1.はじめに
平成28年10月7日時点、電通の新入社員の自殺について、労働基準監督署が長時間労働が原因として労災認定していたことがわかったというニュースが出ていました。今回はこの長時間労働の自殺に関することと、同日に報道された「過労死白書」についてまとめたいと思います。
2.電通の新入社員の自殺について
報道によると、労災認定されたのは大手広告代理店、電通の社員で昨年12月25日に社宅から投身自殺したとのことです。
自殺した高橋まつりさんは、 東京大学卒業後の昨年4月、電通に入社しし、同6月からダイレクトマーケティング・ビジネス局デジタル・アカウント部(当時)に配属され、インターネット広告を担当していたようです。
自動車火災保険やFX証券を担当し、本採用となった同10月以降、労使協定で定めた上限の70時間を大幅に超える残業が続いていたようです。
ここまでは、私も含めて、普通の正社員であれば、極普通のことです。
自殺のきっかけは以下のことなのかな?と私は考えています。
上司から言われた内容が新入社員1年目に対してちょっとひどいですね。内容は以下のとおりです。
・君の残業時間の20時間は会社にとって無駄
・目が充血したまま出勤するな
と叱責されていたようです。この上司が東京大学を出た優秀な人材を殺したようなもんです。
そして、同10月以降、自身のTwitterに「 本気で死んでしまいたい」「 朝起きたくない」等、頻繁に書き込みするようになり、同11月上旬にはうつ病を発症していました。母親にも「 (娘から)「仕事も人生もとてもつらいです。今までありがとう」というメールがあり、(電話で)「 死んではダメよ」と言ったら「 うんうん」という感じで返事をしていたようです。折角、娘を東京大学まで進学させたのに、会社に殺されては残された親御さんは堪らないだろうと思います。
さらに、高橋さんは残業時間を実際より少なく記録するよう指示されているなど、労務管理が不十分だったとのことです。発症前1カ月の残業時間は入退館記録などから約105時間と認定されたとのことです。新入社員で100時間以上は正直仕事のしすぎです。これでは私でも鬱になります。
電通といえば、日本でも超大手広告代理店です。 実態は私の会社と大して変わらんな〜というのが正直な意見です。ニュースで大きな話題になっているのは「電通」だからだと思います。9月には「電通のデジタルメディア不正請求」という事件を起こしている会社ですので。身内(報道側)が身内(広告代理店)を大々的に取り上げているだけですね。
普通の会社でも過労死やパワハラが原因による自殺はあります。
(参考)高橋まつりさんが投稿したSNSの内容
・「休日返上で作った資料をボロくそに言われた もう体も心もズタズタだ」(10月13日)
・「眠りたい以外の感情を失った」(10月14日)
・「生きているために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」(11月3日)
以下から記載する内容が死を意識するようになっています。
・「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」(11月5日)
・「毎日次の日が来るのが怖くてねられない」(11月10日)
・「道歩いている時に死ぬのにてきしてそうな歩道橋を探しがちになっているのに気づいて今こういう形になってます…」(11月12日)
・「死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか」(12月16日)
・「なんらな死んだほうがよっぽど幸福なんじゃないかとさえ思って。死ぬ前に送る遺書メールのCC(あて先)に誰を入れるのがベストな布陣を考えてた」(12月17日)
・12月25日投身自殺
3.過労死白書に関して
また、タイミングが良く厚生労働省は7日、過労死の実態や防止対策の実施状況などを報告する「 過労死等防止対策白書」を初めてまとめたとのことです。
細かい内容は 厚生労働省の平成28年版過労死等防止対策白書(本文) をみてください。
統計的な内容になりますが、2015年度に過労死で労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む)による労災認定は93人。過労死による労災認定は2002年度に160人にのぼったが、14年ぶりに100人を割った。ただ、過労死・過労自殺(同)をあわせた認定件数は近年、200件前後で高止まりしています。
さらに、企業約1万社を対象に15年12月〜16年1月に実施(回答は1743社→1割かよ!)し、5月に公表した調査結果も白書に盛り込んでいます。それによると、1カ月の残業が最も長かった正社員の残業時間が「過労死ライン」の80時間を超えた企業は22.7%。「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」(→私の職種です)では4割を超えたとの内容です。
4.過労死ライン80時間と電通の新入社員の自殺についての私の私見
残業が80時間ということは概ね21時半〜22時まで勤務していることになります。この程度の時間では自殺することはないと思います。100〜120時間勤務すると何も考えることができなくなります。
問題なのは、なぜ80時間、100時間以上も残業をしなければならないかです。電通の場合は、 サービス残業で仕事をさせていたこと、 上司が馬鹿で1年目の新人に絶対に発言すべき内容ではないことについて、叱責したことが、過労自殺に繋がったと私は思います。毎日100時間以上叱責されれば、廃人になります。
1951年につくられた電通社員、通称 「電通マン」の行動規範とも言える「鬼十則」と呼ばれる非常に有名な言葉があります。以下に「鬼十則」を記載します。仕事の姿勢としては、この言葉どおりに行動すれば会社は成長しますね。しかし、私は電通マンではないので、実務ではこの規範と逆のことを行っています。だから私の会社は成長しないかも知れません。
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
私も一生懸命仕事しているのに、上司から心ない言葉、メールがきたら、心が折れてしまいます。
上司の方は恐らく私と同年代の方だと思います。私も含めて、他人を踏み台にして生きてきた世代です。 今の若い世代にはそのような叱責は逆効果であることを、私と同年代の世代に解って欲しいです。時期的に1〜3年目の若手社員が会社を辞めることを考えたり、仕事が嫌になって精神的に参る季節です。なぜか判りませんが、秋の季節に会社を辞めることを決断し、春先にいなくなります。この時期にちょっと若手の悩みを聞いたり、くだらない世間話をしたり、優しく仕事についてアドバイスするだけでも相手に取って効果はあります。
若い人へのアドバイスですが、余りにも叱責や職場いじめが酷い場合は、 会社から逃亡した方が良い です。然るべき相談窓口はありますので、そこに相談した方が良いです。自殺して自ら命を絶つ必要はありません。
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どこの会社でもいますが、会社を自分の家のように使っている人もいます。そこまでするのはどーかな?と思いますが、私は早く帰ることを優先し、無理に残業を抑えて、手抜き資料を作成し、客先の評価を落とすぐらいなら、残業(サービス残業)をしてでも高い評価を得ることができる方を選びます。
しかし、ご指摘のとおり新入社員の場合は話は別です。東大卒だろうが、所詮1年目です。出てくる資料なんてとても客先からお金を頂戴できる資料は出てきません。という訳で私の下に付いた部下は残業は原則なしです。会社の寮に帰って勉強させます。「どーしても手が足りない場合のみ、残業して」とお願いしています。ただしそれを許せるのは2〜3年目までですね。4年目以降は自分で仕事をさせます。私も忙しいので一切手助けはしません。
ただし、直属の部下が新入社員しかいなかったら、どーするかな?怒ると疲れるので電通の上司のように?責はしませんが、褒めまくって残業させるかもしれません。部下に対するサービス残業は原価率に関係なく、全て付けろと指示しますね。会社の上司に怒られるのは中間管理職の仕事の一つですので。