以下に本指標の過去傾向に基づくポイントを整理しておきます。
- 物価は、上流から下流へと波及し、生産者物価指数が変化しても消費者物価指数に波及するまでには、若干のタイムラグがあると考えられます。消費者物価指数はFRBの利上げ判断に影響するので、今回の発表は今後の金利動向を見据えた反応となる可能性があります。つまり、本指標本来の反応よりも大きな反応となる可能性があります。
- 先に、指標一致性分析の結果を紹介しておきます。
指標検証の結果、事前差異はプラスになることがやや多い(プラス率65%)ものの、対応するローソク足検証の直前10-1分足では、陽線率が41%となっています。市場予想の良し悪しを見て早めにポジションを持つことは避けた方が良いでしょう。また、指標一致性検証の結果、事後差異のプラス・マイナスがほぼ拮抗しています。このことは、発表結果に対して本指標の事前市場予想があまりアテにならないこと、を示しています。
指標一致性検証の結果もそのことを裏付けています。事前差異のプラス・マイナスが直後1分足・直後11分足の反応方向と一致したことは38%・39%となっています。つまり、本指標の市場予想の良し悪しに基づいて発表前にポジションを取るべきではありません。そして、事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は79%・70%ですから、発表結果に対してはそこそこ素直に反応しているようです。 - 指標の全般的傾向は、PPI・コアPPIともに改善基調だと言えるでしょう。がしかし、今回の市場予想はいずれも前回結果を下回る予想となっています。
PPI・PPIコアの推移とほぼ同じ動きとなる輸入物価指数を見る限りでは、2015年終盤から前年比がほぼ一貫して上昇しています。そして、2017年1月分も大きく上昇していました。輸入物価がPPIやPPIコアに反映されるには若干の遅れがあるにせよ、この結果は今回の市場予想(前回より悪化)に反しています。
思い当たる点は、1月分雇用統計で平均時給がやや下がったことですが、今回は市場予想よりも発表結果が上振れするのではないか、と予想しています。 - 反応性分析の結果は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高く、両者方向が一致したときに値幅が伸びたことが58%となっていました。
過去平均値を見る限りでは、直後1分足終値がつく頃にポジションを取得し、直後11分足跳幅との差12pipsを狙えます。がしかし、伸び率が58%しかない以上、直後1分足終値を直後11分足終値が超えることをアテにする訳にもいきません。
このような場合、もし反応方向を見てポジションを持つのなら、直後1分足終値を待たずに早めにポジションを取って、大きく跳ねたら早々に利確すべきです。騙しにはくれぐれもご注意ください。 - 反応一致性分析では、ローソク足検証の結果、直前1分足の陰線率が89%となっていました。直前にポジションを取って、微益であっても高確率に狙うなら、跳幅の過去平均値は4pipsということを参考にすると良いでしょう。
上記結論に至る詳細は以下に続けて示します。以下の詳細は「?T.調査」「?U.分析」を事前投稿し、「?V.結果」「?W.検証」は事後投稿しています。事後の投稿日時は「?V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
事前投稿した分析は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。それでも的中率は75%程度で、100%ではありません。
残念ながら、ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となり、本ブログ情報に基づいた取引で生じたいかなる損害についても、当会は責任を負いかねます。その点を予めご了承の上、ポジションを持つ上でご参考になれば幸いです。
?T.調査
物価は、上流から下流へと波及し、生産者物価指数が変化しても消費者物価指数に波及するまでには、若干のタイムラグがあると考えられます。消費者物価指数はFRBの利上げ判断に影響するので、今回の発表は金利動向を見据えた反応となる可能性があります。つまり、本指標本来の反応よりも大きな反応となる可能性があります。
本指標について既に公開されている情報を整理します。
以下の調査・分析は2015年1月分以降前回発表までの24回分のデータに基づいています。
指標発表結果に対し最も素直に反応する直後1分足跳幅の過去平均値は18pipsとなっています。そして、その平均値を超えたことは42%です。
(2-1. 過去情報)
本指標の過去の動きを下図に示します。
指標の全般的傾向は、PPI・コアPPIともに改善基調だと言えるでしょう。がしかし、今回の市場予想はいずれも前回結果を下回る予想となっています。
いま、PPI・コアPPIの前月比・前年比の市場予想と前回結果の差を全て足し合わせた結果を事前差異として求めてみましょう。このとき、今回の事前差異はマイナスとなります。
同様に、直近では2016年11月分データ(2017年1月13日公表)が事前差異マイナスです。このとき、直前10-1分足は下ヒゲ8pipsで同値、直前1分足は跳幅5pips・値幅1pipsの陽線でした。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を以下に示します。
下図の直前10-1分足跳幅・値幅の過去平均値は6pips・3pipsです。
下図右端の過去平均は始値同士・高値同士といった単純平均ですから、参考にするならば変化の絶対値を求めている跳幅・値幅の方がアテになります。
直前1分足跳幅・値幅の過去平均値は4pips・3pipsです。上ヒゲが目立つものの陰線が目立ちます。
直後1分足跳幅・値幅の過去平均値は18pips・13pipsです。
平均値の1.5倍18pipsを超えて反応したことが21%と、5回に1回ぐらい大きく反応するようです。
直後11分足跳幅・値幅の過去平均値は25pips・17pipsです。
(2-3. 関連指標)
物価は上流から下流に伝搬しがちです。よって、輸入物価指数には注意を払っておいた方がいいでしょう。
下図に輸入物価指数の推移を示しますが、先に挙げたPPI・PPIコアとほぼ相似形で推移していることがわかります。
輸入物価指数の推移を見る限りでは、2015年終盤から前年比がほぼ一貫して上昇しています。そして、2017年1月分も大きく上昇していました。輸入物価がPPIやPPIコアに反映されるには若干の遅れがあるにせよ、この結果は今回の市場予想(前回より悪化)に反しています。
思い当たる点は、1月分雇用統計で平均時給がやや下がったことですが、今回は市場予想よりも上振れするのではないか、と予想しています。
補強材料として、同じ2月14日10:30に中国PPIが発表されていました。
ブルームバーグが11時過ぎに配信した直後報道・解説 の要旨・要点は次の通りです。
「中国の1月の生産者物価指数(PPI)は2011年以来の高い伸びとなり、世界最大の輸出国である中国が物価上昇をさらに後押しする状況となる中、世界的なリフレーション見通しが一段と強まっている。数年にわたるデフレからの脱却後、製造業部門は価格を引き上げており、中国は再びインフレを輸出しつつある。ただ、比較対象となる前年水準が徐々に高くなる上に、トランプ米大統領の政策で世界需要見通しに不確実性が強まる中、当初の力強さは向こう数カ月で和らぐ可能性がある」
ご承知のように米国の国別貿易収支は対中赤字が最も大きく、その影響が今回の米国PPIに影響しないとは思えません。
なお、本引用において解釈に誤りがあるならば、それは当会に依るものであり、引用元であるブルームバーグ社には一切関係ありません。
?U. 分析
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は83%と高く、両者方向が一致したときに値幅が伸びたことは58%でした。
過去平均値を見る限りでは、直後1分足終値がつく頃にポジションを取得し、直後11分足跳幅との差12pipsを狙えます。がしかし、伸び率が58%しかない以上、直後1分足終値を直後11分足終値が超えることをアテにする訳にもいきません。
このような場合、もし反応方向を見てポジションを持つのなら、直後1分足終値を待たずに早めにポジションを取って、大きく跳ねたら早々に利確すべきです。騙しにはくれぐれもご注意ください。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
ローソク足検証の結果、直前1分足の陰線率が89%となっています。直前にポジションを取るなら、狙うべき跳幅の過去平均値は4pipsです。
反応一致性検証の結果は、反応性分析の項で記した「直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高いこと」を除けば、偏りは見出せません。
指標一致性分析では、事前差異と事後差異の方向に偏りがないかを調べています。
指標検証の結果、事前差異はプラスになることがやや多いようです(プラス率65%)。がしかし、対応するローソク足検証の直前10-1分足では、陽線率が41%となっているので、市場予想の良し悪しであまり早くポジションを持つのは避けた方が良いでしょう。
事後差異はプラス・マイナスがほぼ拮抗しています。このことは、発表結果を見る限り、本指標の市場予想があまりアテにならないこと、を示しています。
指標一致性検証の結果もそのことを裏付けています。
事前差異のプラス・マイナスが直後1分足・直後11分足の反応方向と一致したことは38%・39%となっています。つまり、本指標の市場予想の良し悪しに基づいてポジションを取るべきではありません。
そして、事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は79%・70%ですから、発表結果に対してはそこそこ素直に反応しているようです。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
本文記載の通り、シナリオ2は早めにポジションを取り、早めに解消したいと思います。
指標は事後差異でプラスになると予想していますが、直前に買ポジションを取るか否かは迷っています。
市場予想は直前まで変更されるし、それは本記事作成時点の市場予想よりも前回結果に近づくのではないか、と考えています(本日中国PPIの発表結果を受けて)。そのときは発表結果がここに挙げた市場予想よりも良くても、直前改訂された市場予想よりは悪いかも知れません。
そのため、直前まで指標発表直前にポジションを取るべきか否かが判断できません。
?V. 結果
2017.2/14.22:30発表
2017年2月18日追記
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
?W. 検証
【8. 調査分析検証】
事前分析では、今回発表が今後の金利動向を見据えた反応となる可能性があり、本指標本来の反応よりも大きな反応となる可能性がある、と考えていました。
結果は従来並みの反応でしたので、分析は外れていたことになります。
事前分析では、本指標の事前差異(市場予想)がアテにならないと記していました。
結果は、事前差異がマイナスに対して直前10ー1分足は陰線ですから、発表前のポジションは事前差異の通りでした。
そして、今回の市場予想はPPI・PPIコアともに前回結果を下回る予想となっていました。がしかし、PPI・PPIコアの推移とほぼ同じ動きとなる輸入物価指数を見る限りでは、2015年終盤から前年比がほぼ一貫して上昇しています。そして、2017年1月分も大きく上昇していました。輸入物価がPPIやPPIコアに反映されるには若干の遅れがあるにせよ、この結果は今回の市場予想(前回より悪化)に反していました。
この点、分析通りに指標は改善、直後1分足・直後11分足ともに陽線となりました。
事前の反応性分析の結果は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高く、両者方向が一致したときに値幅が伸びたことが58%となっていました。過去平均値を見る限りでは、直後1分足終値がつく頃にポジションを取得し、直後11分足跳幅との差12pipsを狙えます。がしかし、伸び率が58%しかない以上、直後1分足終値を直後11分足終値が超えることをアテにする訳にもいきません。
結果は分析に反して、陽線側に伸びる期間は長くて助かりましたが、最終的には分析通りに直後11分足値幅は直後1分足値幅を下回りました。
反応一致性分析では、ローソク足検証の結果、直前1分足の陰線率が89%となっていました。
結果は分析通り陰線となりました。それでも損切となってしまったことは残念です。
【9. シナリオ検証】
割愛します。
以上
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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