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右足の踵が鈍く痛み始めて二ヶ月ばかり経つ。日中歩いているときは痛みをあまり感じない。けれど、眠って起きた朝などは、痛みが少し強くなっている。痛み自体は軽いものだけれど、血行が悪くなると痛むのか、冷えても少し痛い。酒の呑み過ぎだろうと、なんとなく思っていて、それでもほったらかしている。身体のどこかに、軽い痛みがあるのは、余計な思いに煩わされているときには、気持ちを逸らすのに丁度好い。一方では、自分の身体をなにか玩具のように少しぞんざいに扱ってきた、軽い罰とも受け止めていて、痛みの扱いに困っているような、自分の身体の存在を改めて意識しては、面白がっているような、また、少しの痛みを感じる踵が身体の感覚の中で大きくなったり、小さくなったりするのを、不思議に思ったり、どうにも変な感じだ。寒がりな踵を持てば夜具の上に重ねて毛布の小さきを羽織る
2009/11/28
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鳶や鷹にテリトリーがあるのは判る。自分の縄張りを主張して空を旋回しているのだろうな、と思える。人間にも、ここまでは入って来て欲しくない空間というものがある。けれど眺めている限り、雀にテリトリーを守っている様子はうかがえない。勝手に飛び回って、勝手に餌を探している。電線の同じ場所に、飛び立った雀の後、すぐ次の雀が止っていたりする。けれど、電線に並んで止っているのを眺めると、等間隔に並んでいる。これが、雀のテリトリーだろうか。特に小雨の降る寒い日なんかは、毛を逆立てて、体を風船のように丸く膨らませ、よりいっそう肩寄せ合っているふうなのが健気だ。雲低く町に時雨の降り始め湯沸かしポットの冷めてゆく朝
2009/11/21
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早朝、雀たちは、てんで勝手に鳴いているように聞こえる。けれど、じっと聞いていると、互いに呼び合っているように思える。鳴き声は、求愛か、テリトリーを守るための二種類があると最近知った。それでも、それが勝手な鳴き声に聞こえるのは、互いに呼びかける鳴き声が、伝える思いがあまりに多く、あまりに急き過ぎていて、あれほど忙しなく喧しく聞こえるのかも知れない。月世界で ひとを想うて啼く鳥の足掻き親しき歌詠む夜更け
2009/11/14
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台風の翌日、町の鎮守の八幡神社の森の杉の大木が折れていた。子供の頃の記憶。大木の裂け目は生々しく、若い樹の甘い香りを、まだ、辺り一面に漂わせているようだった。大人になって、町から離れると、鎮守の森が懐かしく思い出される。町を離れてしばらくして、切り倒された樹木が、木っ端ごと、翌朝には合して元に戻っている。そんな伝説があることを知った。それを知った後のこと、町に帰って八幡様に参ったとき、あの倒れた木はどの辺りかと探してみたけれど、どうしても見つからなかった。裂けた木はもう元に戻って、鬱蒼とした森の一部に還ったのだろうと思えた。肌寒の夕暮れ間近コオロギの鳴く声絶えて花火する人
2009/11/07
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