行し、
個人差はあるが20〜30分程度で深い睡眠に入る。
深い睡眠(脳波上の所見から、徐波睡眠と呼ばれる)
に入ると、発汗量が増えて体温がさらに低下する.
睡眠から3〜4時間はエアコンを使用したほうがいい
寝室の温度設定の上限は28℃程度だと考える。
エアコン使用の注意点は、
設定温度・時間、エアコンからの気流に分けられる。
低すぎる設定温度は、後述する気流とも関係するが、
体温を過度に奪われる原因となる。
寝苦しさのために途中から中途半端に使うよりは、
就寝前よりオンにして寝やすくしておくなど、
予防的に使用したい。
夜中も30度に迫る熱帯夜が続く場合には、
一晩中、エアコンを使うことが望ましい。
睡眠前半の徐波睡眠は確保したいので、
睡眠前半の約3〜4時間はエアコンを使用したほうがよい。
冷風が直接当たると体調を崩しやすい
エアコンをつけたまま寝ると、
頭痛や身体のだるさなどが生じ、
不調となる人がいる。
原因としては、設定温度が低すぎること、
あるいはエアコンからの冷風が体に当たり
体温を奪われることが挙げられる。
冷風が直接当たらないように、
眠る場所と気流の位置関係には注意したい。
最近のエアコンは、
付けたり消したりするよりも継続的に使用した方が、
電気料金がかからない。
人工知能も装備して、
睡眠中も快適な温度・風向を維持してくれる高機能エアコンもある。
古いエアコンを使っている人は、
「まだ動くから大丈夫」
とは言わずに、
新調してみることも快眠への確実な方法である。
寝具は通気性・吸湿性を意識して選ぶといい
入眠が体温の放熱にかかっているので、
寝具については通気性
という特徴が最も重要と考えられる。
寝具については、好き嫌い、合う合わない、
という好みの個人差が大きい。
体格のがっしりした人は固めを、
華奢な人は柔らかめのマットレスを
選ぶ傾向があるとは言われるが、
しっかりとしたエビデンスは乏しい。
基本を押さえた上で、
自身に合ったものを選ぶのがいちばんである。
* https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_himr.html
レポート(PDF)は https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/himr/h30/index.html
(※1)Krauchi K. : The human sleep-wake cycle reconsidered from a thermoregulatory point of view. Physiol Behav 2007 ;90:236-245.
PRESIDENT Onlineから
https://president.jp/articles/-/29189
西多 昌規(にしだ・まさき)
精神科医 医学博士。早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授。
東京医科歯科大学卒業後、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て現職。
『テンパらない技術』(PHP文庫)、
『休む技術』『眠る技術』(ともに、大和書房)など著書多数。
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2019年08月08日
砂糖入り飲料、がんのリスク増大/BMJ
(100%果物ジュースはからだにいいと思ってた。
確かに、過量な果糖は代謝できないし、
どの代謝経路に入るかわかっていないから
ほどほどに、ということみたい)
砂糖入り飲料、がんのリスク増大 /BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/07/22
砂糖入り飲料の消費は、
全がんおよび乳がんの
リスクを増加させ、
100%果物ジュースも
全がんのリスクと
関連することが、
フランス・パリ第13大学のEloi Chazelas氏らの調査で明らかとなった。
研究の成果は、BMJ誌
2019年7月10日号に
掲載された。
砂糖入り飲料の消費は
最近10年で世界的に
増加しているという。
砂糖入り飲料と肥満リスクには明確な関連が認め
られ、肥満は多くのがんの
強力なリスク因子とされる。
10万人以上の住民を対象とするフランスのコホート研究
研究グループは、
100%果物ジュースを含む砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料と、
がんのリスク
との関連の評価を目的とする
住民ベースの前向きコホート研究を行った
(フランス保健省などの助成による)。
解析には、フランスで2009年にWebベースで登録が開始された
NutriNet-Santeコホートの2018年までのデータ(10万1,257例)を用いた。
砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料の消費の評価には、
3,300項目の食品および飲料に関して、
参加者の日常的な消費状況が記録されるようデザインされた
反復的24時間食事記録法を用いた。
飲料のタイプごとに、男女別の消費量を
それぞれ4段階に分けて解析した。
主要アウトカムは、
飲料の消費と
全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんの関連とした。
競合リスクを考慮し、多変量で補正した
FineとGrayのハザードモデルを用いて評価を行い、
部分分布のハザード比(HR)を算出した。
がん予防における修正可能なリスク因子である可能性
10万1,257例(平均年齢42.2[SD 14.4]歳)のうち、
女性が7万9,724例(78.7%)を占め、
男性は2万1,533例(21.3%)であった。
飲料のタイプ別の割合は、
砂糖入り飲料(100%果物ジュースを除く)が36%、
100%果物ジュースが45%で、
人工甘味料入り飲料は19%だった。
追跡期間中央値5.1年(49万3,884人年)の間に、
2,193例が初発のがんを発症した。
内訳は、
乳がんが693例(閉経前283例、閉経後410例)、
前立腺がんが291例、
大腸がんは166例で、
診断時の平均年齢は58.5±12.0歳だった。
砂糖入り飲料の消費は、
全がん(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.18、
95%信頼区間[CI]:1.10〜1.27、p<0.001)および
乳がん(1.22、1.07〜1.39、p=0.004)のリスクと
有意な関連が認められた。
乳がんは、閉経前(p=0.02)が閉経後(p=0.07)よりも
関連性が明確であったが、
砂糖入り飲料の消費量中央値は、
閉経期(88.2mL/日)のほうが閉経前(43.2mL/日)に比べ多かった。
砂糖入り飲料の消費は、
前立腺がんおよび大腸がんとは関連がなかった。
また、肺がんにも関連は認めなかったが(p=0.1)、
統計学的検出力がきわめて低かった。
人工甘味料入り飲料の消費は、
がんのリスクとは関連しなかったが、
全サンプルに占める消費の割合が相対的に低かった
ことから、統計学的検出力が不十分であった可能性がある。
サブ解析では、
100%果物ジュースの消費は全がん
(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.12、
95%CI:1.03〜1.23、p=0.007)
のリスクと有意な関連を示した。
著者は、
「これらの結果は、
他の大規模な前向き研究で再現性を検証する必要がある」とし、
「欧米諸国で広く消費されている砂糖入り飲料は、
がん予防において除去可能なリスク因子である」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Chazelas E, et al. BMJ. 2019;366:l2408
確かに、過量な果糖は代謝できないし、
どの代謝経路に入るかわかっていないから
ほどほどに、ということみたい)
砂糖入り飲料、がんのリスク増大 /BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/07/22
砂糖入り飲料の消費は、
全がんおよび乳がんの
リスクを増加させ、
100%果物ジュースも
全がんのリスクと
関連することが、
フランス・パリ第13大学のEloi Chazelas氏らの調査で明らかとなった。
研究の成果は、BMJ誌
2019年7月10日号に
掲載された。
砂糖入り飲料の消費は
最近10年で世界的に
増加しているという。
砂糖入り飲料と肥満リスクには明確な関連が認め
られ、肥満は多くのがんの
強力なリスク因子とされる。
10万人以上の住民を対象とするフランスのコホート研究
研究グループは、
100%果物ジュースを含む砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料と、
がんのリスク
との関連の評価を目的とする
住民ベースの前向きコホート研究を行った
(フランス保健省などの助成による)。
解析には、フランスで2009年にWebベースで登録が開始された
NutriNet-Santeコホートの2018年までのデータ(10万1,257例)を用いた。
砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料の消費の評価には、
3,300項目の食品および飲料に関して、
参加者の日常的な消費状況が記録されるようデザインされた
反復的24時間食事記録法を用いた。
飲料のタイプごとに、男女別の消費量を
それぞれ4段階に分けて解析した。
主要アウトカムは、
飲料の消費と
全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんの関連とした。
競合リスクを考慮し、多変量で補正した
FineとGrayのハザードモデルを用いて評価を行い、
部分分布のハザード比(HR)を算出した。
がん予防における修正可能なリスク因子である可能性
10万1,257例(平均年齢42.2[SD 14.4]歳)のうち、
女性が7万9,724例(78.7%)を占め、
男性は2万1,533例(21.3%)であった。
飲料のタイプ別の割合は、
砂糖入り飲料(100%果物ジュースを除く)が36%、
100%果物ジュースが45%で、
人工甘味料入り飲料は19%だった。
追跡期間中央値5.1年(49万3,884人年)の間に、
2,193例が初発のがんを発症した。
内訳は、
乳がんが693例(閉経前283例、閉経後410例)、
前立腺がんが291例、
大腸がんは166例で、
診断時の平均年齢は58.5±12.0歳だった。
砂糖入り飲料の消費は、
全がん(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.18、
95%信頼区間[CI]:1.10〜1.27、p<0.001)および
乳がん(1.22、1.07〜1.39、p=0.004)のリスクと
有意な関連が認められた。
乳がんは、閉経前(p=0.02)が閉経後(p=0.07)よりも
関連性が明確であったが、
砂糖入り飲料の消費量中央値は、
閉経期(88.2mL/日)のほうが閉経前(43.2mL/日)に比べ多かった。
砂糖入り飲料の消費は、
前立腺がんおよび大腸がんとは関連がなかった。
また、肺がんにも関連は認めなかったが(p=0.1)、
統計学的検出力がきわめて低かった。
人工甘味料入り飲料の消費は、
がんのリスクとは関連しなかったが、
全サンプルに占める消費の割合が相対的に低かった
ことから、統計学的検出力が不十分であった可能性がある。
サブ解析では、
100%果物ジュースの消費は全がん
(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.12、
95%CI:1.03〜1.23、p=0.007)
のリスクと有意な関連を示した。
著者は、
「これらの結果は、
他の大規模な前向き研究で再現性を検証する必要がある」とし、
「欧米諸国で広く消費されている砂糖入り飲料は、
がん予防において除去可能なリスク因子である」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Chazelas E, et al. BMJ. 2019;366:l2408
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2019年08月07日
水分摂取と各飲料水の糖質比較
水分摂取と各飲料水の糖分について
【実践型!食事指導スライド】公開日:2018/07/04
水分摂取と各飲料水の糖質比較
これからの時期、水分摂取を意識することが増え、
ペットボトルを購入する機会も多くなりますが、
ここに水分摂取の落とし穴があります。
1日の水分摂取量の目安として、
水分制限がない場合は約1.5〜2.0Lといわれています。
これは、コップ1杯を200mLと換算して、8〜10杯ほどです。
水分には、
「酸素や栄養素を運ぶ働き」
「老廃物を排泄する働き」
「血液を循環させる働き」
「汗として体温を調整する働き」
「体液の性状を一定に保つ働き」
など多くの働きがあります。
朝、起きがけの1杯から始め、こまめな水分摂取が必要です。
夏の時期、
「電解質の多いスポーツドリンクを飲んだほうが良い」
と考えている糖尿病患者さんなどが、
無意識下で清涼飲料水による
糖分の過剰摂取で高血糖や
清涼飲料水ケトーシスを引き起こすケースもあります。
大手2社のスポーツドリンク(ペットボトル500mL)で
清涼飲料水の糖質を比較した場合、
A社は23.5g(94kcalご飯茶碗6分目)、B社は31g(124kcal同3/4杯)でした。
これを1本3gのスティックシュガーで換算すると、
A社は約8本分、B社は約10本分に相当します。
また、最近では、水と間違えてしまうような
清涼飲料水もあります。
これでは、水分を摂取しているつもりで、
糖質を大量に摂取してしまうことになります。
飲料に入っている糖分の問題点は、もう1つあります。
裏の表示を見ると
「果糖ぶどう糖液糖」
「果糖 砂糖」などの表記があります。
果糖(フルクトース)や
ブドウ糖(グルコース)は
単糖類に分類され、
それ以上加水分解されない糖のため、
体内に入るとすぐに腸管から吸収されます。
また、液糖であることでより吸収がされやすくなります。
吸収された糖は、血糖値の急上昇へつながるため、
血糖コントロールへの影響、糖化など、
生活習慣病のリスクが高くなります。
(20年ぐらい前、
中高校生の間にペットボトル症候群といって、
糖尿病発病が増加しました)
また、果糖は、内臓肥満やメタボへの影響が強く、
米国・カリフォルニア大学デービス校のStanhope氏らは
「ヒトにエネルギー比25%のフルクトースを
10週間摂取させると、
内臓脂肪の増加、脂質代謝異常、
インスリン抵抗性の発症が引き起こされる」
と報告しています1)。
さらに、フルクトースはグレリンの抑制作用がなく、
満腹中枢にも働かないため、
その点においても肥満を助長させる大きな要因となります。
空調のきいた室内にいることが多い、
運動などをあまりしないなど、
大量に汗をかくような環境ではない方や、
食事がきちんと食べられている方は、
食事から塩やミネラルが摂れるので、
水、お茶、麦茶(ミネラル含有)などを中心に
水分を摂取してもらいましょう。
まずは清涼飲料水の糖質量の多さを認識してもらうこと、
清涼飲料水に多く含まれる
果糖摂取のリスクを患者さんに認識してもらうことが大切です。
飲み物を買う際には、
原材料名が記載されたラベルの確認を
習慣にするよう伝えることもお勧めします。
参考文献:1) Stanhope KL, et al. J Clin Invest. 2009;119:1322-1334.
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて
1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。
年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、
フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、
メディアや雑誌に多数出演。
飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、
駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。
「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」
をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、
隊長を務める。
夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」
を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ: http://e-vita.jp/
公式ブログ: http://ameblo.jp/evita/
【実践型!食事指導スライド】公開日:2018/07/04
水分摂取と各飲料水の糖質比較
これからの時期、水分摂取を意識することが増え、
ペットボトルを購入する機会も多くなりますが、
ここに水分摂取の落とし穴があります。
1日の水分摂取量の目安として、
水分制限がない場合は約1.5〜2.0Lといわれています。
これは、コップ1杯を200mLと換算して、8〜10杯ほどです。
水分には、
「酸素や栄養素を運ぶ働き」
「老廃物を排泄する働き」
「血液を循環させる働き」
「汗として体温を調整する働き」
「体液の性状を一定に保つ働き」
など多くの働きがあります。
朝、起きがけの1杯から始め、こまめな水分摂取が必要です。
夏の時期、
「電解質の多いスポーツドリンクを飲んだほうが良い」
と考えている糖尿病患者さんなどが、
無意識下で清涼飲料水による
糖分の過剰摂取で高血糖や
清涼飲料水ケトーシスを引き起こすケースもあります。
大手2社のスポーツドリンク(ペットボトル500mL)で
清涼飲料水の糖質を比較した場合、
A社は23.5g(94kcalご飯茶碗6分目)、B社は31g(124kcal同3/4杯)でした。
これを1本3gのスティックシュガーで換算すると、
A社は約8本分、B社は約10本分に相当します。
また、最近では、水と間違えてしまうような
清涼飲料水もあります。
これでは、水分を摂取しているつもりで、
糖質を大量に摂取してしまうことになります。
飲料に入っている糖分の問題点は、もう1つあります。
裏の表示を見ると
「果糖ぶどう糖液糖」
「果糖 砂糖」などの表記があります。
果糖(フルクトース)や
ブドウ糖(グルコース)は
単糖類に分類され、
それ以上加水分解されない糖のため、
体内に入るとすぐに腸管から吸収されます。
また、液糖であることでより吸収がされやすくなります。
吸収された糖は、血糖値の急上昇へつながるため、
血糖コントロールへの影響、糖化など、
生活習慣病のリスクが高くなります。
(20年ぐらい前、
中高校生の間にペットボトル症候群といって、
糖尿病発病が増加しました)
また、果糖は、内臓肥満やメタボへの影響が強く、
米国・カリフォルニア大学デービス校のStanhope氏らは
「ヒトにエネルギー比25%のフルクトースを
10週間摂取させると、
内臓脂肪の増加、脂質代謝異常、
インスリン抵抗性の発症が引き起こされる」
と報告しています1)。
さらに、フルクトースはグレリンの抑制作用がなく、
満腹中枢にも働かないため、
その点においても肥満を助長させる大きな要因となります。
空調のきいた室内にいることが多い、
運動などをあまりしないなど、
大量に汗をかくような環境ではない方や、
食事がきちんと食べられている方は、
食事から塩やミネラルが摂れるので、
水、お茶、麦茶(ミネラル含有)などを中心に
水分を摂取してもらいましょう。
まずは清涼飲料水の糖質量の多さを認識してもらうこと、
清涼飲料水に多く含まれる
果糖摂取のリスクを患者さんに認識してもらうことが大切です。
飲み物を買う際には、
原材料名が記載されたラベルの確認を
習慣にするよう伝えることもお勧めします。
参考文献:1) Stanhope KL, et al. J Clin Invest. 2009;119:1322-1334.
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて
1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。
年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、
フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、
メディアや雑誌に多数出演。
飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、
駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。
「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」
をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、
隊長を務める。
夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」
を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ: http://e-vita.jp/
公式ブログ: http://ameblo.jp/evita/