岡山大学の発表した「 Fluvoxamine, an anti-depressant, inhibits human glioblastoma invasion by disrupting actin polymerization」 『Scientific Reports』 2016 Mar 18;6:23372D O I: 10.1038/srep23372.によると、フルボキサミン(抗うつ剤 SSRI)が腫瘍細胞の移動に必要な糸状アクチンの形成阻害作用がある事を発見しました。 動物実験による観察を行い、正常脳への腫瘍浸潤抑制効果と生存期間の延長を確認しました。また、細胞浸潤に関わるFAK(Focal Adhesion Kinase)と呼ばれるリン酸化酵素の働きを強く抑制することもわかりました。
血管新生抑制剤(発想から新薬が出るまで時間がかかりました)に次ぐ、腫瘍を殺すことなく制癌作用を有する薬物がでる可能性があります。
岡山大学はフルボキサミンの用途特許を取って臨床に持って行くことを目指しているということです。しかし、データ的には抗うつ作用を出す投与量とそれほど変わらないことから、効果を分離しないと臨床は難しいような気がします。(がん患者のうつ症状をとるのに使われているから一石二鳥という甘い考えはしない方がいいと思います)
抗腫瘍効果はマウスで効果が見られた段階ですが、市販薬なので、臨床第一相までの時間は早いと思われます。(時間のかかる動物の毒性試験は市販品なので、実施不要の可能性が高いからです。)