全4件 (4件中 1-4件目)
1
暗闇の中で芋虫がのたうつように寝床の中でうそうそと寝返りをうつそのあと 灯りをつけて 目を見開きまやかしの天井の木目をじっと見る木目はきっちり揃っていてそれが合板だと判る灯りを消す虫が鳴く遠く近くで虫が鳴く意識は其処に留まらずに草叢の中に分け入って目の前で鳴く虫を見ているこの季節 朝は早く訪れるはずなのに 闇は固まりで空から落ちて来ていて蹲ったまま動かない知らないうちに僕は涙を流していて涙は目尻からこめかみへと伝う意味がない涙には 大抵意味があるそして意味を見つけられない内に 大抵夜は明けている
2009/07/25
コメント(1)
地上には、土砂降りの雨のようにニュートリノが降り注いでいるという。またの名を幽霊粒子というそうだ。建物も人間の身体も、地球でさえも通り抜けてしまう、ニュートリノという存在。宇宙が誕生するとともに飛びはじめて、今も宇宙中を光に近い速さで飛び回っている。もしも、彼らに意識があったなら、ものの中を素通りする自分という存在を、どう思うのだろうか。さぞかし頼りない気分だと思う。まれに電子などの物質とぶつかるらしいけれど、そのときにようやく自分が意識を持っていたことに気づくのかも知れない。ヒメシャラを植えて旅立つ学者居て もののいのちは消え去るのみか
2009/07/18
コメント(0)
雨が降っている。窓を開けていると、自分の部屋の上の屋根に降る雨や、隣のアパートの屋根に降る雨、屋根から地面に落ちる雨だれが水溜まりを打つ音と、雨は様々な音色をしているのが判る。音は不規則にも規則的にも聞こえる。窓を閉めてじっと聞いていると、其処此処から集まる雨音が、固まりになって、通奏低音のように響く中に、時折、雀の声が笛を鳴らすように聞こえる。雨の朝で、雀の囀る声は少ないけれど、かえって華やかに聞こえる。梅雨の空雲垂れ込めてぼんやりと窓が明るくなる夜明け頃静止する雨粒を指で弾くとき時間が夢を語り始める
2009/07/11
コメント(0)
今はもう廃線になってしまったけれど、子供の頃、故郷には鉄道があった。隣町まで往復する単線で、一時間に一本くらいの間隔で走っていた。町並みは山裾に沿って弓なりに家が建ち並んでいて、町並みと田んぼの間を区切るように、一両だけのディーゼル機関車が走っていた。機関車が来るのは田んぼから見える。遠くに機関車が見えると、線路に耳を当てる。線路に耳を当てると、コトン、コトンと音が聞こえた。十円玉を線路に置いて待っていると、機関車は通り過ぎ、車輪に押しつぶされて、十円玉は平べったくなっていた。悪いことをしていると思ったのか、それとも、単にもったいないと思ったせいか、一度しかやらなかったけれど、そのコインは記念品として大切にしまっていた記憶がある。廃線の駅舎に切符が落ちている架空の駅の名前刻んで
2009/07/04
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1
![]()

