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私:昨日、トルコの巨大ダム建設で、トルコ、シリア、イラクとの3国間でチグリス、ユーフラテス川の水を巡る紛争を問題にしていたが、中東では「水戦争」は起こりえないとしていた。 その理由に知的興味がわいたね。 この本でも国をまたがる河川の紛争が世界で8つあることがあげられているね。 20世紀は「石油の世紀」だが、21世紀は「水の世紀」だという。 既に「水」については、中国がその急成長の最大の障害として水資源の欠乏が予想されることから、この「水戦争」を図書館に予約していたのが、タイミングよく、今日、俺の順番になったので借りたよ。 「地図で読む世界情勢・第2部」でも「水」の量の世界地図があり、「水」不足を予測しているね。A氏:しかし、「水」が豊富でない中近東がなぜ、水不足が問題にならないのかね。私:その疑問に対する答えはあったが、それがこの本の最後のほうになっていた。 驚いたことに、最初、読んでいくうちに、「水」にからめて石油、石炭、金属資源、農産物の国際的な奪い合いについての内容が長々と続く。 200頁の新書で170頁を過ぎてから、初めて「水」問題に集中してきたね。 本のタイトルを「資源戦争」にして、その枠内で「水」問題を一部とりあげたというタイトルにしたほうが正確のようだね。 この本の172頁まできたところで、中近東の「水」の疑問に到達した。 そこでは、英・ロンドン大学東洋アフリカ研究所ニー・アラン教授が「国土の大半が砂漠で、水が不足しているはずの中東諸国が深刻な水不足に陥らず、水をめぐる紛争や戦争が起きないのはなぜか」と疑問を持ったとある。 これに対する答えが「バーチャルウォーター」という概念だね。A氏:「バーチャルウォーター」?私:「仮想水」、「間接水」とも訳される。 例えば、乾燥地帯の中東は一見水不足のように見えるが、実際には他国で大量の水を使って生産した農産物を輸入しているため、水資源が乏しくても水不足に陥らないということだね。A氏:なるほど、農産物を買うことは水を買っていることになるのか。 「農産物の貿易」イコール「水の貿易」か。私:地球の淡水のほとんどは、実は農産物の生産で使用される。 工業用水などはリサイクルで使用されることが多いが、農産物で使用して残った水はそのまま海に行く。 効率もよくない。A氏:多くの農産物を外国に依存して食料自給率が低い日本は、逆に、「水」も沢山買っていることになるのかね。私:2000年度に日本が輸入した「バーチャルウォーター」は、日本国内の灌漑用水の使用量より多いという。 興味があるのは「水ストレス」という考えだね。 「年間1人当り利用可能水資源量・AWR」という概念があり、1700立方メートルが国連の基準値だという。 基準値を満たさない国は、「水ストレス」があるというわけだね。A氏:「低所得」でなく「水貧乏」ランクだね。 日本はどうだね?私:2006年の国連統計では、43ヶ国の約7億人が「水ストレス」を感じる生活をしているという。 ところが日本のAWRは最低で、730立方メートルだという。 それにもかかわらず、水不足を感じないのは、輸入する「バーチャルウォーター」がおおいからだというが、これについてはこの本では説明が不足しているね。A氏:世界の人口が急激に増加して、大量の水資源を使う農産物の要求も増加する。 「水」資源が問題になる。 肉だって、元の餌は農産物だ。私:環境で二酸化炭素の減少が叫ばれているが、「水の浪費」も避けないといけないね。 田が荒れているのは、水利用の上からも問題だね。 地方格差、農村の荒廃も「水」問題がからむ。 特に、日本は山岳国だから、河川の水は十分利用されないうちに、海に流れやすい。 この本は最後に、1頁ほど、日本の水資源確保と水の効率的な使用にふれている。 確かに、21世紀は「水の世紀」となるだろうね。
2008.02.29
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私:第2部で、これだけ世界がいろいろな問題を抱えているのを世界地図でざっと見ると呆然とするね。 ところで、イラク戦争後に、イラクではいまだに自爆テロによる混乱が続いているね。 一方で、クルド族が多く住むイラク北部では、トルコ軍とクルド労働党(PKK)との戦いが、今、問題になっているね。A氏:イラク政府は、領土侵犯だとしてトルコ軍の撤退を要求し、トルコ政府はしばしばトルコを襲撃するPKKを撲滅するには、イラク北部のPKKの攻撃が不可欠だと主張する。 これにアメリカがからんで、トルコ軍の撤退を要求する。 クルド自治区もあまりトルコ軍が駐留すると、自治区の武装兵がトルコ軍に抵抗するかもしれない。 トルコが強硬なので、一つの火種になっているので、新聞でもよく報じているね。 この辺の治安は韓国軍があたっているようだね。私:ところが、この「『地図で読む世界情勢』第2部・これから世界はどうなるのか」でたった4頁しかふれていないんだが、トルコのダム問題が背景にあるんだね。 地図が6つ掲載されていて、タイトルが「トルコの巨大ダム」だ。A氏:巨大ダムが地域紛争に関係するの?私:俺たちは高校時代に世界史で世界最初の文明は「メソポタミア文明」で、それはチグリス川とユーフラテス川の沖積平野、すなわち、今のイラクにできたと教わったのをいまだに覚えているね。 そのチグリス川とユーフラテス川の水源はトルコ東部にあるんだね。 ユーフラテス川のほうは、シリアを通過して、イラクに流れる。 これが地図でよく分かるね。A氏:そうすると水でトルコ、イラク、シリアは密接につながっているのか。私:問題は、トルコがこのトルコ南東部のアナトリア地方の経済発展を促進するために、1976年、南東部アナトリア開発計画(GAP計画)を発表し、2010年までにこの2つの川とその支流に22個のダムと19の発電所を建設するものだ。 これによって、電力の増加、乾燥地の灌漑、この地域の経済発展を図ろうというものだね。 地図を見るとすでに11個のダムが完成している。 すでに運河も作られ、灌漑地も増加している。 この地域はイラク、シリアと接しているのでクルド人が多い。 この経済発展でクルド人の生活水準を高め、クルド問題を解決しようという政治的な狙いもあるね。 しかし、ダムにつきものの住民の移動、文化遺産の水没、環境破壊などがあらわれているという。A氏:しかし、上流のトルコ側で水を多く使ってしまうと、下流のシリア、イラクは水が不足する事態になるのではないの? 国家間の紛争の種になるね。私:ダムができると下流に流れる水量が減るが水質も低下する。 シリアに流れる水量は半減し、一方、人口は増加しているので、国連のレポートでは2025年までにはシリアは水不足に陥るだろうという。 さらに、ユーフラテス川はシリアを経由して、イラクに行くが、シリアにもダムがある。 だから、シリアとイラクの間でも同じ問題がある。 トルコにとっては、この水資源はシリアとイラクに対する戦略的な武器になる。A氏:こういう国際河川の問題については、国連協定があるのではないの?私:1997年に国連協定ができたのだが、トルコはこれを調印していない。 シリアとイラクが国際裁判所に訴える手段を奪っているという。 しかし、この本では水は国際援助の手段になっているから、中東では「水戦争」は起こりえないとしているね。 国際援助の手段とは何かまで、この本は踏み込んでいない。 「水」という個別のテーマは、その種の本を読むしかないね。
2008.02.28
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私:このところ、用事でバタバタしていたんで、日曜のTV録画をみる余裕がなかったよ。 例によって、イージス艦の衝突事故のことが大きく取り上げられていたね。 ところで、俺が気になったのは、サンディーモーニングで、コソボの独立問題をとりあげていたとき、コメンティーターの浅井氏が「メディアでとりあげていないが、コソボの80パーセントはイスラム教徒なので、アメリカがコソボの独立を支援するのは、一つにはイスラム教徒に対する印象をよくするためもある」と言っていたことだね。 そこで、俺はこの「『地図で読む世界情勢』第1部・なぜ現在の世界はこうなったのか」でイスラム教の世界分布の地図を思い出したね。A氏:イスラム教徒が多いのは、中近東、インドネシアではないかね。私:それにアフリカ北部だね。 イスラム教徒の世界分布図は4つあるんだね。 見方でいろいろ変わってくるんだね。 最初の図は、国の全人口に対するイスラム教徒の割合だ。 この本の地図では緑色の濃いほどその割合が高いことを示している。 驚いたことに、バルカン半島では、飛び地のようにアルバニアやコソボあたりが濃い緑なんだね。 80パーセント以上の国民がイスラム教徒だというわけだ。 ボスニアも少し色が薄いが50パーセント台だね。 スペインも飛び地のように薄い緑になっている。 但し、これは国の人口で割った比率の分布図なんで、正確な分布とは言えないね。A氏:国家の中のイスラム教徒の絶対数が多くても、分母になる国の総人口が多ければ比率は低くなる。私:インドのイスラム教徒がそうだね。 インドにはイスラム教徒は約1億2千万人だという。 これはパキスタンのイスラム教徒とほぼ同数だが、インドは総人口が多いので比率は10パーセント台の低いほうになる。 逆に、パキスタンは80パーセント台と高くなる。A氏:イスラム教の世界的規模の宗教組織として「イスラム会議機構・OIC」があるね。私:現在、57ヶ国が参加しているという。 イスラム教の世界地図の第2として、この本ではその参加国の地図があるね。 これでもヨーロッパでぽつんと飛び地のように色が塗られているのがアルバニアだね。 コソボは独立して、OICに参加するのだろうかね。 ヨーロッパでは他に参加国はない。 ロシアの南の隣国のカザフスタンから南は全部OIC参加国だね。 ロシアがイスラム教を敵視できないのはわかるような気がするね。A氏:しかし、同じ参加国でもイスラム教の扱いが違うのではないの?私:それが第3のイスラム教の世界地図だね。 イスラーム法を適用している国もあるが、政教分離の国もある。 アルバニアは政教分離タイプだね。A氏:後はどういうイスラム教の分布地図が考えられるかね。私:宗派別の地図だね。 大きく、スンニ派とシーア派に分かれる。 イランはシーア派のメッカだね。 しかし、それぞれまた派が分かれる。 スンニ派は7つ、シーア派は4つの派に分かれる。 これをそれぞれ色分けすると、11色の分布地図になる。 その地図を見ると、地域的にはスンニ派が多いね。 アフリカ、インドネシアがスンニ派だね。 シーア派はイランが中心で他にはあまり広がっていないね。 ところで俺がこのイスラム教の地図を見て、オヤッと思ったのは、インドネシアのニューギニア島だね。 この島は、インドネシアとパプアニューギニアとに別れているが、この両国の領土の境界線がきれいに直線で南北に縦走しているんだね。 朝鮮が東西に38度線できれいに分断されているようにね。 そして、ニューギニアの西側はイスラム教徒の国だが、東側はそうではない。 色分けしたイスラム教徒の分布地図では、その直線が際立って見えるね。 アフリカの国境に直線が多いのと同じようにこれも植民地化の名残りかね。
2008.02.27
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私:昨日は、朝、早く、静岡に行って、夜はむこうでビジネスホテルに泊まったよ。 昨日の朝は、富士山がきれいに全景が見えたね。 静岡は晴れていて風もおだやかだったね。 今日になって、曇ってきたがね。 A氏:ごくろうさん。 ところで、君はブログで「ロシア世界を読む」の読書感想で、ソ連が15ヶ国に分裂して、それぞれが複雑な動きをしていると書いていたが、その各国が地理的にどの位置にあるかすぐにピンとこないと言っていたね。 もう1回、世界地図の勉強し直しだと言っていたが、新しい世界地図でも買ったかね。私:俺たちが高校で勉強していたときはソ連で一国だったからね。 ソ連圏の地図は一色だった。 世界地図には前から興味があって、平凡社の厚い「世界地図帳」があったんだが、40年くらい前のものだね。 「ロシア世界を読む」で新しい世界地図を買うつもりになったんだが、どうせ、また、国の独立などで変わるかもしれない。 それに宗教、民族など歴史的な背景の概要も知りたい。 そういう観点から、昨年末に、本屋で買ったのはこの「地図で読む世界情勢」だね。 帯に外交ジャーナリストの手島龍一氏の推薦文がある。 「戦略的思考は地図を読むことで磨かれる。 膨大な情報(インテリジェンス)が埋まっているこの本に地図の力を見る思いだ。 いま私たちに必要なのは、地政学的な視野だ」A氏:こういう本は座右に置くので図書館利用と言うわけにはいかないね。私:そうだね。 「ロシア世界を読む」を読むとき、この地図が手元にあったらソ連が15ヶ国に分裂するのがよくわかったろうにね。 同時に、この種の本は地図を入れるべきだがね。 石油や天然ガスのパイプラインも地図で見ると生々しいね。 こんどのコソボの独立なんかのバルカン半島の問題は歴史的に変化してきた国家の地図なしではピンと来ないね。 この 「地図で読む世界情勢」は2冊からなり、第1部は「なぜ、現在の世界はこうなったか」というサブタイトルだね。 第2部は「これから世界はどうなるか」だね。 ところで、君は「ディエゴ・ガルシア島」を知っているかね。A氏:知らないよ。私:俺もこの本を読むまで、不勉強で知らなかったね。 インド洋のど真ん中にあるんだね。 島全部がアメリカの軍用基地でイラクやアフガンの空爆基地でもある。 淡路島の3分の2くらいの面積だね。 まさに、地政学的に見て中近東に対するアメリカの重要な戦事拠点だね。 島民が強制立ち退きされて、島民ゼロ。 島民ともめているようだね。 ついでに「モーリシャス島」はどうだい?A氏:知らないね。私:インド洋のアフリカ側にある島だが、人口120万で経済的に急成長した島だという。 アジアの「ドラゴンとタイガー」にならって、インド洋の「ドラゴン」だという。 興味あるのは、多くの人種、言語、宗教の人が集まっているが、それがそれぞれ国際的な活動の窓口になっていて経済の発展に寄与しているということだという。A氏:多民族、多宗教、多言語は必ずしもマイナスだけではないんだね。私:逆にうまくいっていない代表的な国が世界でもっとも貧しい国といわれるアフリカの「ブルキナファソ」だという。 狭い国土に60以上の民族が共存していて、かつ、移動しているという。A氏:この国も知らない。 アフリカは知らない国が多いね。私:しかし、世界地図をみると地球は広いとつくづく思うね。 そして、バラエティに富んでいる。 宗教もいろいろな派があって、広がっている地域がいろいろだね。 この本は、世界全体を見るにはいいが、地図に解説文をとられ、個別の説明が不十分な点があるね。 これは、個別の本などで補うしかないね。
2008.02.26
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私:今日はこれから用事で、早朝出発し一泊旅行だ。 この本のことは明日帰ってからだね。
2008.02.25
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私:岩波新書の日本近現代史シリーズの1巻、2巻、3巻、4巻、5巻、6巻と続いてきた知的街道の7巻目だね。 敗戦から講和条約までの占領下の時代をまとめている。A氏:その時代は、君の知的街道でいろいろな本や記事が登場するね。 「敗北を抱きしめて」1、2,3、4、5、6、「東京裁判への道」、2「アメリカから支援と金を受けていた日本軍人」、「軍隊なき占領・戦後日本を操った謎の男」、「日本テレビとCIA」、「ジャパニーズ・コネクション・海運王・スガハラ外伝」1,2,3,4、「占領1945から1952:戦後日本をつくりあげた8人のアメリカ人」1.2.3.4.5、「アジア冷戦史」とあるね。 多くはアメリカの日本戦後史研究の有名な専門家のものだね。私:その面で、この岩波新書はちょっと物足りない感じがしたね。 アメリカの「逆コース」の動きなどがあまり強調されていない。 強調されているのは、戦後民主主義体制の動きは、すでに戦争中にもあり、反東条の動きは戦争中にもあったということだね。 敗戦で急にアメリカ主導の民主主義が導入されたというのは間違った思い込みだとしているね。A氏:サイパン島陥落で東条内閣は終わるが、そのときすでに東条暗殺という話もあったというからね。 しかし、これは著者が言うまでもなく、司馬遼太郎は「雑談「昭和」への道」第1巻「何が魔法をかけたのか」で日本の軍国主義は日本史の中でも異常な10年であって、「魔法にかかった10年」としか言いようのないものだというね。私:逆に、戦前からの戦争の総動員体制が戦後の経済復興のための総動員体制に代わるだけだとも言えるね。 戦後の日本システムが、戦争で構築された体制がそのまま継続してきたということはよく言われていたね。 しかも、日本は最後の社会主義国家だという見方もできる。 これが占領ともに改革が進んだ原因とも言われる。 新憲法もマッカーサーの押し付けだけでなく、日本側での修正もあったということから、それだけ民主主義的な素地は日本人にあったと著者は言うね。 女性の参政権も戦時の総力戦体制で女性の地位が高くなっていたことが影響しているという。A氏:しかし、マッカーサー憲法の草案を作成したメンバーにアメリカ女性がいるが、日本の女性の地位があまりにも低いので、憲法草案では女性の地位向上を特に明記したとあるね。私:アメリカがイラク戦争の正当化のために、日本の民主化の成功を引き合いに出していることに著者は反論しているね。 日本が民主化したのはアメリカの占領による改革だけでなくて、戦争以前から民主的な動きがあったとする著者の論調だね。 それに多くの頁を割いたために、「占領と改革」の約10年間の全般的な視野が抜けているような気がしたね。A氏:トルーマンの対ソ連への動き、マッカーサーとアメリカ本土との対立、GHQ内の対立、それと日本側のいろいろな派閥とのつながりが、「占領と改革」の背後にあるね。私:昭和25年頃、ドッジラインで戦後経済が悪化していたのが、朝鮮戦争で救われたことも強調すべきだね。 断片的な新しい情報としては、マッカーサーが天皇退位に反対であったことくらいかね。 考えてみれば、「占領と改革」の10年間を新書版で器用にまとめるというのは難しい知的作業かもしれないね。 それほど、複雑にからみあった時代だね。
2008.02.24
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私:録画しておいたのを今日見たね。 ケネディの暗殺の真相の謎がどうも俺たち世代には頭を離れないんだね。A氏:日米の同時衛星放送のTV最初の画面だものね。 1963年11月22日だ。 俺たち世代は職場にいた頃で、若きアメリカの大統領にはあこがれていたね。私:このブログの知的街道でも「ケネディを殺した副大統領:その血と金と権力」、「JFK暗殺・40年目の衝撃の証言」と続いたね。A氏:この2つの本で共通しているのは、暗殺の陰にジョンソン副大統領がいることだね。私:今度の日本テレビの番組は、それについてはふれていないね。 もっぱら、銃撃に関することを詳細に追及している。A氏:「ケネディを殺した副大統領」では、撃った人間は3人で、教科書倉庫にはウォレスとオズワルド、そして、芝生の丘にジュニアがいた。 オズワルドの最初の銃弾はそれた。 次にウォレスの銃弾は、ケネディの肩に当たった。 オズワルドの次の弾はコナリーに当たった。 ついで、芝生の丘にいたジュニアは、ケネディの眉間に合わせ、引き金を引いた。 これがケネディの頭蓋骨を破裂させ、致命傷となった。 この最後の4発目は記録画面では、ケネディの頭の前面に当たっているのが明らかだね。 オズワルドは背後から撃っているからおかしいね。 7秒間で4発の銃弾が発射されたという。私:ケネディ暗殺の調査は有名な「ウォーレン委員会」の調査報告があるが、結論はオズワルドの単独犯行だね。 オズワルドは3発を発射したという。 しかし、7秒間で3発の連射は技術的に不可能だという。A氏:まず、4発かどうかが問題になるね。 発射音の記録がないのかね。私:「モクスペ」ではこの4発の証拠を追いかけている。 当時のビデオカメラの撮影は音声が入っていないので、正確な銃声の記録がない。 ところがある人が音声記録を持っていた。 それは大統領の護衛の白バイの連絡電話の記録だね。 しかし、日本テレビの取材者が、その録音したCDを聞くが雑音が多くて発射音を明確に聞き取れない。 CDを日本にもってきて、音の専門家に分析してもらう。 そして4発だということも分かるし、1発目と2発目の間に間隔があるが、2発目と3発目との間隔は短く、また、間をおいて4発目の音がある。A氏:「ケネディを殺した副大統領」の説明と似ているね。私:「モクスペ」では暗殺当日の映像から、ある赤いスカートの女の子を追い、現在、すでに50代になっているその女性の記憶を暗殺現場でインタビューする。 それによると聞いた発射音は4発で、4発目は芝生の丘の方向からだったという。 この「モクスペ」でとりあげた「俺がケネディを撃った」というファイルズという刑務所にいる男は、芝生の丘から4発目だけを撃ったという。 日本での音響分析では、4発目は違った銃の可能性が高いという。A氏:ファイルズは誰の依頼でケネディを暗殺したのかね。私:マフィア系だね。 そして、オズワルドは案内役で、銃を打っていないという。 他の仲間が撃ったものだろうという。 「ケネディを殺した副大統領」では、唯一、動かない証拠としてあげているのが、教科書倉庫ビルにあった未確認の指紋だ。 これがウォレスの指紋と一致するというのだ。 これが「モクスペ」では登場しないね。A氏:また、謎が深まるだけかね。私:利害関係者が全員鬼籍に入ると思われる2039年(事件発生後76年後)に機密解除が予定されている。 「モクスペ」のゲストの鳥越氏は「俺はその頃、生きていないだろう」と言ったが俺たちも同様だね。 それより、俺が心配しているのは、今のアメリカの大統領選挙の民主党のオバマ氏が暗殺されないかということだね。 アメリカは怖い国だからね。
2008.02.23
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A氏:小国だから、世界を相手にするので英語教育も重視しているだろうね。私:著者は、日本の高校2年生のときにフィンランドに行ったので、日本ではすでに英語をかなり勉強している。 それに著者の母親は英語の翻訳家だ。 しかし、フィンランドの英語教育が日本と全く違うことに驚く。 まず、フィンランドでは授業は先生もフィンランド語でなく英語でやる。 そして、英語でエッセイを書かせる。 宿題もテストもほとんどエッセイ。 自分の考えがないと英語の勉強にならないというわけだね。 それに、英語ばかりではないが、フィンランドは「勉強する」というのは「読書する」と同じ意味らしく、読書が課題の中心になり、読むと自分なりの感想文を求められる。A氏:英語の勉強というより、英語を道具に使っての自己表現の学習だね。 日本にはそれがほとんどないね。私:この本で新しく知ったことで驚いたことは、フィンランドの若者の人生の決め方が、じっくり時間をかけて自主的にやるなことだね。 フィンランド語には「ヴァリヴォシ」という言葉があるそうだ。 日本語に訳すと「休憩する年」、「猶予期間」というような意味だという。 高校を出て、休む時間を何年かかける。 日本の浪人のようなものでなく、友達と遊んだり、仕事を少ししてみたりして、やりたいことを探す時間だという。 だから、高校を出てすぐ、大学にストレートに行くのは珍しい。 男はその「猶予期間」に兵役につくことが多いという。A氏:そうすると、大学生の年齢は高くなるね。私:学生のほとんどが20台半ばから30代で、中には兵役を済ませた人もいるという。 要するに、自分の進む道を自分で選択し、決心してから、適切な大学なり専門学校を選ぶわけだね。 そして就職する。 だから、フィンランド人は日本の「新卒」「中途採用」という言葉を理解できないという。 そういう社会だから中学校の「留年」も平気なんだね。A氏:日本では自分の進路は、早くから親や先生で決められていくことが多い。 早ければ、小学校3年くらいから、私立中学にするか、一貫校にするかを決めなくてはならない。 小学生は決められないから、親や先生が決める。 そして、中学から試験があるから、小学生から塾がある。 皆、「押し付け」システムだね私:フィンランドは中学受験がないから、塾はない。 それに学校で集中的に学ぶから、子どもは学校以外で勉強するのを好まない。 どうも、日本の場合は、「教育」は「国民としての能力向上」だが、フィンランドは「創造力ある個人の能力向上」が「国民としての能力向上」になるという考えのようだね。 特に、これからの時代で世界市場が求めるものは知的な創造力が中心になるからね。 面白いのは数学のテストに持ち込むものは2つあり、筆記用具と計算機だという。A氏:計算機を持ち込んでは数学のテストにならないのではないの?私:要するに、フィンランドの高校では、計算がどうのというより、計算機を使いこなしながらいかに考えるかという点に重点を置くようだね。 逆に、フィンランド人は暗算が苦手だという。A氏:しかし、インドの2桁掛け算の暗算も、実は単なる暗算が目的でなく、数字に自発的な興味を持たせるという点で、日本の暗算の教え方は特殊かもね。私:この本では、ところどころに母親側から一般的な解説がある。 一番、知的興味をひいたのは、母親の立場として著者(娘)がこの1年のホームスティで何が変わったかを語っていることだね。 AFSでは原則として留学先に親や親族や友人が訪問することを禁止している。 だから、1年の完全の空白をおいて親子が顔を合わす。 そして母親が気がついた変化は、まず娘の話し方が「論理的になったこと」だという。 文章も「人に理解してもらえるように文章を書こう」という意識が芽生えたことだという。A氏:何か、基本的な社会的なインフラや人間観からして、フィンランドと日本の教育は、そのベースとなるものが大きく違うね。私:PISAの順位をあげるには今度の中教審の授業時間の増加という小手先の対策はフィンランドのやり方をどう評価したのか知らないが見当はずれな気がしてきたね。
2008.02.22
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私:知的街道は「フィランド教育」だね。 この本は、2004年から2005年にかけて約1年間、高校2年生の著者がAFSという国際的な教育交流団体を通じて、フィンランドの高校に留学した体験と、2年後の2007年に母親と再度、訪れた話をまとめたものだね。 A氏:例のPISAで常に上位のフィンランドを選んだというわけかね。私:それが全く違うんだね。 著者は、個人的にヨーロッパに関心があって、たまたま、申請した国がフィンランドというだけで、2003年にAFSの審査をパスする。 ところが、翌年、出発する頃までには、フィンランド教育がPISAで有名になる。 日本は2003年の調査で順位を大きく落とし、教育の見直し論争が始まり出す。A氏:日本では「ゆとり教育」だね。 しかし、その後の2006年のPISAでもまた順位を落とし、教育の見直しが叫ばれ、最近、授業時間の増加など、中教審の方針転換となっているようだね。私:この本が貴重なのは、1年間のフィンランドの高校生活の実体験が語られていることで、今まで、俺が得てきたフィンランドの教育内容とは違った貴重な情報を得たね。 まず、第1にフィンランドの学校教育は「教」を重んじて「育」はあまりかかわらない。 親も学校に「育」は期待しない。A氏:それはどういう意味?私:日本の学校では生徒は先生にときには親代わりになり、あるときは、友だちのように接してほしいと考える。 親もそれを期待する。 日本の先生は生徒の格好をあれこれ注意する。 学校に5分遅刻するとその理由をしつこく聞く。A氏:日本型は金八先生だね。私:しかし、フィランドの先生は「教」に徹しており、「教」のプロとして期待されているだけだ。 だから、先生はあまり高給でないのに、尊敬される。 しかし、私生活までの尊敬ではない。A氏:日本の先生は親が給食費を払わないと、夜遅くまで家庭を訪問して督促する仕事までやる。私:それにフィンランドの先生は押し付けはしない。 いかに生徒が授業に自発的に興味をもって集中できるかのテクニックに磨きをかける。 だから、日本のような指導要領による画一性は少なく、先生の自由度が高い。 生徒も「学校は勉強する場所」という意識をもっているという。A氏:「落ちこぼれ」はどうしているの?私:留年するだけだというから、留年が多い。 著者がホームスティした家族にほぼ同じ世代の3人の男の子がいたが、次男は中学を2年留年、3男は1年留年だったという。 しかし、親は無理に学校に行かせたり、「勉強しなさい」と言ったりいうこと絶対ない。 著者はそれに驚いたという。 掛け算だって割り算だって小学3年生までに完璧でなかったら「落ちこぼれ」ということでなく、10才歳でも11歳でも時間をかけていいから完璧にしようという考えだという。 「留年させてでもおちこぼれを作らない」という基本理念だね。A氏:日本では6歳で小学校、12歳で中学校、15歳で高校、18歳で大学、22歳で就職という画一的な年齢がひっかかってくる。私:就職にも年齢がひっかかってくるからだね。 しかし、フィンランドは年齢よりも経験が重視される。A氏:要するに、「個」の重視だね。私:フィンランドは小国だね。 だから、隣りの大国とつきあっていかなくてはならない。 教育は「国民」というよりも「個」を重視した教育だという。 明日は、フィンランドの英語教育と若者の職業選択についての著者の体験にふれよう。
2008.02.21
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私:2006年2月から3月にかけてインド外交が活発化した。 この短い期間にフランスのシラク大統領、アメリカのブッシュ大統領、オーストラリアのハワード首相が逐次、インドを訪問し、シン首相と会談した。 テーマは共通していて「核(原子力)」だ。 フランスからは原子力の民政利用の技術提供、ウラン埋蔵量世界一のオーストラリアとは燃料協力の打診だね。 中でも世界を驚かしたのは、「米印核協力」と呼ばれる合意だね。 超大国アメリカから譲歩を引き出したインド外交の成功だとも言われているね。A氏:何が成果だったのかね。私:「米印核協力」はインドが国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるのを条件に、アメリカとから核技術や核燃料の提供を受けるということだね。 インドには原子力施設が22ヶ所あるが、査察を受けるのは14ヶ所だけで、残り8ヶ所の軍事用核施設は査察の対象外となった。 これが世界に衝撃を与えた。A氏:なるほど、これはアメリカがインドに軍事用核施設を認めたことになるからだね。私:1998年、5月11日にインドは核実験を強行する。 アメリカを先頭にして、各国は経済制裁に踏み切る。 当時のアメリカ大統領はクリントンだが、アメリカとインドの関係は最悪となる。 このような国際的な反感を買ってまでもインドが核実験を行ったのは何故か。 取材班はインドの関係者にインタビューを行うが、それはインドの「大国主義」だ。 アメリカなどの核をもっている先進国などの勝手な強制を嫌ったからだという。A氏:核を持ちたいという軍事的な欲求よりも、自分たちが核を持つか、持たないかは、自分できめさせろ、他人からとやかく言われたくないというわけだね。私:しかし、一方でインドはアメリカとの外交を重視した行動を取っている。A氏:したたかだね。 一方で理想を言うが、一方で現実的な対応も忘れない。私:この本では、核実験についてのアメリカとの交渉でインドの代表に選ばれたジャスワント・シン氏とアメリカの国務副長官のストロブ・タルボット氏の交渉をかなり詳細に描いている。 インドは大国であるが、長い間、それを認めてもらえなかった、その劣等感があるという。 「政治大国」になろうとするエネルギーがある。 頑なに「強制」への強い嫌悪感を表明し続ける。A氏:そうなると交渉は膠着するね。私:その事態を打開しようとして動いたのが「在米インド人」だね。 現在、アメリカにはインド移民は2百5十万人いるといわれている。 IT、金融分野で活躍しており、1割が高所得層だという。 この経済力をもとにロビー活動を行っている。 在米インド人から支援を受ける、インドシンパの議員は「インドコーカス」と呼ばれる。 上下両院の議員535名のうち、「インドコーカス」は2百人を超えており、アメリカ議会最大勢力だという。A氏:インドの「頭脳集団」の力がここにもあったわけか。 ユダヤ人のようだね。私:このインドロビーの活動で、アメリカはインドとの関係改善の方向に変わっていく。A氏:2000年3月クリントン大統領はインドを訪問しているね。私:在米インド人の活動は2006年3月に合意した「米印核協定」のアメリカ議会承認にも関係する。 アメリカ議会でも、この協定に疑問を持つ議員がいた。 そこで、この協定が議会で承認できるように在米インド人の活動が開始される。 こうして、その年の11月にきわどいタイミングで議会の承認を得た。 今後、急激に大国化していくインド外交は、中国の動きとともに、アメリカの一極支配が崩れていく国際政治では見逃せない要因だね。
2008.02.20
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私:NHK取材班はインド各地を取材で回るのだが、悩みの種は空港が整備されていないこと、道路がデコボコ、それに車の渋滞だという。A氏:それは「インドと中国」でも同じことを述べていたね。私:「インドと中国」の本では日本の自動車メーカーの進出でトヨタしかふれていなかったが、実は、インドの進出はスズキ自動車が一番だね。 この「インドの衝撃」ではスズキのことが正確に書かれているね。A氏:インドの急激な成長は誰が支えているのだろうか?私:「中間層」だという。 カーストは崩れているね。 IT産業に勤めている人や、英語を話す人が多いことからコールセンターなどの仕事をやる人だね。 インドでは毎年、2千5百万人の中間層が増加しているという。 取材班はニューデリー郊外にある「中間層」の街、グルガオンを取材する。 荒野の先に大量のビル群が現われる。 道路は整備されており、高層のマンションが林立する。 エアコン普及率が2パーセントという国が、ここではすべての住居に整備されている。 そして、そのマンション群のところどころに巨大なショッピングセンター(モール)が出現する。 マンションもモールもどんどん建設されている。A氏:アメリカがインドにできたようだね。 インドには全く別の2つの国があるようだね。私:女性の社会進出の増加によるためか、インドの食文化では考えられなかった「レトルトカレー」が開発され結構人気があるという。 日本のレトルトカレーとは中身が違うがね。 この「中間層」の人口は現在、推定で4億近いという。 この巨大な消費市場は日本の総人口を大きく上回っている。 その市場を目当てにショッピングモール、スーパーなどがインド各地に展開していく。A氏:「小売革命」だね。私:欧米では30年から40年かかって起きた変化が今のインドでは7年から8年で起きようとしているという。 消費の欲求に目覚めたインドは悠久の歴史の中で大きな転換点を迎えているという。 インド文化もインド人も変わるのだろうか。 そして、大型量販店による流通は「中間層」だけでなく、今や「11億の市場」に展開しているという。A氏:しかし、インドは現在も農民が大半を占めており、貧しい生活をしているんだろう?私:インドは民主主義の国だから、多数の農民票がカギを握る。 だから、中国のような一党独裁国家と違った動きをする。 選挙のときに「バラマキ」もある。 民主主義体制が確立した中で、閉鎖した市場を開放するともっとも「痛み」を受けるのは農村部だね。 インドは伝統的に綿花栽培で有名だね。 しかし、「あなたのTシャツはどこから来たの?」にあるように、安いアメリカ綿花と対抗する。 そのため、自殺者を出してきているほどだという。 この農民部の貧困層の不満が選挙のたびに爆発し、政権の交代を求めるから、政治的に不安定な点もあるね。 しかし、それほど、暗い展望が聞こえないのは、競争率千倍を超えるという試験をパスした官僚が政権政党の変化にかかわらず、政策決定に大きな力を発揮しているかだという。A氏:日本の官僚も一時、国家を考えて行動する優秀な人の集まりだったがね。私:インドは中国に真似て経済特区をやりだしている。 しかし、今は農民はグローバル化に対する不満はあまりないという。 貧しいが、家族で楽しい生活をしているからだろうね。 しかし、これから中国のように工業化が始まり、工場に出稼ぎが増えるようになると、その生活は崩壊し、次の「衝撃」がくるのかもしれない。A氏:「老いてゆくアジア」によるとインドの合計出生率は急速に低下しつつあるが、「生産年齢人口」は2035年頃まで上昇が継続するので人口構成上、「人口ボーナス」の最中だから、これにインドが工業化でうまく乗れるかが次の「衝撃」だね。私:明日は、インドのしたたかな外交にふれよう。
2008.02.19
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私:この本は「インドと中国・世界経済を激変させる超大国」からの知的街道だね。 ギョウザ問題で中国を身近に感じたが、インドも実は我々の生活に直結している。 2、3年前に日本でパナソニックのレッツノートという小型のノートパソコンが人気があったが、あれはインドの「頭脳集団」の開発だね。 この本の内容はNHKスペシャルで3回に分けて放映されたが、この本は放送されなかった部分を含め、詳細な取材報告だね。この本を読んで俺も新しい衝撃を受けたね。 まさに「衝撃」的なインドの急激な変化を描いているね。 取材がサスペンス的なんで、引き込まれるように読んだよ。A氏:俺もTVの放映はきちんと見ていないんだ。 インドは第2次世界大戦後、イギリスから独立し、社会主義的な政策を実行し、多くの企業は国有だった。 イギリスに植民地搾取をされたインドには、設備も、資金も、天然資源もない。 植民地として残された遺産は英語だね。 私:貧乏な国として初代首相のネルーは、疲弊したインドで唯一の資源、「頭脳」に注目し「頭脳立国」を目指す。 その最高峰の学校がインド工科大学(ITT)だね。 現在、毎年、定員5千人に対して、受験者は30万人にものぼるという。A氏:世界最難関の大学だね。 さぞかし、詰め込み教育を徹底して行うのではないの?私:それが逆だね。 考える教育を徹底している。 これはフィンランド教育と同じだね。 インドでは二桁の掛け算まで暗記するというが、取材で事実は「算数は楽しい」というイメージを生徒たちに小さいときから植え付けるためだというが、これが成功しているようだね。A氏:君のブログでふれている、学習コーチアカデミー主任研究員佐々木宏氏が言うところの教師の「承認力」と「質問力」による教育だね。 「考える教育」だね。 日本の「ゆとり教育」を目指したものは間違っていなかったのではないのかね。 やり方の問題ではないの?私:ところで、ネルー首相はかってイギリス植民地時代に政治犯を収容していたカルカッタに近い刑務所を最初のITTにした。 インド独立のために犠牲になった人が収容されていた、この地こそ、新生インドの発展を担う人材を生み出す地としてふさわしいとしたわけだね。 しかし、社会主義経済の失敗で経済は悪化していたので、卒業してもインドに職がなく、アメリカに行く。 そして、優れた業績をアメリカで上げる。A氏:でも最近はインドに帰っているというではないかね。私:1991年頃から、政府は経済改革を実施。 この頃、アメリカではITブームとなり、アメリカに行った多くのインド人が活躍する。 さらに2000年問題で、ソフトの点検の仕事が増加する。 英語ができ、人件費が安いインドのエンジニアが経済のグローバル化でにわかに世界の脚光をあびる。 こうして、インドに大きなIT企業が育つようになる。 その象徴がインフォシスだね。 単にソフトの下請でなく、創造的なソフト活動まで拡大。 ソフトというのはシステムの頭脳部分だね。 それに関係していると、あらゆる業種の頭脳部分がインドの「頭脳集団」に集まることになるね。 インフォシスは世界のトップ企業を支える技術を次から次へと開発している。A氏:半世紀たってネルー首相の夢が実現したわけだね。私:インドの「頭脳集団」はパーセントでいうとまだ、インド人口では少数だが、分母が10億だから、絶対数は膨大だ。A氏:インド人は本当に賢いのかね。私:著者は明確な理由は分からないとしているが、インド工科大学(ITT)を目指す貧乏な学生が、トタン屋根の予備校で何時間も集中している勉強している姿を取材している。 ITTに入学できれば、グローバル化で高収入が待っているから、必死に学ぶ。 カーストは無関係だね。 著者は、インドの頭脳の良さは「貧困」と「グローバル化」の掛け算だとしているね。 明日は、インド人の消費の変化の「衝撃」にふれよう。
2008.02.18
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A氏:鳩山法相が、富山の事件で服役した人が、後で「真犯人」がわかったのは「冤罪」で、例の志布志の鹿児島県議選の買収事件で住民が無罪になったのは「冤罪」ではない、「無罪」だと言ったのが「失言」だとして、国会で陳謝し、マスコミでも叩かれたね。私:警察側の本音が口の軽い鳩山氏の口から出たんだね。 警察側では、志布志の警察のエラーは悔しいから、なんとかエラーを軽くするようにいろいろ細かいことまで考えるもんだね。A氏:その知恵の一つが「無罪」と「冤罪」の使い分けかね。私:それよりも、マスコミは頭から叩いているが、俺はこの使い分けにはそれなりに理屈が通っていると思ったね。A氏:どういう理屈?私:例えば、殺人があったとする。 これは誰にも明らかな事実だね。 だから「真犯人」が存在する。 そこで犯人を捜す。 B氏が犯人として捕まり殺人犯となったとする。 ところが、その後、C氏が「真犯人」と分かったとする。 あるいは、B氏以外に「真犯人」がいるという明白な証拠が出たとする。 A氏:そうするとB氏は「冤罪」だね。 富山の事件の場合がそうだね。私:ところが志布志の鹿児島県議選の買収事件は、買収したという誰もが認める事実が最初からないんだね。 犯罪事実があれば、「誰が買収したのか」と「真犯人」捜査となる。 犯罪事実がないと、「真犯人」は最初から存在しない。A氏:「でっち上げ」だね。私:しかし、「犯罪の事実がなかった」というのは逆の証明ができない。 「真犯人の存在」自体があやふやだから、明白な証明ができない。A氏:なるほど、でっち上げの犯罪の場合、「真犯人」は存在しないから、裁判での「無罪判決」を待つしかない。 「真犯人」がいる「無罪」と違うと言うわけだ。私:ホリエモンについては道義的問題を問う人がいるが、法的に犯罪を犯しているのだろうか。 この場合、「脱税」という「犯罪事実」はあるようだね。 しかし、「ホリエモンの指示でやったかの事実」と問われているようだね。 本人だけの問題で、「真犯人」が他にいるケースではない。 彼は「国策捜査」で捕まったようだから、「無罪」にならないだろうが、もし、彼が主張するように「無罪」になったとき、「冤罪」と言うだろうかね。A氏:「でっち上げ」の場合は、「犯罪の事実がなかった」という客観的な証明がむずかしいということかね。私:「バカの壁」の養老孟司氏がどこかで書いていたね。 「○○がない」という証明をするほど、ムズカイシイことはないとね。 「筑波山には○○という昆虫がいない」と客観的に証明するには、地図をいくつかに区分して、しらみつぶしに調査しなくてはならない。 それでも見逃しもあり得る。 逆に「筑波山に○○という昆虫がいる」ということを客観的に証明するのは簡単で一匹でも捕まればいい。A氏:なるほど、犯罪の事実が客観的に存在する場合は、必ず「真犯人」がいる。 ところが「でっち上げ」の場合は、もともと犯罪の客観的な事実がないのだから「真犯人」はいない。 「でっち上げ」、言い換えれば「筑波山に○○という昆虫がいない」という証明は裁判官の判断になるから主観が入る。 「真犯人」が登場するわけでないから客観性が薄れるね。 だから、「無罪」と「冤罪」の使い分けに一理あるというわけか。私:ましてや「でっち上げ」を警察がした場合、「冤罪」と言いたくないだろうね。 まぁ、鹿児島県議選の買収事件での警察の失態の悔しさをこの使い分けに感じるね。 鳩山法相はそれにのせられて、内輪のことをしゃべってしまったんだろうね。 広辞苑の引用は、下手ないい訳で、手の内が見えているね。
2008.02.17
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A氏:今回の食品問題のような品質問題が発生すると、いつも「検査はどうなっているんだ」という感情論が必ず、登場するね。私:農薬の有無の検査にはミキサーで品物を破壊するから、サンプルだけの検査だ。 品質管理では、これを「破壊検査」という。 この方法だと全数検査はできない。 抜取り検査となるね。 抜取り検査に意味があるかどうかは、その「サンプル」が「もとのロット」の品質を代表しているかだね。専門的には、この「もとのロット」を「母集団」という。 だから、抜取り検査で重要なのは、「サンプルが母集団の代表にふさわしいか」だね。A氏:野菜などの農薬の含有量の抜取り検査は、野菜の殺虫剤は畑に一様に散布されるので、「サンプルの代表性」は良好だろうね。 サンプルが農薬を散布する畑単位とか農家別ならもっと「サンプルの代表性」は高くなるのかね。私:そうやって、「もとのロット」を畑別とか農家別とか分けることを「層別」という。 どういう「層別」の「もとのロット・母集団」からサンプルを抜き取って検査しているかがポイントだね。A氏:なるほど、検査しているからといって単純に安心できないんだね。 そう言えば、中国の人は今回のギョウザ工場のあった河北省の野菜は農薬が濃いので、買わないそうだね。 省単位の「層別」を民衆の知恵でやっているわけだ。私:農産物などは外観とかサイズは全数検査だがね。 今回、問題を複雑にしているのは、野菜などの食品でなく、「加工食品」で発生したことだね。 野菜の場合、農薬は一様に散布するが、加工食品の場合、「具」や容器、袋などに手作業が介入すると、要因が多く、品質が一様でない。 意味のある「層別」が困難だね。A氏:今回の場合、製造日が「層別」になっているのではないの?私:一つの「層別」だね。 農薬が検出された製造日は休日が多いというのは製造日で「層別」してるからだね。 しかし、そのロットから数袋を抜き取っても、今回のような農薬は検出不可能だろうね。 同じ日に作った3万袋のうち、3袋だけが悪いのかもしれない。 残りの袋には農薬がついていないかもしれない。 その悪い3袋を抜取り検査で発見するのは「宝くじ」で一等を当てるようなものだね。 ましてや、工程で農薬など使用していなければ、農薬の検査はしない。 どこを検査するかを「検査項目」というが、加工食品では通常、農薬までの「検査項目」はない。 農産物なら「検査項目」にあるだろうが。A氏:いずれにせよ、工程が安定していて、品質が確保されているという条件がないと検査はあまり意味がないといことか。 これは特に加工食品の場合にいえるね。 ましてや、意図的に農薬を混ぜたとなると、抜取り検査での発見は全く期待できないということか。 消費者の食の結果を待つしかない。 手遅れだが、今回のトラブルでその日の全体の品質は初めてそこでわかるということか。私:そうだね。 そこで初めて最悪の農薬の有無の全数検査となるわけだ。A氏:今回、全数検査(消費者が食べた)の結果、問題になった日付の全部の餃子から農薬中毒トラブルは出ていないね。 いずれにせよ、検査では品質は保証できないね。 日本政府は加工食品も検査すると言っているが、選挙向けの宣伝かね。 選挙民もそれで安心するだろうかね。私:加工食品は工場の品質管理状態がカギを握る。 それは工場で使う材料、従業員、水、機械設備のインフラのレベルを含めてだね。A氏:今朝の新聞で、検出のメタミドホスは不純物の混入状況から日本の流通品と異なるという。私:「薬品の指紋」というやつだね。 もう一つの「ジクロルボス」の「薬品の指紋」も調査すべきだね。 しかし、中国の強硬姿勢でトラブルは長引きそうだね。
2008.02.16
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A氏:中国製冷凍食品中毒問題の続きだが、昨日の新聞で「農薬の混入は工場が原因ではない」というような中国側の会見があったと報じているね。 日本で未開封の袋の内側から農薬が検出されたことについて、中国側では「一般人でも開封したものを再び密封できる」としているね。私:これで福田首相の楽観論が消えて「日中間」の雲行きがおかしくなってきたね。 消費者は開封して食べるのだから一般人でも開封は容易にできるのは当り前だ。 問題は、再びきれいに密封にすることだ。 まず、密封する機械がいる。 それに、一旦、開封したら開封口が破れる。 仮にきれいに開封しても、同じ箇所にピッタリ、再度、機械で密封するのは技術的に難しいのではないのかね。 ダブった密封の痕がつくので「おかしい」とすぐわかるのではないかね。A氏:別な新しい袋に入れ替えて、密封という手もあるが、その袋だけ入手するのは一般人では難しいね。 昨日の週刊誌の広告を見ると、週刊新潮は「日中戦争」としているし、週刊文春は「死刑確実!毒入りギョウザ事件・中国当局『元従業員逮捕のXディー』」とあったが、中国側はこのような日本のマスコミ報道に批判的だね。私:どうなるかね。 週刊新潮の「実行犯死刑で4月までにウヤムヤ解決?」という可能性まさに?だね。 話は別だが、十数年位前かね。 唐辛子を中国から輸入し、振りかけの唐辛子を作っている日本メーカーがあったが、中国から唐辛子が入荷すると全数、機械にかけて、雑物を取り除いていた。 雑物に釘とか木片が多かったね。A氏:何故、そんなものが混入するのだろう?私:中国の工場に視察に行った日本の人が写真を見せてくれたが、きれいな工場だ。 そんなものが混入するとは考えられなかった。 ところが、外で唐辛子を板に乗せて日干しにしている写真を見てびっくり。 工場の周囲は廃材置場だったんだね。A氏:何かのチャンスに廃材が混入するわけだね。 今回の冷凍ギョウザ問題でもどこかのテレビ局が、中国工場の外側の汚い草むらを撮影していたが、汚れた冷凍食品の袋が2、3枚落ちていたね。 なんでそんなものが工場外に落ちていたのか、疑問に思った。 もっと、突っ込んで取材をしてほしかったね。私:これも10年位前のことかな。 日本のある食品の紙コップを作っている工場を訪問したことがあった。 紙コップの製造工程は厳重な品質管理をして、自動工程は隔離した部屋で出入りが厳しく、カメラが10台くらいあって、どんどん流れていくコップをいろいろな角度から穴や変形を検査していた。 最後に、髪の毛の落下防止の頭巾をかぶり、マスクをした女性が数人で、コップの汚れ、傷、穴とかを全数、目で検査して、合格したコップを大きな透明のビニール袋に入れていた。 1日の作業が終わると掃除をするんだが、髪の毛が落ちているかのデータをとっていたね。たまに、1本くらい見つかるんだね。A氏:その作業者の髪だね。私:あるとき、納入した紙コップのビニール袋に死んだハエが一匹入っているのが顧客の受入チェックで見つかった。 クレームだ。 紙コップの製造工程は出入りは厳しいし、最後の検査場所もカーテンで囲っていて、ハエは見たこともない。 そこで原因は大きなビニール袋ではないかとなった。A:外注の問題か。私:このビニール袋は問屋から買っていた。 問屋にどこで作っているのか見せるように言ったら、何か、モタモタしていたようだ。 理由はビニール袋を作っているところを変えたんだね。 前は窓に網がある工場で作っていたのを、安いということで断りもなく、工場を変えた。 その変えた工場には窓に金網もなく、近所に養豚場があった。 ハエはぶんぶん飛んでいた。A氏:最悪だね。 ある確率でハエが一匹、袋に入ったわけだね。私:可能性というのはいろいろあるね。 今回の宝くじを引いたような確率のトラブルの原因追及は難しいだろうね。
2008.02.15
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私:イギリスは1979年のサッチャー政権から徹底した自由主義経済を行うね。 そしてこの15年間連続の景気拡大を続けたという資本主義史上でも特筆すべき成果を出しているという。 この本は今のイギリスの成功の姿を描いているね。 そして、いわゆるイギリスのイメージは一新したという。A氏:サッチャー登場までは、非効率な「英国病」といわれた経済停滞があったね。私:この本は「英国病」時代を描いていないので、比較が分からないが、イギリスの成功は金融市場の開放による金融業の成長がカギを握っているね。 国営企業の民営化による失業を外資の金融業が吸い上げた結果となったようだ。 日本のようにタクシー業界に流れるような姿ではなかったね。 ちょうど、1990年代からのアメリカの金融資本の拡大の波にイギリスはうまく乗ったね。A氏:金融は日本の不得意とする分野だね。私:欧米の資本が入りやすいのは、イギリスの利点だね。 俺は、「オッペンハイマー」を読んでいて、彼ら欧米人はヨーロッパ、アメリカを自由に住居を移して動き回るのが日本と全く異なることを感じたね。 その中心にイギリスがあるんだね。 日本はその点、伝統的に閉鎖的だね。 この違いは大きいね。A氏:それにイギリスは帝国主義時代からの国際的な商業のインフラがあるね。私:今、外国資本がイギリスに入り、いわゆる「ウインブルドン現象」となっている。 外資が経済を活性化しているのだが、英経済はもはや金融・サービス業で一色で、製造業などを目指す物理学を学ぶ学生がいなくなっているという。 学生も求職が多く給与もいい金融機関を選ぶ。 しかし、外資は英国の国益とは関係なく、自らの利益で動くから、英国の人材の蓄積が薄くなると、一気に業務の海外移転が起きる。 その点で、今後、バランスある教育制度の充実が必要だという見方もあるようだね。 今のところは、外国人労働者や移民がそれを補っている。A氏:日本は小泉改革でイギリスのサッチャーモデルを真似しているようだね。私:しかし、イギリスは閣僚の権限が強いね。 政党に気兼ねしないで、思い切った政策を迅速に実施できる。 そして、サッチャーの後、メージャー政権、そして労働党のブレア政権と30年くらいの間に、市場開放による改革の流れは一貫しているね。 その息の長い蓄積と安定感が外資の好感を得ているのだろうね。A氏:日本はすでに小泉改革が安倍政権頃から「逆戻り」がはじまり、福田政権で「改革」という言葉は消滅したね。私:しかし、やはり市場主義は弊害もあるね。 典型的なのは格差の拡大でイギリスにも出ている。 その解決として例によって機会均等が考えられているようだが、イギリスはご承知のように貴族とか労働者との固定的な階級社会だった。 格差が固定しやすいのが悩みの種だね。 ブレア政権ができたときの課題は、サッチャーの遺産を受け継ぎながら、その公共サービスの低下をどのように改善するかだった。 特に、教育、医療、治安だね。A氏:自由化で医者はどんどん海外に出て行ったというね。 私:結局、南アフリカ、フィリピン、オーストラリア、インドなどの英語圏から多くの医師、看護師を入れる。A氏:移民の増大はテロと関係するね。私:05年に起きたロンドンの自爆テロはショックで、移民の規制が始まるね。A氏:日本もインドネシアから介護師を採用する動きがあるね。私:結局、日本式改革は他国の成功例をチョコチョコ真似ているだけのようだ。 大きな成功がないのに格差拡大のようなマイナス効果だけ「成功」している。 リーダー不在現象かね。 それでこれからの国際競争に勝てるかが問題だね。 この本を読んでそう思ったね。
2008.02.14
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私:中国の食品問題で、このブログの「中国の食の不安」でとりあげたように、中国では昨年1月に出版された「中国食品安全現状調査」によると、偽食品が原因とみられる死者は毎年約40万人、約3億人が発病しているという。A氏:俺もそのブログで次のような中国のブラックユーモアを引用しているね。 「中国である農婦が誤って体によくない農薬を飲んでしまい、あわてて病院にかけつけた。 しかし、問題がなかった。 その農薬が偽であって、害がないことが分かったからだという。」 しかし、今度は本当の農薬が検出されたね。私:しかし、今回の餃子問題は、この系列でないようだね。 1日3万袋くらいの製造で、農薬が発見されたのは、10袋くらいだから、通常、考えられない異常な事故か故意の原因ではないかと推定されるね。 しかし、現在、原因がはっきり特定できないから不安が大きい。 事実は、包装され、密封された袋内部に農薬があった、袋の外側にもあったということだけだね。A氏:工場ではそんな農薬は使っていないし、工場内部の品質管理も厳格なようだね。 だから、工場の管理を視察しただけでも原因はわからないだろうね。 汚染袋数や工場の管理状態からして、工場の衛生管理の問題ではないようだね。 だから、ますます、不安となるね。 推理小説の世界となってきたね。私:誰かが、少量の農薬の粒か粉か液を任意の袋にそっと、瞬間的に放り込んだのかね。 そうすると放り込んだところは、発見された事実から袋メーカーと工場の包装工程に絞られるね。 先日どこかのテレビで実際の包装工程を再現フィルムでやっていたね。 今朝の朝日新聞でも社会面で報じているね。 まず、納入したダンボール箱をあけて袋を取り出し、全数検品する2名、賞味期限を印字する2名。A氏:袋メーカーの線は全数検品なら、問題ないのではないの?私:検査には検査項目というのがあって、それ以外は見ない。 この検査では検査項目は「袋の汚れや破れ」などだから、農薬の付着は汚れとして現われない限り分からないだろうね。 「薬品の異臭」はマスクしているのですぐにはわからないし、「検査項目」にもないだろうね。 それに君は「全数検査」というと信頼するようだが、人間の目による全数検査は数が多いときはあてにならないというのは常識だね。 品質管理の初歩の研修でよく簡単な演習をやるんだが、先生は研修生にある本の頁のコピーを配ばり、例えば「の」の文字数をある時間内でカウントさせる。 正解は先生だけ知っている。 研修生の答えは一致しないで見事にばらつく。A氏:次は包装工程か。私:例えば10個のトレイに入った餃子を袋に入れる「袋づめ」が3名、次に重量点検2名と袋の密封2名だね。 流れ作業だが、コンベヤーを使っていないで手渡しのようだね。A氏:そうすると袋にふれられる作業者は10人程度に限定されるね。 しかし、責任者が1名、品質管理担当者が3名作業をチェックしているというね。 監視カメラもある。私:管理者も管理するポイントがあるから、予想外のことは見逃しやすいね。A氏:ある中国の要人が、「反日分子がやったかもしれない」と言っているね。 反日感情を煽った日本が悪いということなんかね。私:原因が分からないといろいろなことを言うね。 誤解もあるね。 これはしょうがないね。 こわいのはイライラしてきて原因をでっちあげることだね。 反日、反政府作業者をスケープゴートにして、これを特異な犯罪事件として一件落着という手もある。 従業員の内部告発か、免責でもしないと真実がわからないかもしれない。 あるいは、原因不明で終わるかだね。 中国側もオリンピック前に一般的な中国工場の食品管理レベルの原因にもっていきたくないだろう。A氏:今朝の新聞は「すかいらーく」が中国加工品使用を再開したと報じている。私:一市民としてはとりあえず、中国産の食品には気をつけて福田首相流に静観するしかないね。
2008.02.13
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A氏:昨日の話から新聞記事が気になったね。 2月9日の朝日新聞の社会面の右上の隅に「偽装請負・正社員化は0.2%・厚労省集計・指導企業の対応」という見出しがある。 君のブログでも偽装請負の指摘を受け業務停止を受けた企業例が載っていたね。 ところが、偽装請負を厚労省から指摘された労働者のうち、厚労省の指導後に正社員の0.2%に止まるとのこと。 また、派遣可能期間が超えて働いていた派遣労働者では、厚労省の指導により派遣先の正社員になれたのは「ゼロ」。 厚労省の指導の限界が問題になりそうだという。 私:最近、企業の法令順守の「コンプライアンス」が叫ばれているが、これは労働者に対する不正行為をあくまで推し通そうとする企業の「意地」みたいなものを感ずるね。 昨日のブログの「夢工場」どころか、「悪夢工場」だね。A氏:この記事は、2月8日の衆院予算委員会で共産党の志位委員長の質問に厚労省が答えたもので、升添厚労相は「企業も社会的責任を果たしていますと胸を張っていえる企業になってほしい」と述べたという。私:俺たちの若い頃は、経営者は自社の従業員の給与が他社より低いと、経営の恥と思っていたね。 今の経営者は、他社より賃金が高いと、経営が下手だと株主にやられるのか、賃金を下げようとするね。 1980年代に日本が世界のナンバーワンだという頃は、アメリカの株主を気にする短期的視野にたつ経営に対して、日本の長期的な視野にたつ経営の優位性が評価されたのに、いつの間にか、短期的な株価を気にする経営に日本はなりさがったようだね。A氏:それから、2月8日の朝日新聞夕刊の一面の左隅に「セブンーイレブン・店長に残業代」という見出しで、管理職として扱っている店長に3月から残業代を支払う方針を明らかにしたと報じているね。私:これは裁判沙汰になった日本マクドナルドの店長への残業代金支払いを、東京高裁が命じた判決をしたことがきっかけになっているようだね。 大手コンビにではローソンやファミリーマートなどが既に店長に残業代を払っているのでセブンーイレブンの動きが注目されていたが、これでコンビにはほぼ足並みが揃ったね。A氏:しかし、当の日本マクドナルドは残業代を払わないとして控訴しているね。 原田会長は「店長は自分の判断で残業時間を管理できるから『管理職』だ」としているという。 逆に、セブンーイレブンは「残業代を払うことで店長もメリハリのある働き方ができるし、会社も残業時間の把握を通じ、店長の働き方も分かるようになる」としているという。 日本マクドナルドの考えと全く違うね。私:経営発想の違いだね。 俺はどうみても、マックの店長が自分の判断で残業時間を管理できるとは思わないね。 店を開けている時間も、アルバイト制も本社が決めている。 店舗の基本的なレイアウト、商品、業務のやり方も本社の決定と指導だね。 自分の残業を減らそうとしてアルバイトを増やせば、コストが上がり、今度は店の業績で店長の責任を問われる。A氏:残業代と言えば、昨年、安倍政権のときに、「ホワイトカラー・エグゼンプション」問題が出て、「残業代ゼロ法」だと悪評となり、結局消滅したね。 君の知的街道でも、「ホワイトカラー・エグゼンプション」、「ホワイトカラー・エグゼンプションと安部総理のコメント」、「ホワイトカラー・エグゼンプション・カイゼンと残業」、「ホワイトエグゼンプション・余暇を楽しむ」として取り上げていたね。私:この問題は、「サービス残業」などの違法行為の正当化に使えそうだったことだね。 今でも「サービス残業」はあるんだろうがね。 アメリカの事例の「ニッケル・アンド・ダイムド・アメリカ下流社会の現実」にも似たようなことが登場するね。 残業代をケチりたい心理は経営側としては皆同じだね。 問題はケチり方で、これによって経営者のレベルや品格が分かるね。 升添大臣は「『ホワイトカラー・エグゼンプション』はタイトルがよくなかった。余暇促進法とか残業減少法とか言えばよかった」と言っているそうだが、これもおかしいね。 今、労働時間はグローバル経済で世界的に増加傾向なのに甘いね。A氏:俺たちの若いときは、週6日制で、残業も毎日で当たり前。 それが、水曜日は定時に帰る日にしたり、そのうちに週5日制となったりしたね。 政府も企業も時短の努力があった。私:今は、逆行しているようだね。 この本の主題とずれたようだが、底でつながっているね。
2008.02.12
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私:この本は、読む前に、書評の段階で、俺のブログでとりあげたね。 俺は「日経ビジネス」の定期購読者だが、毎週、真面目に全部の記事は目を通していない。 不真面目な購読者だよ。 しかし、労働職場の変化に関する記事は気になってよく読んでいたがね。 「日経ビジネス」はこの問題の取材には積極的だね。 最近、「日経ビジネス」2月11日号で「迫る2009年問題・幸せな工場・派遣、請負社員を磨き上げろ」という特集を組んでいる。A氏:2009年問題?私:改正労働者派遣法は、製造業の受入れ期間を最長3年と定めている。 偽装請負の指摘を逃れ、国内の多くのメーカーが時間を稼ぐために、派遣に切り替え出したのが2006年秋。 そこから数えて3年になるのが2009年だというわけだ。A氏:派遣から請負に変えるのか、派遣から直接雇用に切り替えるのか、選択を迫られているということか。私:「日経ビジネス」2月11日号では、次のようにキャプションで特集の要旨をうまく表現している。 「『グローバル競争で人件費削減はやむを得ない』と経営者は言う。 『ワーキングプアになりなくない』と派遣・請負社員は言う。 『偽装請負は許さない』と行政は言う。 折り合いがつかぬまま、その場しのぎを続けた結果、日本の工場はすっかり不幸せ場所になってしまった。 製造派遣社員の大量正社員化を迫られる2009年は目前だ。 正規、非正規を問わず、従業員が生き生きと働き、高い品質と生産性で堂々と世界と渡り合う『幸せな工場』。 理想論ではない。それを見つけないと、日本の工場に未来はない。」A氏:考えてみると、製造業への派遣社員の規制緩和は大きな社会問題になったね。 この「人材空洞化を超える」という本はどうまとめているのかね。私:結局、バブル崩壊で企業がリストラをはじめ、非正社員の数が減り、規制緩和で派遣社員に置き換わった。 同時に社員が育つという環境も失った。 経済はそれで短期的に回復したが、残った正社員は成果主義、労働時間の延長などで苦しめられる。 団塊の世代の定年などで、今になって正社員の採用を増やしても、先輩の正社員は長い間、部下不在であったり、ネット社会で育ったりして、部下とのコミュニケーションがよくないので、部下が育たない。 企業現場に「人材空洞化」が発生しているというわけだね。 これに挑戦している企業例もあげているがーーー。A氏:昨年の「日経ビジネス」(4月2日号)では、このブログでとりあげた「『抜け殻』正社員:派遣・請負依存経営のツケ」ですでに「人材空洞化」が報告されているね。私:その前に、俺が、大きな職場の変化に気がついたのは、派遣社員の問題や偽装下請を報じた朝日新聞の連日の一面のトップ記事からだね。 製造職場の半数が非正社員という、俺たち世代にとっては異常な職場状態変化からこの知的街道はスタートする。「労働投入のゆがみ」、「労働ダンピング・雇用の多様化の果てに」、「製造業崩壊・苦悩する工場とワーキングプア」、「30代のうつ」、「働きすぎる若者たち・『自分探し』の果てに」、「搾取される若者たち・バイク便ライダーは見た!」、「職場砂漠・働きすぎの時代の悲劇」、などの賃金格差や職場の健康問題へとつながる。A氏:その背景には経済のグローバル化があり、最近ではサブプライム問題がある。 その知的街道が並行して進むね。 「グローバリゼーション新自由主義批判事典」、「悪夢のサイクル」、「格差と選挙」、「新帝国主義論・この繁栄はいつまで続くか」、「2008マネー潮流」と世界の政治経済の変化に展開する。 一方、日本より先行している代表的格差社会のアメリカへと知的街道は通じ、「超・格差社会 アメリカの真実」、「働きすぎのアメリカ人」、「アメリカの非正規雇用」、「窒息するオフィス:仕事に強迫されるアメリカ人」、「ワーキングプア:アメリカの下層社会」、「アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?」、「捨てられるホワイトカラー・格差社会アメリカで仕事を探すということ」、「ニッケル・アンド・ダイムド・アメリカ下流社会の現実」と続く。 これで日本はアメリカの悲惨な労働者の後を追いかけてきたことがわかるね。私:実に奥の深い問題だね。 明日は最近の日本企業の実際の動向を数字で見たいと思う。
2008.02.11
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A氏:俺は朝日新聞では、毎週月曜夕刊の「池上彰の新聞ななめ読み」が面白くてよく読んでいるよ。私:俺も読んでいるよ。 池上氏は以前にNHKの子ども番組で、時事問題をわかりやすく説明していたね。 民間テレビのコメンティターとしても出ているね。A氏:君の昨日のブログで思い出したんだが、2月4日の「池上彰の新聞ななめ読み」で「子どもの学力、下がったの?」というのは面白かったね。私:例のOECDの学習達成度調査・PISAで前回より順位が下がり、マスコミで「日本の子どもたちの学力がさがった」という大騒ぎに疑問を呈しているね。A氏:3つの分野を正答率と順位で比較すると次のようになるという。 この表は俺が作ったんだがね。分野2003年度2006年度正答率%順位正答率%順位「読解力」62146015「数学的リテラシー」5665310「科学的リテラシー」602606 これを見ると、正答率が少し下がったか、横ばいで、「日本の学力が大きく下がった」と大騒ぎすることはないというわけだね。 順位が下がったのは、2003年の時の参加国が41の国・地域、今回が57と16増えたことだね。私:だから、「読解力」の順位が1つ下がったのは、今回新参加のエストニアが日本より上位に割り込んだこと。 「数学的リテラシー」は、これも初参加の台湾とエストニアが日本より上位に割り込んだこと。 「科学的リテラシー」については、池上氏は解説がないが、まあ、「学力が落ちた」という誤解には正答率の変化を示すだけで十分だろうね。 順位は相手があるからね。A氏:だから、正確には「学力が落ちた」ではなく、「順位が落ちた」というわけだね。 面白いことに、この記事が出た4日後の朝日新聞の朝刊で、「私の視点」というコラムで「学力向上 教師の承認力と質問力」でという見出しで学習コーチアカデミー主任研究員佐々木宏氏の意見が掲載されていた。私:俺も読んだが、出だしが「日本の学力低下に歯止めがかかっていないことに、不安の声があがっている」だね。 出だしから、間違った事実で意見を言っていることになる。A氏:ところで佐々木氏は、PISAの結果を受けての文科省の「ゆとり教育」の見直しには疑問があるとしているね。 教える教科の時間の「量的」な枠組みを変えただけでは効果は期待できないという。 授業時間を増やすだけではダメということだね。私:「質的」な面に焦点を絞るべきで、そのために教師の側に「育む」技術が体系化されることが必要だという。 それが「承認力」と「質問力」だね。 「力」がついているから、「能力」だね。 正確には「承認能力」、「質問能力」だね。 「承認力」とは、子どもたちの答えが間違っていたとしても、それを承認する力だという。 「質問力」とは、子どもたちに思考過程を問いかける力だという。A氏:それはもっともな正論だが、そのように子どもに接するとすると「教える時間」がかかるだろうね。 昨日のブログのように、教育現場が限界のときに、さらに、教師に負担をかけることになるだろうね。 教育現場がいろいろな負荷によって、限界を超えて足もとから崩壊しないように望みたいね。私:11年から「ゆとり教育」からの転換が始まるという。 俺の今、幼稚園にいっている孫はその教育に巻き込まれることになる。 そのまた、見直しが出ないように、コロコロ、教育方法が変わらないように願いたいね。
2008.02.10
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A氏:旧聞になるが2月3日の朝日新聞の「耕論」欄を読んだ? 東京・杉並区和田中学の夜間塾「夜スペ」の問題を扱っているね。私:俺も読んだよ。 この日曜のコラムは、基本的に3人の立場の違った人が登場するね。 俺はこの「夜スペ」問題は子供の教育問題の知的街道から興味を持って読んだよ。 それに加えて、「大学の先生の思考パターン」と「現場で実際に活躍する人の思考パターン」の違いがくっきり出ていて大きな知的興味をひかれたね。A氏:大学の先生というのは国際基督教大学の藤田教授。 現場で活躍する人というのは、和田中学校長の藤原校長。 それに、塾の経営者で小学校の数学を学校と連携して教えている菅原氏だね。私:藤田教授は、中学校の高校受験については学校の授業と家庭学習だけで対応できないことはないはずだといっているね。 「先生が忙しければ増やせばいい」と言い、藤原校長のやり方を批判している。A氏:先生の増員は国の予算がからむ。 文科省も赤字財政を抱えている財務省といろいろ交渉してようやくある程度の増員にこぎつけた。 どうも藤田教授の意見は、理想論だけの評論家的意見だね。私:藤田教授は、米国の教育者カミングスが70年代の日本の教育の平等さを評価していることを引用しているが、なんでこのような古い評価と外国人の評価を出してくるのかね。 問題なのは、「日本の」中学校で勉強している「今の」中学生の現実問題なのにね。A氏:藤原校長は、現場で起きているできる生徒の「ふきこぼれ」現象、すなわち、優秀な生徒の放置を問題視して、その解決で行動しているんだね。 「落ちこぼれ」対策は熱心だが、「ふきこぼれ」対策は放置されている。 「夜スペ」はそれに対する藤原校長の挑戦だね。私:同校長は、この問題のインタビューの最後で 「批判するなら具体的な対案を出してほしい。 僕らは現場で実践と挑戦を重ねている。 観念論や理想論だけで教育を語っても子供のためにならない」 と言っているね。A:理屈だけ言う人に対する痛烈な皮肉だね。私:やってみると、できる自信をつけた子が自然に仲間を教えるようになったという。 英語が苦手な子も変わり、杉並区の学力テストの順位が跳ね上がった。 上位の一部が伸びたのでなく、生徒全体が上がった結果だという。A氏:理想的な方法ができないと言って、手をこまねいているのでなく、次善の策でも実践していくと、先が開けてくる。 「案ずるよりも産むが安し」ということか。 これが現場の行動的な実践者の思考パターンだね。 理想論を言って最初からブレーキをかけても仕方がないね。私:菅原氏も現場で活動しているので、習熟度別教育は教師の人数を増やさないと難しいと言っているね。 そして菅原氏は現場に入ってみて「教師の忙しさ」に驚いたという。 これは俺のブログでも「先生ヘトヘト」としてとりあげたね。 勉強を教える以外のことが多すぎるという。 「教育現場は限界にきている」のではないかとすら感じるという。 中教審では、「ゆとり教育」見直しで、授業時間を増加するという。 ますます、先生は多忙になる。A氏:教師が一生懸命授業をしても、入試までに学習内容が終わらないというのが現実。 だらか、学校の授業だけでは入試に対応できないから塾に行かざるを得ないという。私:学校と塾が対立するのでなく、分業しながら、子どものために協力していくことが重要だね。A氏:和田中学校はさらに地域社会との連携があるね。私:俺は地方の格差問題で「基本ケースで学ぶ地域経済学」という本をボツボツ読み出したんだが、フィンランドの地域経済の活性化はものすごいね。 教育だけではないね。 フィンランドの「オウル・モデル」というのがあり、地域活性化のモデルになっている。 オウル市というのは首都ヘルシンキからかなり離れた地方都市で大阪みたいな地理的な位置にあるね。A氏: フィンランドでは大阪が元気なわけだ。私:そしてフィンランドは「オウル・モデル」をヒントに、人口520万人の小国に22もの各々の地域に根ざしたサイエンス・パークを作っているという。 そういう地域活性化の国家戦略のバックがあって、フィンランドの教育がある。 日本は地方が疲弊する中で、困難な教育再建に挑戦を続けなくてはならないね。
2008.02.09
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私:この本をどこの書評で知ったのか記憶がない。 06年発行だから、激動の政治的なテーマを扱っているものとしては古いね。 郵政改革などのいわゆる小泉内閣が、アメリカの「年次改革要望書」という日本に対する改革要求に屈服したものだとするものだね。A氏:俺は、小泉内閣時代、例の郵政反対のとき、当時自民党議員の小林興起氏が、その根拠として盛んにアメリカの「年次改革要望書」に屈するものだということをサンデープロジェクトで言っていたのを思い出すね。私:だから、この本のタイトルの「奪われる日本」というのは、アメリカに奪われるという意味だね。 著者は、「あとがき」で、石原慎太郎がある本で「2005年には、日本は米州の一つに併合されることになっている」という文を引用している。 そして、その通りに、2005年に会社法、改正独占禁止法、郵政民営化関連法案の3つの重要法案が成立したという。A氏:その意味では3つの法案は「日本米州化法案」かね。私:しかし、その後の安倍政権での郵政反対の議員の復党、そして参議議員での自民党の敗北、安倍首相の退陣などのめまぐるしい変化で、かなり事情が変わってきているね。 それにアメリカが日本をターゲットにして米州の一つに併合するという見方はちょっと狭いように思うね。 「年次改革要望書」の裏にはアメリカの金融資本の帝国主義的な動きがあるだろう。 そのアメリカ経済がサブプライム・ローン問題でおかしくなっている。 イラク戦争でネオコンのブッシュ政権がおかしくなっている。 そういう変化があるね。A氏:「新地球帝国論」の見地から日米関係をみるべきだね。 グローバル経済は、日本だけでなく、拡大している。 日本は経済大国なのに「最後の社会主義国家」といわれるくらい、外部に対して閉鎖的だ。 「談合」などがいい例だね。 だから、当然、外に対してオープンになるように、グローバル資本の力で「こじ開けられる」のは明らかな運命だね。私:隣の韓国を見れば明らかだね。 アジア通貨危機で韓国経済はものすごい貧困を味わい、世界銀行などの要求、すなわち、ある意味でアメリカ資本の要求で国内の市場開放改革を行う。 結果的に、韓国は日本より出生率は低く、格差も拡大した。 日本は食糧自給率が低いというが、韓国も食料自給率が49パーセント。 それなのに、アメリカのグローバル戦略、アジア戦略の一環としてのFTA要求を受けて、農産物の自由貿易を準備して、農業の再編と農業の危機を迎えつつあるという。 2007年に協定締結。 その裏面は、アメリカが世界的な競争力をもつ金融サービス、医薬品、農産物などの産業が韓国市場を席巻する道に通じているという。A氏:韓国は零細農家が多いから、このアメリカとの協定で、韓国農業の一部は効率化するが、全体として縮小し、食料自給率はいっそう低下することが予想されるという。 「奪われる日本」でなく「奪われる韓国」だね。私:日本でもFTAによる自由貿易交渉がすすんでいるが、農業大国アメリカとのFTAは農業・農村の縮小と衰退化の道を進むことになろうという。A氏:君の昨日のブログの羽田・成田両空港の外資規制問題も「奪われる日本」となるかの戦いだね。 これは豪州系ファンド、英国系ファンドがからんでいる。私:ハンドボールだって、「オイルマネー支配」のアジアハンドボール協会によってハンドボールの世界選手権参加資格を「奪われる韓国」と「奪われる日本」になろうとしている。 いろいろな面で「新地球帝国」の横暴な「奪う帝国活動」が盛んになっているね。 この本の著者はもっとそういう視点で、小泉改革を捉えてほしかったね。 結局、日本経済は復活したが、格差拡大、日本経営が恥とするワーキングプアの発生、多くの規制緩和の失敗、中流層の崩壊、「唯金論」による企業モラルの低下などという結果が出ているね。 民営化も見直し機運が出ているね。 こういう嵐の中で危機を叫ぶだけでなく、諦めないで、包括的で具体的な解決案を示して戦うことが必要だね。
2008.02.08
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A氏:君の昨日のブログ「株式会社 ロシア」2の2で日本の株価の低迷は、日本の閉鎖性にあると、竹中平蔵氏が語っているとあったが、それに知的興味をひかれて、昨日の朝日新聞朝刊の、「外資規制 賛否で舌戦」の記事に惹かれた。 この見出しで、国土交通省が進める外資規制に渡辺金融相、太田経財相、岸田規制改革担当相の3閣僚が反対だという記事が載っていた。私:新聞によると冬柴国交相がこの規制を表明してから、確かに株価は大きく下がっているね。 「日本空港ビルディング」の筆頭株主は豪州系ファンドだというが、株を売り払うだろうかね。A氏:空港や電力会社などの公益性を重視した「安全保障」か、対日投資をテコにした「成長戦略か、と新聞は報じているね。私:政府の成長戦略では世界中から投資資金を集めて国内産業の成長を加速するという考えだから、規制反対派はこの規制は対日投資に悪影響を与えるとしているね。 一方、自民党内の「安全保障派」は「安全保障にかかわる重要インフラをマネーゲームにさらしていいのか」と言う。 「成長派」と「安全保障派」との攻防が続くと報じているね。 例によって福田首相は静観の構えだね。A氏:新聞で経産省がまとめた日本、米国、英国、フランス、ドイツ各国の対内直接投資に対する規制の比較一覧表を見たが、各国とも規制はしているね。 自由放任ではないね。 そして、規制対象が近年、拡大している傾向だね。 マネーゲームが次第に過激になるのに対応しているのかね。 マネーゲームの本家のアメリカが一番、規制が厳しいというのも皮肉だね。私:アメリカはダブルスタンダードの国だからね。 他国には強く規制緩和を要求するが、自国を守るためには厳しい規制をする。 この表にはないが、中国は米系ファンドによる国内大手建機メーカー買収を機に、06年から重点産業の買収に許可制や審査制度を導入とあるね。 ロシアは「株式会社 ロシア」だから、外資の投資に対する許可制を検討しているという。A氏:新聞によると日本政府はもう一つの外資規制が問題になっているとしているね。 電力卸最大手Jパワー(電源開発)の株を9.9パーセント持つ英国系投資ファンドが「20パーセントまで買い増しをしたい」と日銀に届け出ているという。私:今月13日までに政府は回答しなくてはならない。 拒否すれば、竹中氏が言うように外資は逃げる。 株価も下がる。A氏:この問題は、各国が国営企業を民営化し、電力、空港、鉄道などの各国の基幹インフラを支える公益事業の上場が相次いだことが背景にあるんだね。私:そこに巨大な資金を運用する投資ファンド、オイルマネーなどを背景にした政府系ファンドが目をつける。 政府系ファンドにオイルマネー以外にシンガポール、中国もあるね。A氏:国家もオイルマネーの売買の対象になるのかね。私:国境なき「新地球帝国」はどこまで、帝国主義的な拡大をするのだろうかね。 弱い「国民国家」はそれに抵抗できるのかね。 どうも、わからないね。
2008.02.07
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私:ユーコスとは、ミハイル・ホドルコフスキーがオーナーだったロシア国内第2の石油会社の名前だね。 1995年の民営化で彼はユーコスの株の大半を取得し、その後、業績を伸ばし第1位のルークオイルに迫る。 株価も上昇し、彼は世界の富豪16位にランクされる。 英語が堪能で欧米の評価も高かった。 彼は、成功した「オリガルヒ(新興財閥)」だろうね。 A氏:プーチン政権はなぜ、その市場主義者のホドルコフスキーを追い出したのかね。私:ホドルコフスキーの飛ぶ鳥を落すような力は最初はプーチンなど足元にも及ばなかったらしいね。 しかし、プーチンが力をつけてくると当然、対立するね。 ホドルコフスキーはプーチンの圧力を逃れるためにアメリカに接近する。 ブッシュ大統領など、アメリカの政治の中枢部にも接近する。 そして身を守るために米メジャーの傘下に入ろうとするが、これが逆にプーチン政権による逮捕を早めたようだ。 プーチン政権で検察は脱税容疑でホドルコフスキーを逮捕し、同時にユーコスの株を差し押さえる。 そして競売にかけられ売却され、ユーコスは事実上解体。 05年5月、ホドルコフスキーは禁錮の判決を受け、北極海に近い北方の監獄に収容される。 「国策逮捕」と言われている。A氏:外務省の佐藤優氏の「国家の罠・外務省のラスプーチンと呼ばれて」と同じだね。 「ホドルコフスキー裁判」は1991年のソ連消滅以降、ロシアでの最大の体制転換、すなわち、国家の介入を認めた市場経済体制への第3の道への転換だといわれている。A氏:結局、ロシアは、国家の権威があっての市場経済だということかね。私:それが「株式会社 ロシア」の意味かね。 国民もロシアが外資に乗っ取られるのを欲していないのだろうね。 これも日本の国民感情と似ているね。A氏:2月3日の田原総一郎のサンディープロジェクトに竹中平蔵氏と木村剛氏が登場していたが、彼らは徹底的な自由な市場主義者だね。 竹中氏は、今の株価低落などの日本経済の停滞は、サブプライムローン問題ではなく、それ以前から続いていると言い、その原因は日本の経済の閉鎖性だという。 例のブルドッグソースの例をあげているね。私:俺も録画して後で見たが、ブルドッグソースが外資に乗っ取られそうになったとき、裁判所がその外資は「金儲け主義」だという理由を挙げているのは、全く、市場経済の無知だというようなことを言っていたね。 村上ファンドの村上氏が「金儲けはよくないですか?」と言っていたがね。 竹中氏は徹底した規制緩和、市場原理主義だからね。 プーチンがその道をとらなかったのは、ロシア国家という大国意識とアメリカ資本の流入に対する警戒感と、やはり石油で余力があるからだろうかね。A氏:木村氏は、ホリエン騒動もおかしいとしているね。 日本は折角の若いベンチャーを潰す。 ヒューザーも耐震偽装だというが、大手の建設のほうは同じことをミスとして軽い罪ですんでいる。 若いベンチャーに厳しく、大手に甘いという。 これではこれから成長する産業が育たないという。私:木村氏は言う。 トヨタもソニーも、ベンチャーとして生まれ、60年後の今では大企業。 戦後の日本経済の活性化はそれらのベンチャーが作ったといっても過言ではない。 今、そのベンチャーを育てることを日本経済はしないと言う。 しかし、これらのベンチャーは「金儲け」が主目的でなく、新しい物づくりの「志」があったね。 ホリエモンのように「すべてはカネだ」という考えと違うね。A氏:教育も「創造性ある人物」を育てるという国家的な戦略が見えてこないね。 もっとも、竹中氏は学校で株の取引を教えろという考えだろうがね。私:ロシアは、今は石油で国として景気はいいが、経済の底力は弱い。 石油で余力がある間に中小企業を育てるように動いているようだね。 この本はいくつかの中小企業のベンチャーが努力する姿を紹介している。 それが成功するかが、真のロシア経済の力がつくことになるだろうね。
2008.02.06
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私:この本はロシアの知的街道に位置するね。 もともと、このロシア街道は、「新帝国主義論・この繁栄はいつまで続くか」で一人勝ちのアメリカに対応する大国の一つとして「KGBの伝統を色濃く残すロシア」がふれられていたことからのスタートだね。 この「新帝国主義論・この繁栄はいつまで続くか」では、アメリカ経済はまだ大丈夫だと楽観的だったが、1年たたないうちに、サブプライムローン問題で怪しくなってきたね。 世界の変化はめまぐるしいね。 アメリカの大統領選もめまぐるしいね。A氏:ロシア知的街道は、以後、「ロシア世界を読む」、「プーチンは"皇帝"になるか」、「プーチン圧勝」、「アジアに接近するロシア・その実態と意味」、「ロシア後継大統領」と続いたね。私:本の題名の「株式会社 ロシア」の株式会社というのがピンと来なかったね。 よく「日本株式会社」と言われたことがあるが、それとの関係があるのかね。 「『最後の社会主義国』日本の苦闘」という本でもとりあげたがね。 しかし、俺は、この本から連想したのは、太平洋戦争に敗れた日本の戦後の混乱だね。A氏:ソ連崩壊でロシア国民は共産主義の価値観から欧米の市場主義への価値観への大転換を要求されたのだからね。 政府におんぶにだっこの共産主義体制から、自己責任・競争原理の社会への大転換だね。 だから、価値観が違うロシアの若者はソ連時代の祖父祖母の言っていることが理解できないという。私:日本では敗戦で軍国主義から一挙に平和民主主義への転換だね。 俺たちは小学校の教科書に墨を塗った。 しかし、ロシアでは、ここ数年で若者の間に古いロシア文化を見直す動きが出ているという。A氏:日本の「戦後レジーム」の脱却と同じだね。 「自虐史観」からは何も生まれないね。私:ロシアは1985年のゴルバチョフの「ぺレストロイカ(改革)」路線の開始、エリツインのソ連解体、共産党一党支配の廃棄、市場経済化、その後の経済の大混乱、国有企業の民営化による「オリガルヒ(新興財閥)」の登場、歪んだ市場経済、2000年以降のプーチン大統領による市場経済化の見直し、と続く。 石油の値上がりやプーチンの登場で一応の安定を得るが、まだ、官僚の汚職も多いらしい。A氏:これは日本では汚職は少ないが、形を変えて「官僚天下り」「官製談合」となっているから似ているね。 その意味で日本とロシアは官僚組織が固いようだね。 中国もそうだが、固定した官僚組織がある国には汚職が多いね。私:日本は1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」という言葉が使われるが、敗戦後10年余かかっているね。 ロシアの回復は、石油価格の高騰で救われたが、20年かかったようだね。 著者は日本経済新聞社の記者として、1993年から97年、2002年から06年と合計7年半にモスクワに駐在した。 ところで、ソ連の国有企業が民営化で払い下げになるが、それを買う「オリガルヒ(新興財閥)」がいるね。 「オリガルヒ(新興財閥)」のカネの出所はよく分からない点があるね。 著者は比喩として明治維新で三菱などに国有企業を売り渡す例をあげているが、俺は「オリガルヒ(新興財閥)」は敗戦後の日本のドサクサで軍需物資でもうけた児玉誉士夫等と似ているような気がするね。A氏:彼のカネが戦後の自由党の創設資金の一部になったね。私:プーチン政権のロシアの市場経済化の見直しと現状の姿は2003年から2005年にわたった「ユーコス事件」に象徴されるね。 日本流に言えば、小泉改革の巻き返し、見直しだね。A氏:ユーコス事件?私:明日はその事件について語ろう。
2008.02.05
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私:なんかの書評にあったのと、題名に知的興味があったので図書館から借りたね。 「植民地」とあるので、新しい視点からの日本文化論だと思ってね。 大分、待って借りたよ。 しかし、読み始めてがっかり。 平板な、常識的な日本文化感想文が乱雑に並んでいるだけだね。 「植民地」との関係など、全然出てこない。 A氏:題名にだまされたということかね。 軽い新書版ではよくあることだね。 一種の「偽」だね。 著者はどういう人かね。私:女性アーチストで、外国人と結婚し、外国暮らしが長い。 60歳代だね。 その身近な体験をまとめたものだね。 俺の後、予約待ちが160人くらいいる。 第9刷まで来ているから、かなり売れているんかね。 俺は、こういうときに、他の人はどう思っているか、インターネットの楽天の「ユーザーレビュー」とかアマゾンの「カスタマーレビュー」を見るんだよ。A氏:どうだった?私:楽天は7件。 アマゾンは21件のレビューがあった。 案の定、読者のコメントが「買って損した」というのから「面白かった。ためになった」と2極分裂していたね。 楽天で「タイトルで興味を持ったが全く面白くなかった。自分の体験の範囲だけで全てをわかったような意見で読む価値なし」という人がいたが、俺の感想にピッタリ。 アマゾンでは「自分の周り半径1mだけで書いているような本」というようなコメントもあったが、これもピッタリだね。 以下、俺にピッタリのレビューを列挙する。 「タイトルそのものが既に燃料になってしまっています。 この方の国家や文化、植民地経営と支配(当然軍事力込み)の歴史、戦後日本の軌跡と現状への認識は相当浅薄なんじゃないかと思ってしまいましたね。失礼ながら」 「題名と内容があまり関係していないので注意したほうがいいだろう。この本から得るものは無かったように思う。」 「タイトルは歴史か戦後問題の本みたいだが、『日本人がヨーロッパに生活して、彼の地の一般人と世間話した四方山話』といった内容」 「大学教授や外交関係の専門家の書いた『資料』としての中身を期待してしまうと肩透かしを食う。そういう意味ではタイトルに罪ありか」A氏:タイトルを問題にしているレビューが多いね。 君のブログでの「人は見た目が9割」の読書感と同じだね。 題名につられて買った人は、面白くないね。 君は図書館で借りたから金銭的な損失はないがね。 時間的損失はあるだろうがね。 しかし、君のようなせっかち症には、いい薬になるのではないの?私:予約で図書館で借りるときは、現物をざっと見てからでないから、詐欺にかかりやすいね。 本屋で買うときは、内容を見て買うからね。 まぁ、外国に住んでいて、夫が外国人で、日常生活を通じて日本との違いを日記風に書くなら、それは、それで面白いと思うよ。 そちらの面でこの本を評価した場合、それなりに面白いだろうね。 この本を「ためになった」と書いているレビューはその面を評価しているね。 まあ、俺がこの本で得た新情報は、昔、パリでオランダ女性の肉を食った佐川一政のことだね。A氏:フランスの刑務所にいるのではないの?私:父親が金持ちなんで釈放されてドイツに住んでいて結婚して子供までいるという。 この本では釈放されて東京で講演までしているらしいと書いてあるが、佐川一政をウィキペディアを見れば、ある落語会にゲストとして出演したとある。 そのくらいの調査をして書くべきだね。 フランス・ドイツ共同テレビドキュメンタリーで扱ったという。 ニュースとしてはそれくらいだね。 次の人が待っているだろうから、今日は雪道を歩いてすぐに図書館に返却だね。
2008.02.04
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私:今朝は、横浜市内は雪だね。 起きたら、2、3センチ積もっていた。 今年初めての積雪だね。 まだ、降り続いている。 ところで昨日の土曜日にバリウムを飲んで胃を検診してきたよ。 ついでに超音波検診もやったよ。A氏:胃の調子でも悪かったのかね?私:少し、胃が重かったからね。 それに、時々、かかりつけの医者で胃カメラはやるんだが、この前やったのは2年位前だからね。 間が空いて心配になったからね。 俺の家系は長寿が多いほうだが、母親系はガン死が多く、父親系はガン死がなく、循環器系の病死が多い。 俺は父親系らしく、頭の毛が薄いし、顔も父親系だね。 兄貴は白髪だが毛が多いし、顔が母親似だね。 だからといって安心はできない。A氏:ガンは早期発見がポイントだというからね。 胃カメラのほうが簡単ではないの?私:胃がんでもスキルス胃がんとかいうのがあるらしい。 胃袋の内壁は胃カメラでよくわかるが、スキルス性というのは胃壁の中に進行するらしいね。 それは、バリウムのほうが分かりやすいらしいね。 俺は胃カメラのほうは抵抗感がないんだが、バリウムはちょっと抵抗感があるね。 検査後にバリウムを下剤で排出しないといけないからだ。A氏:胃カメラを嫌がる人がいるが君のブログでの体験談だと平気なようだね。私:バリウム検査では、着替えて、胃袋をふくらますスティック状の袋に入った薬をのむ。 看護師がゲップをしたくなるので、我慢してくれという。 大きな台に乗って、台が動く。 体を横にしたり、俯いたりして、いろいろな角度からレントゲン写真を撮る。 その間、ときどき、医者の指示でバリウムを次々飲む。 食道も撮る。A氏:結果はすぐに出るの?私:すぐに医者のパソコン画面に出る病院もあるようだが、俺がかかっている病院では、現像まで20分くらい待つ。 20分くらい待って、呼ばれたよ。 医者は、結論を先に言った。 「異常はないようですね」A氏:よかったね。私:とりあえずはね。 いろいろな角度からのレントゲン写真を20枚くらい掲示して説明したが、よく分からなかった。 いつも思うのだが、こういうときに胃のモデルを使うと分かりやすいね。 玩具みたいなものでいいからね。 半分に割れて、中も見れるのがいいね。 この医者はいつも思うのだが、司会の三宅裕司に似ている。A氏:超音波のほうはどうだった?私:医者は画像を見せながら、「これが胃、これが肝臓、これが腎臓、これが脾臓」と説明した。 奥のほうに膵臓が少し見えた。 今のところ、どれも異常はなかった。 しかし、これを早口で言われても頭にイメージとして残らないね。 これもモデルか配置絵が手元にあると分かりやすいね。A氏:地図と同じだね。 案内されて歩くとき、案内されながら、地図をマークしていくと頭にイメージとしてよく残るね。私:バリウム検査が嫌なのは、最後のバリウム排出だね。 検査が終わってすぐに下剤を2粒飲む。 看護師がコップ一杯の水で飲んでください、できたら、2杯がいいですというので、真面目に指示通りがぶがぶ水を飲んだよ。 我慢していたゲップがバンバン出る。 家に帰って数時間後に下痢症状で、白い液状のものが排便されたね。 やれやれだ。
2008.02.03
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A氏:1月31日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄の一隅に、上記の見出しで大沼東大教授(国際法)のオピニオンが載っていたね。 朴裕河氏の「和解のために」が第7回大佛次郎論壇賞を得たのを機会に日韓関係について述べたオピニオンだね。 最初に「和解のために」は素晴らしい作品だとほめているね。 俺は君のブログの「和解のために」から知的興味が出て、「韓国軍によるベトナム人虐殺」につながった知的街道で、この一隅のコラム記事が引っかかったね。私:韓国人である朴裕河氏の本は、もとは韓国人向けの本だが、バランスのとれた論を展開しているのを、大沼教授は「韓国の社会的な成熟」を物語るものだとしているね。 しかし、朴裕河氏は韓国人からは「日本に甘い」という批判を受けたそうだね。 日本向けには少し、日本に辛くしたと著者は言っているね。A氏:「韓国軍によるベトナム人虐殺」をとりあげた韓国の週刊誌「ハンギョレ21」も勇気ある活動だね。私:大沼教授がこのコラムで心配しているのは、「和解のために」の誤読だね。 この本を韓国だって悪いことをしているから、日本の悪いことは許されるという根拠にすることを恐れているようだね。 朴裕河氏の「和解のために」をどのように読むかに日本社会の成熟度合いを示すだろうという。A氏:大沼教授は、日本以上に大規模な植民地支配を行い、帝国主義と侵略に明け暮れた欧米諸国が居丈高に日本を批判するのは偽善・欺瞞を感じさせるもので見苦しいと言っている。私:その欧米の独善を批判するのはいいが、それだからと言って、自国の過去に過ちがなかったと強弁するのはもっと見苦しいという。 それは日本だけでなく、韓国にも言えることだね。 大沼教授は、そのバランスがとれた立場を朴裕河氏の「和解のために」がとっていることを高く評価しているね。A氏:日本の伝統文化、敗戦後の平和主義、経済復興の努力、途上国に対する巨額の援助を忘れ、自虐的な過去の反省を知識人やメディアがしてきたと教授は言う。私:そのメディアの一つに朝日新聞も含まれるのではないの? この大沼教授のオピニオンはよく朝日新聞に掲載されたね。 本来は犬猿の仲の産経新聞に掲載されるものではないのかね。A氏:しかし、大沼教授は中立的な立場だね。 大沼教授は「慰安婦問題に対する諸国からの批判への口汚い反論。 逆に、不当な批判の尻馬に乗って、自分は日本の一員でないかのような非難を自らの国に加える姿勢。 こうした態度のいずれも、優れた文化と戦後の実績をもつ日本国民のあるべき姿とはいえないだろう」と言っている。私:この「不当な批判の尻馬に乗って、自分は日本の一員でないかのような非難を自らの国に加える姿勢」、すなわち、自虐姿勢が朝日新聞の立場ではないのかね。 安倍前首相が言っていた「戦後レジーム」だろう?A氏:大沼教授は、このコラムの最後で「抑制された相互批判と自省に立った関係を、韓国とも、さらに中国とも、さらに米国や西欧を含む世界の国々と築いていきたいものである」としているね。私:その中に、沖縄と本土の関係がからむ「集団自決問題」も含めたいね。 「抑制された相互批判と自省に立った成熟した関係」をね。 11万人の県民大会という11万人という数字はどこにいったのかね。
2008.02.02
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A氏:俺は最近、朝日新聞の「天声人語」の記事にはあまり読まず、夕刊の「窓」のコラムのほうをよく読むんだよ。 1月26日の土曜日に、この「窓」に、福井県の山奥で働く女性3人のドキュメンタリー映画が大賞をとり、翌27日の日曜に放映されるという記事が載っているのを読んだよ。 そこで日曜に見たね。 君は、中国人労働者がアルジェリアの建設現場に、イタリア・ブランド製品のイタリア製造現場にいたりして、全世界に展開する中国人に知的興味を持っていたね。 ところが、足元の日本では、日本人の若い世代すら住まない福井県の過疎の山奥に中国人の30才台の女性3人が中国に家族や幼い子どもを残して縫製工場で働いていたんだよ。 この大賞をとったドキュメントはその取材が中心だね。私:俺は君に言われて録画していたのを今日見たよ。 この縫製工場は、昔はかなりの人が働いていたんだろうが、工場はガラガラで取材当時はすでに中国人労働者3人だけになっていたんだね。 経営者夫婦はすでに年金暮らしで、農業をしているから、この中国人3人がいなかったら縫製業は廃業だね。A氏:3人は研修制度によって3年期限で日本に来ていて3年間中国に帰っていない。 しかし、故郷への電話代はすごいね。 単純労働者の長期滞在は禁止されているので、研修生という名目で日本に来ているが、実際は労働者だね。 これも「偽」だね。 3人は同じ部屋の共同生活で、カネをためるため、食事も倹約している。 だいたい、スーパーもない田舎だ。 幸い、経営者が農業をしているので野菜はただでもらえる。 だから、昼は職場の電灯をつけないで自発的に倹約して経営者を助けている。 月収は約10万円だね。 中国で働くより、いいカネになるんだろうね。 このカネのために働いているという。私:このドキュメントで救われるのは、経営者がこの女性3人の存在に感謝していることだね。 「互恵」というタイトルはここからきているのかね。A氏:取材班は、彼女たちの故郷の中国も取材しているが、中国の山奥でなく、今、経済成長のトップを走っている上海のすぐ近くの都市郊外だね。 両親は健在で、家も2階建てに立て直し工事中だ。私:ある女性は1歳半の子どもを残してきて3年になるから顔を忘れているだろうと言う。A氏:ためたカネは主に子どもの進学費に当てるらしい。 今、中国の民衆は資本主義経済に放り出されているので、競争は激しく、格差は拡大しているが、その競争に勝つためには、まず、学歴が必要だ。 取材班は、中国が学歴社会になっていることを明らかにする。私:学校は学区制だが、そこは賄賂の国だから、共産党幹部かお役人にカネをつかませれば、進学率の高い学校の学区に移動できる。 そのカネは数十万円だという。 取材班が直接、中国の学校に電話して問い合わせたら、電話はプツンと途中で切れた。A氏:中国では政府は賄賂には厳しい処罰を課しているから、オープンにできないね。私:福井テレビの取材班は、さらに福井にある小さな鋳物工場を取材している。 従業員5人は全部中国人の若い男性で、キツイ、キタナイ、キケンという3K職場。 日本人の若者はこない。 しかし、作っているものは自動車や電気の部品を作る工作機の重要部品だね。 日本の大企業を支える底辺の重要な産業だが、これが中国人労働者に支えられている。 名目は研修生だがね。 中国人だけでなく、ブラジルや中近東の労働者がいなくなったら日本の自動車産業は底辺から壊滅する。A氏:国会で問題になり、研修生には日本人の高卒新人並みの給与を払えと政府が規制するようだね。私:鋳物の経営者は、その賃金では大きなコストアップになり、経営が成り立たないのではないかと頭を悩ます。 しかし、昨日のブログでとりあげた「インドと中国」や「あなたのTシャツはどこから来たの?」、「コーヒーの真実」などで国境を越えて個々の企業が深く結びついているのは常識だから、今更、これが大賞を得るのは分からないね。 「互恵」か「搾取」かわからないがね。 ところで、このドキュメントで驚いたのは、日本で働きたい若い女性の履歴書と顔写真が仲介者のパソコンにインターネットで出てくるが、その履歴書の様式にIQ(知能指数)とEQ(情動指数)の2つの数字の欄が設けてあったことだね。
2008.02.01
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