2017年7月6日21:15に米国雇用指標「6月分ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 平均的な反応は13-17pipsとあまり大きくありません。そして、反応方向は事後差異との方向一致率が75%と高く、素直な指標です。また、直後1分足と直後11分足との方向一致率も79%と高く、追撃に適しています。
- 本指標の過去の市場予想と発表結果のグラフを一見しても「市場予想後追い型」には見えません。がしかし、調査期間における事後差異(発表結果ー市場予想)の正負が入れ替わったことは34%しかなく、事後差異の正負が前回と同じか0だったことは60%です。つまり、本指標は市場予想後追い型です。
今回は、前回の発表結果が前回の市場予想を上回っているので、発表結果が市場予想を上回る確率が60%ということになります。 - 直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が75%となっています。なお、この結果は、今回の場合「市場予想後追い型」として、発表結果が市場予想を上回る、という解釈と矛盾していません。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点です。過去の3回に2回は、指標発表前後でローソク足が反転しています。 - 直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%です。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%です。
本指標の直後1分足には逆ヒゲが目立ちません。よって、初期反応を確認してすぐに追撃して短期利確すべきです。 - 事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっています。発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。
この点でも追撃に適しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。事前差異との方向一致率は40%(不一致率60%)と、本来の取引基準に達していないので、無理はしません。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。但し、過去平均の跳幅は5pipsしかないので、含益を得たらすぐに利確します。
(3) 直後1分足は陽線と見込み、指標発表前にポジションを取得し、初期反応確認後に解消します。もともと陽線率が75%と高く、市場予想後追い型でも60%となっています。そして、ISM製造業景況指数の雇用指数が前月よりも改善しています。
(4) 追撃は早めに行い、短期利確で複数回OKです。但し、過去の直後1分足跳幅が17pipsしかないので、高値(安値)掴みには注意が必要です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「?T.調査・分析」に記しています。
?T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、米国「雇用統計」を翌日に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
グラフを一見しても「市場予想後追い型」には見えません。がしかし、調査期間において事後差異(発表結果ー市場予想)の正負が入れ替わったことが29回中10回(34%)です。そして、事後差異の正負が前回と同じか0だったことは、28回中17回(60%)です。
つまり、本指標は市場予想後追い型です。
今回は、前回の発表結果が前回の市場予想を上回っているので、発表結果が市場予想を上回る確率が高い、ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線、直後1分足と直後11分足は陽線が目立ちます。後述する反応一致性分析で確率を確かめておきましょう。
直前1分足にヒゲが目立たないということは、指標発表直前に陰線側に「すっ」と動きがちだということです。
直後1分足に順ヒゲが目立たないということは、その後も反応が同じ方向に伸びがちだということです。そして逆ヒゲが目立たないということは、初期反応の騙しが少ないということです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は 「反応性分析」 をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は 「反応一致性分析」 をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は 「指標一致性分析」 をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%です。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%です。
本指標の直後1分足には逆ヒゲが目立ちません。よって、初期反応を確認してすぐの追撃に適しています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が86%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
直後1分足は陽線率が75%となっています。この結果は、今回の場合「市場予想後追い型」として、発表結果が市場予想を上回る、という解釈と矛盾していません。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点です。過去の3回に2回は、指標発表前後でローソク足が反転しています。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっています。発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月6日21:15発表
以下は2017年7月6日23:30頃に追記しています。
?U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
少しおかしな動きがありました。
直前1分足は、最後の10秒ぐらいに「すー」と陰線側に伸びました。そして、直後1分足はもっと素直に陰線側に伸びても良いものの、あまり伸びていません。確認できませんが、発表時刻が21:15ちょうどより早かったということはないでしょうか。そんな感じの動きでした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足と直後1分足は、分析を外したので損切も仕方ありません。いずれも、早めの損切で損害は小さく抑えられました。
分析を外したら損切して被害を抑え、すぐに反転追撃する。するとなぜか、分析を外したときに限って、反転したポジションは稼げます。今回は、損切を取り返すには至りませんでしたが。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 平均的な反応は13-17pipsとあまり大きくありません。今回はやや平均より小さな反応でした。
反応方向は事後差異との方向一致率が75%と高く素直な指標で、今回も素直に反応しました。
がしかし、直後1分足と直後11分足の方向は反転しており、一般論として追撃で利確することは難しかったと思います。 - 本指標は市場予想後追い型です。がしかし、今回発表結果は前回と同様に市場予想を上回るのでなく、下回りました。
- 直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が75%となっていました。がしかし、直後1分足は陰線で、分析を外しました。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除いて注目すべき点は、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率が32%(不一致率68%)となっている点でした。今回は直前10-1分足が同値のため、判定無しということになります。 - 直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%でした。がしかし、直後11分足は直後1分足の方向から反転しています。
直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各73%・68%でした。また、直後1分足終値がついた時点で、その後も反応を伸ばしたことは54%で、反転したことが46%でした。結果は、直後1分足終値がついてから暫く反応を伸ばしたものの、その後は反転しました
初期反応を確認してすぐに追撃し、短期利確できました。 - 事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率が各75%・82%となっていました。これは、発表結果の良し悪しに素直で、素直に反応したときに反転することが少ない、ということです。がしかし、今回は素直に反応したものの反転しました。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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