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2019年08月06日

覚えておきたい熱中症の基本事項 【救急診療の基礎知識】

(本格的な熱中症のシーズンに突入しました。
下記 記事を一部省略、順番を変えて載せいています)


覚えておきたい熱中症の基本事項
【救急診療の基礎知識】

ケアネット

坂本 壮 ( さかもと そう ) 氏
国保旭中央病院 救命救急科
西伊豆健育会病院 内科

『本当に熱中症か?!』

熱中症は環境因子だけでも十分起こりえますが、
普段であれば自己対応(環境を変える、水分・塩分を摂取する)
ができずに発生した可能性があります。

つまり、熱中症に陥った原因をきちんと検索する必要があります。

とくに非労作性熱中症
(運動・労作業と関係のない、高齢者に多い熱中症です)
の場合には、
尿路感染症や肺炎などの感染症などが
引き金となっているかもしれません。
また、薬剤やクリーゼなども熱中症様症状をとることがあります。

これらの 鑑別は病歴をきちんと把握すればおおよそ可能です。

明らかに部屋が暑かった、
当日の朝までは普段どおりであった
などの病歴がわかれば、
感染症や薬剤の影響は考えづらいでしょう。

それに対して、数日前から体調の変化があった場合には、
感染症などの影響も考え対応する必要があります。

初期対応としては以下の2点を意識し、速やかに対応しましょう。

(1)目標体温

深部体温*が39℃を超える高体温の持続は予後不良因子であり、
38℃台になるまでは積極的な冷却処置を行いましょう。

*深部体温
中枢温を正確に反映する部位は腋窩温でも皮膚温でもありません。
最も好ましいのは深部体温(膀胱温、直腸温、食道温)です。

救急外来など初療時には、
直腸温を測定するか、
温度センサー付きバルーンカテーテルを利用し、
膀胱温を測定します。

健康な人の体温の平均値は、腋窩温36.4℃に対して
直腸温37.5℃と約1℃異なると言われていますが、
高体温で発汗している場合や測定方法によって、
腋窩温や皮膚温は容易に変化します
(正しく測定できません)。

熱中症、とくに重症度が高いと判断した症例では、
深部体温を測定する意識をもちましょう。

(2)冷却方法

体表冷却法が一般的です。気化熱を利用します。
ぬるま湯(40〜45℃)を霧吹きを用いて体表にかけ、扇風機などで扇ぎます。

熱中症の予防

熱中症は予防可能です。
起こしてしまった人へは、
治療だけでなく正しい熱中症の知識、
そして周囲の方への啓発・指導を含め、
ポイントを絞って熱中症を起こさないために必要なことを伝えましょう。

「また熱中症の患者か!?」と思うのではなく、
チャンスだと思い、再発予防に努めましょう。

『熱中症の基本的事項を伝授』

熱中症の初期症状、非労作性熱中症に関して伝えましょう。
症状が熱中症によるものであることを
知っておかないと対応できません。

また、熱中症は屋外で起こるものと思っていると、
非労作性熱中症に陥ります。

高齢の方からは
「風通しがいいのでクーラーは使用していません(設置していません)」、
「クーラーは嫌いでね」という台詞をよく聞きますが、
必要性をきちんと説明し、理解してもらうことが大切です。

●熱中症の発生リスク評価を伝授 スクリーンショット 2019-08-05 21.13.57.png


猛暑が続いていますが、
どの程度危険なのかを認識しなければ、
「大丈夫だろう」と軽視してしまいます。

朝のニュースをテレビやスマホで確認するのもよいですが、
暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)
を確認する癖をもっておきましょう。

熱中症の発生に関与する因子は気温だけではなく、
湿度、風速、日射輻射です。

とくに湿度は大きく影響し、
これらを実際に計測し算出して出てきた数値がWBGTです。

細かなことは割愛しますが、WBGT>28℃になると
熱中症が急増し危険と判断します(表)。

●環境省の熱中症予防情報を伝授

環境省熱中症予防情報サイトでは、
WBGT(暑さ指数)を都道府県、地点別に確認できます。

3日間の予測も併せて確認できるため、
熱中症を予防する立場にある学校の教師や職場の管理者は
必ず確認しておく必要があります。
朝のニュースなどで危険性は日々報道されていますが、
それでもなお発生しているのが熱中症です。

願わくは、自ら確認し意識しておくことが必要と考えます。
「熱中症の危険がある」ということを
事前に意識して対応すれば、
体調の変化に対する対応も迅速に行えるでしょう。

●熱中症? と思った際の対応を伝授

こむら返りや
頭痛、倦怠感などを自覚し、
環境因子から熱中症?
と判断した場合には、
速やかに環境を改善し
(日陰や店舗内など涼しい場所へ移動)、

水分だけでなく塩分を摂取するように勧めましょう。

症状が改善しない場合や、
自身で水分・塩分の摂取が困難な場合には、
時間経過で改善することも多いですが、

症状の増悪、
一人暮らしで経過を診ることができる家族がいない場合には、
病院へ受診するように指示したほうがよいでしょう。

屋内外のリスクを見極め夏を過ごす

7月は熱中症予防強化月間の重点取組期間です
(厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」)。
今年は梅雨明けが遅く、
いきなり真夏日に突入したので、
慣れの期間がありませんでした。

まだまだ暑い日が続きます。
日頃の体調管理を行いつつ、
屋外でのスポーツや作業をする場合には、
リスクを評価し、予防に努め、
屋内で過ごす場合には、
温度・湿度を意識した環境の設定を行い、
夏を乗り切りましょう!

参考文献

1)日本救急医学会熱中症に関する委員会.
熱中症の実態調査-日本救急医学会Heatstroke STUDY 2012最終報告-.
日救急医会誌. 2014;25:846-862.

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2019年08月05日

”サイレントキラー”

”サイレントキラー”
高血圧のことを静かに近づく殺人者といいます!
症状はありません。
なので、検診で一番、皆さんが軽視しがちです。


実際に旦那さんの脳梗塞を体験したひとの話を聞いてみてください

脳梗塞の後遺症の重さに関係なく、みんなつらい。

そこからスタートしないと、みんなが不幸なんです。
だから家族も「つらい」ってもっと大声で堂々と言っていい。

私ももう、言っていこうと思って。だってほんとに大変なんだもん(笑)。

家族が病に倒れたら、看病に専念すべきなのか。
ライターの三澤慶子さんの夫は50歳で脳梗塞になり、
半身の後遺症が残った。

三澤さんは「しんどいときも仕事はできるなら手放さないほうがいい。
物理的に距離を置ければ、お互いつぶれてしまう危険を回避できる」と語る——。

そんな一家の大黒柱を襲った突然の病と闘病の記録をつづった スクリーンショット 2019-08-03 7.38.40.png

『夫が脳で倒れたら』(太田出版) https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4778316665/presidentjp-22
の帯には、
「“献身的”で、なくていい!」
の文字が。
その真意を、著者であり妻の三澤さんに聞いた。

——5年前の冬、旦那さんが脳梗塞になったときの状況を教えてください。

随分前から時々しびれがあって、違和感はあったようです。
でもすぐに症状は収まるし、仕事も忙しいからと病院にかかることはありませんでした。

そうしていよいよ倒れる当日、
彼の中でただならぬ異変が起きているようで、
フラフラしながら
「手がしびれる」
「体がおかしい」
と訴えてきました。

「しびれ」が脳の病気の症状として出る
ことはなんとなく知っていたので、
最悪の事態に備えて「一応、脳神経外科で診てもらおう」
と病院へ向かいました。

MRI検査の結果「脳梗塞」と診断が出ても、
「夫はまだ50歳だし……まさか彼が」という感じで、
信じられませんでした。

今思えば異常な事態を察知していながら、
脳の病気を否定したい一心だったのだと思います。
怖いじゃないですか、脳はヤバいぞと。

「殺してくれ」と言われても冷静に接する

——手や足に加え舌や腸まで、体の右側だけが徐々に動かなくなっていく中(※)、
旦那さんから「殺してくれ」という言葉も飛び出していました。

非常に過酷な状況だったと思いますが、
三澤さんは終始、一定の距離を置きながら冷静に接しているのが印象的です。

※脳梗塞を起こしたのは右半身の筋肉を動かす部分だった。

これは他の夫婦と違うところかもしれませんが、
普段からお互い干渉しないんですよ。

夫は映画評論家で、私はライター。
互いに個人で文筆業をしているので、
「われわれは別の人間である」
という感覚が元から強かったんだと思います。

それに自宅が事務所になっているので、
ほとんど四六時中一緒の空間にいるわけです。

そこで日常的に意識していた、
感情を一歩離して“距離を置く”という行為が、
意外にも対患者スキルとして活きたのかなと。

それでも夫の情緒面での
後遺症の浮き沈みにはどうしても引っ張られました。

あ、“浮き”はないからどこまで“沈む”か、ですね(笑)。
夫の放つネガティブなオーラからなるべく離れねば
という自己防衛意識は働いていましたが、
それでもかなり、心身ともに追い詰められました。

「簡単なメール」も手につかなくなった

夫の発病直後、
子供のサッカーの役員ができなくなった
のはわかりやすい例で、
簡単なメールのやりとりだけなのに、
それがまったく手につかないんです。

息も苦しくなったし、これはまずいなと。

そんなとき、やりかかりの大きな仕事がひとつあって、
それは逆に助けになりました。

夫は会社員じゃないから福利厚生的なものはありません。
これをやっていればとりあえずお金が入るということで、
なにも考えず没頭する時間が持てました。

あと関係あるかどうかはわかりませんが、
夫が入院してから次男の声変わりが一気に進んだんです。

その他にも第二次性徴と思われる変化があって、
父親の病気と不在が影響しているのかも、と思いました。

——“献身的”という本の帯にあったキーワードは、
患者家族が追い詰められないためのメッセージだったのですね。

がんでは、患者家族のことを「第2の患者」と呼ぶそうですね。
とってもいい表現だし、
そう言ってもらえると家族は楽になるんじゃないかな。

妻としては、
「家族に病人を出してしまった」
という負い目からスタートしているんですよね。

そこからリハビリの手伝いやごはん作りなど、
あれもこれもしなきゃいけないことがある。

だけど生活のこともあるから、働きにも出なきゃいけない。

「家族がサポートして当たり前」というプレッシャー

そういえば退院のとき、
塩分量を確かめられる食品成分表を
ご好意でいただいたんですけど、
思わず「ごはんに気をつけなくちゃいけないのはわかってるから、
もうこれ以上持ってこないで!」
とカッとなってしまったんです。

あ、相手にはもちろん言ってませんよ。

介護パンフレットを開けば
「患者は家族がサポートして当たり前」
みたいなイラストや写真がたくさん載っています。

そうした無言のプレッシャーにさらされ続けると、
「やってあげたいけど、あれもこれも無理!」
と悲鳴を上げたくなってしまうんです。

そんな中で夫のズーンとした負のオーラを浴びると、
やっぱり追い詰められます。

実際できることは限られていて、
結局大したことはしていない。

でもなんだかつらい。
どうしてもしんどい。
なんでだろう、なんでだろうって毎日思ってたんですけど、
今ははっきりわかります。
本当につらかったんだって。

介護に疲れ果てた妻たちの「愚痴」

本に書きましたが、
脳梗塞の夫を持つ看護師さんに愚痴られたことがあるんですよ。

その後も何人かの奥さんから
脳卒中(※)の夫の文句を聞かされることがあって、
挙げ句、再発して亡くなったことまで報告されたときは、
さすがに不愉快になりました。

※脳卒中:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の総称

でも後遺症がどんなかはひとりひとり全く違うので、
家族の感じ方もそれぞれだと考えたら、
他人の私に愚痴を吐き出した奥さんたちは、
みんな、つらくてつらくて限界だったんだと、
後でハッと気がついたんですよね。

それと同時に、この病気の残酷さを感じずにはいられませんでした。

どんなにしんどくても、
家族は「本人に比べたら大したことない」
という思考に陥りがちだし、
世の中的にも家族は支えて当然、
という風潮がある。

そんな中で、「だけど私もつらいんだ」とは言いたくても言えないわけです。
するとこっちもどんどん嫌な人間になってしまう。
それは誰にとっても不幸でしかないですよ。

「つらい」って大声で堂々と言っていい

——患者とその家族は退院後、どうやって生活していくべきなんでしょうか。

これはわが家の経験からですが、
仕事をしていた患者さんは、
後遺症が残っていても
リハビリと並行して仕事復帰できるとなれば、
いち早く復帰できるといいと思います。

もちろん本人にとっても
社会から必要とされることはリハビリの励みになると思うし、
実際、夫が発病前より時間はかかっても
同じクオリティの仕事をできたときは、
とても大きな自信になったようでした。

またパートナーの方も、
私自身が没頭できる仕事があったことで救われたように、
しんどいときでも仕事はできるなら手放さないでおく方が良いと思います。

そうやって物理的に距離を置くことができれば
お互いつぶれてしまう危険を回避できるし、
支える側も病気ではなく
本人を恨んでしまう
悲しすぎる思考に陥らずに済むと思うんです。


三澤 慶子『夫が脳で倒れたら』(太田出版)
家族側は「介護の手が要らないからわが家はまだ大変じゃないほう」とか、
「自立してるからうちはまだマシ」
「本人の方がつらいんだから」
とかって、勝手に苦しさをランク付けして
「こんなこと言っちゃいけない」
と自分を追い込んでしまいがちです。

患者同士でも、
「あの人に比べたら僕のまひなんて」
みたいなマウンティングがある。
「自力で歩けるのに、
こんな泣き言言っちゃいけない」とかね。

後遺症の重さに関係なく、
みんなつらい。

そこからスタートしないと、
みんなが不幸なんです。

だから家族も「つらい」って
もっと大声で堂々と言っていい。

私ももう、言っていこうと思って。
だってほんとに大変なんだもん(笑)。

三澤 慶子(みさわ・けいこ)
ライター
北海道生まれ。SSコミュニケーションズ(現・KADOKAWA)にて
エンタテインメント誌や金融情報誌などの
雑誌編集に携わった後、
映像製作会社を経てフリーランスに。

手がけた脚本に映画『ココニイルコト』
『夜のピクニック』
『天国はまだ遠く』など。

半身にまひを負った夫・轟夕起夫の仕事復帰の際、
片手で出し入れできるビジネスリュックが見つけられなかったことから、
片手仕様リュック「TOKYO BACKTOTE」を発案、
2018年にブランドWA3Bを立ち上げる。

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2019年08月04日

『のら犬にかまれた時は破傷風予防の注射は必要でしょうか?』

『のら犬にかまれた時は破傷風予防の注射は必要でしょうか?』

5年以内に 破傷風を含んだワクチン、
つまり DPT3種混合《ジフテリア、百日咳、破傷風》や
4種混合《DPTとIPV(ポリオ)》を接種してあれば、
あえて今回追加する必要はありません。

咬傷時の破傷風トキソイドだけは保険適応がありますが、 子犬咬む.jpg

DPT世代なら保険を使わないでDPTでの追加接種のほうが
百日咳の免疫を高められるのでより有効で安全です。

『破傷風予防が必要なのは1968年(昭和43年)以前に生まれた、
今年50歳以上の人のみです』
ので間違えないでください。

その世代でも咬傷時の破傷風トキソイドは1回のみで、
1か月後にはDPTで追加するほうが有利です。

国内での咬傷なら狂犬病
ワクチンは通常不要です。

7歳未満はDPT,
それ以上はTdapという破傷風が多めに入ったDPTで1回接種します。

咬傷時の基準で
ハイリスクなら
抗破傷風グロブリン(テタガム)も初回に接種します。

あと、今後犬に咬まれないように
知らない犬が近づいてきたら大声を出さない、
急に走らない、目を合わさないなどの注意が必要です。

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2019年08月03日

メタゲノム・メタボローム解析で、大腸がん発症関連細菌の特定に成功

(便ー腸内細菌ーは雄弁!
個々人の腸内細菌叢の違いにまで踏み込んで
がん予防や治療選択を行う、
Microbiome Based Precision Medicine時代の幕開け
ー食事などの生活習慣との関係を詳細に検討することにより、
科学的根拠を踏まえた新たながん予防・治療、それに付随する産業(食品等)など、
新たな需要の掘り起こしと成長分野を生み出す)

臨床ニュース

メタゲノム・メタボローム解析で、大腸がん発症関連細菌の特定に成功 阪大ほか

QLifePro 医療ニュース2019年6月12日 (水)配信

大阪大学は6月7日、多発ポリープ(腺腫)や大腸がんの患者を対象に、
凍結便を収集し、メタゲノム解析やメタボローム解析を行った結果、
多発ポリープ(腺腫)や非常に早期の大腸がん(粘膜内がん)患者の便中に、
特徴的な細菌や代謝物質を同定したと発表した。

この研究は、同大大学院医学系研究科の 谷内田真一教授
(がんゲノム情報学、前国立がん研究センター研究所・ユニット長)、

東京工業大学生命理工学院生命理工学系の 山田拓司准教授

東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター ゲノム医科学分野
(国立がん研究センター研究所兼任)の 柴田龍弘教授

慶應義塾大学先端生命科学研究所の 福田真嗣特任教授らの研究グループによるもの。

研究成果は「Nature Medicine」に掲載されている。

日本人の死因1位であるがんの中でも、最も多いのが 大腸がんである。

食事など生活習慣の欧米化が原因と考えられているが、
そのメカニズムは明らかにされていない。

大腸がんは、大腸ポリープ(腺腫)、粘膜内がんを経て
進行がんへと進展する(多段階発がん)。

これまで進行した大腸がんにおいて
関連する細菌はいくつか特定されたが、
進行がんになる前のステージで、
大腸ポリープ(腺腫)や粘膜内がんと関連する
細菌や代謝物質は知られていなかった。

一方で、腸内細菌叢の乱れが 腸内フローラ(ハ?ラ).jpg

炎症性腸疾患など、
さまざまな疾患と関係することわかってきている。

また、2012年には歯周病の原因菌として知られる
『フソバクテリウム・ヌクレアタム』
が大腸がん患者の便中に
特徴的に多数存在することが報告され、
検証が行われている。

研究グループは、
国立がん研究センター中央病院内視鏡科で
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けた 616名の受検者を研究対象とし、

食事などの「生活習慣などに関するアンケート」調査、
凍結便、
大腸内視鏡検査所見などの臨床情報を収集。

東京工業大学や慶應義塾大学先端生命科学研究所と共同で、
凍結便からメタゲノム解析とメタボローム解析を行い、
がんのステージごとに腸内環境の特徴を調査した。

その結果、がんのステージによって
便中に増減している腸内細菌が
大きく異なることが明らかになった。

特に、大腸がんの多段階発がん過程において、
大腸がんと関連する細菌について
大きく2つのパターン にわけることができたという。

第1は、粘膜内がんの病期から増加し、病気の進行とともに上昇する細菌。
多くは『フソバクテリウム・ヌクレアタム』や
『ペプトストレプトコッカス・ストマティス』など、
すでに進行大腸がんで上昇していることが報告されている細菌。

第2は、多発ポリープ(腺腫)や粘膜内がんの病期でのみ上昇している細菌として、
『アトポビウム・パルブルム』や
『アクチノマイセス・オドントリティカス』
が特定され、
これらの細菌が大腸がんの発症初期に関連することが強く示唆された。

一方、ビフィズス菌(善玉細菌)の細菌群は粘膜内がんの病期で減少、

酪酸産生菌(善玉細菌)として知られる
『ラクノスピラ・マルチパラ』や
『ユウバクテリウム・エリゲンス』も、
粘膜内がんの病期から進行大腸がんに至るまで減少していた。

さらにメタボローム解析により、
腸内細菌などによる代謝物質を大腸がんのステージごとに調べたところ、

『腺腫』を有する患者は、
デオキシコール酸という胆汁酸が腸管内に多く、

『粘膜内がん』を有する患者は健常者と比較し、
アミノ酸であるイソロイシン、ロイシン、バリン、
フェニルアラニン、チロシン、グリシンが便中に増加していた。

『進行大腸がん』患者では、分枝鎖脂肪酸であるイソ吉草酸が増加していた。

研究グループは、これらの大量のメタゲノム解析と
メタボローム解析のデータを組み合わせ、
腸内細菌、腸内細菌由来遺伝子と腸内代謝物質から、
『粘膜内がん』の患者を
『便で診断する』ための機械学習モデルを作成(特許出願中)した。

このモデルでは、
『フェニルアラニンの合成に関与する遺伝子』や
『デスルホビブリオ・ロングリーチェンシス、サロバクテリウム・ムーレイなどの細菌』、
『ロイシン、バリン、フェニルアラニンなどのアミノ酸』が寄与していた。

また、『進行大腸がん』の患者を『便で診断する』ための機械学習モデルも作成し、
『主に細菌(パルビモナス・ミクラ、ペプトストレプトコッカス・ストマティス、
フソバクテリウム・ヌクレアタム、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス)
が寄与』していることを明らかにした。

今回の研究成果により、
同じ大腸がんでも病気の進行度に伴い、
腸内細菌や腸内代謝物質が大きく異なる
ことが明らかにされた。

加えて、メタゲノム解析とメタボローム解析を用いて、
日本人健常者の腸内環境も解明された。

研究グループは、
「本研究成果により、個々人の腸内細菌叢の違いにまで
踏み込んでがん予防や治療選択を行う、
Microbiome* Based Precision Medicine時代の幕開けになると考えている。

また、食事などの生活習慣との関係を詳細に検討することにより、
科学的根拠を踏まえた新たながん予防・治療、
それに付随する産業(食品等)など、
新たな需要の掘り起こしと成長分野を生み出す潜在性がある」と、述べています。

<脚注>
*-omeをつけると なになにの全てという意味になります。
微生物の”全て”、

「マイクロバイオーム(微生物叢)」
に基づくー

Precision Medicine(遺伝子情報、生活環境や
ライフスタイルにおける個々人の 違いを考慮して
疾病予防や治療を行うという新しい医療)

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2019年08月02日

がん闘病の医師、死を覚悟し抱いた「後悔」

がん闘病の医師、死を覚悟し抱いた「後悔」

キャリア 2019年6月13日 (木) エムスリーキャリア

2006年に34歳で肺がんの手術を受けた
川崎幸病院放射線治療センター長の加藤大基先生。 スクリーンショット 2019-07-30 17.22.52.png


闘病を通じて、
「仕事だけで死んでしまうのはもったいない」
と考えるようになったそうです。

がんになってから10年以上経過した
現在の仕事観や死生観についてお伺いしました。

検査結果を聞くまでの怖さ

ご自身が患者になってから、
患者さんへの向き合い方で変わったことなどはありますか。

私の場合、術後半年ごとにCTを撮る検査がありました。

がんの大きさは1.5cmくらいでそんなに大きくありませんでしたが、
比較的増殖能の高いタイプだったので、
術後3カ月くらいは再発の不安がずっとありました

でも、再発するかどうかは誰にも分からないので、
その後は考えないようにしていたんです

それでも検査前はものすごく緊張するんですよ

もし再発していた場合、
主治医からそれを伝えられるのが怖かったので、
CTのあとすぐ画像を見られる状態にしてもらっていました。

まず自分で画像をじっくり見て、
再発がないことを確認してから受診していました。

受診時に「再発です」と言われることに対する、
自分なりの防御のようなものですね。

これを患者さんとの関係で普遍化すると、
検査を受けてから結果が出るまでの時間を
なるべく短くしてあげたい
という思いに尽きます。

多くの患者さんは、 検査の結果 がどうだったかを知りたいので、
「体調はどうですか」という話から始めるのではなく、
患者さんが診察室に入ってきたら
まず「問題なかったです」
とお伝えするようになりましたね。

どのくらい生きられるかなんてわからない

病気を経験されて、医師として働く上での考え方の変化はありましたか。

当たり前ですが、闘病中は死がすごく近くなるわけです。
そうすると、仕事だけで死んでしまうのはもったいないと、
ワークライフバランスをもっと強く考えるようになりました。

もちろん仕事は一生懸命やりますが、
オーバーワークになることを避ける努力をしています。

もともと、ワークライフバランスを大切にしたい気持ちはありました。

医師は非効率なこと、
全く専門外のことをさせられることも含めて、
不必要な仕事が結構あると感じています。

がんになるまでは、そういうことも唯々諾々というか、
仕方がないと思いながらやっていました。

しかし病気を経験してからは、
必要でないことは上司に論理的に説明して、談判して、
なくしていく努力を続けることを積極的にやるようになったと感じます。

価値観も変わりましたか。

病気のせいなのか、年齢を重ねたせいなのかわかりませんが、
「自分が幸せに生きることが人生の最大の目的だ」 という思いを、
より強く意識するようになったかもしれません。

闘病時は、病気が悪くなれば数年で死んでしまうかもしれない、
とも考えていました。

その経験から、 物事を先延ばしにしていると
その先はないかもしれない
という気持ちが強くなり、
さまざまなことの優先順位づけが非常に明確に なりましたね。

放射線治療医は、がんの患者さんばかり診ます。
中には、若くして亡くなる方も少なくありません。

人生100年時代といえども、
どのくらい生きられるかなんて誰にもわからない。

そんな先のことを考えるより、
まず目の前の幸せをある程度確保して、
できることは前倒しにして取り組んだ方がいいのではないか

と病気になってみて強く感じました。

同じように病気をされた医師や、
いま闘病中の医師に先生が声をかけるとしたら。

例えば、一口にがんといっても、
がん種やステージ、年齢が違えば
全く異なるものだと考えています。

同じがん種で同じようなステージで見つかった方になら、
自分の経験はある程度参考になるかもしれません。

しかし、違う臓器のがん、非常に進行した状態で見つかった人に
どのような言葉をかけるかといわれたら、
自分ががんを経験したからといって、
十把一絡げには決してできません。

私と同じように完治を目指す手術を受けて、
再発に対する不安を抱えている人の気持ちなら多少は分かりますが、
自分が安易にアドバイスできる立場にいるわけではないと、
自戒の意味をこめて思っています。

じっくり患者さんと向き合っていく

今後のキャリア、ワークライフバランスはどのようにお考えですか。

患者さんと向き合う時間が十分に取れない科や病院が少なくない中、
現職は比較的時間があるため、
じっくりと説明をすることができる環境にあります。

患者さんが希望されれば放射線治療のことに限らず、
病状や他科で出ている薬の話などについても、
しっかり話ができる医師でありたいですね。

偉くなりたい、研究成果を出したい
といった出世欲がそんなに強くないので、
患者さんのところに腰を据えてやっていきたいと考えています。

昔は有給休暇なんて使ったことがありませんでしたが、
最近は取得するようにして、
好きな史跡巡りの旅行などをして息抜きをしています。

そのような環境にあるので、
老後まで待たずに、
ワークライフバランスの実現を図れていると感じていますね。

今のように、自分に無理のないペースで働きながら、
患者さんのために良い医療提供をし続けていけたら、
これ以上のことはないと思っています。

加藤大基(かとう・だいき)
川崎幸病院放射線治療センター センター長
1999年東京大学医学部卒業後、同大医学部附属病院放射線科入局。
国立国際医療研究センター、癌研究会附属病院(現 がん研有明病院)等を経て、
2016年より川崎幸病院放射線治療センター副センター長、
2019年4月より現職。
2006年に肺腺癌(ステージ?TA)で左肺下葉切除術を受ける。
著書に『東大のがん治療医が癌になって』(ロハスメディア)。

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タグ:
加藤大基 放射線科 がん闘病 医師 肺癌

2019年08月01日

成人の8割が感染、歯周病予防に効く「菌」とは

(フッ素塗るように、歯科検診で、
ロイテリ菌を塗ってくれるといいに)


成人の8割が感染、歯周病予防に効く「菌」とは

提供元:ケアネット 公開日:2019/06/14

5月30日、オハヨー乳業・オハヨーバイオテクノロジーズは
「歯周病への新たな良化習慣」
をテーマとしたプレスセミナーを開催した。 スクリーンショット 2019-07-30 16.46.58.png


国内の歯周病 (歯肉炎
および歯周疾患)患者数は330万人を超え、
30〜50代の約8割が罹患
するなど、
最も罹患率の高い疾患と
される。

本セミナーでは、
若林 健史氏(日本歯周病
学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)と
坂本 紗有見氏(銀座並木
通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)が講演し、
「バクテリアセラピー」によって歯周病予防効果が期待できる、
との研究内容を発表した。

歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」

歯周病の治療を専門とする若林氏は、
口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、
歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要、
という前提を説明した。

また、最近の研究では、
歯周炎によってアルツハイマーの発症リスク増加の示唆1)や
介護施設で口腔ケアを徹底することで肺炎の発症・死亡者数が低下する
報告2)がされるなど、
「口腔内だけに留まらない疾患との関連性も指摘されている」とした。

若林氏はこうした歯周病と全身疾患の関わりを
「ペリオドンタルシンドローム」と名付け、
啓蒙活動を行っている。

次に、歯磨き・歯科定期検診に続く
第3の歯周病予防策として注目される手法として
「バクテリアセラピー」を紹介。

バクテリアセラピーとは、
“口の中にいる善玉菌を増やし、
むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、

抗菌薬による薬物治療と比較した場合、
1)効果が持続する、
2)耐性フリー、
3)安全である、
という優位点があるという。

「ロイテリ菌」の歯周病予防効果に着目

続いて坂本氏が、
「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱。

ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンの
カロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、
提携して研究を進めている。

ロイテリ菌は1980年代にペルー人の母乳から発見されたもので、
日本人は7人に1人が保有するが、
そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、
米国人はまったく保有していない。

世界100以上の国と地域で使用実績があり、
200以上の臨床研究が発表される一方、
副作用の報告は1件もないという。

ロイテリ菌は体内で
「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、
歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。

歯周病患者を対象とした
二重盲検ランダム化比較試験において、
ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、

ロイテリ菌摂取群は、
プラーク有りの患者数、
歯茎の出血有りの患者数などが減少し、
プラセボ摂取群に対し有意差が認められた3)。

坂本氏は「安全性が高く、データも豊富なロイテリ菌を長年注目してきた。

日本は平均寿命と健康寿命の差が最も大きい国。
バクテリアセラピーで歯周病を予防することが、
この差を縮めることに役立つはず」とコメントした。

ロイテリ菌関連商品としては、ヨーグルト・サプリメントが市販されている。
(ケアネット 杉崎 真名)

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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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