アラ還の独り言

アラ還の独り言

2020年11月25日
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カテゴリ: 文献発表
小児喘息の発生率はヨーロッパと北アメリカの一部の地域で減少しているそうです。
日本では1982年から2002年に小児喘息が20倍になったとの報告があります。また発症年齢は低年齢化していると記載されています。(2005年の 文献 なので、最近はどうか調べ切れていません。)

なぜ小児喘息の発生率が下がったのかをカナダのブリティッシュコロンビア州でコホート研究を行って確認した 文献 が出ました。対象期間は2000年~2014年です。
原因は抗生物質の使用量であるとの仮説を立てて、抗生物質の処方(1歳未満)と喘息の発生率の相関を検討しています。そのなかで糞便でサンプルで腸内細菌叢の検討を16S rRNA遺伝子シーケンシングデータを用いて検討しています。

喘息発生率は2000年から2014年にかけて1000人あたり27.3人から1000人当たり20.2人に減少しました。
この減少は乳児期(1歳未満)の抗生物質使用の減少と関連しており、乳児1000人あたり1253・8処方から489・1処方になりました。これは腸内細菌叢の多様性が保たれやすくなったことが糞便の分析から明らかになりました。

この結果から考えると 1歳未満の幼児に抗生物質を与えなければもっと小児喘息が減るのではないか との意見が出るかもしれませんが、です。抗生物質を与えなければ死亡する可能性のある小児もいるからです。

コロナ感染症(新型でなく一般のコロナ感染症、いわゆるかぜです)や病原体を検出しないで上気道炎で抗生物質を投与するなど 、抗生物質の誤用を避ける必要がある ということです。
現状では、 腸内細菌叢に影響を与えないような抗生物質は存在しないので、必要最小限の使用にとどめることが必要 ということです。

抗生物質投与時に腸内細菌叢を守るような医薬品、食品が存在すれば小児喘息の発症率をさらに下げる可能性があり ます。医薬品の場合には、 1歳未満の乳児を対象とした治験を行うことの難しさ 及び 抗生物質を投与する必要のある病気を持っている ことの2点から治験実施可能性が小さくてを出すような製薬会社はいないと思います。

可能性があるとすれば食品が考えられます。ヨーグルトなどが目に浮かびますが、 全滅状態の腸内細菌叢に善玉菌だけを増やした場合にはなにが起こるか分かりません。推定される副作用としては 自己免疫疾患 が想定されます。

しかしながら、動物実験できちんと腸内細菌叢が戻ることが確かめられたら、抗生物質投与時の腸内細菌叢の乱れを直すあるいは抑えるという形で 特定疾病用保健食品 の許可が下りるかもしれません。きちんとデータはを出すことが望まれます。 機能性食品としての許可(ラベルとり)は幼児が対象なので、企業のモラルとしてやめて欲しい と思います。





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最終更新日  2020年11月25日 13時58分05秒
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