アラ還の独り言

アラ還の独り言

2017年11月25日
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カテゴリ: プレスリリース
CiRAの​ プレスリリース ​「アルツハイマー病病因物質を低減させる既存薬カクテルの同定―患者由来iPS細胞を用いた化合物スクリーニングとin vitroトライアル―」がいろいろなメディアで取り上げられています。

複数のAD患者さんから細胞を集めてin vitroトライアルで有効性が示されたとのことです。

その薬剤とはブロモクリプチン、クロモリン、トピラマートの組み合わせです。

ブロモクリプチンはプロラクチン分泌抑制作用から産褥性乳汁分泌抑制、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫の適応を持っており、ドパミン受容体刺激作用からパーキンソン病の適応を持っており、成長ホルモン分泌抑制作用(健常人では成長ホルモン分泌促進)から末端肥大症、下垂体性巨人症に適応をもつというマルチな作用をもつ薬剤です。

クロモリンは抗アレルギー薬でマスト細胞からの炎症物質の放出を防ぎます。

トピラマートは脳神経の興奮を抑えるとともに、AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体の機能抑制作用
によりてんかんのきっかけを防ぐ、抗てんかん薬です。

現在のアルツハイマー型認知症の治療薬はコリン阻害剤3種類とグルタ ミ ン 酸 NMDA(N-methyl Daspartate)受容体阻害薬1種類でいずれも進行を遅くする効果しかないと言われています。

今回のプレスリリースのようにβアミロイドを減らす薬は、二つの抗体が臨床試験でプラセボに対する優位性を示せず、一時はアミロイドカスケード仮説が疑問視されていました。しかし、今回のプレスリリースにも図が載っていますが、発病寸前に用いる事によって、予防的な効果は大きなものであるという可能性が臨床試験で示されつつあります。

しかし、抗体を用いる事から高薬価になる可能性があり、予防のために使えるかどうかは、アルツハイマー病のリスクをどうやって示すかということになってきています。脳ドックなどでβアミロイドが蓄積しつつあるが、症状がでていない人が対象になるかと思います。

カクテルに関しては、疫学的な調査ができれば非常に役に立つと思います。日本ではデータの蓄積は始まったばかりですが、デンマークではすべての国民の医薬品処方と病気の発病のデータベースがあったと記憶しています。三つの薬を同時に飲んでいる人は非常に少ないと思いますが、クロモリンだけであればかなりのデータが集まると思います。


一つにはこのカクテルの臨床試験を行うという手がありますが、対象患者の選択がとても難しいと思います。最近の抗体医薬の臨床が行われているので、そのプロトコールを参考にするのも一つの手です。

もう一つはこのカクテルの作用機序を明らかにすることです。承認を受けているとはいえ、ブロモクリプチンやトピラマートは予防的に使うには少し危険な薬だと思います。





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最終更新日  2017年11月25日 14時37分28秒
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