「?T.調査」「?U.分析」は事前投稿です。「?V.結果」「?W.検証」の投稿日時は?Vのタイトル行付近に記載しています。
2017年2月6日09:30に豪州実態指標「小売売上高」の発表が行われます。今回は2016年12月分の発表となります。
本指標のポイントは次の通りです。
- 発表結果に対し最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均値は18pipsとなっています。今回は前後に中国指標発表がないので、発表結果によほどのサブライズがない限り、過去の平均値よりも小さめの反応になると予想するのが妥当だと思われます。
- 前回結果0.2に対し、今回は0.3と改善予想となっています。直近事例を見る限り、本指標への反応は、発表結果が市場予想よりも改善/悪化のどちらかだったか、ということだけに反応しています。
- 市場予想が前回結果に対してどうあれ、直前1分足は過去23回中2回が同値で、残る21回中18回(86%)が陰線となっています。直前1分足の過去の跳幅平均は6pips、値幅平均は4pipsとなっています。
- 直後11分足が陽線だった確率は61%です。また、直後11分足は、その序盤に形成される直後1分足と方向一致率が83%となっています。そして、直後1分足の方向と直後11分足の方向が一致したときに、直後11分足終値の方が直後1分足終値よりも同じ方向で伸びていたことは53%でした。よって、指標発表直後の反応方向を見てポジションを取るのなら、発表直後で11pips以下のときだけを狙ってはどうでしょう。直後1分足終値の平均は11pips、直後11分足跳幅の平均は21pips、同終値の平均は15pipsとなっています。
?T.調査
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方で非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされています。
豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに約40%の人口増加が見込まれています。この人口増加が内需拡大の主因と言えるでしょう。自然増も含めると、先進国では人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の豪州小売売上高の傾向は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。但し、本指標発表前後の短時間に限ってポジションを持つ場合、「2-1. 過去情報」で記すように、この改善傾向と反応方向とは関係ありません。
但し、多くの豪州経済指標が発表される時間に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。この場合、中国の指標の影響でAUDJPYが1円以上動くこともあるので、その反応途中に本指標発表がある場合には注意が必要です。
今回は、本指標発表前後に中国指標発表がありません。
本指標について既に公開されている情報を整理します。以下の調査・分析は2015年1月以降先月発表結果までの23回分のデータに基づいています。
発表結果に対し最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均値は18pipsとなっています。がしかし、過去の反応を調べると平均値18pipsを超えて反応したことは23回中8回(35%)しかありません。参考までに、23回の過半数の12回となったpipsは14pipsと15pipsの間です。
調査期間中、直後1分足跳幅が最大となったときは38pips、直後11分足では64pipsでした。今回は前後に中国指標発表がないので、発表結果によほどのサブライズがない限り、過去の平均値よりも小さめの反応になると予想するのが妥当だと思われます。
(2-1. 過去情報)
本指標の過去の動きを下図に示します。
前回結果0.2に対し、今回は0.3と改善予想となっています。なお、市場予想は直前に訂正されることがあるので、市場予想を参考にしてポジションを取る方はご注意ください。
発表結果と反応の関係は次の通りです。
つまり、直近の事例を見る限り、本指標への反応は、発表結果が前回結果よりも改善/悪化しているかは関係ありません。発表結果が市場予想よりも改善/悪化のどちらかだったか、ということだけに反応しています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足を下図に示します。
直前10-1分足の過去の跳幅平均は7pips、値幅平均は4pipsとなっています。
陽線・陰線への大きな偏りはありません(陽線率59%)。
事前差異(市場予想—前回結果)のプラス・マイナスと直前10-1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率35%となっています。市場予想が前回結果より良くても、事前に買ポジションは持てませんね。ましてや、市場予想が前回結果より良いのに売ポジションは持てません。
よって、この期間にポジションを持つことはデータを見る限り合理的とは言えません。
直前1分足の過去の跳幅平均は6pips、値幅平均は4pipsとなっています。
事前差異(市場予想—前回結果)のプラス・マイナスと直前1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率35%となっています。がしかし、市場予想が前回結果に対してどうあれ、直前1分足は過去23回中2回が同値で、残る21回中18回(86%)が陰線となっています。
つまり、市場予想がどうあれ、この期間にポジションを持つなら売ポジションです。もし、発表結果が市場予想と同値か改善と予想して買ポジションを取るなら、なるべく指標発表直前にすべきだということがわかりました。
直後1分足の過去の跳幅平均は18pips、値幅平均は11pipsとなっています。がしかし、跳幅が18pipsを超えたことは35%しかありません。2回に1回以上到達したpipsは14pipsです。
直後1分足が陽線だった確率は61%です。
事前差異(市場予想ー前回結果)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が59%となっています。市場予想が前回結果よりも改善したとしても、それで買ポジションを持つ根拠とするには微妙な数字です。
事後差異(発表結果ー市場予想)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が84%となっています。この結果は、発表結果の良し悪しに応じて素直に反応してきた指標です。事前に市場予想と同じかそれ以上の結果となるだろうという根拠(例えば、市場予想がアテになる媒体を知っており、それが他の多くの媒体における市場予想よりも良い場合など)があれば、有益な情報ですね。そうでなければ無意味です。
直後11分足の過去の跳幅平均は21pips、値幅平均は15pipsとなっています。
直後11分足が陽線だった確率は61%です。また、直後11分足は、その序盤に形成される直後1分足と方向一致率が83%となっています。そして、直後1分足の方向と直後11分足の方向が一致したときに、直後11分足終値の方が直後1分足終値よりも同じ方向で伸びていたことは53%でした。
よって、指標発表直後の反応方向を見てポジションを取るのなら、発表直後で11pips以下のときだけを狙ってはどうでしょう。直後1分足終値の平均は11pipsです。
また事後差異(発表結果ー市場予想)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が84%となっています。事後差異が示す方向と、直後1分足の反応方向が同じなら、直後11分足の方向はほぼそれらが示す方向に間違いないでしょう。
(2-3. 関連指標)
割愛します。
?U. 分析
解釈・コメントは「?T. 調査」の該当箇所に記載済のため、以下は分析結果のみを示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
指標一致性分析では、事前差異と事後差異の方向に偏りがないかを調べています。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
?V. 結果
2017.2/6.09:30発表
2017年2月6日10:58追記
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
?W. 検証
【8. 調査分析検証】
前回結果0.2・市場予想0.3に対し、発表結果は△0.1と、かなり悪化しました。そして、発表結果の良し悪しに依らず、反応は小さくなるだろうと予想していました。
過去平均の直後1分足跳幅は18pipsで、今回の反応は16pipsです。発表結果の悪化が大きかったにも関わらず、反応は過去平均以下となり、分析通りとなりました。
事前分析では、直前1分足が過去23回中2回が同値で、残る21回中18回(86%)が陰線となっていました。
結果も分析通り陰線となりました。
直後1分足・直後11分足ともに陰線で、後者は前者と同じ方向に伸びました。
直後1分足や直後11分足の陽線率が陰線率よりも高いことを挙げていた点を除けば、分析通りだったと言えるでしょう。
【9. シナリオ検証】
問題ありません。
以上
ーーー以下は広告ですーーー
楽天はポイントを貰える機会が多いと思います。特に書籍はポイントで一部を支払えば、実質的に割引と同じで重宝しています。
ーーー注記ーーー
残念ながら、最終的なご判断はご自身の責任となり、本ブログ情報に基づいた取引で生じたいかなる損害についても、当会は責任を一切負いかねます。本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
【このカテゴリーの最新記事】
- no image