2017年5月16日10:30に豪州金融政策「RBA金融政策決定理事会議事録」が公表されます。今回の議事録は2017年5月2日の理事会議事録となります。
同時刻には、豪州4月新車販売台数 (前月比)が発表されます。がしかし、過去の実績から言えば、こちらへの反応は僅かなので無視しても問題ありません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
あまり大きな反応をしません。
たまに大きく反応することもあるように読み取れますが、これは市場予想ないしは発表結果が金利改定だったり、利上げ・利下げが近いときの発表時反応も含むためです。よって、今回のように理事会結論が「市場予想通りに現状維持」だった場合の議事録公表時は、上表平均値よりも更に小さな反応となります。
本議事録の元となる前回理事会では「市場予想通りに現状維持」が結論です。前回理事会では、直後1分足・直後11分足ともに陰線での反応となっていました。 - 指標については次の通りです。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率が48%です。また、反応一致性分析の結果、直後1分足の反応方向は陽線率・陰線率が50%です。そして、指標一致性分析の結果、この議事録の元となる金融政策決定理事会後の声明発表時との反応方向との方向一致率も高くありません。
この指標は陽線・陰線どちらに反応するかが、過去のデータから読み取れない指標です。
よって、今回の取引は見合わせます。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
RBA議事録の要点は「政策金利決定理由(方針)」「インフレ動向」「経済見通し」です。
がしかし、最も関心が高い政策金利決定方針については、しばしば市場予想を裏切ってサプライズを起こしています。つまり、結果から言えば(サプライズが生じる以上)最も関心がある「政策金利」が読み取れていない、ということになります。
それにも関わらず、公表された議事録から次回の理事会決定を予測せざるを得ないため、内容によってはAUDが大きく反応します。疑心暗鬼もあって、どの文言によって議事録公表時の反応方向が決まるのかはわからない、というのが本音です。
むしろ個人的には、すぐに役立つ情報だと言えないものの、公的機関によるインフレ動向や経済見通しを直近の経済指標の解釈を見直すことに使う方が役立つ、と考えています。そもそも豪州経済に関して入手できる情報は、米欧中に比べて少ないのですから。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前回5月2日の理事会決定は「市場予想通り現状維持」でした。金利据え置きは9か月連続となります。
政策現状維持の理由として、従来のAUD高懸念•住宅債務増•中国債務リスクに加えて「賃金の伸びが暫く鈍い状態が続くと予想」が追加されました。この結果を受けた先物市場では、年内の金利変更の可能性がほぼ無しと見なしたようです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が48%しかありません。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
特に目立った偏りや相関は見出せません。
(3-3. 指標一致性分析)
下表は、RBA政策金利発表時とその会合の議事録公表時の各ローソク足の方向一致率を求めています。
結果、両者のローソク足の反応方向にはあまり相関がないことが確認できました。
【4. シナリオ作成】
今回の取引は見合わせます。
以上
2017年5月16日10:30発表
以下は2017年5月19日に追記しています。
?U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(5-2. 取引結果)
今回は取引を見合わせました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します。
- 事前分析通り、小さな反応でした。
- 本議事録の元となる前回理事会では「市場予想通りに現状維持」が結論で、直後1分足・直後11分足ともに陰線での反応となっていました。今回は陽線での反応でした。
この結果は、本公表議事録の元となる金融政策決定理事会後の声明発表時との反応方向との方向一致率が高くないという指標一致性分析の結果に合致しました。 - 直後11分足は、直後1分足と反応方向が一致しました。直後11分足跳幅は直後1分足跳幅を超えたものの、終値同士を比べると同値終了でした。
(6-2. シナリオ検証)
取引を見合わせることにしていたので、事前準備していたシナリオはありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
【このカテゴリーの最新記事】
- no image