2017年5月24日23:00に米国実態指標「中古住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点を下表に整理しておきました。
本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
先に注意点です。
- 過去データを見る限り、あまり大きく反応しません。上表に示した通り、指標発表の影響が最も顕著に現れがちな直後1分足は過去平均値幅が4pipsで、直後11分足も6pipsしかありません。
今夜は特に、指標発表結果にこだわらずに、チャートの動きに逆らわない方が良いでしょう。 - というのも、本指標発表と同時刻に、加中銀「政策金利」が発表されます。中古住宅販売件数より、加中銀政策金利発表の方がUSD売買が大きそうです。そして、4時間後03:00にはFOMC議事録の公表が予定されています。FOMC議事録公表も本来なら大して反応しませんが、今は6月利上げ有無に関心が高まっている時期です。
USDJPYの上下動をTNX(米10年債金利)の上下動が決める夜です。
ご注意ください。
指標については次の通りです。
- 直前10-1分足は、本ブログでのポジション取得基準に達しないものの、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率が各65%・69%・69%となっています。市場予想はそこそこアテになるし、発表結果は市場予想をオーバーシュートしがちです(前回結果よりも市場予想が小さいときは、発表結果はもっと小さくなりがちです)。
- 直後1分足は、事後差異(=発表結果ー市場予想)・実態差異(=発表結果ー前回結果)との方向一致率が72%・80%です。発表結果の良し悪しに応じて素直に反応する指標です。
- 更に、直後11分足は直後1分足との方向一致率が74%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士を比較すると、反応伸長率は各100%・82%です。
- 以上のことから、本指標は反応こそ小さいものの、指標結果と反応方向の関係が素直で、その反応も一方向に継続的に進みがちです。
本来ならば、本指標は追撃に適した特徴を持っています。
シナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線率が87%となっています。がしかし、過去平均跳幅は4pipsしかなく、ポジションを取るならあまり欲張らず、3pipsで利確・4pipsで損切と決めておくと良いでしょう。これで期待値はプラスになります。利確は3pipsを待たずに小さくても構いません。
- また、直後1分足は陽線率が80%で、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率83%)となっています。直前1分足が陰線に決まりそうなら、指標発表直前にポジションを取ることにします。直前1分足が陽線ならば、今回はポジション取得を諦めます。
- そして、指標発表後の反応方向を確認次第、追撃を行います。16時・16時半・17時・17時半といった欧州勢参入初期の時間帯の動きを見ておき、それら時間帯に共通する方向性が見出せれば、同じ方向への追撃なら腰を据えてみます。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
米国では新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きく、そのため住宅関連指標では本指標が注目されます。また、住宅販売件数は消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されています。
注意すべき点は、新築住宅販売件数が契約書署名ベースであるのに対して、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。従って、本指標は新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
本指標は全米不動産業者協会(NAR)が翌月25日頃に発表します。
数値は季節調整済・年率換算されています。
発表結果に対する初期反応は小さいものの、素直に反応する傾向があり、反応の持続時間も長めです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、販売件数が前回結果を上回り、前月比が前回結果を下回っています。過去の傾向から言えば、反応は販売件数>前月比となりがちです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は全体に陽線に目立ちますが、陽線率は65%と本ブログのポジション取得基準(70%)には達していません。
跳幅が10pips以上となったことは27回中4回しかないものの、その4回の指標発表後の反応が大きい訳でも、方向一致率が高い訳でもありません(4回中2回が直前10-1分足と直後1分足の方向一致)。
直前1分足は陰線率が87%です。
跳幅が5pips以上となったことは27回中6回あるものの、その6回と直後1分足の方向・大きさとの間には何も関係性が見出せません。
直後1分足は陽線率が80%あります。直後1分足にこうした偏りがある指標は珍しいと言えます。
また、直後1分足と直後11分足の方向一致率は74%と、アテにできる数字となっています。この74%の方向一致時に直後1分足跳値を直後11分足跳値が超えたことは100%で、直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことも82%です。
直後1分足の終値には注目すべきです。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が74%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士を比較すると、反応伸長率は各100%・82%です。反応は小さな指標ですが、追撃に適した指標だと言えます。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
直前1分足は陰線率が87%となっています。がしかし、過去平均跳幅は4pipsしかなく、ポジションを取るなら3pipsで利確・4pipsで損切と決めておけば、期待値はプラスになります。
また、直後1分足は陽線率が80%で、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率83%)となっています。直前1分足が陰線ならば、指標発表直前にポジションを取ることにします。直前1分足が陽線ならば、今回はポジション取得を諦めます。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
直後1分足は、事後差異・実態差異との方向一致率が72%・80%です。発表結果の良し悪しに応じて素直に反応する指標だと言えます。
また、直前10-1分足は、本ブログでのポジション取得基準に達しないものの、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率が各65%・69%・69%となっています。市場予想はそこそこアテになるし、発表結果は市場予想をオーバーシュートしがちです(前回結果より市場予想が小さいときは、発表結果はもっと小さくなりがち)。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年5月24日23:00発表
以下は2017年5月25日に追記しています。
?U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は556万件で、前回結果(548万件)を上回ったものの、市場予想(565万件)を下回りました。
そして反応は陰線でした。
この結果についてロイターでは「供給不足で住宅価格が上昇しており、潜在的な購入者を市場から遠ざける結果となっている」と解説しています。
4月販売戸数は前月と比べて減少だったものの、前年比では+1.6%で、依然として住宅市場の基調は底堅いと思われます。
けれども、市場に出て売れ残った在庫前年比は△9.0%で、23か月連続で減少しています。一方、販売価格は前年比+6.0%に上昇し、2016年6月以来の高値になり、62か月連続で前年同月を上回っています。
よって、既に住宅市場が4-6月期GDPを押し上げる余地がもうほとんどないのではないか、という解釈が成り立つというのです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直後1分足はポジション取得が遅れた上に損切です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
結果は、発表結果が市場予想を下回り、直後1分足と直後11分足の方向が反転しています。分析は外しました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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